Okanagan's Twilight Days

人生の黄昏を迎え、日々の出来事を徒然のままに綴っています(*^_^*)

IVR、画像診断介入的放射線医学!? 2015年9月30日

2015-09-30 15:35:36 | 日記・エッセイ・コラム

昨夜、青女センターでの加古川混声合唱団の今月3回目の練習で、11月8日(日)にアラベスクホールで開催される加古川市民合唱祭(午後1時開演)での演目2曲が “春に(谷川俊太郎 作詞/木下牧子 作曲)”と“旅のよろこび(山之井慎 作詞/佐藤 真 作曲 ” に絞れ込まれた、あと1か月ほどしかない、早く暗譜で歌えるように自主練しなくっちゃ!・・・

今朝、ここ加古川の空は、薄曇に覆われていた、そんな中、日岡山越えして9時45分頃、2か月に一度のPSA定期経過観察の検診のため医療センターの採血室に入った、今日も多くの患者で採血室前は混雑していた、採血の順番が来るまで大分時間が在ったので、すぐ隣にある放射線検査受付横の掲示板に目を通していた、その中の一つに、“患者さんに優しい治療法~IVR(アイ・ヴィ・アール)”に注目した!?これってどの様な治療なんだろう??・・・

 

読んでいくとIVRとはInterVentional Radiologyの略したものである、即ちinterventionalとは、介入・介在的と云う意味なので、小生、画像診断以外に針、カテーテル、ステント、セメント、ステントグラフト、バルーンなどが介入する放射線治療と解して、IVRを“画像診断介入的放射線医学”と訳した、この医学を応用して、全部で次の様な7つの放射線による保険治療がこの加古川医療センターで行われていた!ではその7つを順に列挙して行こう・・・

1)身体の外から細い針を刺し、特殊な電波などを照射して肝臓内部の癌細胞を焼く!2)癌細胞を養っている血管そのものに、抗がん剤を針で注入し、また、その血管をカテーテル(細い管)で詰めて癌細胞を死滅させてしまう!3)詰まった胆管をステント(細い網状の金属の管)などで拡げて、肝臓で作られた脂肪吸収を促すアルカリ性液体“胆汁”を十二指腸まで運ぶ胆管の機能を甦らせる!4)骨粗しょう症で、もろくなった脊椎などの椎骨の内部にセメントを針で注入して強化する!・・・

5)動脈瘤をつくって今にも破裂しそうな血管に、ステントグラフト(stentgraft、人工血管)を留置して大出血を防ぐ! 6)交通事故などで破れて出血した血管を、コイルなどの塞栓(そくせん、隙間なくふさぐこと)物質で詰めて止血する!7)詰まった血管をバルーンやステントで拡げてカテーテルを再開通させる!・・・こんなこと、世間の常識かも知れんが、読者の皆さんに何か参考になればと思い、ついつい・・・

採血のあとは、何時もの様に、アンギオ室前でストレッチを済まし、健康学習広場に寄り栄養士さんと暫く語り、まだ検体検査結果が上がるまで暫し時間が在ったので泌尿科受付に声をかけて、地下階の外来レストラン&カフェ“ビアン・モール”へ急ぎBランチ“さわらの照り焼きセット620円”を平らげた!うめえのなんのって!(*^_^*)じゅるり・・・

 

因みにAランチは“茄子のボロネーゼ、サラダ付き”だった!主治医からPSAの結果を聞いたのは12時半頃になった、前回の0.822から0.973ng/mlまで少し上がっていた、もう、そろそろ落ち着いてもよさそうだが、次回の経過診察予約は11月25日だ、会計を済まし、ジョグを楽しんで帰路に着いた!・・・ 

ところで我が広島カープが息を吹き返してきた~~!22日から25日までで4連敗した時は、クライマックス・シリーズ進出を諦めかけたが、ここに来て阪神がヅルヅル下がり始め、3位に落ちて来た!26日から29日の間で4連勝した我が広島は、一気に阪神との勝差を1.5ゲーム差まで追い詰めた!王者・巨人が目の前に居たら、なかなかハードルが高いが、リーグ終盤に失速する傾向にある阪神なら行けるかも!・・・

あとは時間の問題かもしれん、あと残るは4試合だ!ここは一気に阪神を抜き去りたいところだ!明日10月1日と2日には、広島は、中日をズムスタに迎え、2連戦を戦う、10月3日には、若松監督率いて優勝した2001年以来、14年ぶり7回目のリーグ優勝へ向い、すでにマジック・ワンが灯っている首位、真中ヤクルトとズムスタで戦う、最終戦は甲子園での阪神との直接対決が控えている!明日、中日との24回戦先発は、福井優也だ、広島よ、一気に行け~~~!・・・

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維新・花燃ゆ、第39話“新しい日本人!~後編” 2015年9月28日

2015-09-28 14:15:00 | 日記・エッセイ・コラム

此度の幕府軍と新政府軍による長伐の戦さで、多くの友と仲間を失い、深い心の傷を負って萩に帰って来た弟・敏三郎に、美和は「敏!?」と優しく声をかけた、そこへ叔父の玉木文之進が『敏三郎!』と駆け込んで来てた、一礼してから敏三郎は懐から一枚の布切れを取り出し文之進に差し出した、そこには“長藩奇兵隊 玉木彦介”と書かれた名札だった!『討ち死にした倅(せがれ)の!』、文之進は美和に促して言った『おい、おい!』、えっ?、『あれじゃ!さっき、お前たちが喰って居ったやつじゃ!』、はい!、美和はビスケットの入った箱を手渡した、文之進は1枚取って放心状態の敏三郎に渡した、『顔を上げて喰え!よう、帰って来た!』・・・

