Okanagan's Twilight Days

人生の黄昏を迎え、日々の出来事を徒然のままに綴っています(*^_^*)

龍馬伝、第17弾 “馬関の奇跡” 2010年9月26日

2010-09-26 21:27:16 | 日記・エッセイ・コラム

いよいよ今回から龍馬伝は最終幕となる完結編FInal Season RYOMA the Hopeに入る、皆さん存知のように各編の変わり目には必ずあの財閥郵便汽船三菱を作り上げ立身出世した弥太郎が龍馬に対する愚痴不満を高知の地方紙“土陽新聞”に特集を組んで、龍馬を郷土土佐の英雄と崇め投稿するジャーナリスト坂崎紫瀾(しらん)にぶちまけるシーンから始まる、その画面から弥太郎が龍馬をいかにを忌み嫌っていたかが伺える、それはただ単なる弥太郎自身には無い人間龍馬の偉大さに対する妬み嫉み(ねたみそねみ)に過ぎないのだが・・・

明治十六年(1883年)のある日、上野不忍池(しのばずのいけ)の直ぐ南西に位置する岩崎家豪邸の大庭園に儲けられたお食事会の食卓に腰掛け、49歳の弥太郎が土陽新聞を読んでおった、『うぬ!“汗血千里(かんけつせんり)の駒!?龍馬いざ激戦の地へ!?”話が違うぜよ!坂崎君!おんしがこんな作り話を書きゆうやったら!わしゃ、もう龍馬の話はせんけえ!』、「待ってつかわさい!岩崎さん!確かに、この龍馬は恰好良過ぎるかもしれません!」・・・

『もうええ!』、「けんど!連載を続けるためには読者の興味を引くようにせんといかんし!」『もう高知へ帰りや!』、「僕は!岩崎さんの話を聴いて、龍馬のイメージを膨らませたがです!」、『ええかげんなことを言いなや!』、「嫌い!嫌い!と言いながら、岩崎さんが語って下さる龍馬は実に僕には魅力的な男に見得るがです!」、その時誰かがテラスから「社長!」と呼んで庭に降りてきた、それは!ななな~~~んと!あのトーマス・グラバーじゃった!・・・

「これが高島炭鉱の収支報告書です!社長に満足頂ける利益は挙がっています!」とグラバーが手渡した書類に弥太郎が目を通した、『なかなかようヤッタのう!グラバー!わしの商売の仕方が分かって来たようじゃ!』、「グラバー!?」坂崎には馴染みのある名前じゃった、『坂崎君!こちらはグラバーさん言うて、わしが何遍も話したあのグラバーじゃ!』、「Nice meet you!」とクラバーは坂崎に手を差し出した、「ナイスミーチュー!」・・・

『明治に入って、グラバー商会は潰れてしもうてのう!路頭に迷うちょった、こいつを、わしが拾うてやったがじゃ!こちらはのう!土佐土陽新聞で龍馬の伝記を書きゆう坂崎君じゃ!』と弥太郎は坂崎をグラバーに紹介した、「“汗血千里の駒!”、大変面白かったです!」とグラバーは坂崎の記事を褒めた、『なに!そんな作り話の何がええ!わしはむかむかしてまた胃が痛とうなってくるぜよ!』と吐き棄てて胃薬を飲んだ・・・

弥太郎の龍馬に対する悪口が始まった、『あいつは、あっちこっち動き回って、日本がどうなって!ああじゃ!こうじゃ!言いよっただけやけん!』、「そう言う人がおったから今の日本があるがぞお!」と坂崎は反論した、すると弥太郎の自慢話が始まった『わしゃ!三菱を創ったじゃがぞ!土佐の地下浪人が日本一の大会社を率いちゅうやけん!あ~!こればあ出世したがは豊臣秀吉ぐらいしかおらんぜよ!はははは~~~!』・・・

「弥太郎!」と叫びながら美和がやって来た、『何じゃ!おかやん!』、「豊臣秀吉じゃと!おまん!」美和の平手打ちが弥太郎の額を捕えた、「何様の積りじゃ!」、『痛た~~!』、「社長になろうが!金持ちになろうが!貧乏じゃった頃のことを忘れてはいかん!」、『忘れちぁあせんけえ!』、「亡くなったおとやんに申し訳ないき!」・・・

