温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

たかはし中華そば店

2009年11月20日 | 青森県


前回取り上げた境関温泉から程近いところに、地元では有名なラーメン屋さん「たかはし中華そば店」があります。ザーザー降りの雨の中、お昼の時間を避けて行ったのですが、それでも半分近い客の入りで、人気の高さが窺えます。
暖簾を潜って中に入ると、忽ち煮干の匂いに包まれます。これだけでこの店のスープがどんな感じなのか想像がつきますね。食券を買ってカウンターへ着席(テーブル席もあります)。店内のあちらこちらから麺を啜る音が聞こえ、例の匂いと相俟って否が応にも期待に胸が膨らみます。

さて、しばらく待って目の前に出された丼には驚かされました。普通煮干系のスープは見た目も味もあっさりしていることが多いものですが、ここのラーメンは見るからに濃厚で、まるで黄土色した粘土をドロドロに溶かしたかのような様相です。それに加え、煮干粉と思われる膜がスープの表面を覆い、独特の景観を作り出しています。
スープを口に運んでみました。一にも二にも、煮干の濃い味がガツンとストレートに響きます。匂い以上の煮干感で、まさに"ザ・煮干"です。臭覚はその場にいると段々麻痺してきますから、味覚の方が際立ったのかもしれません。それにしても、まさかここまで煮干感が強烈だとは、誠に恐れ入りました。
麺は中太の縮れ麺、幾分柔らかめのようにも思われますが、これが実は程よい茹で加減、うまい具合に濃いスープと絡んでくれるので、ストレスなくどんどん麺を啜れます。その一方で、スープが麺に絡むのは茹で加減のみならず、スープ自体の味、特に塩分が濃いという点も理由に挙げられるように思われ、このため煮干のうまさに惹かれてスープを飲み続けていると、味に飽きてくるかもしれません。好き嫌いが分かれる味と言ってもいいかもしれません。ですが、魚介を愛する日本人のDNAをしっかりと受け継ぐ私はこの味がとても気に入りました。それどころか中毒になりそう。

東京のラーメン店で表現するならば、永福町の大勝軒系列各店に近いものを感じますが、それよりも更に煮干の味や匂いが強く、スープ自体が濃厚で濁りが強く、麺はより縮れており、量は(大勝軒に比べれば)少なめ(つまり一般的なサイズ)。似ていそうで全く異なる独特の個性を持った、煮干系ラーメンの独立峰とでも言うべき存在です。




たかはし中華そば店 (ラーメン / 撫牛子)★★★★ 4.0


コメント (2)
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境関温泉

2009年11月18日 | 青森県


境関温泉は弘前の隣駅であるJR撫牛子駅から徒歩圏内にある温泉で、2008年11月までは津軽によくみられる鄙びた温泉民宿兼公衆浴場でしたが、同年12月に旧施設を閉鎖して隣の敷地に新しく建て直し、日帰り入浴施設として生まれ変わりました。
訪問したのは雨の降る平日の昼間だったのですが、広い駐車場には多くの車がとまっており、当然館内も沢山のお客さんで賑わっていました。老人が多いのは頷けますが、意外にも働き盛りの30~40歳代の姿も結構目立ち、これも県内を襲う未曾有の不景気の影響なのかと一人で勝手に解釈してしまったのですが…。

玄関は行って右手は家族風呂の領域、左手が大浴場となっており、新しいだけあってどこも綺麗で明るく広々しています。脱衣所も棚・籠が多く、ロッカーも完備、鏡のスペースも広く張られているので、湯上りに身だしなみを整えるにも客同士が干渉しあうことはありません。
浴室に入るとまずシャワー付きのカランがズラっと並んでいます。多く設けられているので、多客時でもカランの空き待ちのような事態は起きないでしょう。カランのゾーンを過ぎると、左手にサウナなどが、そして右手に浴槽が配置されています。浴槽はバラエティーに富んでおり、屋内に広めで熱めのお湯が投入されている主槽、ぬるめの槽、バイブラ槽、屋外に露天風呂と寝湯がありました。どの浴槽にも源泉が掛け流されており、しっかりオーバーフローしています。お湯の特徴としては、薄い黄色で透明、塩味を帯び、薄い鉱物臭が感じられます。弱いつるすべ感も得られました。