敏三郎の前には膳が用意されたが手を付けようとしなかった、それを観て美和が手話を交えて言った「敏、くよくよ、しとったら、いけんよ!彦介さんや皆の分も、頑張って生きて行かんと!」、母・滝が提案した『そしたら、気晴らしに長門・三隅二条窪(みすみ にじょうくぼ)へ行って来たら?』、二条窪?、亀「楫取さん、二条窪で暮らすことに決めたんやそうです!」、えっ!、滝『畑仕事をしながら、暮らすと寿(ひさ)に話ししたんて!そやけど、初めての畑仕事でしょう、如何やろか、手伝いがてら!』、「では私も!」と美和もその話に乗った、あんたも?、「行きます!姉上たちが、どねな暮らしか心配やし、それに、兄上にお伝えせんと成らんことが在るんです!」・・・

よって美和と敏三郎は萩郊外にある山間の三隅村二条窪へ、楫取と寿を訪ねて行った、楫取はここで、家族と共に慣れない畑仕事に精を出していた、よう来たねと!寿が温かく迎えてくれた、美和と敏は、暫く御厄介になることとなった、そこへ野良仕事を一段落着けて、手の豆を潰した楫取が戻って来た、『疲れたじゃろう?暫くのんびりしたらええ!』、楫取の手の包帯を変えながら寿が言った「ここは自給自足、休んだら早速働いて貰わんと、旦那様はまだまだ畑仕事には素人やし、あんたらを当てにして待っとんたよ!」、野良仕事の用意が出来て美和が炊事場に出てきた、寿「わたしは炊事や裁縫の合間にしか出来んから、大助かりや!」、美和「何か、今までとは違いますね、兄上と姉上!今更やねんけど、夫婦らしゅうなって!」、「何言うとる、禄も、のうなって、これからは一家、力を合わせて、何でもせんと、やっていけんよ!まあ、昔と同じ貧乏暮らしに逆戻りやけど!」・・・

楫取と美和が、裏庭で畑の土を耕していると、村の百姓らが通りかかった、「おう、おう、本当にあのお侍さん、ここで暮らす積りかえな?」、その連中の中に居た元奇兵隊の中原復亮(またすけ)が言った「騙されるな、あいつは、わしらの仲間を見殺しにした奴じゃ!」、彼等は楫取と美和に冷たく睨みを利かして通り過ぎた、楫取『なかなか受け入れてもらえんでなあ!』、「あの人、何処かで?」、『奇兵隊に入っとった若もんじゃ!この村の出やったんで、戻って来たんじゃろ、恨まれて当然じゃ!』楫取は黙々と畑仕事に打ち込んだ・・・

美和は炊事場で寿の手伝いをしながら、長男・篤太郎の事を尋ねた、すると寿が答えた「明倫館で勉強するため、寮に入っとるんよ!」、それで、久米次郎は?、丁度そこへ私塾から、大きく成長した楫取家の次男・久米次郎が帰って来た、「お帰り、久米次郎!」、美和「え~~!暫く見ん間に、こねえに大きゅうなって!」、久坂家が断絶したあの日、別れを余儀なくされた、あの久坂家の養子・久米次郎が「ご無沙汰して居ります!」と美和に挨拶して去った、照れてるだけじゃ!、久坂家の養子として恥ずかしくないよう、毎日、張り切って勉強しているんよと、寿が言ってくれ、美和は嬉しかった・・・

その頃、京に居る辰路は久坂の子、秀次郎を育てるため、料亭で仲居として働いていた、そこへ辰路の良き相談役の幾松こと、木戸孝允の妻、木戸松子がやっと居場所を探し当てて、やって来た、路地で秀次郎は近所の子供達と相撲ごっこをしていた、木戸『どんだけ心配したことか!』、辰路「ねえさん、すんまへん!ほやけど、久坂の子を、奥さんが捜していると知って!」、『どうしてそれを?』、「ばったり、お会いしたんです!奥様に!その時は、うちのことも、あの子がそうだとも、気付かれまへんどした、けど、調べたら取り上げられるんやないかて!」、『あんたさんの気持ちは分かります、そやけど秀次郎は御維新で大働きをされた久坂玄瑞様のお子さんなんですえ!学問して、身を立てることも考えてやらんと!木戸もそのことを気にかけとるんどす!』、辰路の心は揺れた・・・

一方、木戸孝允は明治政府の参事となり、日米不平等条約の改正のため、岩倉使節団の一員として、アメリカ合衆国に来ていた、木戸『何度も言うようじゃが、関税率について日本独自に考えさせて頂きたい!』、I'm sorry,I wish that's possible !、無理だと言っています、そこへ野村靖が日本からの電報伝言を持って来て木戸に手渡した、知らせには、日本に残った西郷たちが、次々と新たな政策を実施していた!その為、国内情勢が不安定になっていると書かれていた!・・・

