-畑沢通信-

 尾花沢市「畑沢」地区について、情報の発信と収集を行います。思い出話、現況、自然、歴史、行事、今後の希望等々です。

つけぎ(着け木)

2017-12-21 21:00:00 | 思い出

 今の11月25日に、尾花沢市内の牛房野地区へ出かけました。旧牛房野小学校が「ほたるの里郷土資料館」になっていて、そこに昔の農具や縄文時代の石器・土器などが展示・保管されています。その中で、珍しいものを見つけました。ずっと思い出せなかったある物の名前も思い出せました。それが下の写真です。札が付けられていますので、「つけぎ」と分かります。杉をシート状に1mm程度に薄く削ってあり、一方に硫黄を付着させています。下の写真はそのシートが束ねられているものです。囲炉裏などでスバ(柴 しば)に火を着けるために使います。束から一枚を引き出して、さらに適度の幅に割きます。硫黄が付いている方を囲炉裏の灰の中から出した熾き(おき)にくっつけると、硫黄部分が青白く燃え始めます。硫黄は独特のツーンとした刺激臭があります。次第に木の部分も燃え出して炎が大きくなると、杉の葉など燃えやすいものに火を着けることができます。

 とまあこれだけのことですが、話はこれだけではありません。昔の「良い子」の思い出が沢山あるからです。良い子たちは常盤小学校一年生。午後、学校から帰って、入り口で「只今」と言っても誰も答えてくれません。両親は田畑に出かけていて、夕方まで帰ってきません。良い子は直ぐに外で遊びだします。チャンバラ、かくれんぼ、相撲等々なんでもあります。3時間ぐらい経つと、今度は姉が帰ってきます。姉は良い子とは違う行動を開始します。夕食の準備です。小学校4年生の時から夕食、掃除、風呂の準備と一切を任されています。もう良い子ではありません。まるでミニ大人です。良い子はミニ大人の使用人です。いろいろと仕事を命令されます。特に囲炉裏の火を起こし、そこで煮炊きする番が主な仕事でした。囲炉裏に柴を並べて、その下に杉の葉を突っ込みます。それに「つけぎ」で火を起こして火を大きくします。囲炉裏では御飯、みそ汁が作られ、極めて稀に魚が焼かれます。夕食ができるころ、両親が農作業を終えて帰ってきます。

 良い子が珍しくも、家に帰ってたった一度だけ宿題をしようとしました。その時、「手伝えー」の母の声が聞こえ、私は「宿題するー」と言いましたら、「何言ってる。宿題するわげない。手伝うのやんだがら、このやろ」のきつーいお叱りの言葉でした。折角、改心して宿題をやろうとしたのに、このために立派な大人になる絶好の機会を失ってしまいました。しかし、姉はすごいもので、あれだけ手伝いをしながら、宿題を忘れることがなかったようです。当然、姉と私の評価には大きな格差がありました。私は宿題をしないために、学校の廊下に立ち、教室の後ろに立ち、足腰が丈夫になりましたし、何人もの先生に罵られても逆境に負けない雑草魂が育まれました。そして捻くれて、宿題無用論を唱え、「宿題なんかしなくても、学校だけで勉強すればいいんだ。家で勉強やるのは卑怯者」とまで勝手な理屈をこねます。手が付けられません。しかし、火の着け方は今でも上手です。良い子は上手に火を着けます。無用な火遊び、放火などの犯罪を憎みます。


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