主槽の湯口にはサラシの布が巻かれていて、源泉中の固形物が漉されるようになっているのですが、それでも布の隙間を潜り抜けて、お湯の中を赤茶色の湯の華がちらほらと浮遊していました。主槽のお湯は熱いのですが、他の浴槽と入り比べてみたら、この槽のお湯が一番浴感が良かったように思います。
露天風呂は周囲を壁で囲まれているため特にこれといった眺めは得られませんが、建物の周りには何も無いため、空の広さは存分に感じられるでしょう。

新しい建物で設備が整っているので使い勝手がよく、広い休憩室や食堂も設けられており、更には早朝から営業しているので、地元の人のみならず旅の途中で汗を流すにも便利なお風呂だと思います。食塩泉ゆえ、湯上りは体がよくあたたまります。


内湯の主浴槽


露天風呂


ナトリウム-塩化物泉
46.5℃ 成分総計4.060g/kg

青森県弘前市境関字亥の宮15-2 地図
0172-27-6106
ホームページ

4:30~22:30
350円
ロッカー・ドライヤー有り

私の好み:★★★
コメント (2)
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三千石浴場

2009年11月17日 | 青森県
※残念ながら三千石浴場は2010年12月末を以て休業・閉店となりました



車で津軽地方を走っていると、「犬も歩けば棒に当たる」状態で多くの温泉の共同浴場に遭遇しますが、看板が出ていてわかりやすく発見できるものもあれば、地元の人しか知らないようなひっそりと佇むものもあり、今回紹介する三千石浴場は県道沿いという立地にありながら後者に属する実に地味な温泉です。

道路からちょっと引っ込んだ建物で、昭和30年代から時が止まったかのような外観。看板も立っていなければ、建物に書かれた名前も「三 石浴場」と「千」の文字が落ちちゃったままで、自分の存在を全くアピールしようとしていません。ぱっと見たところでは営業しているのかもわからない様子。試しに引き戸を開けてみると、ちゃんとドアは開き、営業もしていました。

青森県の公衆浴場は一般的に、玄関を入るとまずホールと受付カウンターがあり、その奥に男女それぞれの脱衣所が設けられているという構造をなしていますが、ここはそうした青森スタイルをとらず、中央の番台を挟んでその両側に男女の脱衣所が分かれているという昔ながらの東京の銭湯のような造りです。脱衣所には籐の籠がたくさん積んであり、男女の仕切りは大きな鏡が張られています。

浴室に入ると、左側にはずらっと押しバネ式のカランが並び、右側に浴槽、そして正面奥の壁にはどこかの公園の様子と思われるタイル絵が描かれています。浴槽は丸みを帯びた形で、湯口がある奥側とそこからのお湯を受ける手前側のふたつに分かれており、奥の浴槽はやや深めで、湯口は湯面下にありますが、角にどしりと置かれた岩のオブジェを見ると水の流路らしき跡があるので、かつてはそのオブジェからお湯が注がれていたのでしょう。またこの浴槽はブクブクと泡風呂になっていますが、この機械発生の泡によるものか、あるいは源泉由来によるものか、お湯に浸かっていると全身に大小の泡が付着します。とりわけ湯口付近で泡つきが顕著なので、源泉から来る泡も相当あるものと思われます。もちろんお湯はふんだんにオーバーフローしています。
お湯の特徴としては、薄っすら緑色を帯びた透明で、なめるととても薄い塩味、湯面からはモール泉とアンモニアが混ざったような匂いが感じられます。なかなかのつるすべ感で、先述のアワアワも手伝って、とても心地よい浴感でした。なお、カランから出てくるお湯も源泉です。