「This is Miwa、Mother of Iwasaki Family!(こちらが母上です)」とグラバーが坂崎に教えた、『坂崎!何を書きゆう!シャラップ!シャラップ!シャラップじゃ!グラバー!エゲレス語は好かんのう!』、美和は坂崎に近づき励ました「坂崎さん!弥太郎の言うことりゃ気にせんでつかわさい!土佐に坂本龍馬と言うお人が居った言うことを、あんたの記事で世の中の人が知ったやき!まっこと、嬉しいやかよ!」・・・

この時、弥太郎が咳き込み手のひらを見ると吐血しとったがじゃ!弥太郎は慌ててその血をテラスのブロックの手すりにこすり付けてその場を誤魔化してた、この頃、弥太郎は胃を相当病んでおった、胃癌で天保五年(1884年)十二年十一日(1885年2月7日)、享年52歳で亡くなる3年前のことじゃった!・・・

「弥太郎!ここまで来たやき、最後まで龍馬さんの話しをしちゃりや!龍馬さんが居ったけん、今のお前があるがやき!岩崎弥太郎には語る義理があるでしょね!龍馬さんが最後に何をしたか!どいて殺されんとイカンかったんか!?」・・・

時代を1866年6月にさかのぼると、その坂崎が投稿した“汗血千里の駒”が始まっておった、神戸海軍操練所で培った航海術のエキスパート軍団、龍馬等亀山社中の面々は長州軍に加勢し、軍艦に乗り込み幕府の大軍と下関の馬関海峡で闘っておったがや!「攻撃!始め~~~!」、「砲手方!幕府軍艦を狙え~~~!よ~~し!放て~~~!」、ドォ~~ん!ドォ~~ん!お~~!『船は沈みや~~~!』、お~~~!・・・

その頃、弥太郎も長崎で大戦(おおいくさ)を始めちょった!藩の命で弥太郎が世話役となり創業した長崎の土佐商会は大きな屋敷に店を構え、商売は順調に軌道に乗っておったがじゃ!そこへ藩から送られてきた一人の土佐藩士が訪れた、「あのう!溝渕広之丞と申します!ここの仕事を手伝えと藩から申し付けられて来たがです!あの~~・・・」、だが皆忙しそうにして相手にしてくれんかった、そこへ万次郎がやって来て広之丞を迎えた、「お・お・お!溝渕殿か!Welcome!よう来られた!待っちょった!待っちょった!さあさあ!こっちへ!」・・・

万次郎は溝渕に屋敷内を案内した『あっちに居るのは皆んな上士じゃけん!ここの仕事の内容は聞いちょるけ?』、「はい、長崎における土佐藩の貿易商売の窓口じゃと!」、『Yes、藩の将来を担(に)のうちょるがじゃ!』、「ここの御頭様は大殿様のご親戚様ですろうか?」、『No!』、「ほんなら、ご家老様の?」、『それは大抜擢されたお方じゃ!』、「大抜擢!?」、万次郎は奥にある部屋のドアをノックした、トントン!プリーズ!と中から返事があった・・・

ドアを開け溝渕は部屋に入り頭を下げ、かしこまって挨拶した「土佐藩士、溝渕広之丞で御座います!この度、藩命を受けてこちらに参上致しました!」、『久しぶりじゃのう!溝渕君!』、「やっ!弥太郎!ここで何をしゆう!」、そこには象二郎のパチリをしていたあの情けない弥太郎が居たではないか!「岩崎弥太郎殿はこの土佐商会の主任ながじゃ!」と万次郎が弥太郎を溝渕に紹介したがじゃ!「えっ!」・・・

『わしが大出世するがは前から分かっちゅうことではないかえ?そこに居る上士等はわしの家来ぜよ!』、「はあ!?」、『ここに居るがは、かの有名なジョン万次郎さんじゃ!』、「今は岩崎殿の通事をやりおります!」と自己紹介した、『あの憎たらしい弥太郎がどういてと思ちゅうがか?どういて、こんな奴の下で働らかないかんじゃと思ちゅうがやろ!』、「否!いえ!いえ!」、『ほんなら!これから、土佐の名物を売り込みに行くぜよ!』、「売り込み!?」・・・

