日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

都知事の体裁づくりに投じられる400億円の“無駄金”

2008-03-26 | ニュース雑感
銀行経営は素人には難しいと以前書かせていただいた新銀行東京。本日、都の追加出資400億円が決定しました。

私の見方はこうです。設立時に1000億円を投じた責任を今問われたくない石原都知事が、自身の体裁づくりと時間稼ぎのために追加出資を強く要望した。特に象徴的なのは、新銀行東京の不良債権問題や大幅赤字が表に出た際、再建計画を云々する前早々から、迷うことなく一貫して「追加出資」を主張していた点です。

今回の追加出資検討に際しての再建計画では、「平成23年度単年度黒字化」という目標設定になっています。ここで気になるのは平成23年という年。石原都知事3期目の任期切れの年でもあります。しかも、目標達成の成否が判明するのは、任期切れ以降のこと。再建の様子をみつつ、旗色悪し思ったら3期の満了を待って「勇退」すればよし、そんな思惑が見え隠れする再建計画と追加出資であります。

再建計画の甘さも大いに気になるところです。柱となっているのは、店舗半減、人員大幅カットによる、経費削減→スリム化・効率化です。確かに、縮小均衡による効率化と追加出資の400億円で、今ある不良債権処理はなんとかメドが立つのかもしれません。しかしながら銀行の再建と言うのは、そんなに簡単なものではありません。不良債権処理をしながら、いかにして優良貸出資産を増やし、収益性の高い健全な金融機関に作り替えるかは、至難の業と言わざるを得ません。

金融危機の時代には、長い歴史と、確固たる経営基盤と蓄積された金融ノウハウをもっていた銀行たる、北海道拓殖銀行でさえも金融当局から「再建」は断念され「破綻」の憂き目にあっているのです。新銀行東京には、歴史も蓄積されたノウハウも確固たる基盤もありません。しかも現在、米サブプライム問題に端を発した、世界同時株安、円高、石油高が景気の足を引っ張りかねない状況にあり、信用供与を本業とする銀行経営は、大変難しい局面に入っていきかねません。

今回の再建計画には、現状を踏まえた資産の入れ替えや優良資産の積み増しに関する具体的な策は一切触れられておらず、どう考えても400億円の出資で単なる“延命措置”を講じたとしか受け取れない内容であると思います。

そう考えると、石原都知事はもともとが大いなる“カッコつけ”氏であり、今回も3期目が始まったばかりの任期途中で、東京オリンピックを実現せずに“カッコ悪い”辞任など到底考えられない、という自身の“延命第一”に考えられた体裁作りであるとしか思えない訳です。

本日の都議会終了後、記者の「400億円は、1000億円に追加でドブに捨てることになるのではないかという声がありますが」という質問に、気色ばんだ顔つきで「これから再建をしようという今の段階で、冷や水を浴びせるような言い方はやめて黙って見てなさい」との強い口調。再建可能の論拠を答える材料もなく、“痛いところ”をつかれヤケにになって声を荒げる、まさに子供のような対応でした。

石原都知事、血税400億円もかけて保身の体裁作りを行う「老害」行動を見るにつけ、「冷や水」を浴びて目を覚まさなくてはいけないのは、あなた自身ではないのかと思いますが・・・。


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