日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

DeNAプロ野球参入は、“利害関係人”三木谷、ナベツネ抜きで慎重な審議を!

2011-11-22 | その他あれこれ
世の中には嫌がらせをする輩っていうのが必ずいるもんですね。12月1日のプロ野球オーナー会議の席上で、プロ野球横浜ベイスターズの新オーナーに名乗りを上げているDeNAが正式に認められるか否かという状況下、ライバル企業のグリーがKDDIを引き連れてDeNAに対して訴訟金額10億円を超える訴えを東京地裁に起こしたそうです。このタイミング、どうみても嫌がらせ以外の何モノでもない。ライバルばかり知名度が上がって差をつけられるのはまかりならん、ってことでしょうか。

DeNAのプロ野球参入に関しては、楽天の三木谷オーナーが必要以上に反対の意を唱えていたとの記憶があり、もしやと思ってグリーに関して調べてみれば楽天はこの会社の出資企業なのですね。そうか、“決戦の日”が近くなるにつれてなんとかせねばの想いが強くなり遂に出ました“奥の手”、という訳らしく「なんだ三木谷氏の嫌がらせ訴訟であったのか」と妙に納得させられてしまった訳です。

これで今までプロ野球球団楽天オーナーの三木谷氏意見として発言していた事が、すべてDeNAのライバル会社であり訴訟の原告グリー出資企業社長としての意見だったということが明らかになってしまうわけで、結果「それってどうなの?」になってしまうのです。従いまして、今回の嫌がらせはあまり効果的ではないどころか、かえって「楽天=三木谷氏」サイドにはマイナスになってしまうんじゃないのかと、いう妙なオチがついてしまいました。

このように反対派の代表三木谷氏が明確な“利害関係人”であることが判明した訳ですが、一方の賛成(というよりは容認?)の代表格は誰かと言えば、なんと今をときめく“プロ野球界の金正日”ことナベツネ氏なのです。なんでもDeNAの南場智子前社長と会談して、わざわざマスコミを通じて「人間性には太鼓判、楽天以外は反対しないよ」と言ったとか。この行きすぎたパフォーマンス、五十路オバちゃん相手に単なる“メガネフェチ”“女好き老人”では片づけられず、これまたなんか怪しくないかと穿ってみれば現オーナー企業である同業TBS救済を目的としたテレビ界の地盤沈下食い止め策とも見えるわけで、こちらも同じく“利害関係人”の匂いがプンプンするのです。

そんな訳でこの問題に関する積極的な発言者はどうやら“利害関係人”ばかりであることが分かり、かえって見えにくくなってしまったのが、DeNAなる会社が本当のところ「子供たちに夢を与えるプロ野球球団」を運営する企業としてふさわしいのか否かどうなのよ、という最重要ポイントです。なので、ここからは携帯でゲームなどやったこともないという意味も含めて、全く“利害関係人”ではない私個人の見解です。

そもそもDeNAという会社は、南場智子(49)という元マッキンゼー&カンパニー出のコンサルタントがビジネスモデルを考え創業し、高い報酬で有能な東大卒を集めてミニコンサルティング・ファーム化し急成長させたネットベンチャーです。南場のオバさんはどう見ても「ゲーム好きが昂じて、こんな会社作っちゃいました」な訳がなく、携帯電話で中毒性のあるゲームをやらせたら儲かるに違いない、という社会貢献性に乏しい至ってファーム的金儲け発想以外の何モノでもないと私の独断は囁いています。まず何よりこの点が、我々が小学生の頃からあこがれた「子供たちに夢を与えるプロ野球球団」の経営者にふさわしいとは思えないのです。

さらに今様のゲーム文化に関する無知を承知で言わせていただけば、「タダを装ったゲームで健全な(?)青少年を集め、中毒に誘い込んで知らず知らずに有料のツールを買わせていく」というやり方も、どうも私には“詐欺まがい”の匂いがするビジネスモデルに思えて仕方がない。また各方面で言われているように、同社のゲームというのは聞けば出会い系的な利用もできるようで、同社ゲームサイトで知り合った女の子がホテルで殺されたという事件もあったといいますし、ますます「子供たちに夢を与えるプロ野球球団」の経営者としては「?」が付くのです。

もう一点、本人は関連を否定していますが、今年5月南場社長が夫の看病を理由に社長職を辞した直後(2週間後)に、今回の訴訟の焦点でもある同社が「競争相手の不当排除」および「下請けに対し優越的地位の乱用をした」という独禁法違反での排除措置命令を受けている点も「なんだかなぁ」なのです。コンプラ違反ですからねぇ。

こうやって見てくると、この会社いろいろ難点があり過ぎです。あくまで個人的見解ですが、このまますんなり「じゃ、ベイスターズ球団よろしく!」って訳にはいかない気がするのですが、どうでしょう。三木谷氏やナベツネ氏のような“利害関係人”の罵倒や応援は、上記のような同社の実態をかえって分かりにくくしています。プロ野球機構には、彼ら“利害関係人”は徹底除外した上で、同社の事実関係を十分調査してファンに具体的かつ納得のいく説明をすることを前提とした慎重な議論による最終判断を求めたいところです。

プロ野球と言うのは、戦後日本においては永らく単にスポーツのみならず娯楽としても王様的存在を続けてきた訳であり、「将来の夢=プロ野球選手」で育った我々世代からすれば、プロ野球がカネ儲けマシン企業の手先になるようなことは決して許したくないと思うところなのです。もちろんこれらが私の杞憂に過ぎないということが分かるなら、それでいい訳なのですが・・・。とにかくDeNAの正体をハッキリさせてほしいものです。

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3 コメント

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結論は支持します (つやみずあきら)
2011-11-22 18:00:06
楽天さんがDeNAのライバル会社であり、GREEとKDDIが提訴したのは、楽天側の援護射撃の意味合いも確かにあるでしょう。

しかし

GREEとKDDIが、DeNAを提訴している内容は、

>>今回の訴訟の焦点でもある同社が「競争相手の不当排除」および「下請けに対し優越的地位の乱用をした」という独禁法違反での排除措置命令を受けている点も「なんだかなぁ」なのです。コンプラ違反ですからねぇ。

と、(ブログ主さまも)認めておられる通り、公的に法律違反を認定された件に関しての損害賠償請求ですので、DeNAを訴えるにたる充分な大義名分があり、決して単なる嫌がらせ訴訟ではありません。
むしろ、これほど酷い「隙」を放置しておいて、他の攻めに出る経営戦略こそ、「なんだかなぁ」ってセンスだと思う。

冒頭で「楽天側の嫌がらせ提訴」だと断じておきながら、提訴内容自体は認めている。
ちょっと、その辺りの論理矛盾が気になりました。
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DeNAで問題ない (門外漢)
2011-11-22 23:39:51
野球が子供たちに夢を与える、牧歌的というか、古すぎるというか。逆に、その観点から、どんな会社がオーナーに相応しいんだろう。読売新聞社?楽天?

オーナーの参入要件の議論に変な理念を持ち出すのではなく、誰が見ても疑問な、社会的に眉をひそめそうな業界(風俗業、反社会的勢力のフロント企業等)以外は、何の問題もないのではないだろうか。実際、楽天以外、誰も反対しないんでないの?もちろん、独禁違反等で訴訟に敗訴し、急に事業が傾くようなことになれば、球団もいい迷惑かもしれないが、逆に球団にとっては、自分たちを救済してくれるところならばどこでもいい、と思っているはず。


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Unknown (ゆうじ)
2024-07-24 01:04:52
このブログを書いた方に、ベイスターズの現状をどうお考えか聞いてみたいものですね。
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