日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

やっぱり変?鳩山法相を激怒させた大新聞「朝日」の迷走

2008-06-23 | ニュース雑感
先週後半に死刑執行のあり方をめぐって、朝日新聞と鳩山法務大臣の間でひと悶着ありました。

事の発端は、朝日新聞の18日付夕刊の時事寸評コラム「素粒子」。鳩山氏を「永世死刑執行人」と表現し、過去15年間の歴代法相の中で最多の13人の刑執行を指示したことに触れ、「『自信と責任』に胸を張り、2か月間隔でゴーサイン出して新記録達成」と批判。「またの名、死に神」と結んだことにあります。朝日の論調は、宮崎死刑囚の執行時期に関する問題提起ではなく、単純に鳩山法相の死刑執行姿勢に対する批判だったようです。

鳩山法相は記者会見の席上で、自らを「死に神」と揶揄(やゆ)されたことに対し「(死刑囚は)“死に神”に連れていかれたのではない。軽率な文章だ」と激高しました。私もテレビで見ましたが、怒り心頭という表情で机を叩いて怒っていました。実はこれには伏線があったようで、同紙は以前から「閣僚番付」と題し独断で問題閣僚を格付けし、鳩山氏は3場所連続で“横綱”の座につかされていました。さらに4月の番付では「刑場送り出し」の“決まり手”まで掲載されていたようで、今回の「死に神」呼ばわりで、「辛抱ならん!」とついにキレたということのようです。

個人的には、例の「タリバン友人発言」はじめ、およそ感心しない部分の多い閣僚の鳩山法相ですが、今回の件ばかりはお怒りごもっともです。氏の言葉を借りるまでもなく、あくまで大臣としての重要な任務の一つを、社会正義のために粛々と果たしてきたにすぎない訳で、過去に閣僚失格レベルの軽率な言動があったとしても、それとこれは全く次元の違うお話です。

また仮に朝日新聞が人権擁護の立場から死刑廃止を訴える姿勢であったなら、正々堂々と死刑廃止を論ずればいいのであって、この問題で法相を「死に神」呼ばわり批判するのはお門違いもいいところ。鳩山氏は「軽率な文章には心から抗議したい」と話すとともに、「私に対する侮辱は一向に構わないが、執行された人への侮辱でもあると思う。軽率な文章が世の中を悪くしていると思う」と語ったそうで、まったく氏のおっしゃるとおりであります。

来年にも始まる裁判員制度では、死刑が適用される可能性のある重大犯罪も一般国民が直接裁くことになる訳です。朝日新聞は、死刑判決を下した一般国民裁判員をも「死に神」と揶揄するつもりなのでしょうか。自らが率先して社会正義を守ることの旗振り役であるべき新聞が、誤った社会正義に関する考えを持ち、その誤った考えを世間に流し続けることは、国民への悪影響を及ぼしかねない由々しき事態であります。

当の朝日新聞の会見を受けて当初のコメントは「社としてコメントすることはありません」、その後「風刺コラムはつくづく難しいと思う」とし、「法相らを中傷する意図はまったくありません」「表現の方法や技量をもっと磨かねば」と言い訳を掲載する始末であります。本件に関して、同紙には1800件もの抗議が寄せられたと聞きます。読者の声を受けても、なぜ素直に「死刑執行指示を理由とする法相批判は間違った判断であった」と詫びることができないのでしょうか。

朝日新聞に今一番分かってもらいたいことは、過ちは過ちとして素直に認める姿勢があってはじめて、マスメディアの信頼性は維持できるということです。
先の秋葉原無差別殺人事件での、警察当局に対する恣意的報道(http://blog.goo.ne.jp/ozoz0930/e/4a4687668c84221c204354adcdc61c6f 参照)、
テレビ朝日報道ステーションでの古館キャスターの「政治家は笑うな発言」(http://news.livedoor.com/article/detail/3677013/ 参照)等、
このところの朝日新聞グループの迷走ぶりには、過去に報道の世界をかじった人間として目を覆いたくなる気分にさせられます。

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3 コメント

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Unknown (soujiji)
2008-06-24 08:20:03
私も個人的にはあまり鳩山さんが好きではありません。失言が多いからです。
しかし、今回はお怒りごもっともと思います。
朝日新聞、ここ数年どうなってしまったのでしょうか。新聞としてではなく、一雑誌として生きていく予定なのでしょうか。
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読み捨てのエロ雑誌と同じ (放浪者)
2008-06-24 15:49:03
私は、自民党も鳩山邦夫氏も大嫌いで、しかも朝日新聞を購読しています。だが今回の素粒子の内容には怒りを禁じ得ないでおります。死に神と呼びたいのなら、そういう判決を出した裁判官に向けるべきであり、粛々と法務大臣としての職務を遂行した人に対し、こういう言葉を浴びせるのは、言語道断である。しかも正面から謝罪することもやらない。報道の自由を後ろ盾に、思慮の欠いた記事を載せ続けるのであれば、読み捨てのエロ雑誌より低俗であり、世の中に対し百害あって一利なしの存在でしかない。この記事を書いた、記者やそれを許可する立場の管理者をきっちりと処分すべきである。いつまでもはぐらかすようないいわけをするのであれば、社会で不買運動をやるべきだと思います。
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“負け犬”のハライセ? (OZEKI)
2008-06-25 23:25:25
soujijiさん、こんにちは。
放浪者さん、はじめまして。

朝日の異常さの理由って何なんでしょうか?
読売との覇権争いに完敗し、負け惜しみ的個性強調路線のなれの果て?

よく分かりませんが、「負け組」のハライセ的凶悪化にも似た、得体の知れない恐ろしさを感じたりもします。

マスコミの影響力の大きさは心配です。
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