今回、がんワクチン治験に参加しようとしている二人の患者さんに密着した、一人は今年5月すい臓がんワクチン治験に参加を望んでいた、千葉に夫と二人の子供と暮らす主婦・桑原加代子さん(55歳)だった、すい臓がんを患っているが、有効な治療法がなく行き詰っていた、「一見元気なように見えるが、寝ているときの表情を、たまに見ると結構辛そうなしているのが垣間見える!」と夫の誠さんが明かしてくれた!・・・
病気知らずだった加代子さんに異変が起きたのは三年前2009年の冬だった、いつもと違う胃のもたれに不安を感じて病院に行くと、すい臓に腫瘍があると告げられた!すい臓は肝臓や胃の奥に在り、がんの早期発見が難しい臓器である!そこに出来るすい臓がんは進行が早く末期のケースが多く、治療法も限られてくる!加代子さんは、その時点で手術ですい臓の一部と周辺の臓器を思い切って摘出した!・・・
ところが、2年経った今年1月、恐れていた、すい臓がんが再発した!残された治療は抗がん剤だけだった、桑原さんは吐き気とダルさなどの副作用に耐えながら治療を続けたが、何ら効果は見られなかった!次第に台所でお茶碗洗いながら、部屋の掃除しながら、家事をしながら、自分はあとどのくらい元気でいられるのだろうか?間もなく居なくなるんだなと思い始め、何やっても、なんだか切なく寂しい気持ちが募ってきた、そして亡くなったあとの身の振り方を思い悩むようになっていた!・・・
そんな時、桑原さんはウエブサイトで“がんワクチン”のことを知った!そこには“すい臓がんに対するペプチド・ワクチン療法(治験)を開始しました!ただいま、すい臓がんペプチド・ワクチン治験の募集中!”が謳(うた)われていた!そうです、近くの病院で、薬に効果があるかどうか?人に投与して調べる治験が始まろうとしていた!治験とは大学病院などで行なわれる基礎・臨床研究のあと、新薬が晴れて保険診療として審査・承認されるまでに、その安全性、有効性、安定性の比較を確立するためものである!・・・
話が少し反れるが、小生も3年前に、VOB(Volunteer Bank )に登録しているが、小生、その当時は健康預金が行き届き、どこも不健康な箇所は無く、今年8月に腫瘍マーカーPSA(Prostate Specific Antigen 、前立腺特異抗原)検査を受けるまでは健康体そのもので、申し込む治験が見当たらず、健康体ものに申し込んでも、なかなかお呼びがかからなかった!最近はご無沙汰しているが、今なら申し込めば前立腺がんの治験のお呼びがかかるかもしれない!?・・・
話を元へ戻そう、3年前に行なわれたすい臓がん末期患者31人生存率に関する臨床研究によると、非ワクチン治療の場合、抗がん剤に効果が見られず、全員が半年を待たずに亡くなった!ところが、がんワクチン治療を受けた患者は半年が経過しても、4割が生存した、更に1年を過ぎても生き続けている人が3人いた!その結果を受けて、がんワクチンの治験が始まった、第1ステップとして、少人数にがんワクチンが投与され、その安全性が確認された!第2ステップとして薬の有効性が確かめられた!・・・
そして、この度、桑原さんも受けた最終ステップで、大人数の患者で効果を比較する、参加者の2/3の人に実薬が投与され、1/3の人にプラセボと呼ばれる偽薬(中味はブドウ糖か乳糖のみ)が投与された?何故偽薬なのだ?どちらが投与されるかは、当日まで、医師にも患者にも知らされなかった?しかし桑原さんは一縷(いちる、僅かにつながる)の望みに懸けた、3分の1とは結構大きな割合であるが、もし偽薬ならば命が懸かる!『みんなに迷惑かけて生きているのって辛いなって思って!』と桑原さんは覚悟を決めて治験最終ステップを受けた!・・・
今年5月31日、千葉徳州会病院にて、桑原さんは1回目の投与の日を迎えていた、桑原さんの血液検査の結果は全く問題はなく、体調も良かった!副院長・浅原新吾医師によって、桑原さんの願いが叶って、予定通り1回目のがんワクチンが桑原さんに投与されることとなった☆2/3の当りだった!免疫細胞の多いリンパ節のある腿(もも)の付け根の皮下に打たれた!週に1度の注射だけで入院の必要は無かった、これを2年間続けることとなって、がん克服の希望の光が見えてきた!よかったよかった!・・・
