慶応二年(1866年)三月十日、幕府の追っ手から逃れ、寺田屋で負った傷を癒すために、薩摩に到着した龍馬とお龍は吉井幸輔等の薩摩藩士に先導されて霧島連山を望む塩浸(しおひたし)温泉へ向かう山道を登っちょった、「お龍殿!だれちゃおられもはんか?」、「大丈夫です!」とお龍は答えた、「温泉場までもうちとでごあんで、ゆっくりと傷を治しゃってもんせ!坂本さん!」と労をねぎらった、『ありがとう御座います、吉井さん!』・・・
龍馬は湯に浸かり、刀傷が生々しく残る親指を動かそうと痛みを堪(こら)え『あ゛あ゛あ゛~~~!』顔を歪め懸命にリハビリに励んでおった、一段落ついて湯から上がったところへお龍が湯治場へ石段を降りてやって来た、『お~~!お龍!ええ湯じゃったぞ!おまんも入りや!』、「さっき、吉井さんがお越しやして、龍馬さんが霧島に登りに行きはると!?」、『そうじゃ!』、「うちも連れて行っておくれやす!」、『はあっ!ははは~!そりゃ無理ぜよ!霧島山は女人禁制じゃけん!女子(おなご)は登れん!』・・・
「うちは龍馬さんの女房です!どんな所(とこ)かて一緒に行きたい!夫婦になったゆうても、うちはあんたさんのことを、みんな知ってる訳やあらしません!龍馬さんは時々思いつめた顔してはるけど、それかて、うちには分かりしません!」、『お龍!わしゃ、歯がゆいがやき!やっと!やっと!薩長を結び付けた言うに!ついに世の中が動き出した言うに!わしゃ、こんなとこに隠れて療養をせんといかん!霧島山に登るがは自分を奮い立たせるためぜよ!次にやるべきことは何がか?それを己の心に刻み込むためじゃ!』・・・
龍馬が言うた通り、薩長が手を結んだことによって世の中は大きゅう動き始めよったがじゃ!小松帯刀の薩摩藩邸にイギリス公使ハリー・パークスが訪れた、『Nice meet you!パークスさあが薩摩までおいで下さるとは、藩主・島津茂久(もちひさ)公も大変喜んで居ります!』、「Thank you!It's our great happiness to support Satsuma!(イギリスは喜んで薩摩を支援します!)」 ・・・
パークスは更に長州にも近づきよった!「我がイギリスに長州を支援させて下さい!軍資金も武器も贈ります!」桂小五郎こと木戸貫治は感激した、『エゲレスの助けなら大歓迎じゃ!』、・・・一方、エゲレスの助けを得た薩長に対し、幕府はフランスとの関係を悪化させつつあったがじゃ!フランス公使館に勘定奉行・小栗忠順(ただまさ)を呼び寄せフランス公使ロッシュは不満を爆発しておった・・・
「薩長に日本の実権を握られてもいいのか!今までフランスが幕府にどれだけ協力してきたと思っているんですか!?」とロッシュは小栗に詰問した、「徳川幕府は決して揺るぎません!」と反論した、江戸城に帰って小栗はその旨を慶喜に報告した、「幕府がいかがなさろうとするお積りかと、ロッシュは申しております!」、『ロッシュに黙って観ていろと伝えろ!わしの腹はもう決まっておる!』・・・
その頃、長崎では亀山社中が次なる大仕事に乗り出そうとしちょったがじゃ、惣之丞等が坂を駆け上って来て社中の仲間に知らした「ワイルウェル号(洋式帆船、159トン)は初めての航海連習に出るがじゃ!」、おおお~~~!「ほんでのう!ほんでのう!ええかえ!長州藩の軍艦・ユニオン号(300トン、桜島丸)が長州で米を積んで、じきに長崎に入るがじゃ!そこでワイルウェル号に綱を渡して薩摩まで牽(ひ)いて貰うがぜよ!」と太郎が続いた・・・
