goo

2013年外国映画マイベストテン

映画に触れずして、
映画の心に触れるような、映画の魂が伝わるような文章が
書けたらと思う。
これから映画を観る人と映画との架け橋になるような文章・・・。

どんな映画がおもしろいのか。
時間もお金も限りある身で、
折角、映画館まで観にいくなら、
できるだけおもしろい映画、いい映画を観たいというのは
誰しも思うこと。

ただ、映画の好みは、人によってかなり違うし、
評価も分かれる。
まずは、自分の眼で観なくてはわからない。
そこが本来はおもしろいところで、皆それぞれでいいはず。

映画についての情報は、できるだけ入れずに、
知らずに観ることのおもしろさ。
情報は少しだけ、とっかかりだけでいい。
できるだけ白紙の状態で観て、
映画のすべてを驚きをもって体験すること。
そういう出会い方が一番いいと思う。

そう思いながら、
私は、映画を紹介する文章なんぞ書いているから、ややこしい。
既に映画を観た人と
映画の魅力、おもしろみを確認しあうだけでも、ちとさみしい。

これから観る人に、どうしたら映画に触れずして、
その核を感じさせるような文章が書けるか。
模索しながら、
これからも精進していきしたいと思いますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

というわけで、すっかり遅くなりましたが、
2013年、外国映画の私の極私的ベストテンです。
恥ずかしながら、その映画について当手帖に掲載した私の感想を貼り付けてます。

案外と、どの映画も、音楽がよくて、
予告で音楽を聴くと、ふわっと映画の世界がよみがえってくる。

既にキネ旬も映画芸術も映画秘宝も発表してるはずですが、
まだ見れてませんので、これをアップしたら、のぞいてみます。

1『グッバイ・ファーストラブ』(写真)
十代の夏、カミーユはシュリヴァンと恋に落ちる。
山の別荘で過ごすバカンス。
谷をわたる風、太陽の輝き、川の水のきらめき、緑の葉、
ロケーションで撮られる光が美しく、心奪われる。
初恋はほどなく終わりを迎え、別れに涙し、
そして新たな出会いに、少女は、大人になっていく。

数年後、突然の再会に、熱い恋心がよみがえる。
初恋相手のシュリヴァンを忘れられないカミーユが愛くるしく、
切なくて、たまらない。思いきり共感する。
でも、結局、初恋はかなわない。
最後、懐かしの別荘で、ひとり、山の川に足を浸すカミーユ。
風が麦わら帽子をさらってゆき、新しい季節の予感に胸が震える。
フランスのミア・ハンセン=ラヴ監督。
(感想

2『ムーンライズ・キングダム』
小さな島に住む12歳の少年サムと少女スージーが
一目ぼれして駆け落ちする物語。
音楽がすてきで、
二人を見守る大人たちの大騒ぎぶりが楽しい。
映画のつくり自体が、ファンタスティックで
いっぱいつくりこんだ画面が楽しくて、ずっとにこにこしながら、
色の美しさに見とれ、楽しい語り口に酔う。

ブリテンの青少年のための管弦楽入門の
ヘンリー・パーセルの主題のような映画
といってしまえば、この映画の魅力の一端をわかってもらえるだろうか。
ウェス・アンダーソン監督。アメリカ。
(感想)(爆音上映時の感想)

3 『熱波』
白黒のサイレントのような映画。
後半は、50年前の恋の回想を語る老人のモノローグのみ。
虫の音、アフリカの音楽、たっぷりの余白。
予告編
ミゲル・ゴメス監督。 ポルトガル・ドイツ・ブラジル・フランス 
1回めの感想 と 2回目の感想

4 『ポルトガル、ここに誕生す~ギマランイス歴史地区~』
4人の巨匠がポルトガルの世界文化遺産に登録された地区をテーマにつくった
オムニバス映画。
カウリスマキ監督の寡黙なバーテンダーのたたずまいがすてきだし、
エリセ監督のは、生きること、働くことについて考えさせられ、
何度も繰り返し観たい。日本ならさしずめ製糸工場で働く人たちのイメージか?
オリヴェイラ監督の、あの観光客がぞろぞろ歩くどよめきが、楽しくみえる。
アキ・カウリスマキ 、ペドロ・コスタ 、ビクトル・エリセ 、マノエル・デ・オリヴェイラ 監督。ポルトガル。

5 『3人のアンヌ』
やたら声のでかい、ライフガードのお兄さんが強烈だった。
ギターと歌が上手で、
女性を手助けする、天然ボケ系の優しいキャラかと思いきや、
テントに連れ込んで寝ちゃったりとか、つかみがたい。
あの声、存在感で、忘れ得ぬ印象を残す。
3人のアンヌのずれぐあいも楽しい。
ホン・サンス監督。韓国。

6 『女っ気なし』
見た目は、太っちょでお菓子好きではげてて、いまいちだけど、
気立てもよく、優しいシルヴァン。
このキャラで物語をひっぱる。

夏の小さな海岸町にバカンスにやってきた母と娘。
自由奔放な母と、おとなしく内気な娘。
この美人の娘さんがとってもすてきで、最後はびっくりのラスト。
シルヴァンの幸せそうな表情に、気分だけ、幸せをおすそ分けしてもらおう。
ギョーム・ブラック監督。フランス。
(感想)