すい臓がんワクチンの治験は全国40箇所で300人の患者に行なわれた、しかし誰もが受けられるわけではない、和歌山に今回密着取材した、もう一人の患者ががんワクチンの治験を待っていた、すい臓がんの末期で今は会社を求職して治療に専念する宮内隆利さん(59歳)だった、妻と二人で全国の寺や神社を訪ねては手を合わせる日々を送っていた、今回の治験に応募したところ、事前の検査で参加できるかどうか分らないと通告されていた!・・・
去年2011年3月、胃に違和感を覚えた宮内さんは病院で受診すると、すい臓がんが進み、肝臓にも転移していることが判明した!腫瘍は肝臓全体に広がり手術することが出来ない末期を迎えていた!医師から、このままでは余命数ヶ月と告げられた!なんと一番最初に出た腫瘍マーカー“CA19-9”数値(肝臓がんに犯されると血清中にCA(Carbohydrate Antigen 、含水炭素抗原)19-9と言う物質が増え、がんの進行度の目安となる)が標準値を遥かに上回る27550.00Hにも増えて、予断を許さない状態だった!・・・
直ちに抗がん剤治療が開始された、5ヵ月後には229.50Hにまで下がった!ところが、その効果は長く続かず!今年初め再び数値が上昇し、3582.1U/ml まで戻っていた!宮内さんも抗がん剤がずっと効くわけでないと心のどかかに感じ取って、いずれはこの日が来ると覚悟していた!しかし、こんなに早く来るとは思ってはいなかった!もう少し長く抗がん剤の効果が続くと信じていた!その時、自分の身体の中では、がんが悪いほうに進んで死期が迫っているこをと実感した!・・・
宮内さんが、そんな時、見つけた今回の治験だった、ところが、治験に参加するには、年齢や治療歴、血液検査の値など50項目に渡る厳しい条件があった!宮内さんはその条件の中でも、がんワクチンの効果が期待できない、ある白血球の型“HLA”など二つの条件が合わない可能性があり、再検査にまわされていた!赤血球の型はA、O、AB、B型の4つしかないが、HLA(Human Leukocyte Antigen、ヒト白血球抗原)には数万通りもあるといわれる!がびょ~~~ん!・・・
治験に参加出来るかどうか分らないと知った宮内さんだったが、自分の病状の細かいデーターを伝えるだけでも、新薬を創る手助けになると思い納得して治験を再度申し込んでいた、全国にはこの肝臓がんで苦しみ亡くなって行く沢山の方が居られる思うと、新薬が世の中に出るということが、どれだけ患者さんと、その家族を笑顔させてくれるか!そのお役に立てば、それだけで、宮内さんは満足だった!悪く言えば諦めムードが漂っていた!・・・
今年5月下旬、和歌山県立医科大学附属病院に宮内さんの姿があった、治験のための再検査の結果を訊きに来ていた、宮内さんには治験に入るには白血球の型など2つの問題点が指摘されていたが、今回の検査によって、その問題であった2つともクリアされたと第2外科の山上裕機教授から知らされた!よって宮内さんに対する治験治療が許可され!その日の午後から開始されることになった!☆『ありがとうございます!ありがとうございます!』宮内さんは何回もお礼を言って、やっと生き延びられる希望が持てる新たなスタート地点に立てた喜びが笑顔に溢れていた!・・・
それにしても、このがんワクチン注射1本を打ち続けることによって、何故?手術ではなく、抗がん剤ではなく、がんを克服することが出来るのだろうか?と言う素朴な疑問がイノッチだけてなく、誰ににも浮かび上がってくる!?その時、『そうですよね~~!不思議ですよね~~!その疑問に私がお答え致しましよう!』と内藤裕子アナの天上の声がこだました!♪ お久しぶ~~ね、あなたに逢うなんて♪ 次回その疑問を内藤アナから、その真髄に迫るメカニズムを解き明かしていただこう!どうやら、その鍵を握るキーワードは“免疫”にあるようですぞ!・・・