『ブハハハハ~~~!船はわしに任しちょけ!』と内蔵太が粋がった、陽之助が忠告した「天草灘は波が荒いし、薩摩の沖は風がビュービュー吹いてるぜ!内蔵太さんで大丈夫かのう!」、『陽之助!まだぐちゃぐちゃ言うがかえ!おまえは!』、池と陸奥がもめ始めた!「やめや!」惣之丞がその場を治める・・・
引田屋ではお元が浮かぬ顔して身請けしてもらいたかった龍馬のことを思い浮かべていた、それを観て「お元ちゃん!大丈夫?」と店の女将が声を掛けた、『昼間からいっぱい飲まされたもんやけん!・・・もう次のお座敷にいかな!』、「そん前にお元ちゃん!おんちに会いたがっている人が来とるばい!土佐のお侍さま!」、『えっ!?』・・・
「失礼致します!」座敷に行くと、そこには池内蔵太が待っておった、『お~~!お元、忙しいとこをすまんのう!』、「どうなされました?池さん!」、『うん、兎に角、入りや、実は亀山社中が船を持つことになってのう!わしがその船を任せられたがじゃき!』、「あっ!そいはおめでとう御座います!」、『それでのう!お元!』池は改まってお元の前に正座した、『わしと夫婦になってくれんかえ!』と声を張って告白した、『俺は誰よりも立派な男になってみせるき!』・・・
「池さん!芸子をめとりたければ、お金を出して身請けしてもらわないけん!」、『分かっちゅ!何時になるか分からんけんど、金は必ず作る!それまで誰のもんにもならんで欲しいじゃがやき!』、「うちのことば池さんに預けろと?」、池はお元の手を両手で取った『そうじゃ!今、心だけ夫婦になってくれたらええがじゃ!』、お元の片手が池の手を触れながら暫らく考えてお元は言った「そげんこと言うてくれたとは池さんが初めて!」、『そんなら、おまんと!・・・』、お元は涙ぐんで池のプロポーズを承諾したがじゃ・・・
龍馬等が目指したがは霧島連山の一つ高千穂の峰!古くから信仰の山として崇められてきた霊峰ぜよ!龍馬の案内役として吉井幸輔の11歳位の息子の幸蔵が同行したがじゃ!「足元を確かめながら登ってたもんせえ!」、その時、後ろから聴き慣れた声がした!「ちょっと待って!」、『あっ!?何ぜえ?はあ!おまん!お龍!ここで何をしゆう!?』、「うちも一緒に登ります!」、「お待ちやもんせ!霧島山は女人禁制でございもんす!」、「そやさかえ男の恰好して来たの!」・・・
『そげんことではないろう!』、「言うたでしょう!わては龍馬さんについて行くねん!こいくらいの山!うちは平気どす!決して迷惑は掛けしまへんさかえ!連れて行って下さい!」、『否、けんど!』、「お願いします!」、・・・『分かった!一緒に登ろう!』、「ほんま!」、「坂本さあ!」と幸蔵が龍馬に詰め寄った!・・・
『幸蔵さん!すまんのう!お龍!さあ!行くぜよ!』、「はい!」、龍馬は幸蔵を制して強引に承諾させた!「山の神様!どうぞお許しを!」と幸蔵は手を合わせて祈った、『ははは~~!お龍にこんな茶目っ気があったとはのう!』、「うちは真面目に考えて!」、3人は急斜面の山腹を登って行ったがじゃ・・・
その頃、土佐では弥太郎が後藤邸に呼ばれておった、「待たせたのう!弥太郎!おんしはわしに言うたのう!坂本龍馬をないがしろにしたらいかん!と」、『否!あれは龍馬がわしに・・・』、「おんしはこうも言うたのう!これからは藩のため!日本のために!働きたいと!」、『後藤さん!そうじゃき!・・・』弥太郎はためらった、「岩崎!岩崎!」、『はい!はい!』、「岩崎!岩崎!」、『はい!はい!』、「岩崎!その希み叶えちゃる!」、象二郎は弥太郎の目の前に一巻の書簡を落とした!・・・