地味で目立たない古びた建物と、その中で堪能できる良質・掛け流しのお湯という、面白いギャップがマニア心をくすぐられる、地元のための温泉浴場です。




湯口付近。泡がたくさん


温泉分析表の掲示なし

青森県北津軽郡板柳町大字三千石字木賊 地図

14:00~20:00 月曜定休
400円
ドライヤー20円

私の好み:★★★
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たらポッキ温泉

2009年11月07日 | 青森県


青森県の青森市と旧浪岡町の境の峠に当たる羽州街道の鶴ヶ坂は、その昔には津軽坂と呼ばれていたそうで、時代が下るに従い発音が転じて鶴ヶ坂になったようなのですが、一説には近世になり津軽藩を確立した津軽氏が弘前に築城するに当たり、津軽の縁辺にも関わらず津軽坂なんて名乗るのは宜しくないということで、「る」と「が」を逆転させて鶴ヶ坂に改名したとも言われています。この地には傷ついた鶴が湯あみしていたために温泉が発見されたという言い伝えが残っており、かつては湯治場として温泉宿が何軒か存在していたそうですが、その後それらは廃れてしまい、昭和59年に海産加工食品を製造する三幸食品が工業用水を求めてボーリングしたところ、高温かつ豊富な温泉が掘削自噴したため、これを機に公衆浴場が建設されました。それが今回紹介する「たらポッキ温泉」です。

「たらポッキ」とは一風変わった名前の温泉ですが、これは上述の三幸食品が製造している海産珍味(いわゆるチーズたら)の名前のことで、商品名をそのまま温泉施設の名前に採用したわけです。当浴場は旧国道沿いに建てられており、一昔前のドライブインのような三角屋根が特徴的な外観で、周囲には建物が少ないため、道沿いに突然現れたような印象を受けます。

お風呂の造りは至ってオーソドックスで、中央に大小にわかれた浴槽がひとつずつ、それを取り囲むようにカランがズラっと並んでいます。ほぼ無色透明であまり匂いは感じられませんが、湯口のコップでお湯を飲んだらマイルドな塩味が確認できます。また重曹分の影響か、はっきりとしたヌルヌルすべすべ感が楽しめます。訪問時は昼前なのに土曜だからかお客さんで大賑わい。カランはほぼ全て埋まっていました。湯口の上には鶴ヶ坂の沿革が記されたプレートが掲げられていて、ここがかつて湯治場だったことなどが説明されています。なおカランから出てくるお湯も源泉です。
湯上りは重曹のお蔭でさっぱりし、なおかつ食塩の力により湯冷めしません。奥羽線の鶴ヶ坂駅から近くで、青森市営バスや弘南バス路線バスの鶴ヶ坂田川バス停目の前ですので、交通機関の利用も可能です。




JR奥羽本線・鶴ヶ坂駅 徒歩7分(550m)
青森県青森市大字鶴ヶ坂字田川88-3 地図
017-788-1347

9:00~22:00
420円

ドライヤーあり(100円)

私の好み:★★
コメント (2)
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留寿都温泉

2009年11月04日 | 北海道


羊蹄山の麓に位置し、スキー場「ルスツリゾート」で有名な留寿都村。この村に約9年前、地元の人向けの小規模な村営温泉施設「留寿都温泉」が開設されました。町外れに広がる畑の麦とアスパラの奥にあるので、気をつけないと通り過ぎてしまうような立地ですが、国道230号の路傍には看板も立っており、道路からも建物の屋根が見えるので、事前に情報を仕入れていれば見過ごすことはないでしょう。

こじんまりとしたウッディな(屋根はトタン葺き)建物は外観、内部ともに綺麗。受付で料金を支払い中に入ります。この規模の浴場には珍しく、受付では牛乳も売っています。また、ちょっとした休憩室もあります。壁と天井が木造の浴室に入ると、木の香りがプンと鼻をくすぐります。カランは4つで、規模に見合った数でしょう。4人程入ればいっぱいになってしまうそうな浴槽には薄黄色で弱く濁ったお湯が掛け流されており、口に含んでみると微かに塩味と金気味が、そして弱い金気の匂いとガス臭が感じられます。お湯に浸かると細かい気泡がびっしり体に付着し、湯口付近では沢山の泡でお湯が白濁して見えるほどで、お湯に含まれる金気が若干のキシキシ感をもたらしているにも関わらず、付着する泡のお蔭で得られるとても心地よいスベスベ感が得られます。湯温もさほど高くなく、長湯できるちょうどよい塩梅でした。湯上りはさっぱりし、しかも湯冷めしません。
浴室の大きな窓の向こうには森林の緑が広がり、浴室の木のぬくもりも伝わって、とても気持ちよく入浴ができました(なお窓ガラスは嵌め殺しです)。おすすめのお風呂です。




ナトリウム-塩化物泉
46.0℃ pH7.6 60L/min(動力) 成分総計2.955g/kg

北海道虻田郡留寿都村字留寿都156-2 地図

11:00~21:00 水曜休み
200円
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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