日本海に面する長門・三隅村二条窪では相も変わらず、楫取は野良仕事に打ち込み、雑木の伐採に掛かっていた、そこへ美和がやって来て訊いた「兄上、本気なんですか?本気でこの荒地を開こうと!」、『ああ、本気じゃ!わたしは家族と一緒に、この地で暮らしていく!その思いを、村人たちにも分かってもらいたいんじゃ!』、「それだけでしょうか?兄上はまだ、ご自分を責めておいでなんでは?」、多くの奇兵隊脱走兵たちが、新政府の鎮圧軍に殺されたことを?、『否、そげなことは無い!』ときっぱり否定してロープを取って根株起こしに取り掛かった!それを脱走兵の一人、中原復亮が眺めていた・・・ 

野菜を摘んでいる時、敏三郎が寿の左手のシビレを見逃さなかった、心配して寿に近づいた、寿「如何してやろね?この頃、時々左手がしびれて!ごげな事じゃ、畑仕事はおろか、針仕事も出来ゃせん!」・・・楫取がやぐらを組んで、滑車に通したロープを根株に縛り付け、渾身の力で1本の大きな根っ子を引っ張り抜いた!美和が、元は杉家の種から育てなものだが、お城の菜園から持ち出してきた苗を、美和が心を込めて耕した畑に植えて行った、久米次郎が近くの百姓の子供たちに、収穫したカボチャ、キュウリ、枝豆など、色んな野菜を「ほら、遠慮せんで持っていけ!」と配っていた、久米次郎「父が何時も言うとるんじゃ、人は侍も百姓も皆んな同じ!分け合い、仲ようせねばならん!ほら!」、ありがとうあんした!ありがとうあんした!それを観ていた中原から、楫取に対する憎しみが消え失せていった・・・

その時、空が一転にわかに掻き曇り、天が割れたかのような土砂降りとなった!楫取『このままじゃ、流されてしまう!』、何とかせんと!、そこへ中原が走り着て叫んだ「手伝わせてつかわさい!あんたがわし等を裏切り、仲間を死に追いやったと、思い込もうとしちょった!やけど、そうやない!あんたは、わし等、百姓や、町人のために、必死に頑張って下さった!分かっとったんです!やけど、わしは仲間を助けず一人助かった!そのふがいなさや、申し訳なさから、逃げたかったんです!それを、あんたに、ぶつけとったんです!」、その時、轟音と共に滝の様な洪水が流れ来た!『頼む手を貸してくれ!』、はい!、楫取と、中原は必死に土嚢を積んでいった!ダムを積み上げて流れを堰き止めていった!そして土砂崩れを免れ、やがて大雨も止み、洪水は治まって行った!・・・

楫取と美和は、復亮の心からの援助に深く感謝した!復亮が去った後、美和が言った「兄上、兄上も、もうご自分を責めるのを、おやめ下さい!そうやって、御無理なさっとると、何か、わたしまで、先に進めんような気持に成ります!」、楫取は土嚢に腰かけて言った『気恥ずかしいてな、お前には、誰にも見せんような姿を見せてしもとる気がしてな!』、「はっ、ははは~~!」、おい!、「御免なさい!、でも、安心しました、わたしも兄上の前では、本音をぶちまけてしまいましたから!兄上にお伝えせねばならんことが、在ったんです!大殿からのお言葉です、これからは、誰のためでもない、己の望む道を歩いて行ってもらいたいと!」・・・

『己の望む道?大殿がその様な事を!?』、「はい!、兄上ならきっと!わたしも、そのために兄上をお支えします!兄上が、わたしを支えると、ゆうて下さったように!」、『同志じゃな!?』、はい!・・・何時の間にやら、辺りは晴れて、空には虹が架っていた!『わたしも、逃げて居っただけかも知れんな?日本のため、民のためじゃと突き進んで来た積りじゃったが、その肝心の民の暮らしが、初めてこの身に沁みた!あの者達とは、地に足を着けて、生きていこうと思う!新たな道の始まりじゃ!』、はい!・・・のちになって楫取は植林して林業にも携わった、三隅村には今でも木々が立ち並ぶ楫取山がある、近くには湯本温泉が在って、激動を生き抜てた楫取は、ここで心と身体を癒したそうな・・・

そこへ敏三郎が1通の文を持って駆けて来た、「敏、どうした?わたくしに?」、その手紙は母・滝からのもので、急いで戻るようにとあった!その理由は?美和が急いで萩の杉家に戻ると、家の中はガランとしていた、亀の声が聞こえた「鶏がたまげとるでしょう!卵、産まんくなったら、どうするん!?」、亀が美和に気づき言った「あっ、美和さん!やっと戻って来た!旦那様の子が来たと?」、「どうにか、してつかわさい!」、庭には鶏に向かって籠を投げて、捕まえようとする子供が走り回っていた!?美和に気づいて振り返った、秀次郎であった!美和「確か、京で会うた・・・」、秀次郎はアっかんべえして、また鶏を追っかけて行った、美和はキツネに騙されたように座り込んだ??はっと!我に返った、辰路が産んだ久坂の子!秀次郎との再会であった!!・・・

 

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維新・花燃ゆ、第39話”新しい日本人!~前編” 2015年9月27日

