温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

相泊温泉

2009年11月22日 | 北海道


今回から数回は、冬季には入れない温泉を続けて紹介させていただきます。これから寒さが一層厳しくなる時期だというのに、季節外れなトピック選択をどうかお許しください。

世界遺産・知床半島の東岸に沿って伸びる道道87号知床公園羅臼線の道が尽き果てるところに、漁業で生計を立てている相泊集落があります。これより先に車で進める道はありません。まさに最果ての地。この相泊の波打ち際に湧く温泉が相泊温泉です。一般人が入れる温泉としては日本で最も東に位置しているものと思われます。元々は漁師さんが疲れた体を癒したり冷えた体を温めたりするための温泉だったそうです。

ネット上の情報では簡易な脱衣小屋があるとのことでしたが、実際に行ってみたら礫とテトラポットが続く海岸に小さい生簀のようなコンクリート製の浴槽がポツンとあるだけで、小屋など人目を遮るようなものは何一つありませんでした。しかし、道路から海岸へ下りる梯子を伝って浜に下り立ってみると、高さの関係で道路からこちらはあまり見えにくく、また訪問した時は初夏にもかかわらず気温が5℃で肌寒くどんよりした天気で、ここを訪れる観光客の姿が皆無だったために、大海原を目の前にして寒さを堪えながらスッポンポンになって入浴してみました。
お湯は底からプクプクと大きな泡とともに湧出しているのですが、しばらく誰も入っていなかったのでしょう、湯温がちょっと熱めでじっくり浸かれる状況ではなかったので、冷水の蛇口を全開にして適温まで薄めてから改めて入浴(浴槽までちゃんとした水の蛇口が引かれています)。礫の浜を掘って作られたコンクリ製長方形の浴槽は、厚めのベニヤ板によって半分に仕切られています。といっても完全に分かれているのではなく、下方20センチ程は貫通しており、お湯は底から湧いてくるので、何もしなければ仕切られた両方とも同じコンディションになり、水の蛇口を開ければ片方だけ温度が下がっていくようになっています。湧出元である底には玉砂利が敷きつめられ、その上にスノコが置かれ、更にスノコが浮かないように重石が載せられています。
お湯はほぼ無色透明で、ごく僅かに濁って見える程度。ほぼ無臭で、薄い塩味と重曹味らしきものが感じられます。波打ち際という環境ながら、そこから湧くお湯がしょっぱくなくて海水らしさが希薄であるというのも、なんだかとっても不思議です。

晴れていれば海原の彼方に国後島の山々が眺望できるそうですが、今にも泣き出しそうな空模様ではそんな眺めを望むこともできず、視界に入ってくるのは寄せては消える北海の白波だけでした。でも底のスノコに腰をつけてじっくり浸かると、まるで海に入っているような錯覚に陥り、浴槽は小さくとも気持ちは広々雄大になれました。余計なものが何一つ無く、ただポツンと浴槽のみあることが、かえってこの温泉の魅力を引き立てているように思います。
なお、上で小屋が無かったと書きましたが、これは私の訪れた時期が早すぎたためで、6月中旬~下旬になれば浴槽の上に小屋が架かり、しかも、ちゃんとお風呂が男女に分かれるそうです。これなら女性の方でも安心ですね。

波打ち際という立地上、海が時化ている場合や、大潮で満潮の時などはお風呂に潮が被るので入浴できません。また入浴可能時であっても随時清掃を行うので、その際は入浴不可となります。高波によって礫が打ち寄せられ、浴槽が石で埋まることもあり、この場合も入浴はできません。詳しくは下でリンクを張っている「今日の相泊温泉」をご覧下さい。この温泉は地域の方の善意によって維持・管理されています。くれぐれもマナーを守った上で、雄大な湯浴みを楽しんでください。


海岸線に沿って相泊の集落が見えます


雨が降ってきて見えにくいのですが、底にはスノコの重石が敷かれています。
石に腰掛けるとちょうどよい感じで湯浴みできます。


湯温は44℃ちょうどでした


北海道目梨郡羅臼町相泊 地図
道道87号線のロードサイドに駐車帯があり、公衆トイレとともに「相泊温泉」と書かれた看板が掲示されているので、迷うことはありません。

入浴可能:4月下旬~9月下旬(連休)
無料
24時間入浴可能と思われますが、常識の範囲内で

今日の相泊温泉
↑訪問の際はこのサイトで状況を確認してください

私の好み:★★★


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