日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

大義なき解散に感じる組織論的「危険な私物化」

2014-11-13 | ニュース雑感
組織運営において目的と手段に整合性が取れていないなら、手段が間違っているか、あるいは目的がウソのものであるか、でしかないでしょう。

衆議院の解散が突如真実味を帯びて報じられるようになり、あれよあれよと言う間に、既成事実であるかのように世間に喧伝され、12月2日公示、14日投票だなんだという話がごくごく普通の流れであるかのような錯覚に全国民が陥れられようとしています。消費税の再増税が1年半延期されることになりそうだと、それがなぜ衆院解散→総選挙にならなくてはいけないのか。私には理解不能です。

落ち着いて考えましょう。消費税の再増税の目的は何だったのか。財政再建ですよね。それが延期されたとしても、あくまで延期。取りやめならば国民の信を問うと言う流れで納得です。しかし延期は、財政再建という目的が破棄されたことにはならないはずです。目的が不変である中で、なぜ国民の信を問う必要があるのか。目的達成のための手段として衆議院解散はどうみても不必要と思いのです。ちなみに、衆院選を実施すれば800億円からの財政支出になります。

消費税再増税延期決定に際して財政再建を掲げた政権の国民の信を問うことを大義としている現政権ですが、世論にそのような声がないとするなら、現時点を切り出した場合それは単なる国費の無駄遣いです。無駄遣いは言うまでもなく、政再建という目的から最も遠い行動であるということになるのです。

組織は時として、大きな目的の下でおこなわれる行動でありながら、おかしな手段をとることがあります。目的に向けた当初の計画変更という大義の下に、本来の目的からすればそぐわない手段がとられることがあるのです。組織の私物化はそういった目的と手段の不整合という事実から発覚するものであり、目的と手段の不整合が感じられたならば即座にそれを阻止することが、組織運営の私物化に対する自浄作用となるのです。

今回の解散騒動に至る道筋を見るに、再増税の先送りしながらも財政再建姿勢の堅持することが必要、と目的解釈するならば、衆院解散総選挙はこの目的とはなんら整合性が感じられないではないですか。すわわち、衆院解散総選挙は目的遂行のためと見せかけた私物化に他ならない訳なのです。言いかえれば私的目的遂行へのすり替えを、今まさにしようとしている、ということで間違いないのではないでしょうか。

具体的な私的目的は何なのでしょうか。増税先送りで、先送り反対勢力に対する言い訳づくり、その最たるものは財務省と自民党内の反対勢力でしょうか。だとしたら、そんな首相あるいは現政権の私的利益のために、800億円もの税金を使って選挙をするのは大変おかしな事なのではないかと思うわけなのです。

組織運営おいて、周囲が実権者による組織私物化に気がついたら、組織内部の者がそれを指摘し私物化を未然に防ぐ等の力が働いてはじめて、組織に自浄作用があると確認できるのです。今回はどうか。最も身近な立場で自浄役を務めるべきは、政権与党連合内にいる公明党です。公明党の山口代表は自民党の私物化の動きを見るや、「党内に総選挙に向けた体制整備を指示した」と全くの自浄作用ゼロ。自民党と一緒になって私物化を推進し、財政再建よりも少しでも長く政権与党内にいたい、自己の利益追求をしているかの如くです。ハッキリ言って論外です。

ならば同じ国会内で自浄作用を働かせるべき野党はどうか。代表は筆頭野党である民主党の海江田代表。「総選挙をするなら、正面から受けて立つ」と。こちらは、ハッキリ言ってアホかと。野党が「ここで衆院解散総選挙?財政再建策の進展が中断するのこの段階で、無駄金を使った私利目的の選挙は不要」と、本来なら与党の私物化を批判し解散総選挙を阻止するべき立場からモノを言うべきところが、私物化容認ですから。呆れる以外にありません。他の野党もみな推して知るべし。基本は自民圧勝の前回から、若干でも議席が回復できるならと、解散歓迎ムードすら感じられ我々国民には違和感アリアリなのです。

政治の事は専門外ですし、詳しいことはよく分かりません。ただ、組織運営における目的と手段の不整合から察知される権力者の私物化の流れで考えるなら、今回の唐突すぎる解散総選挙騒ぎには、明らかな違和感とよからぬ私物化の臭いがプンプンと漂っていると感じるわけなのです。国民の意を無視した法案を次々と通していく現政権が、遂に選挙まで私物化の手段に利用する様には、この国の行く末にかつてないほど危険な香りを感じずにはいられません。

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