映画の感想をざっくばらんに、パラパラ読めるよう綴っています。最近は映画だけでなく音楽などなど、心に印象に残ったことも。
パラパラ映画手帖
分け入つても分け入つても音の森~音遊びの会「音を遊ぶ空間とは何か」~

聴くというより、感じるに近い。
身体で感じる音。
音って高さと長さと強さがあるんだって感じた。
間も含めて、音そのものに出会う旅。
メロディのような、常識的な概念が取り払われ、
聴こえてきた音に忠実になり、
音に反応する体の声に素直になれた。
1月18日、濱口竜介監督即興演技ワークショップのダイアローグカフェのゲストは、
「音遊びの会」の人たち。
知的な障害をもつ人たちと、音楽療法家、音楽家たちによる即興音楽を
初めて聴いた。
「音遊びの会」の舞台に接することは、
間も含めて音そのものに出会う旅。
演奏者のパフォーマンスや表情にひきこまれ、
即興で奏でられる音のかけあいに耳をすませ、
身体で音を感じることを思い出した
メロディとかでなく、音そのものに立ち会う喜びと驚き。
身体中が耳になったような、新鮮で不思議な体験だった。
音遊びの会というのは、
2005年、神戸大学の大学院で音楽療法を研究していた沼田里衣さんらを中心に結成。
知的障害者、音楽家、音楽療法家等総勢50名に及ぶ音楽プロジェクト。
即興演奏を通じて音楽や福祉のあり方を模索しながら、
ワークショップやコンサート等様々な活動を重ねている。
2013年9月には、大友良英さん(NHKドラマあまちゃんの音楽担当)も参加されて、
初のイギリスツアーを実現。
その模様がNHKで放送されたばかり。
以下は、箇条書きっぽいですが、
セッションに続いて行われた、
ワークショップ参加者による公開インタビューから、
印象に残った発言を中心にまとめた。
セッションには、様々な楽器が持ち込まれた。
木琴、小太鼓、打楽器の数々、シンセサイザー、ギター、笛、etc.
☆ワークショップ参加者の一人の女性がクラリネットを弾いて、
音遊びの会の少年とセッションをした。
彼女の感想は、
「迷って出した音」があったので、
もっと迷わずに音を出したかった。
会のダンサーの女性は、
音は出てないけれど、
すーっという息が出ているのがわかって、よかったとコメント。
(会話で、言葉になる前のためらいのような感じ)
☆少年が、レーザーのセンサーで白いスクリーンに絵を描き、
他の人たちは、そこに描かれたものを見て演奏するというセッションがあった。
「普段、紙に紙を描いてやったりもするけれど、
スクリーンなら、
全部、色でうまっても、またその上から
違う色で描くことができ、
いつまでも続けることができて、
絵よりもライブ感がある」とのこと。
会にとっても、今日のセンサーは新しい試みだったよう。
ふつう絵を描けといわれたら、
腕で、何かの形を描こうとすると思うが、
小さな少年は、ジャンプして描いた。
ぴょんぴょんとジャンプを続けると、その振動がそのまま絵になり、
小さなジグザグが描き出される。
スクリーンはいろんな線で埋まっていく。
そのジグザグの線をみながら、
音楽家が楽器を弾いたり、少年のお父さんが
木琴や、何か楽器を奏でて、“音”の連なりが生まれる。
もうひとりの男の子は、
布についたセンサーの先を
頭にかぶって、身体ごと動いて、絵を描いていた。
止まったと思うと、また動き出したり、
沈黙の時間がそのまま筆の停止になる。
スクリーンの枠からとび出ることもあり、
おもしろかった。
☆「演奏の終わり方については、いろいろあって、
その「間」が独特。
「間」や「呼吸」を身体でキャッチする。
そろそろ終わろう、という呼吸は、
プロの音楽家同士の即興演奏でも難しく、
片方が終わるつもりでも、
相手は、気がつかず、演奏を続けるので、
終わろうと思った本人も
苦笑いしながら続けていくことがある」そうだ。
☆「即興演奏の始まり方は、
会話と同じみたいですね」
という会場からの感想は的を得ていると思った。
「さあ、しゃべろうという感じで
誰かが、すぐ話を始めることもあれば、
誰も言い出すことなく、沈黙が流れることもある。
ちょうど演奏が始まる前の
ためらいであり、はじらいでもある。
その時ぽっと出た音を出す、というのもある」
「通学している電車で、普段あまり話したことのない
親しくない友だちと、たまたま一緒になって、
何をどうしゃべったらいいのかわからない
というのに似ている」
という感想も、とても斬新に思えた。
☆「演奏者の生活している思いが出ているから、
聞き手も、自分の思いを重ね合わせることができる。
観る人が自分の気持ちを投影していることもある」と
会の方がコメント。
音にたぐり寄せられ、引き出されるのは、
時に、私自身の思いであったりする。
演奏している人たちの表情が豊かになっているのが印象に残った。
「動く彫刻のような音」
いい言葉だと思ってメモしたフレーズですが、意味が思い出せない(汗)。
私は、JRの事故で遅れてしまい、
最初の方のセッションを見そこねたが、
魚つりのダンス、というのもあったそうで、とても興味深い。
2月2日(日)14:00から、ならまちセンター 市民ホールで
鹿の劇場「展覧会の絵」に出演されるそう。
お近くの方はぜひ。
関西を拠点にされているので、
ぜひまたこのほかにも、演奏の機会を見つけて、観に行きたい。
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