2015-09-27 19:14:16 | 日記・エッセイ・コラム

小望月(こもちづき)の昨夜、ジョギングの途中、大川町の交差点で信号待ちして、ロングブレスしていると、小生の後ろに、二人の女子高生の乗った自転車が止まった、二人は中秋の名月の話を始めた、その時、小生、はたと気づき上空の月を探した、東の上空に雲に見え隠れしていた十四夜の月を見付けた、そのまま、その月を追いながら帰宅した、十五夜の今宵、夕食前にジョギングと入浴を済まし、晴れ渡った低い北東の空を眺めると、旧暦8月15日の今日27日、中秋名月なる真ん丸おっきさんがポッカリ浮かんで煌々と輝いていたしかし、明日十六夜(いざよい)には、地球に最も近づき、更に大きく3割増しに見える2015年最大の“スーパームーン”が観られる!観なくっちゃ・・・

   

明治四年(1871)、奥御殿では敬親の病気が治るよう、僧侶の必至の祈祷が捧げられていた、都美姫『何卒!何卒!大殿の病(やまい)をお直しくださいませ!美和、大殿は美和の菜園で育った野菜だけは召し上がられる!何か良き料理を作ってはくれぬか!』、それでは早速!、銀姫『美和、興丸の守りはよい、今は殿のお世話を致すのじゃ!』、はい!・・・

美和は敬親の病室で食事の世話をしていた、敬親が言った『楫取はそなたの義兄であったのう、あ奴には、一つだけ言っておきたいことが在ってな、新政府にて、参与の職を勤めていたものを、無理に呼び戻したのは、このわしじゃ、この長州のため、このわしを支えて欲しいとな!その所為で、辛い目に合わせてしもうた!じゃが、これからは、誰のためでもない、己の望む道を歩いて行ってもらいたいと思うて居る!そなたとて同じぞ、どの様な思いで、これまで乗り越えて参ったか、見違えるようじゃのう、美和、まこと、そなたの信じるよう進め!如何じゃ?』、「新しい日本を創る、新しい日本人を育てたいと、思うて居ります!」、『そうせい!』出た~~~!・・・

それから数日後、家族に看取られ、奥御殿の皆々に、そして駆けつけた楫取にも見送られて、明治4年3月28日、幕末と云う激動の時代を生きた別名“そうせい侯”で名高い名君(めいくん)、毛利敬親は享年52歳でこの世を去った!・・・そして喪が明けたのち、楫取素彦は元徳の前で手を着き、藩の職を全て辞し隠居の身と成りとう御座います!と己の望む道を表明した!元徳からは、父亡きあとも藩の舵取りをして貰いたい!と頼まれたが、楫取の決意は固く、わたくしには、もはや、その様なご期待に応える力はない!とお断りいたした!・・・

明治四年(1871)七月十四日、明治政府は、各知藩事を東京皇城の皇居に集めて、王政復古に次ぐ第2のクーデター、藩を全廃し、地方統治を中央管下の府と県に一元化する“廃藩置県”と云う行政改革を断行すると発表した!よって、旧藩主は知藩事の職を解かれ、代わりに明治政府の意を受けた“県令(知事)”が府と県に派遣されることとなった!・・・銀姫が元徳に訊いた『東京に移るとは、どの様な事で御座いますか?』、『仕方がない、新政府が決めた事なのじゃ、我等は東京と云う新たな場所で生きていかねばならぬ!じゃが、東京は元江戸、懐かしい処であろう?』、『はい、生まれ育ったところなれば!しかし、そうなると、この奥御殿も、閉じることに成りましょうな!』、『銀、そなたは決心がついている様じゃな?』、はい!・・・

そして、奥女中一同が、銀姫と都美姫の前に集められた、銀姫『表を上げよ、皆の者、新政府からのお達しにより、毛利家がこの地を収める世は、終わることとなった!毛利家は東京に移り、この奥御殿は、終(しま)いとなる!皆の生末(いくすえ)については、追って通達する!』、余りに突然な事で場がざわついた、園山が言った『皆はここで大事なものを身に着けた、奥に仕える女としての振舞、身だしなみ、行儀作法、お花に・・・』園山は大泣きして言葉に成らなくなった、潮は園山の続きを美和に促した「それに、料理、裁縫、掃除の仕方、畑で野菜の育て方なども・・・」これが皆にえろう受けて笑いが出た、美和は続けた「それらは生きる力となりましょう、この奥の外に出てからも、ご自分の力で、生きて行けるはずです!」、鞠が叫んだ「世話~~ない!」注目の的となったが、場が大いに和(なご)んだ・・・

都美姫と園山にも別れの時が来た、『美和が言った“生きる力!”良いことを言うのう!これで皆も少しは安心して世に出ていけるであろう!』と都美姫は感心していた、また園山も、『あの者達に自信を与えることは、一番大事なことで御座います!』と同感していた、都美姫はやおら立ち上がり園山に近づいた、そして園山の手を取って言った『そなたには本当に世話になった、礼を言う!』、『わたくしの人生は、この奥御殿でお使いしたことが、全てです!これからは、その思い出を大切に、余生を過ごしとう御座います!』・・・

