温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

三千石浴場

2009年11月17日 | 青森県
※残念ながら三千石浴場は2010年12月末を以て休業・閉店となりました



車で津軽地方を走っていると、「犬も歩けば棒に当たる」状態で多くの温泉の共同浴場に遭遇しますが、看板が出ていてわかりやすく発見できるものもあれば、地元の人しか知らないようなひっそりと佇むものもあり、今回紹介する三千石浴場は県道沿いという立地にありながら後者に属する実に地味な温泉です。

道路からちょっと引っ込んだ建物で、昭和30年代から時が止まったかのような外観。看板も立っていなければ、建物に書かれた名前も「三 石浴場」と「千」の文字が落ちちゃったままで、自分の存在を全くアピールしようとしていません。ぱっと見たところでは営業しているのかもわからない様子。試しに引き戸を開けてみると、ちゃんとドアは開き、営業もしていました。

青森県の公衆浴場は一般的に、玄関を入るとまずホールと受付カウンターがあり、その奥に男女それぞれの脱衣所が設けられているという構造をなしていますが、ここはそうした青森スタイルをとらず、中央の番台を挟んでその両側に男女の脱衣所が分かれているという昔ながらの東京の銭湯のような造りです。脱衣所には籐の籠がたくさん積んであり、男女の仕切りは大きな鏡が張られています。

浴室に入ると、左側にはずらっと押しバネ式のカランが並び、右側に浴槽、そして正面奥の壁にはどこかの公園の様子と思われるタイル絵が描かれています。浴槽は丸みを帯びた形で、湯口がある奥側とそこからのお湯を受ける手前側のふたつに分かれており、奥の浴槽はやや深めで、湯口は湯面下にありますが、角にどしりと置かれた岩のオブジェを見ると水の流路らしき跡があるので、かつてはそのオブジェからお湯が注がれていたのでしょう。またこの浴槽はブクブクと泡風呂になっていますが、この機械発生の泡によるものか、あるいは源泉由来によるものか、お湯に浸かっていると全身に大小の泡が付着します。とりわけ湯口付近で泡つきが顕著なので、源泉から来る泡も相当あるものと思われます。もちろんお湯はふんだんにオーバーフローしています。
お湯の特徴としては、薄っすら緑色を帯びた透明で、なめるととても薄い塩味、湯面からはモール泉とアンモニアが混ざったような匂いが感じられます。なかなかのつるすべ感で、先述のアワアワも手伝って、とても心地よい浴感でした。なお、カランから出てくるお湯も源泉です。

地味で目立たない古びた建物と、その中で堪能できる良質・掛け流しのお湯という、面白いギャップがマニア心をくすぐられる、地元のための温泉浴場です。




湯口付近。泡がたくさん


温泉分析表の掲示なし

青森県北津軽郡板柳町大字三千石字木賊 地図

14:00~20:00 月曜定休
400円
ドライヤー20円

私の好み:★★★
コメント (1)
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