土佐の物産品満載!背中に背負うされ溝渕が立ち上がった!『早よう来いや!』と弥太郎の罵声が飛ぶ!弥太郎等はまずオールト商会に売り込みをかけた、弥太郎がオールトに商談を持ちかける『今日は土佐の和紙を持って来たがじゃ!これもええ品じゃぞ!It's very good!』、「How do you see it doesn't time!(何度も断っているだろう!)」、『土佐でできるもんは、どれもこれも上等なもんばっかりじゃ!この樟脳は薬の材料になるがじゃき!どこでも欲しがるがじゃ!』、「No!」とオールトは相手にせんじゃった!・・・

溝渕は感心した「ほお~!弥太郎はこう言う仕事をしよるがか!」、弥太郎は最後の戦術に出た!『いや!いや!いや!頼む!ミスター・オールト!頼む!』弥太郎は溝渕と万次郎をも巻き込んで3人はその場にYesが出るまで土下座したがじゃ、これが弥太郎の商談取り決めの常套手段であったがぜよ!・・・

下関・馬関の本陣では龍馬等亀山社中は長州奇兵隊兵士達と馴染んで暫しの休息をとっておった、「わしは高松太郎と言います!」、「お~!高松さん!どんどん飲んでつかわさい!さあ!」、高杉が龍馬に話しかける「どうですか、飲んでいらっしゃいますか?」、『ありがとう御座います!どうぞ!どうぞ!』龍馬も高杉に酒を注いだ、「これで女子でもいりゃ申し分ないのですが、我慢してつかわさい!」・・・

『はははは~~~!高杉さんは戦の最中でも着流しとは相変わらず豪胆なお人じゃのう!』、惣之丞が奇兵隊兵士に訊いた「高杉さんはエゲレスに行くはずではなかったかえ?」、また陽之助が訊いた「この戦のために留学を辞めたんですか?」、「あの方が居ると居らんとでは大違いですけんのう!」、向こうで高杉が三味線を手にして弾き語りを始めた、“♪ わしと~~!お前は~!なきや~まあ~~ず!♪ ”、歌手・福山龍馬も感心した『唄も上手いもんじゃのう!』と・・・

『ところで、皆んな~は何を生業(なりわい、仕事)にしよるがじゃ!奇兵隊には侍やないもんが、ようけいおるろう?』と龍馬は訊ねた、「わしゃ!隣村で百姓をしちょります!」、「わしゃ、大工じゃ!」、「わしゃ!干物を売り歩いております!」、「今までわしらは何をされても、ごもっとも!ごもっとも!って我慢しちょった!」、「とおに、限界じゃ!年貢じゃ!普請(ふしん、労役)じゃと散々こき使われて来た!じゃが、そんなわし等も新しい世の中のお役に立てるんじゃ!」・・・

「侍だけの力だけじゃ世の中は変えられん!高杉さんはそう言われました!」、「わし等が加わることで新しい世の中が生まれる!わし等は親兄弟や子供達のためにも戦うんじゃ!」、おお~~!そうじゃ!そうじゃ!「こう言う人達等のために、わし等は日本を変えんといかんがじゃけん!」と惣之丞も発奮した、「そうじゃ!力を一つにするがぜよ!」、おお~~~!『その通りじゃのう!』龍馬も決意を新たにしたがじゃ・・・

その時、高杉が急に咳き込み始めて席を立った!それを観て、龍馬は高杉のあとを着いて行った、洗い場で高杉は喀血した手と口を洗い流していた!『高杉さん!肺を病んどるがかえ?』龍馬は心配した、「労咳(ろうがい、肺結核)です!」、『労咳じゃと!高杉さん!そんな身体で戦に出ちょったらいかんぜよ!医者に診せたがかえ?』、「僕の命はもう長くないそうです!」、『はあ!?』・・・