美和が、菜園に独り来て、野良仕事をしている半下頭の志乃に気づいた、手を止めて志乃が言った「そなたが、ここを作られてから、何やら、放って置けんくなってしまいました!」、ありがとあんした!と美和は志乃に頭を下げた・・・美和と鞠が興丸の遊具を懐かしみ荷造りしていると、興丸が潮とやって来て訊いた『美和、東京には行かぬとは真か?』、はい!、『美和が一緒でなければ嫌じゃ!』、美和「興丸様は、ご立派に大きくなられました!もうこの美和が居らんでも、ご自分で何でもお出来に成られるはず、今度お会いすることが出来たときには、興丸様の夢を美和に聴かせてくださいませ!楽しみにしております!」、潮『美和殿、本当、幸せに成らんといけませんよ!』、美和と鞠は、名残りを惜しんで去って行く興丸と潮との別れを惜しんだ・・・

鞠が訊いた「美和様は如何されるんですか?」、美和「皆さんのこれからを見届けた後、わたくしは一度、萩の親元に戻ろうかと!鞠様は?」、「わたくしは縁談が、相手は幼馴染で、それもまた良いかなと!」、向こうの廊下を日出が通るのを観て鞠が言った「日出様は上海に行かれるとか、奥を出るのも、日本を出るのも同じことだと!それなら、見たことのない異国の地に行って観たいと申されて!」、「それはまた、思い切ったことを!」、「と云うより、何か一つでも、美和様より先にしたかったと!」全て聞こえていた日出が会釈して去って行った・・・

今度は、銀姫が美和とが別れを惜しんでいた『美和の決意は固いのじゃな?』、「お許し下さりませ、わたくしも、この奥の外に出て、己の力で生きて行ってみたいと思います!銀姫様にお使いし、興丸様の守役として過ごしたこの年月、生涯忘れませぬ!」、『お前には、随分と助けてもらった、わたくしが子を授かり、母となれたのは、そなたのお蔭じゃ!守役としても、充分過ぎるくらい勤めて貰った!なのに、子を産んだことも無いのにと!と酷いことを言うてしもて、済まぬことをした!』と頭を下げて詫びた、銀姫様!、『この奥にとって、そなたは花のようじゃった!どんな時も、皆を朗らかにさせてくれた!何時かまた会おうぞ!』、はい、必ず!・・・

戦国の世より続いた、毛利の奥御殿は閉じられた!新しい時代に旅立つ者、見送る者、それぞれの女達の門出でもあった!・・・早速、東京に着いた銀姫は西洋人の貸しドレス屋さんを呼び、何着かレディメイドの西洋貸しドレスを持って来て貰って試着した、衣装鏡に映るドレス姿の自分を観て、えろう気に入り銀姫は叫んだ 『良いではないか!気に入った!』、都美姫『わたくしは、その様な訳の分からぬ服は着とうも無い!』、慶子に、さも似合いそうな一着の赤色のドレスを選んで銀姫が勧めた『そう仰らずに!母上様も、ほれ!』、都美姫も満更そうでもなかった!むしろ、着たそうにして居った・・・

一方、萩の杉家の実家に戻った美和は寅兄の位牌の前に座って帰宅を報告した、銀姫からは杉家宛に西洋の香水や西洋菓子などの土産と一緒に文が添えられていた、“横浜の港には、外国の船がたくさん立ち寄り、生糸やお茶を買って行きます、日本は今、豊かな国造りを掲げ、世界中から優れた文物を取り入れているそうです・・・”、美和「世界を相手に!」、滝は香水をかき比べて悦に入っていた、亀はビスケットを頬張り「う~~ん、うめえのなんのって!」とその美味に感激していた、弟の敏三郎も萩に戻って来て、寅兄と父・京之助に手を合わせた、だが、戦さで多くの友や仲間を失い、敏三郎は深い心の傷を抱えていた、母・滝が「敏、よう戻ってきた、御帰り!」と声をかけても浮かぬ顔をして居った・・・

 

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日本が南アに勝利し、ラグビーが大ブーム! 2015年9月23日

2015-09-23 15:20:11 | 日記・エッセイ・コラム

今、世界も日本もラグビーで熱い!9月18日に世界各地予選を勝ち抜いた20チームが参加した開会式のあと、9月19日から5チームずつ4グループ(プール)に分かれて、Rugby World Cup England 2015予選ラウンドが始まった、10月18日(日)からは各プール上位2チームづつ、全8チームが、決勝ラウンドのトーナメント戦に進出し、準々決勝から、準決勝へ進み、そして、最終日10月31日(土)の決勝戦を迎える!アジア代表世界ランキング14位の日本チームはプールBに属し、南アフリカ共和国(世界4位)、スコットランド(世界10位)、サモア(12位)、アメリカ(世界16位)と、それぞれ予選ラウンド・リーグ戦4試合を戦うこととなる!・・・

19日、ブライトコミュニティ・スタジアムにて日本と、2回も世界制覇した世界4位の南アフリカとの初戦がキックオフされた、日本人は勿論だが世界の誰もが予想だにしなかっただろうが、ななな~~~んと!日本が、確か24年ぶりに、奇跡的な歴史的勝利を勝ち取った!☆元日本代表の平尾誠二だって30点差で日本がボロ負けすると予想していたと言う!日本が3トライ15点+コンバージョン・ゴール4点+ペナルティ・ゴール15点、合計34点を挙げて、32点の南アフリカに僅差で勝利した!何と言っても、終盤、ゴール前、相手のペナルティで得たキック3点を摂らず、一気に逆転のスクラム・トライ5点を狙ったキャプテン、リーチの選択が、左隅にトライ成功した、その瞬間のシーンは、観ていた日本人の脳裏に焼き付いて離れないだろう!・・・

