日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

住みたい街ランキング、武蔵小杉5位のカラクリを考える

2015-03-09 | ニュース雑感
リクルート社調べによる「住みたい街ランキング」が今年も発表になりました。吉祥寺が5年連続1位。武蔵小杉が9位から5位に急上昇という話には、古くから神奈川を良く知る人が多い私の周囲では「なぜ?」と話題になっております。
http://www.asahi.com/articles/ASH334WC5H33ULFA01B.html

この違和感あるランキングがなぜ生成されるか、この機会に人気ランキングというもののメカニズムについてちょっと考えてみます。そもそも「住みたい街」ってどういう基準で選ばれるのでしょうか。便利とか、イメージがいいとか、物件価格が手ごろとか、いろいろ要素はあるのだと思うのです。

結果を見るになんとなくですが、
★「住みたい」要素+「手の届く感」的要素=ランキングにおける住みたい街指数
なのかな、などと思ったりしています。

なぜなら、イメージがいい街でも高級住宅地すぎる街は上位に入ってこない、ということにヒントがありそうです。代表例は田園調布や白金、成城。確かに住みたい人の数はランキング上位の街ほどには多くはないのでしょうが、仮にもっと地価や賃料が安ければ住みたい人はいるのに、「物件価格が手頃」項目で大きくマイナスに転じているようには思います。これが上記計算式にある「手が届く感」要素ですね。

武蔵小杉が5位というのは、住んでいる方には失礼ですが、昔を知る私の周囲は「あり得ない」の大合唱です(笑)。でも5位に急上昇。急速に進んだ再開発の恩恵で、高層ビルが続々建設され、ショッピングモールなんかも次々できて、便利で住みやすいイメージが確立されました。だからといって、同じ沿線で自由が丘あたりと比べても人気上位に来ているのは、やはり不思議です。これも「物件価格が手頃」で豊富にありそうという「手に届く感」が大きく影響しているのではないかと思えます。

そもそもこの調査で5年連続1位の吉祥寺も同じことが言えるかもしれません。吉祥寺は決して都心部(山手線内)から考えたらさほど「便利」じゃないですよね。「おしゃれ」かといえば、もちろんそこそこおしゃれではあるけれど、1位になるほど洗練されてるのかといえば「?」でしょう。武蔵野市ですしね(笑)。

この2点で考えたら2位の恵比寿の方が断然「住みたい」と思わせているのじゃないかと思うわけです。でも、物件の手ごろさ、物件の豊富さあたりから感じられる「手が届く感=実際に住めそうか否か」からすると、吉祥寺は恵比寿を逆転するのでしょう。恵比寿は「手が届く感」ではちょっと敷居が高くて、最終的に吉祥寺ほどには「住みたい」とは思わせないのかななどと思うのでした。

大学生の就職人気企業ランキングも同様のことが言えます。必ずしも上位企業が、単純に学生たちが「あの会社いいなぁ」と憧れる企業だとは言い切れないでしょう。判断基準に加わる要素として、この場合は「手が届く感=自分が入れる可能性」という項目が重要な役割を果たしていると思うのです。

テレビ局はじめマスコミ各社は、給与も高く、華やかで、いわゆる花形業界であると言っていいと思いますが、人気ランキングでは決して上位には入ってきません。採用人数が少なく、コネがないと難しいと言われている等々の状況があって、「自分が入れる可能性」は著しく低くなるわけで、単純に「いいなぁ」の数だけで順位が決まるわけではなく、「入りやすさ」も同時に評価基準となりながらの順位になっていると思われます。

一方、AKB48の「総選挙」のような人気投票は、全く性格が異なると思います。こちらの場合は、単純に「あの娘が好き」レベルの憧れ指数オンリーで人気順位が決まるのではないのかと。そもそもが、いくら「会いに行けるアイドル」であったとしても、「握手できるアイドル」であったとしても「手の届く感」は果てしなく遠いわけで、誰に投票しようともそれはほとんどゼロ。そういう基準が選択時に入り込む余地がないと言えます。すなわち、住みたいまちランキングや、就職人気企業ランキングとはそこが違うのです。

その意味においては、AKB総選挙の方が純粋な人気の有無が投票によって明確になるのです。これぞ正真正銘の人気ランキングでしょう。ですから、こうやって比較してみると良く分かるのですが、住みたいまちランキングや、就職人気企業ランキングは「手に届く感」が投票の重要な要素に加わっているという意味から、純粋な人気ランキングではない、どちらかと言えば「手ごろ感ランキング」ではないか、ということになると思います。

以上、「だからどうした?」という話ではありますし、「熊谷在住のお前が何を言うか」とも言われそうです。今回のエントリーは、武蔵小杉がなぜ「住みたいまちランキング」の上位に入っているのかという疑問から始まったわけですが、そこらから分かることとして、一言に人気ランキングと言ってもその中身や実態は必ずしも同じものではない、ということは知っておいて損はないといういうことで、ご了承いただければ幸いです。

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