「僕には休んでいる暇はありませんよ!長州のために!日本のために!働かなければ!」、『ほなら!エゲレス行きを辞めたのも?』、「それも運命です!先が短いなら、短いなりに僕は面白く生きたい!華々しく花火を打ち上げて消えていく!それが高杉晋作の行き方ですけ!」、すると、高杉は奇兵隊の前に出ていき一席ぶった!「百万の大軍!恐れるに足らず!恐れるべきは我等弱き民!一人一人の心なり!」、おお~~!おおお~~~!気勢を上げ!長州奇兵隊と亀山社中が一つにまとまったがじゃ!おおお~~~!・・・

弥太郎等の押し売り商戦はグラバー邸を襲っておったがじゃ!(商才のない小生など人に無理やり物を売るなど到底無理な行為である!)、『土佐商会主任の岩崎弥太郎と申す!』、(ものを買ってもらうのに、どえりゃ上から目線である!小生などこの時点で即、追い返すであろう!)、『土佐藩の参政、後藤象二郎様の名代(みょうだい)として商売の話し合いに参った!』、『おい!君!早よう出せ!』弥太郎は土佐で世話になった溝淵に命令した!(弥太郎は小生の一番忌み嫌うタイプである!)・・・

「これが土佐の樟脳に御座います!」溝淵は樟脳の入った器(うつわ)をテーブルに広げた、『どうじゃ!これは、じきに値上がりするき!今のうちに・・・!』、クラバーが割って入った「私は貴方のことを良く知りません!」、『それを、これから酒を酌み交わしてのう!』、「土佐藩との取引なら坂本さんが間に立って頂きたい!」、『坂本さんじゃと!?』、「そうです!坂本龍馬さんです!」、「坂本殿を知っちょるがか?グラバーさん!」万次郎は驚いた、「I believe Sakamoto-san is one of my best friends!(坂本さんは私の友人です)」・・・

「わしも友達じゃ!」と万次郎が言う、「わしもじゃ!龍馬が最初に江戸に行った時・・・!」、溝淵を遮って弥太郎が声を荒げた『やかましい!どいて、龍馬が居らんといかんじゃけ!』、「ご存知ないですか?薩長の間を取り持ったのは!坂本さんですよ!彼を罪人扱いする土佐藩は信用出来ません!」・・・『誰が龍馬の助けら借りるかえ!』、「岩崎殿!岩崎殿!」万次郎が止めるのも聞かず弥太郎は樟脳を持ってグラバー邸を出て行ってしもたがじゃ!・・・

長崎の中華街では中国人等が鉦や太鼓の鳴り物入りで、カブトムシを闘わして博打に興じていた、お龍が一人寂しく、その様子を眺めていた、龍馬がくれたお守りのペンダントを手にとって龍馬のことを思い浮かべていると、お龍の前をお元が通り過ぎていった・・・

馬関の長州軍本陣では高杉が陣頭指揮を執って、龍馬等亀山社中が加わり、作戦会議の最中であった、「ここに幕府軍が軍艦、警備船など兵力5万を集結しちょる!僕等の方は坂本さん等のユニオン号を合わせて5隻!警備船50艘(そう)!兵力1000!数の上ではえらい不利じゃ!」、龍馬が立ち上がって言った『幕府軍はこっちが守りに入っちゅと思っちゅうはずぜよ!ほんじゃき!これは、こっちから攻めるがが勝機があるがじゃ!』龍馬が小石を攻撃ポイントにばらまいた・・・

惣之丞と陽之助の出番じゃった「奇襲かえ!」、「敵の本陣に飛び込むんですか!」、「門司に深入りすれば左から攻撃できます!」高杉も賛成した、「ここに攻め込むには夜の闇に乗じて近づくしかない!」、「そこは潮の流れが速すぎます!」、「闇夜に船を入れるのは危険すぎます!」、『わし等に任しや!わし等亀山社中は海軍操練所で散々訓練して来たきのう!』と龍馬が、「わし等の船に着いて来たらええ!」と惣之丞が力強く言い切った、わし等に任せた!心配すんな!そうじゃ!そうじゃ!・・・

「明日の闘いが、この戦の勝敗を決めることになるじゃろう!兵力では幕府軍にかなわん!じゃが!少数で大軍勢の業績!神出鬼没で敵をを悩まし!常に機動を持って勝利する!これが我等の闘い方じゃ!」、おおお~~~!龍馬が社中だけを集め気合を入れた!『明日の夜明け前に出航ぜよ!』、おおお~~~!・・・