7 『007 スカイフォール』
2013年12月公開。2013年のベストテンに出てると思うが、
観損ねた。
冒頭のタイトルバックがシュール。
上がるより、落ちる方がイメージ的には強烈なのかもしれない。

軍艦島といい、あちこちのロケーションがいい。
とりわけ、ラストのスコットランドの
荒地に一軒、ぽつんと立っている屋敷での
決死の攻防にみせられた。
孤独感と哀愁たっぷりのダニエル・クレイグがかっこいい。
サム・メンデス監督。アメリカ。(2012年12月日本公開)
(感想)

8 『もうひとりの息子』
イスラエルのテルアビブに暮らすフランス系イスラエル人家族と、
パレスチナのヨルダン川西部地区に暮らすパレスチナ人家族で、
病院での出生時に、子どもがとりかえられていたことがわかる。

息子が18歳に成長していることと、
ユダヤ人とアラブ人という、壁で隔てられ、対立する民族同士というところが、
是枝監督の『そして父になる』とは大きく異なる。

親だけでなく、息子たちが、自分たちの運命をどう受け止め、引き受けるか。
弟を幼くして病死させたことから、パレスチナの両親の深い愛情と苦労の下、
フランスの大学に留学して医者を目指す青年ヤシンの、
自分が本当にしたいことがわかっていれば大丈夫というありようが頼もしい。
どんな悲劇も気の持ちようで、乗り越えられると思えてくる。
家族にもあたたかくて、理想的な好青年。
かたや、イスラエルで育ったヨセフは、ミュージシャンを目指していて、
まだ幼い感じはするが、動揺が隠せないのも自然で、可能性を感じる。
どちらの両親も、18年間、実の子と思って育ててきた歳月を大切に思い、
民族はちがっても、息子は息子だと抱擁する姿に心あたたまる。
ロレーヌ・レビ監督。フランス。

9  『眠れる美女』
尊厳死をテーマに3組の人間たちを描く。
とりわけ、自殺願望の強い女マヤ・サンサに圧倒された。
彼女を救おうとする若い医者とのぶつかりあい。
「生きてても無駄なの」と食らいつくような眼差し。
ラストがたまらなくいい。朝の光、街の騒音。
マルコ・ベロッキオ監督。イタリア・フランス。

10 『ホーリー・モーターズ』
ドニ・ラバン演じるオスカーがいろんな人を演じていく。
車の中で衣装を変えたりするのがおもしろい。
かなり不思議な映画で、何度も観るうちに愛着がわいてきそう。
レオス・カラックス監督。フランス・ドイツ。

11 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』
ティルダ・スウィントン演じる吸血鬼イヴの美しいこと。
同じ吸血鬼のアダムの非社交的で、閉じこもった感じがいい。
二人が過ごす屋敷の退廃的な雰囲気がなんともいい。
音楽、楽器もすてきだ。
ジム・ジャームッシュ監督。アメリカ、イギリス、ドイツ。

ほかにも、
『GF*BF』
高校生の仲良し男女三人組が大人になっていく。
グイ・ルンメイの恋路が切なくて、とってもすてき。
ヤン・ヤーチェ監督。台湾映画。
大阪アジアン映画祭。
感想

『42~世界を変えた男~』
史上初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの半生を描く。
どんなヤジにも腹を立てるな、
怒ったら負けだ、
成績を上げることがお前の今の使命だと諭す。
ドジャースのGMブランチ・リッキーを演じるハリソン・フォードがいい。
ブライアン・ヘルゲランド監督。アメリカ。

『汚れなき祈り』
修道院で、悪魔祓いの儀式により一人の少女の命が奪われる。
悪意はなく、善意の結果だったとはいえ、
車のフロントガラスに泥がとんで、真っ暗になるという
終わり方がなんともショッキングで、
こういう映画が結構好き。
クリスティアン・ムンジウ監督。ルーマニア・フランス・ベルギー。

『故郷よ』
チェルノブイリ原発事故で隣村プリピャチに住んでいた人たちの受けたのは。
それでも、故郷に戻って暮らそうとするアーニャの姿が印象的だった。
ミハル・ボガニル監督。フランス・ウクライナ・ポーランド・ドイツ。

こんな感じでしょうか。

最後におまけ情報です。
2月15日(土)に
シルヴァンを演じたヴァンサン・マケーニュが「カイエ・デュ・シネマ週間」で京都シネマに来るそうです!!!
本物は、すごく男前だったりして!
個人的には、外見よりは、声を生で聴いてみたいなあと思う。

しかし、しかし!!!
そもそも、15日は
清水宏監督の特集上映で
『蜂の巣の子供たち』とその続編の上映がある上に、
「濱口竜介 即興演技ワークショップ in Kobe」成果発表:『BRIDES(仮)』公開本読
開催されるということで、
なんと悩ましいことか。
ちなみに公開本読みの申込みは31日から。
フランスと日本に引き裂かれつつ、申込みできれば、きっと私は日本を選ぶでしょう。
清水宏監督は、平日半日休がとれることに一縷の望みを託すしかない!?

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 青春ってなー... 輝ける時間の中で »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。