34点中25点を獲った副主将・五郎丸の一連のルーティーンの中の、あの腰をかがめて手を合わせ祈る様なポーズは、なんとも人の心に訴える愛着がある ! 珍しい名字(みよじ)だが“五郎丸”は筑前国那珂郡五郎丸村にルーツを持つ歴(れっき)とした姓である! 日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ(ラグビー・ユニオン、IRB国際ラグビー評議会)は日本人の母を持つ日系アメリカ人のハーフだが、日本チーム31人の中には、リーチ主将を含み10人の頼りになる外国人が居る、彼等は全員、日本びいきで、日本でプレーがしたくて来日し、全員3年以上日本に住み着きプレーし続けている、うち5人は日本国籍を取っている!今では日本語も堪能で、スッカリ日本チームの一員としてチームに溶け込んでいる!・・・

この南アフリカとの奇跡の逆転勝利で、日本は勝ち点4ポイントを獲得し、20日、アメリカを25-16で破ったサモアと並んでプールBの首位で並んだ!ジャパン・エンブレムの入った日本チームの白と赤地のシャツや、日本チームのグッズは売り切れて、なかなか手に入らないようだ!一気に日本にもラグビーブームが到来した!・・・

今夜遅く、10時30分から、日本はこれまで対戦して1勝7敗と分の悪い世界ランク10位のスコットランドと第2戦を戦う!スコットランドは今夜の日本戦が初戦となって体力に余裕がある、しかし世界ランク4位と云う強豪、南アフリカに勝利した日本なら、今夜も大いに期待できる!応援しなくっちゃ!行け~~~!日本フィフティーンよ!・・・8時過ぎ、夕食後のジョギングから帰って来て入浴を済まし、麦茶一杯飲むと、いい時間になった、今夜は蒸し暑く、明日は朝から久しぶりの恵みの雨になるようだ・・・

10時32分、グロスター、キングスホルム・スタジアムに於いて、日本ボールで前半40分がキックオフされた、あれよあれよのうちに、11分、スコットランドのペナルティキックがポールを抜け6点先制された、しかし14分、日本がトライとキックを決め、7点を返した!16分、日本がペナルティを取られ、そのキックも決められて7-9となった!20分にもスコットランドにペナルティキックを決められ7-12と日本の劣勢がつづく!・・・

ラグビーはペナルティが多すぎる!24分、相手がペナルティキックを外した、危ない危ない、あっ、日本がペナルティを取った、五郎丸はキックせず、サッカーのスローインの様にタッチに出て、“ラインアウト”からのトライを狙う、スクラムから出たボールを落としてしまい、そのボールに触れ、前へ出てしまって反則ノッコオン(knock on)となった!ラグビーは陣取り合戦の肉弾戦だが、ゲームの進行が遅い、30分、五郎丸がペナルティキックしたが外した!・・・

あっ、日本がパスを僅か前に出してしまった!ラグビーでは幾ら僅かでも前にはパスできない!またモール(maul)と云う密集戦で動くので、誰がラフプレーしたのかが、観ていて分かりにくい!日本選手がラフプレー反則を取られフィールドから外されていたがプレーに戻った、アイスホッケーの、ペナルティ・ボックスに10分以上隔離されるミスコンダクト・ペナルティのようなものだ!・・・

34分、日本のタッチダウン成らず!惜しい、ゴールインライン直前でスクラムが始まった、しかし、なかなか日本のトライが決まらず遠のく、あっ、38分、また相手にペナルティを取られた、あっ日本が攻め込まれている!危ない!あっ、ゴールインライン手前で五郎丸がボールを持って突入する相手選手をタッチラインから押し出した!危な~~!ここで前半終了のフォイッスルが鳴り、7-12で10分のハーフタイムに入った!何処かで、五郎丸がゴールラインを割るキックをしたようだが、小生、あまりラグビーのルール理解不足で、それが何だったのか、よく分からなかった?もしかして、五郎丸はドロップキックからドロップ・ゴールを狙ったのか?眠い!ここまでで、小生の限界だ!後半の結果は明日の朝まで楽しみにしよう!(-_-)zzz・・・

あっ!日本は負けていた!後半、3点獲っただけで、日本は大崩れして、緊張が切れたか?スコットランドに次々立て続けにトライを決められ、何と10-45で大負けして、ノーサイド(no side、試合終了) になっていた!これが日本の本当の実力かも知れない、これで・・スコアの点差が多き過ぎたなのか?あっ、4トライ+1ボーナス勝ち点のルールで、スコットランドが勝ち点“5”を獲ってトップに立った!勝ち点4の日本は3位に後退し、あとが無くなった、否、次を勝てば良いだけだ!次は10月3日に、世界ランク12位のサモア戦が控えている、是非、このサモア戦に勝って、決勝ラウンド進出に望みを繋いでほしい!諦めるな、選手側も、応援する方も!・・・

 

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維新・花燃ゆ、第38話“届かぬ言葉!~後編” 2015年9月21日