慶応二年(1866年)六月十七日朝もや煙る中、「各部所!出航準備よ~~し!諸員!持ち場に就きました!」、『錨(いかり)を揚げや!』、「錨を上げ~~~!」、「錨を上げ~~~!」、錨を上げ~~~!その未明、高杉率いる奇兵隊が小倉の大久保海岸に先回りしておった!「散れ!」、ユニオン号には龍馬が指揮する亀山社中が臨戦態勢に入った!「じきに、上陸地点の沖じゃき!」・・・

「各砲!弾を込めえ~~!」と陽之助が発令した、弾を込めえ~~~!『準備は出来たかえ?』、「ただ今!遠心点!」、面舵(おもかじ)いっぱい~~!『うしろの船に知らせや!』、モバイル・ライトがクルクル点滅する☆♪ わしと~~!おまえは~~~♪ 高杉の三味と唄が大久保海岸に響く!奇兵隊が敵陣に迫る!ユニオン号から陽之助が「砲手!狙え!よ~~し!撃てえ~~~!砲撃が幕府軍に浴びせられる!・・・

不意を突かれた幕府軍は劣勢となっていく!高杉と奇兵隊が敵陣に雪崩れ込む!「撃ち方止め~~!」、「僕等は小倉の領地を攻め取りに来たのではない!筋の通らん理由で!長州を焦点にした幕府が許せんだけじゃ!」・・・「おい達は!熊本藩のもんたい!ご公儀の命にやむなく出陣したばってん!長州に対しては、いささかの恨みも御座らんたい!」、「ならば戦う理由はない!戦を避けることは貴藩にとっては何の恥でもなかろう!」、熊本藩軍は膝ま付いて降伏したがじゃ!・・・

高杉は馬にまたがり!「進めえ~~!」奇兵隊は小倉城に進軍して行った!奇兵隊の勢いに押された幕府軍は小倉城に火をはなって逃走したがや!長州が幕府に勝利した瞬間じゃった!高杉等は陸から沖に浮かぶ龍馬等社中のユニオン号に勝利の旗を振ったがや!高杉がまた、のたもうた「百万の大軍!恐れるに至らず!恐れるべきは!我等弱き民!一人一人の心なり!」、『これで次に進むことが出来るじゃき!』と龍馬がうなる・・・

大坂城では慶喜がうろたえておった!「小倉藩は動揺に耐え切れず自ら城に火を放ちました!」、『そんな馬鹿なことがあるか!外様一藩ごときに負ける訳がない!援軍を送り込め~~!』、更に幕府に追い討ちを掛けたがは!庶民の怒りじゃった!長州攻めの影響で米の値段は高騰!人々の幕府への不満は爆発したがぜよ!ほんで!小倉城が落ちる直前!大坂城に居った第14代将軍・徳川家茂が脚気(かっけ)により死去したがや!・・・

幕府は戦どころではのうなってしもうたがぜよ!直ぐ、その知らせは長州の木戸のもとへも届いておった!「申し上げます!将軍家茂公が亡くなったとの知らせで御座います!」、おおお~~~!『正義は当地に有り~~!』、薩摩の小松と西郷にも届いた「山が遂に動いたなあ!」、「かわっと!かわっと!かわっとう!わあ~~~!」西郷が雄叫びを上げた!幕府が長州に負けたと言う事実は日本中を揺るがした!土佐の容堂公にも届いた「幕府が負けるとは!?江戸の時代が終わるがではないがか!」、世の中は騒然とし始めたがじゃ!・・・

長崎、引田屋ではお元のお酌で弥太郎と大浦屋のお慶が一席設けておった、『世の中、何んか騒がしいけんど、わしには、そんなことどうでもええことじゃ!むしろ、こうゆう時にこそ金儲けの絶好の機会ぜよ!』相変わらず、がめつい弥太郎がいた、「よう知っとんなあ!岩崎さん!」、『この頭の中にはソロバンが入っちゅう!』、「恐ろしかあ~~!」・・・