「13年前、黒船来航の折、おんしが藩に出した意見書じゃ!読み返してみると、よう書けちゅう!鰹節や樟脳や土佐の産物をドンドン他藩に売るべきことを、おんしはその頃から考えちょったがか?」、『はい!その通りに御座います!』、「うん!それを長崎で出来るかえ?」、『長崎!?』、「異国相手に商売商売するがじゃ!」、『わしがですろうか!?』、「ようし!おんしが世話役になって、この土佐を儲けさせるがじゃ!」、『世話役!?』、「おんしは長崎でしくじったことがあったのう!異人の接待に100両も使いよって!」・・・
『ははあ!ははあ!そりゃ!分かっちょります!分かっちょります!分かっちょります!けんど!出来ましたら!通事を!エゲレス語の分かる通事を!つけてもらえんですろうか?』、「ジョン!ジョン!」と象二郎が人を呼んだ!廊下の向こうから誰かがやって来た!「Yes!Yes!Hello!Hello!Nice to meet you!中浜の万次郎と言います!」、『えっ!万次郎!?』、「アメリカに渡ったジョン万次郎じゃ!」と象二郎が弥太郎に万次郎を紹介したがや!・・・
『お~~!ははあ~!中浜村のジョン万次郎様!』、「わしが通事になって!岩崎様のお役目の助けをやらせてもらいます!」、『何ちゅ~!もったいない!それはもったいない!あ~~!ありがとう御座います!ありがとう御座います~~!』、二人は固く手を握り締めたがじゃ!・・・
一方、高千穂では、龍馬とお龍と幸蔵の3人はひたすら霊峰の頂上に突き刺さる逆鉾を目指しておった、『お龍!大丈夫かえ?』、「大丈夫だす!」と弱弱しく答えた、『それ!掴まりや!』、龍馬は手を差し伸べてお龍を引っ張り挙げた、そこには溶岩魂がむき出しになった岩肌の尾根が連なっていた、そこには冷たい風が吹き荒れ彼等の行く手を邪魔した、『お~~!お~~!お龍!ええ眺めじゃのう!こんな景色は二度と観れんぜよ!この山には伝説があるそうじゃ!』、「伝説!?」・・・
『恐れ多くも!天照大神の御孫、ニニギ尊(みこと)がこの日本国を治めるために霧島に御降臨され、この山の頂に鉾を突き刺されたと言うのう!』、「鉾を!?」、『それが天の逆鉾言うて!今も残っちゅうそうじゃ!わしはこの目でそれを観てみたいがじゃ!』、「参りましょう!」とお龍が龍馬を急かせた!「うちもその逆鉾をはよう観てみとうなりました!」、『そうかえ!ほんなら行こう!幸蔵さん!』、「坂本さあ!逆鉾は先日の大雨で傾いてしまいもんしたもんで!」、『それでもええき!幸蔵さん!急ぎましょう!』、幸蔵は疲れ切って居ったがじゃ!・・・
3人は遂に逆鉾が突き刺さった高千穂の峰の頂上を極めたがじゃ!『これが!天の逆鉾かえ!これをニニギ尊が突き刺されたがか?』、「はい!乱れとった、こん国を自分が治めるっち!決意された証に!」と幸蔵が説明した、『お龍!わしはのう!あの世を観て来たがや!』、「えっ!」、坂本龍馬と言う人間はいっぺん死んで!またこの世に生まれて来たがや!ほんじゃけ!わしはもう何ちゃ!怖いもんは無いぜよ!』・・・
『日本は!こんまい島国ぜよ!ほとんど全てのもんは世界のことりゃ!何ちゃあ分かっちょらん!』すると龍馬は杖をそこに放り投げた、『けんど!時代はもう変わってしもた!今こそ誰かがこの国の行く道を見定め!』龍馬は逆鉾に近づき、鉾の柄に腕を廻し掴んだ!『声に出して伝え!自らが行動し!』龍馬は渾身の力を入れ引き抜きにかかったがじゃ!『え~~い!え~~~い!あ~~~!世を!世を動かしていかんといかんじゃけん!』遂に龍馬の念力が逆鉾を音を立てて動かし!引き抜いてしもうだがじゃ『あ~~!あ~~~!』、「龍馬さん!」・・・