2015-09-21 19:22:39 | 日記・エッセイ・コラム

長州藩庁が第二奇兵隊らの反乱軍に包囲されたことを聞きつけ、井上磬が明治新政府の参与・木戸孝允のもとに駆け付けた、井上「藩庁が包囲されたとは本当ですか?」、木戸『楫取さんが反乱軍を説得して居るが、硬直して居るらしい!』、如何されるんです?、『このまま見過ごすことは出来ん!中央政府への謀反も同じ!それに長州では、これに煽られ、百姓一揆も起こり始めて居る!』、「逃げた兵と百姓が結びついたら、とんでもないことが起こりかねません!」、『一番厄介なのは、日本全土に飛び火することじゃ!そうなれば、新政府の基盤までも揺るがしかねんことに!鎮圧軍を出動させる!指揮はわたしが執る!』・・・

藩庁側と脱走兵たちとの話し合いは、平行線を辿っていた、中原「楫取様は何をされて居る!?」、すでに、何度も我等が望むとこは伝えちょる!・・・その頃、楫取は元徳に掛け合い、懸命に訴えて居った『あの者達の言い分、何卒、お聞き届けください!この通りで御座います!あの者達は、先の戦さで負傷したものや、年老いた者などの救済を求めているだけで御座います!何卒、話し合いの場を設けては頂けませぬか!?わたしが、必ずや説いて聞かせます!』、また側近の横やりが入った、村上「一旦、お決め遊ばされたことを、覆(くつがえ)しては成りませんぞ!」、松原「甘く見られ、今後の御政務にも差障(ささわ)りが出るやも知れぬ!」・・・

またもや、その時、至急申し上げると伝令が入った、新政府の木戸様が鎮圧軍を率いて、山口に向かっているとのことだった!、鎮圧軍じゃと?、村上「これで事は治まる、不逞の輩を成敗してくれよう!」、楫取『何を申すか!一藩のもめ事に中央政府が乗り込んでくるんじゃ!如何なる災いのもとになるか!どうか、急ぎ、良きご決断を!』・・・城内に待機する反乱軍の間にも、不穏な空気が満ち溢れた、こうなれば新政府と一緒じゃ!わし等には、もう行き場がないんじゃ!、お~~~!戦さは望むところじゃ!おお~~~!、美和は城まで出てきて、その反乱軍の追い詰められた様子を、そっと回廊の陰より眺めて居った!・・・

そこへ楫取が戻って来た、兄上!、『どうして、こねえな処に!?』、美和「誠で御座いますか、新たな鎮圧軍が来ると云うのは!?」、『木戸が指揮を執って居る!』、木戸さまが?、『手加減せんじゃろ、ここは一気に、反乱軍を叩き潰そうとするはず!』、しかし、如何して木戸さまがそこまで?、『新政府は長州での反乱が、全国に飛び火するのを恐れとるんじゃ!見せしめのために、武力で鎮圧しょうとしとる!じゃが、そねな事を、させてはならん!ここは何としても、我が藩だけで解決せねば!お前は奥のもんじゃ、ええな!』、はい!、楫取は去って行った・・・

美和は二人の女中と共に興丸の寝顔を観乍ら夜番に当たっていた、その時、外で怪しげな物音がした?女中にその場を頼んで、外の様子を見に出た、菜園の敷き藁をあさる怪しげな一人の男を見付けた、「誰です!そこで何を?」、何か喰えるもんが、無いかと思うて!と年端もいかぬ若者が答えた、「お腹すいとるん?」、美和は握り飯を作って食わした、その若者は縁に座り、嬉しそうに握り飯をガツガツ喰った、その若者は百姓の出で、真ん中の兄ちゃんと一緒に奇兵隊に入隊したらしい!・・・

「けんど兄ちゃんは死んでしもた、戦さで、鉄砲で撃たれて!」、そう!、「兄ちゃんは、侍に成りたい云うて、奇兵隊に入ったんじゃ!」、あなたは?、「俺は、異国に行ってみたいんじゃ!」、異国?、「はあ、アメリカっちゅ国じゃ!そこは、家柄や身分で一生が決まらんと、仲間から聞いた、夢の様な国じゃ!」、美和「夢の様な?この日本と云う国も、そげな夢のような国になれば、ええのう!と、そう言うとった人を知っとる!」美和の脳裏に高杉と久坂の顔が浮かんできた、「俺と同じことを思とったんや!その人」、はい!・・・

元徳が遂に引きこもった、楫取『あの者達と話し合いを!もう猶予は御座いませぬ!』、松原が引き戸を開けて言った「若殿は会いとうないと仰せじゃ!」、『鎮圧軍は直ぐ近くまで、やって来とるんじゃぞ!』、松原は楫取を無視して引き戸を閉じた、直も楫取は扉の向こうの元徳に訴えた『若殿!何卒、お聞き届けを!あの者達の声を聴いてやって下さいませ!』、元徳は黙秘したままであった・・・楫取を待つ反乱軍の我慢の限界も尽きようとしていた!・・・

そして、軍服に身を固めた木戸率いる鎮圧軍が山口に到着し藩庁近くの大道寺に本陣を構えた!彼等に会う前に、楫取は大殿に会うため奥御殿へ入って行こうとした、楫取殿!園山が呼び止めてた、兄上!美和が楫取を迎え、こちらへ!と案内した、楫取は病の床にある大殿に直訴した『若殿にご助言し、この難局を収めることが出来るのは、もはや、大殿於いて他に居りません!』、都美姫『大殿は御病気なのじゃ!分かって居るのか?』、楫取『御無礼は承知の上で御座います!ですが、何卒!』、美和「わたしからも、お願い致します!」・・・敬親は重い口を開いて言った『行こう!』、殿!、『あの者達の声を、わしも聞いてやらねばならん!これ以上、無駄な命を散らさんためにも!』、大殿!・・・

