温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

湯の川温泉 日乃出湯

2009年11月21日 | 北海道
※残念ながら2011年12月に廃業しました。


函館の温泉街といえば言わずと知れた湯の川でしょう。大小さまざまな旅館とともに数軒の温泉共同浴場が点在しています。今回取り上げる「日の出湯」もそのひとつで、市営植物園の目の前に立地しており、国道から1ブロック入った場所なので周囲は意外と静かです。「日の出湯」が面する路地には同じく温泉銭湯の「根崎湯」も軒を並べていますが、「日の出湯」の方が目立つ看板や屋根を出しているので、一見の客でも入りやすそうな雰囲気です。

しかし中に入るとそのファサードから受ける印象を見事に裏切り、まさに地元密着型とでもいうべき昔ながらの番台式銭湯の光景が待ち受けています。
浴室には二つの浴槽が手前と奥に分かれて配されています。単にふたつに分かれているだけでなく、手前側の浴槽のお湯は飛び上がるほど熱いのです。48℃もあるそうで、私は手を入れるだけでそれ以上は無理でした。一方、奥の方の浴槽は加水されているのでしょう、誰でも入れる温度に設定されていました。

お湯は無色透明ですが完全に澄み切っているわけではなく、細かい粒子状の湯の華が待っているので、かすかに霞がかって見えます。透明ながら溶けている成分が濃いのでしょう、浴槽の縁や床は温泉成分がコテコテと重層になって析出しており、まるで千枚田のような状態で、床の凸凹のために歩くのさえ痛さを感じるほどです。その濃さは味覚にも顕著に顕れ、湯口の湯を飲んでみると結構塩辛く、また苦汁のような味も明瞭に感じられます。

ここの熱いお湯に慣れない私は手前側の湯船に手を出すことができず、奥側の湯船に浸かって怖気づいていましたが、さすがに常連のお爺さんは平気のようで、澄ました顔をして熱い湯船に入り、お湯の熱がお爺さんの体の隅々まで届いたあたりで悠然と立ち上がり、ふたつの浴槽の間の床に腰を下ろして仰向けになり、そのまま瞑想に耽るかのように目を閉じてじっと横になっていました。これが常連お爺さんのいつもの入浴スタイルなのでしょう。恐れ入りました。

上述のように塩分が濃いので湯上がりは結構火照ります。まさに寒風吹きすさぶ函館の冬にはもってこいの温泉。温泉ファンならきっと心を引かれる渋い風情の温泉銭湯でした。


浴室全景(ガラス越しに撮ったので照明が反射しているのはご勘弁を)


奥側の適温浴槽


手前側の浴槽の縁は温泉成分の析出がコッテリ


目の前の熱帯植物園園内にも、このように温泉井がありました


含重炭酸土類石膏食塩泉
(昭和29年のデータ)65℃ pH6.8 自然湧出 蒸発残留8.7865g/kg 

函館市電 湯の川温泉電停より徒歩12分(1.1km)
あるいは函館バスで函館駅より6番(日吉営業所行)もしくは96番(函館空港行)のバス、熱帯植物園前停留所下車
函館バスのホームページ
北海道函館市湯川町3-2-17 地図
0138-57-8692

6:30~22:00 火曜定休 ※2011年12月に廃業しました。
420円
ドライヤー20円、ロッカーあり

私の好み:★★

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