すると龍馬はその天の逆鉾を目より高く持ち上げたがぜよ!『これがわしの決意の証ぜよ!』、『えええ~~~い!』今度は逆鉾を振り下ろし元の穴に突き刺したがじゃ!ザクッ!坂本龍馬は初めて自らが日本を引っ張って行くと宣言したがや!お龍は龍馬の傍に寄り添い、二人は見詰め合い、暫し霧が立ち込める霊峰に立ち尽くしたがや・・・
けんど!龍馬の試練は早速やって来たがぜよ!慶応二年(1866年)六月七日幕府軍が長州の周防(すおう)大島に攻め入ったがじゃ!『よいか!徳川幕府にはフランスが付いておる!薩長ごときが手を組んだところで、我等が負けるはずがないわ!』と慶喜が自信に満ちて気を吐いたがじゃ!・・・
霧島山から下山してきた龍馬が薩摩・小松帯刀邸に駆け込んできた!『西郷さん!西郷さん!ちっくと話がありますき!』、縁側に座り込んだ西郷には反応がなかった、『西郷さん!』龍馬はもう一度呼びかけた!その時、座敷から小松が叫んだ!「闘いが始まってしもうた!」、『どういて!薩摩と長州が手を組んだがは幕府に伝えたはずですろう!』龍馬が小松に噛み付いた!「はっきり伝えもんした!そいでも、幕府は戦を始めたとでごあす!」と西郷が答えた!
『長州は!長州はどうなっちゅう!?』龍馬が訊ねる!「高杉さあが陣頭に立って戦っておられる!」、『そんな!そんなはずはないろう!高杉さんはエゲレスに行っちゅうはずぜよ!』龍馬に信じ難いことだった!「あんお方が戦列を離れる訳にはいかんじゃろう!長州兵4000に対して幕府軍は15万ごあんでなあ!」、『15万!?西郷さん!薩摩は長州に援軍を送ってくれたですろうか?』と龍馬が問うた、小松が即答した「まだごあす!」、『どういて!どういてじゃ!』龍馬がまた噛み付いた!・・・
西郷が答えた「戦になったら長州を助けるとか!?薩摩が兵を出す時は幕府を討つ時でごあす!江戸城を攻め落とすっとじゃ!」、『いかん!それはいかんぜよ!西郷さん!そんなことしたら!日本中が戦場(いくさば)になってしまうがじゃ!』、また小松が口を挟んだ「坂本さあ!長州も我々と同じ考えでごあんぞ!」、『えっ!?』、小松は続けた「木戸さあも、もはや幕府と話し合う積りはなか!」・・・
西郷は龍馬に忠告した「幕府と戦をせんで日本を変えるとは無理じゃっとでごあす!そいがどうして嫌じゃっち言われるとなら!坂本龍馬と言う役者には舞台から降りてもらうしかありもはん!」、龍馬にはそれ以上の言葉が無かったがじゃ!しかし小生が龍馬の立場なら、何故!何故!薩摩が長州に援軍を出さないのか?もっと問い詰めていただろう!・・・
薩摩から龍馬とお龍が亀山社中に戻って来たあとも、龍馬の試練は更に続いたがじゃ!1866年5月2日、ユニオン号に曳航(えいこう)されて、ワイルウェル号は薩摩への航海連習に向かう途中、薩摩・阿久根沖で大嵐に遭遇したがじゃ!五島列島塩合崎沖まで流され沈んでしもたんや!惣之丞と陽之助から悲しい池内蔵太と社中の仲間の死を知らされたがじゃ!『内蔵太!どいてながじゃ!?』お龍は放心状態になっていく龍馬をただ見詰めるだけじゃった・・・
