日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

イスラム国の許せざる不幸な事件と政府へのお願い

2015-02-04 | ニュース雑感
イスラム国による人質拉致監禁の一件、最悪の結末が日曜日の日本列島を駆け巡りました。イスラム国の卑劣な行動に対しては怒り以外の何ものもなく、日本人拉致被害者の無事解放を祈っていた立場からは、無念の一言しかありません。

済んでしまったことはもうどうにもならないことではありますが、重要なことは今回の一件を人質救出策として見た場合には、2人の人質いずれの命も救うことができなかったということ。その意味においては確実に「失敗」であったと言っていいと思います。国がひとつの組織としてこの「失敗」経験をいかに次に活かすのか。私の職業的な観点からは、十分な検証とそれに基づく「同じ失敗を繰り返さない」という再発防止策検討が不可欠であろうと思います。

政府の対応をいたずらに責める気は毛頭ありませんが、湯川さん拉致以降一連の流れの中で国の対応に関する検証ポイントはいくつか存在すると思います。それぞれのポイントについて、実際に取った策への評価、他に考えうる取るべき策となぜそれを取らなかったのか、同様の事例が発生した場合に最終的に同じ結果にならないための検討課題等々の観点から、第三者機関を含め検証する必要があるのではないかと思っています。

私の立場からも検証ポイントはいつくか浮かんできます。まずは最重要の根本的な検証ポイントは2点(被害者に落ち度があるか否か、または落ち度の負度合いで分けたケースワークも必要)。
1.人命、外交の優先順位およびバランスに関する考え方。
2.1を踏まえた上での、対テロ集団脅迫対応の基本姿勢。
以下は上記1、2を踏まえた上での今回の検証。
3.湯川さん、後藤さん、それぞれが行方不明になった段階での国としての対応。
4.イスラム国側から水面下での身代金要求があった段階での国としての対応。
5.人質拉致状況下における、政府要人の外遊および外交コメント(特に首相)。
6.イスラム国からの公式メッセージ公表後の国としての対応。

外交の専門の立場からはさらに詳細なポイントが多数挙げられるのでしょうが、個人的には何をおいても根本的な検証ポイントである1および2が最重要であると考えます。今回の一連の事件における流れと結末を受け、またイスラム国からの日本および日本国民に対する脅迫メッセージが発せられたという状況下において、今日本国民最大の不安点はイスラム国の蛮行に対する脅威であり、自己もしくは自己の家族がその被害者として巻き込まれることへの恐怖であると思います。

それはすなわち、自分がたとえ国内にいても潜入したイスラム国兵士を自任する者により同じように拉致監禁をされないとは言い切れない状況でもあり、自身に落ち度があるか否かのよっても上記1、2の対応は異なるのかもしれませんが、仮に落ち度がなかった場合においても、今回の政府の対応を見るに被害者が見捨てられるのかもしれないという不安が募る現実は否定しきれないのではないかと思っています。

「テロは決して許さない」「断固として戦う」というメッセージだけではぬぐいきれない国民の動揺と不安に対して、政府は国民を守るという姿勢をより具体的な言葉で示して欲しい。今回の不幸な出来事に対する検証を通じて、国としてのあるべきリーダシップの観点から今は国民に対して何より安心感を与えるメッセージが欲しいと切に願うところであります。

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