弥太郎は初対面のお元に注目し、魅(ひ)かれて行った、『怖がりな!怖がりな!獲って食おうとは言うちゃんせん!はははは~~~!おまんは、なかなか可愛い顔をしゆうのう!』、「岩崎さんのために長崎一の芸子は呼びましたけん!」、「元と申します!」、『えっ?』、「元と申します!」、『声も可愛いのう!おっほほほほ~~~!けんどのう!所詮お元は長崎一じゃ!土佐に居るわしの女房には足元にも及ばんぜよ!』・・・

「そげな綺麗いか奥様なんですか?」とお元が訊ねた、『綺麗な言うもんでは・・・!神々(こうごう)しゅうて!神々しゅうて!もう!』・・・『わしゃあ、こんな話をしに来た訳ではないがじゃき!』急に弥太郎の態度が変わった、『大浦屋!土佐の樟脳をこうてくれ!』、「樟脳!?」、『他にもあるぜよ!生糸!綿花!どれも上等なもんばっかりやけん!しかも、これは大商いじゃ!20万の取引ぜよ!』、「20万!?」、『話に乗りや!大浦屋!』・・・

「そいやったら!坂本龍馬さんを通してくれんですか!土佐のお方との商いは初めてやけん!信用のあるお方に入ってもらわんば!」、すると盃を床にぶちつけ!龍馬嫌いの弥太郎の感情がまたもや爆発した!(小生、龍馬暗殺を企てがは、これまた龍馬嫌いの後藤象二郎とこの弥太郎の陰謀ではなかったと?諸説あるがNHKがこれをどう扱いか今から興味深い)、『どいつも!こいつも!龍馬!龍馬!とぬかして!こりゃ、土佐藩の商いぜよ!』・・・

「そない言われましても!」、『なあ!おまん等、龍馬のことを買い被っちゅうがや!あいつは口先だけの人ったらしじゃ!ほんまは、なんちゃあ!出来んがじゃけん!』弥太郎が無知をさらけ出した、すかさずお慶が指摘した「先頃の馬関での戦!長州軍が幕府軍ば破った陰には坂本さんが居んなった!」、『何!?』、「自ら軍艦ば操り!戦に加わったと聞いております!」、『龍馬が戦に!?』、「口先だけのお方では御座いませんば!坂本さんは!」「そうしたら!」と言ってお元を残してお慶は退散して行った・・・

『ちゃあ~!』お銚子ごと一本飲み干し、それを床に投げた!「お酒はまだ召し上がりますか?」お元が訊いた、『どこまで!わしを振り回すがぜよ!龍馬!』、「岩崎さんは坂本さんが好かんとですか?」、『お元!龍馬を知っちゅうがか!』、「うふ!こん前、ここで祝言(しゅうげん)をば!」、『何!龍馬が嫁をもろたがかえ!?』、「綺麗んかお方ですばい!お龍さんと言うお方は!」、『お龍!?寺田屋に居ったあの女子かえ!?』・・・

「あっ!知っとうなっとですか?」、『なんじゃ!あいつは!薩長の間を飛び回って!嫁をもろうて!戦に行って!わしの邪魔までしやがって!』、お元が呟いた「坂本さんに係わる人は皆んな心がざわめくとやろか?」、突然弥太郎が鼻の下を長おうして、お元の唇に触れるぐらい超接近して、お元の可愛い頬を指で挟んだ!弥太郎のドスケベ!『おまんも龍馬に惚れちゅうがか?』、お元は弥太郎の手を頬から離し、弥太郎の手を両手で優しく添えて、いつもの営業手段に出た・・・

「うちが惚れとるとは岩崎さんだけ!」、弥太郎はお元の手を振り払った『ええかげんなことを言いなや!澄ました顔しちゅうがのう!どうせもとは、田舎娘じゃろ!』憎たらしいおっさん!お元の顔が厳しくなった、『わしには分かるがぜよ!おまんは、わしと同んなじ匂いがするけえのう!』、弥太郎はお元から離れて叫んだ!『クッソ~~!どういて龍馬ながじゃ!』、そこにあるものを蹴飛ばした!そして意味を履き違えた、僻(ひが)み根性丸出しが始まったがじゃ!・・・