残り少なくなった社中の仲間を前にして龍馬が言った『皆んな!聴いてくれや!わし等は己の志しを貫き通してきたがじゃ!日本を異国の侵略から守るために、この国の仕組みを変えよう言う志しをのう!』、「その通りじゃ!それを貫き通した時こそ!わし等の志しが果たせるがじゃ!わし等は今、薩長を結び付ける処まで来たがじゃき!」惣之丞が同調した!龍馬は続けた『けんど!これからは容易(たや)すうは行かんじゃき!』、「坂本さん!それはどう言う意味ですか?」と陽之助が訊いた・・・
『わし等、亀山社中は長州と共に幕府との戦に加わる!』、「戦(いくさ)!?なんじゃと!」太郎が龍馬に掴みかかった、「待ちや!龍馬!わし等は喧嘩をせんと日本を変えるがではなかったかえ!」惣之丞が割って入った、「そうですたい!」と英四郎も反論した、「志を変えるんですか?坂本さん!」と陽之助が訊いた、『曲げん!決して曲げん!』、「戦に加わるがは曲げたも同じじゃけん!」、そうじゃ!どういてですか!全員が龍馬を批難した・・・
龍馬は叫んで言った!『戦はのう!戦はもう始まってしもたがじゃ!今わし等が!今わし等が立ち上がらんと!この国はのうなってしまうがじゃ!わし等はのう!長州のためでも!薩摩のためでもなく!日本人として!日本人として!この国のために闘うがじゃ!わし等はのう!わし等は舞台から降りる訳にはいかんじゃけん!』龍馬は仲間の目を一人一人覗き込んで行ったがじゃ・・・
長州では幕府軍の進撃が勢いを増しておった!「高杉さん!大島が幕府の手に落ちました!」、『大島は幕府の手に渡してもええ!闘いはこれからじゃ!ゲボッ!ゲボッ!』高杉はまた喀血(かっけつ)した!巨大な岩が転がり始めたがじゃ!その岩の転がって行く先に、何があるがか?「高尾!福永!大島口へ援軍を送れ!今、直ぐじゃ!長州は負けん!」木戸も陣頭指揮をとっておったがじゃ!・・・
誰が勝者となり!?誰が敗者となるがか!?日本と言う国が生き残るがか!?ここで滅びるがか!?この時は誰っちゃ!分からんかったがじゃ!高杉が吼えた!『撃て~~~!ここで長州の強さを見せちゃれ~~~!』、うお~~~!・・・
「はい!お待ちどう様!」、「海!」、お龍も龍馬も居なくなった伏見の寺田屋では笑顔のお登勢が今日も船宿の切り盛りを続けておった!この時、生きちょった多くの人間が当たり前の幸せを願ごうちょった!日本いう国が永遠に続くと、皆んなが願ごうちょったがじゃ・・・
この頃、弥太郎は藩の命を受けて航路、長崎へ向こうておった!『長崎で、早よう!土佐藩の商売を始めるがじゃ!』弥太郎は期待に胸をふくらませておったがじゃ!お元が長崎の岬に一人たたずみ、髪かんざしの中に忍ばせた十字架に手をかざし「神様!池さまの魂をば、どうか!お救い下さいませ!」お元が内蔵太の永遠の御霊の救いを祈っていた・・・
亀山社中の玄関の上がり口に座り、龍馬が新調したブーツを履いていた、ほとんど回復した左手を何度も握り締めながら、これからの決意を新たにしておった!「龍馬さん!」とお龍が声を掛けた、「しっかり、頑張って来ておくれやす!うちの旦那さまは自分が日本を引っ張って行くと霧島のてっぺんで誓こうたんやから!行っておいでやす!」、『お龍!行ってくるき!』・・・
上野彦馬写真館に龍馬が入って来た、『一枚、頼むき!』、「ブーツですなあ!」彦馬は見逃さなかった、『わしが、これから行く道は霧島山より険しい道じゃのう!』と龍馬が呟いた、「はあ!?」、龍馬は風呂敷からピストルを取り出しポーズをとった!『ほんなら、撮ってくれや!』、「チョウ!行きますけん!・・・オイッ!レンズのブラインダーを外した!・・・オイッ!」、龍馬はピストルを持ったまま“完結編!最終章!”の行方を見詰めておったがじゃ!・・・