思案の末、元徳は村上と松原に『楫取を呼べ!』と命じた、はあ?、『あ奴の言うことに、もっと早う、耳を傾けるべきであった!』、松原「何をおっしゃられます!鎮圧軍が参ったので御座いますぞ!」、村上「直ぐに、脱走兵たちも、ことごとく取り押さえられましょう!」、元徳『分からぬのか!そんなことすれば、これからの藩のまつりごと、中央政府に牛耳(ぎゅうじ)られてしまう!それに、長州の人間の血を、これ以上、流すことは、大殿の御意(ぎょい)に背くことになるんじゃ!』・・・

そこまで言った時、扉が開かれ、楫取と美和に支えられた敬親が仁王立ちして現われた!父上!、ふらついた足取りで敬親が近づいて言った『元徳、良くぞ、言うてくれた!』、思わず元徳は敬親の前に膝ま付き頭を下げた『申し訳御座いません!わたしが、楫取の言葉を最初から、素直に聞き入れて居れば!一人前の知藩事として認められたいがため、決心を改めず、譲歩も受け付けず、強引に推し進めようとしたことが、間違いで御座いました!』、敬親『いいや、そなたに、この重荷、一人任せた、わしの所為でもある!』、父上!、『後始末はこのわしがする!それが、維新の戦いを起こした者としての、最期の務めと心得よ!良いか!』、はぁ!・・・

大道寺で待機する鎮圧隊は、木戸孝允隊長が、城内に押し寄せている反乱軍に、攻撃を開始する発砲命令を待つだけになっていた、謀反を起こしたとは言え、己の故郷、長州の士臣に銃を向けるとは、さぞ、木戸も辛かっただろう!?と一応同情しておこう、藩庁に入って楫取と城側との談判が終わるのを、集会場で待っていた100人以上の脱走兵の前に、大殿が楫取と美和に支えられて現われた、元徳も側近の村上と松原も一緒だった、リーダー雲仙が気付き叫んだ「大殿様じゃ!」全員一斉に脱帽してひれ伏した、楫取『今より、大殿様からお主等に、大事なお話がある!』・・・

何と病弱の敬親は、直立不動で話し始めた『皆の者、先の戦さは大儀であった!』、そして正座して続けた『心より礼を言う!』と一礼した、はは~~~!、『そち達が命がけで働いてくれたお蔭で、この長州は、否、日本国は生まれ変われるんじゃ!一同の気持ちは十分に分かって居る、じゃから、どうか、争うことなく、事を治めてたく思う!元徳も、皆の声を聴くと約束してくれて居る!如何じゃ、わしからの頼み、枉(ま)げて(あえて)聞いてはくれぬか!』・・・

楫取『雲仙殿、如何じゃ?』、「はっ !もし、そうして下さるならば、我等も!」、その時、外で一発の銃声が轟いた!?それは見張りの者がカラスのざわめきに驚き、発砲したものだった!それを、馬鹿たれ木戸孝允が勘違いし、『攻撃じゃ~~~!』の命令を出してしもうた!鎮圧隊は集会場周辺の見張りの兵士らを狙い撃ちした!そして、戦闘は藩庁周辺へ広がり、それぞの本陣、大道寺と正護寺の潰しあいにとなって行った ! その戦場はまるで、集団銃殺刑執行の修羅場と化した!それは一瞬の間に起きた悪夢となった!・・・脱走兵たちと鎮圧軍との戦いは、鎮圧軍の一方的な勝利で終わったと言うには、余りにも凄惨(せいさん)な結末となった!明治新政府は政府への反逆行為として、捕えた脱走兵たちを処刑することとなったとは、言わすまい!・・・

冷たい雪が降り出していた、多くの長州の士臣を一度に失い傷心の楫取の処に、長州人の敵、馬鹿たれ木戸が現れた、楫取は怒りを込めて木戸を責めた『如何して武力鎮圧を急(せ)いた!何故、聞いてやらんのじゃ?あの者らの叫びを!』、うつむいたまま木戸は口を開いた『わたしは、貴方なら何とかしてくれると、信じとったんですよ!』、それは違う木戸!楫取は大殿を通して元徳を説得させたではないか!鬼!悪魔!、ど厚かましい木戸が直もつづけた『この様な事態を起こすために、貴方は藩へ戻ったではないですか?共に闘うて来た長州の兵たちを、討伐することに成ろうとは!?』、黙れ!木戸!人の所為にするな!卑怯者・・・

生き残り捕えられたもの等が、縛られて集会場に集められた、その中には美和が握り飯を与えたあの少年もいた、美和の顔を観て言った「夢など無かった!」、皆は何処ぞへ連行されていった、残された美和は、たたずんで動かない楫取に歩み寄った、兄上!、楫取『わたしの所為じゃ!』、兄上の所為では決して・・・、『わたしが負うべき責めじゃ!あのもん等の国を思う声を生かせんで、何が、まつりごとじゃ!何が、国造じゃ!』、美和には、かける言葉もなかった、新しい日本を創るため、共に闘った人々の死は、楫取にとって大きな心の傷となっていた!・・・

 

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