日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

六本木EXシアターがいきなりコンプライアンス違反な件

2013-12-13 | その他あれこれ
一昨日のことです。11月30日にオープンした六本木EXシアターのこけら落とし大物ライブということで、エルビス・コステロさんのステージを見てまいりました。今年も数多くのライブに足を運び、洋モノライブ観戦をライフワークとする小職としましては、もちろんコステロさんの健在ぶりを確認するのが第一の目的ではありましたが、舞台が都内にできた注目の新ライブスポットというわけで、そのハコとしての魅力も存分に吟味させていただこうではないかというのが今回のもうひとつの目的でもありました。

ところがどっこい、このハコがとんだ食わせ物でして、何はともあれコンプライアンス違反はまずいんでないかい、ということで以下に詳細を記しておきます。

嫌な予感はしていました。チケットを入手した時に券面に印刷された「ご入場時にドリンク代¥500お支払頂きます」の文字。EXシアター(以下EX)がどういうところか存じ上げなかったので、まぁいわゆるライブハウなのかなと思ったわけです。ライブハウスでワンドリンク制はごく普通のことで、ライブ見ながら軽くアルコールでもいただくというのはよくある光景です。しかし会場に足を運んでみると、ライブハウスというよりは完全無欠なホールなわけです。ここでドリンク付ライブでいいの?と嫌な予感は徐々に現実味を帯びてきます。

もぎりで500円と引き換えにEXの刻印入りのスロットのような安いメダルを頂戴して、地下のカウンターでドリンクとお引換えください、とのお達し。地下に降りて、私はメニューの中からジンジャー・ハイボールを注文し、プラコップに入った液体を受け取るわけです。さて、開演も間近ってわけで座席に座ってちびりちびり始めますか、と思っているとやっぱり予感的中!「場内は飲食禁止ですので、ドリンクはロビーでお飲みください」とのアナウンスが…。「そりゃ、そーだろ。ここはホールだもん」って感じでしたが、おかげでロビーはやたらに混み混みなわけです。老若男女の皆さんが、開演に遅れまいとアルコール飲料を一気に飲み干しているという光景も、実に異様なものでした。

これってマズイです。いわゆる独禁法違反の「抱き合わせ販売」の疑義が濃いわけです。と言うよりアウトでしょうね。まず「抱き合わせ販売」の定義ですが、「魅力があって競争力の強い商品に、あまり競争力の強くない商品が付随された形で提供されること」。EXさんの場合、「魅力があって競争力の強い商品」がコステロさんのライブ鑑賞チケットであり、「あまり競争力の強くない商品」は飲みながらの鑑賞不可なライブ・ホールにおけるドリンク販売ということになります。

ただし、「抱き合わせ」と判断されない免責事項として、「二つの商品が密接にかかわっている場合」や「個別に購入できる選択肢が残されている場合」が挙げられます。一般のライブハウスの場合は、ドリンクを飲みながらライブ鑑賞をするというスタイルから「二つの商品が密接にかかわっている場合」に該当するものとして、これは独禁法違反ではないと解釈されます。そもそもライブハウスは、バーやレストランですからね。しかし、今回はどうでしょうか。会場はバーでもレストランでもなく音楽ホール。そこで行われるコステロさんのライブ鑑賞と会場内で飲めないドリンクのセット販売は、どう見ても一体のサービスとは言えないわけです。

開演時間ギリギリに来た人や開演後に来場した人は、ライブが始まろうがなんだろうが強制的に買わされたドリンクを飲み干さない限りにおいては会場に入れない、すなわちライブ鑑賞ができないのです。これは2つのサービスが一体じゃないことの証し以外の何者でもありません。残された合法への道は、ドリンクの買う買わないを選ばせる「個別に購入できる選択肢が残されている場合」に合致した選択の余地を残す方法に変更する以外にありません。このままでは完全なコンプライアンス違反です。ロビーの皆さん、特に女性陣はブーブー言ってましたよ。「何コレ、ひどい」って。EXさんいきなりミソ付けてます。

こけら落としコステロさんのライブは最高でした。しかしながら、せっかくの素晴らしいライブに会場運営上のコンプライアンス違反行為「抱き合わせ販売」が泥を塗った形になっていまいました。ライブハウスとホールでは事情が違います。つまらないところでせこい商売をしないで、公取に誰かが垂れ込まないうちに襟を正された方がよろしいですよと、EXシアターさんには老婆心ながら申し上げておきます。

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