不妊検査 男性の半数が「女性の後」 「専門医全く知らない」43% 厚労省実態調査
2016年3月30日 (水)配信毎日新聞社
不妊に悩む男性の半数が、不妊の原因を調べる精液検査をパートナーの女性の検査後に受けていることが、厚生労働省研究班の実態調査で分かった。世界保健機関(WHO)によると、不妊の原因の半分は男性にあるが、治療への抵抗感や「不妊は女性の問題」などの誤解も根強く、男性の受診が遅れがちになっていることが明らかになった。
研究班は今年1~2月、不妊治療経験のある男女(女性はパートナーについて回答)や治療を検討中の男性ら当事者にインターネットで調査した。男性不妊に関する国内の当事者への実態調査は初めて。
回答者333人のうち、精液検査を受けたことがある273人に検査時期を聞いたところ、129人(47%)が「女性の検査が終わってから」と回答。「女性と同時期」(116人)や「女性より先」(28人)よりも多かった。「精液検査を受けたことがない」と答えた35人の理由は、「抵抗がある」「パートナーに言い出せない」が多かった。
また、男性の不妊治療を専門とする「泌尿器科生殖医療専門医」について、「全く知らない」と答えた人が143人(43%)に上った。研究班は、専門医がいる全国47病院にも調査したところ、回答した39病院を2014年度に受診した新規患者計7253人のうち、ほぼ3人に2人が「婦人科からの紹介」で来院しており、認知度の低さがうかがえた。
研究代表の湯村寧(やすし)横浜市立大市民総合医療センター生殖医療センター泌尿器科部長は「不妊に悩むカップルにとって受診の遅れは大きな損失になる」と語る。【阿部周一】