温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

台中市 馬陵温泉 前編(現地までの道程)

2017年04月08日 | 台湾
※今回と次回の記事で取り上げる台湾の野湯は、私(K-I)が2017年3月に一人で訪問しました。この野湯は夏季に川が増水すると、川の中に潜ってしまうため、入浴することができません。また一度湛水してしまうと、容易に礫で埋もれてしまうため、次期の渇水期に温泉が出現してくれるかわかりません。また増水時の行動には危険が伴います。そうした点をあらかじめご理解いただいた上でご覧ください。もし現地へ行く場合は自己責任でお願いします。


拙ブログでは先日から連続して青森県の温泉を取り上げておりますが、2017年3月某日に、以前から行ってみたかった台湾の野湯を巡ってまいりましたので、流れを断ち切る形になって申し訳ないのですが、情報鮮度が落ちないうちに今回・次回と連続して台湾の野湯を取り上げさせていただきます。今回スポットライトを当てるのは、台中市の山奥、日本統治時代より温泉街として開けている谷関温泉から、さらに川を遡った先にある野湯「馬陵温泉」です。





 
谷関温泉の温泉街を抜けて台8線「中横公路」を東へ3.5kmほど走りますと、「上谷関」というバス停に出くわします。このバス停の先で路地が左へ逸れていますので、その路地へと入っていきます。なおこの分岐から先の台8線は、地震や台風被害のため通行規制が実施されており(検問所あり)、復旧工事関係車両や原住民など許可を得ている者以外は通行不可です。
ちなみにこの「上谷関」バス停ですが、バスがやってくるのは1日1便。東勢を9:50に出発し、ここを11:05に折り返して東勢に帰ってゆく1往復だけです。馬陵温泉へのアクセスとしては使いにくいため、私の場合、往路は台湾で永住なさっている方に車でこの付近まで送ってもらい、復路は温泉街までひたすら歩き続けました。私の足で、上谷関から谷関温泉街までは約40分でした。


 
車一台がやっと通れる程度の路地を進んでゆくと、やがて私有の建物と駐車場が現れ・・・


 
路地の突き当たりでゲートが行く手を遮っていました。一見すると、もうこの先には進めそうにないのですが、実はゲートの左側から容易にクリアすることができちゃいます。


 
ゲートを過ぎてから50mほど先で、道は土石流に飲まれて崩れていました。この崩れた跡を辿って、川まで一気に下りていきます。


 
大甲渓の川原まで下りてきました。石ころだらけの川原が広がっており、その真ん中を大甲渓が流れています。ここから目的地の野湯まで、この礫だらけの川原をひたすら歩いて遡ってゆくのです。川の上流に向かって右手(つまり左岸)には水力発電所の設備が見えますが、先ほどの路地はこの設備へアクセスするための管理用道路だったわけです。


 
先ほど申し上げましたように、目的の野湯まではこの川原をひたすら遡ればよいのですが、川の流れが左右に細かく振れており、その度に淵と瀬が左右で入れ替わるため、深い淵によって行く手を遮られる前に、渡渉して対岸の瀬へ移っておく必要があります。川原へ下りた地点からちょっと遡ると、その先にいかにも歩きにくそうな場所が現れたため、さっそくその手前で渡渉し、右岸側へと移りました。


 
切り立った断崖の真ん中に、中華風の赤い廟が祀られていました。水力発電設備が建設された際、安全などを祈念して設備と一緒に設けられたのでしょうか。またその廟の近くでは、崖から突き出たヒューム管より排水が滝のように落とされていました。


 
川をただ遡れば良いとはいえ、できれば無駄に渡渉せずに済むよう、効率の良いルートを辿りたいものです。しかし初めての場所ですから、どこを進めば良いかわかりません。そんな後人に対する親切心なのか、あるいはこの石だらけの川原を賽の河原に見立てているのか、道中にはトレッキングした先人によって石が積まれており、その石積みによって自分が進んでいるルートが正解だと確認することができました。


 
山崩れによって赤い地盤が露出した荒々しい斜面を左に見ながら、川を遡り続けます。


 
私がアタックしたのは渇水期でしたが、それでも場所によっては膝下くらいまで川水に浸かりながら渡渉する箇所もありました。広い川原ですが、よく見ると小さく段丘状になっていますので、夏季の増水期にはその段丘状のところまで川の水嵩が上がることが推測できます。更に台風などで氾濫すると、礫で覆われている川原全体が濁流に呑み込まれるのでしょう。決して夏季に歩く場所ではありません(増水したら逃げ場がありません)。

そんな川原を歩いていると、所々で扇状に広がっている山崩れの跡に遭遇します。上画像の山崩れ地点を見上げると、扇状に広がっているその扇央の上部には、現在通行規制中の台8線(道路)のロックシェッドが左右に走っていました。この日は増水の危険性はなかったものの、もし地震が発生したら、たとえ震度の低い揺れであっても、こうした脆い土砂崩れの跡から落石が転がってくるかもしれません。このため、できるだけ崖から離れて川に近い場所を歩くことにしました。



危険回避を心掛けながら、さらに遡ってゆくと・・・


後編につづく





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