『あいつは、わしに言うたがじゃぞお~!喧嘩では世の中は変わらんと!憎しみからはなんじゃあ、生まれんと!それやのに戦に行ったがじゃぞ!あいつは嘘つきじゃ!大嘘つきじゃ!』、そん時お元が怒りを露わにして言った「人は誰やって嘘つきばい!ばってん!坂本さんのそん嘘は、そん嘘は皆んなが笑おて暮らせるための嘘たい!」、『なるほどのう!女子にもてるけじゃ!そう言う奇麗事をペロ~~と口に出来るじゃき!』、心狭い弥太郎を憂いてお元は涙した・・・

山口城にて長州藩主・毛利敬親(たかちか)の前に龍馬が呼ばれておった、「面を挙げられよ!」、『ははあ~~!』、「馬関での働き!見事であった!礼を言うぞ!坂本!」、同席した木戸も高杉も嬉しそうじゃった!「僕からも礼を言うぞ!坂本君!」、「亀山社中の助けがあったからこそ!幕府軍を撃ち払うことが出来ました!」、『長州に勝利をもたらしたがは奇兵隊が勇敢に闘ったがじゃ!それに高杉さんの気合に皆んなが引っ張られたがじゃ!』と龍馬は奇兵隊の働きを讃えた・・・

『木戸さん!戦(いくさ)言うがは、たいしたもんですのう!力ずくで相手を倒したら一気に流れが変わってしもうたがじゃ!』、「百の議論より一度の戦じゃ!」、『このまま、幕府軍を蹴散らして!一気に江戸まで攻め込みたいところですろう!』、「流れは僕等にあるけえのう!」、『けんど木戸さん!戦はもう、こればあに、しときましょう!長州に負けて幕府の力は益々弱まりました!今こそ諸藩に声を掛けて味方を増やすがです!』、高杉も龍馬に同調して言った「僕もそう思います!今回は守りの戦だから勝てたんです!勢いづいて攻め込むのは!」・・・

木戸が怒った「黙れ!何を言い出すんじゃ!坂本君!僕等が薩摩と手を組もうと思うたんは!君が薩摩の名義で軍艦や武器を手に入れてくれたからじゃ!薩摩との盟約も幕府との戦を想定してのもんじゃろうが!あの裏書を書いたのは君じゃ!その君が戦をするなとは!はあ!?そげな可笑しな話があるじゃろうか!そもそも!戦もせんで、どうやって幕府を倒す積りじゃ!?」・・・

『幕府に政権を返上させるがです!そもそも将軍とは征夷大将軍!異敵から国を守れと御門から頼まれた役目ですろう!つまり!徳川は御門から政権を任せられちゅうだけですけん!その役割を自ら返上させたら!戦はせんと幕府を倒すことが出来るがじゃ!』、木戸は静かに言った「大政奉還論か!」、『大政!?奉還論!?』龍馬には何のこっちゃ分からんかった・・・

木戸はその“大政奉還”を筆に起こして龍馬に示した、「大(くに)の!政(まつりごと)を!返(かえ)し!奉(たてまつ)る!」、「この考え方を提案したもんは実は過去にも、ようけい居ったんじゃ!じゃが!結局は諦めた!」、『どういて?』、「一度、力を与えられたものは、その力を手離せんからのう!」木戸はその紙を丸めた、「僕はそんなお人よしではない!」とそれを床に叩き付けた!・・・

龍馬は木戸に反論した『ほんじゃき!ほんじゃき!武器を持つがじゃ!政権を返上せんと!力ずくでも滅ぼしちゃると!幕府に迫るために武器を持つがじゃ!』、高杉の考えは龍馬のと同じだった「大政奉還か!そうじゃ!木戸さん!」、木戸は続けた「坂本君!君は日本の将来を憂いていることは、よう知っちょる!じゃが!地に足が着いている考えでなければ夢物語と同じじゃ!僕達にはそれに付き合うとる暇はない!大政奉還など奇跡でも起こらん限り無理じゃ!」・・・

龍馬は丸め捨てられた“大政奉還”の書き物を拾い上げて広げた、『その奇跡を起こさんと日本はのうなってしまうがじゃ!』その時、龍馬は何か新たな決意を胸に秘め、静かに山口の城をあとにして行った、この時、坂本龍馬がその鮮烈な生涯を終えるまで、あと一年じゃった!・・・

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