患者和ます「待合室水族館」 設置の医院「血圧抑え、保湿効果も」
2018年3月29日 (木)配信神戸新聞
大型の水槽を設け、熱帯魚や南米原産の古代魚、珍しいカメを飼育するなど、待合室がまるで水族館のような医療機関が増えている。患者の不安を和らげるといった効果が期待され、利用者からは「癒やされる」との声も。何をされるのかと泣きそうな子どもたちからも思わず笑みがこぼれる。
涼しげなせせらぎが響く加古川ともながクリニック(兵庫県加古川市加古川町寺家町)の待合室などには、14の水槽が並ぶ。その一つには甲長30センチを超える水生ガメ「スッポンモドキ」や首の長い「ジーベンロックナガクビガメ」など海外産のカメ9匹が泳ぐ。別の水槽では色鮮やかな小魚約300匹が水草とたわむれる。
「待ち時間を苦にせず、リラックスしながら受診してほしかった」と友永達也院長(34)。緊張による血圧上昇を抑えるだけでなく、水槽から蒸発する水分で院内の調湿にも役立つという。水槽の生き物に患者らは興味津々。受診のたびにお気に入りの水槽の前に座る人もいるそうだ。
生き物の飼育が好きな友永院長。趣味を患者のために生かそうと、2013年の開院時から水槽を設置している。飽きさせないよう、水槽の生き物を時々入れ替えている。「生き物は、病院にありがちな重苦しい雰囲気を楽しく変えてくれる」と話す。
「ひらせアレルギー・こどもクリニック」(神戸市長田区神楽町5)には幅120センチという大型水槽がある。映画「ファインディング・ニモ」で人気となったカクレクマノミや真っ青なスズメダイなどが泳ぎ、子どもたちが食い入るように見つめる。「魚のおかげで子どもが泣かない」と母親たちも喜ぶ。平瀬明彦院長(59)は「子どもたちに病院は怖くないと感じてもらいたい」と話す。
佐野病院(同市垂水区清水が丘2)の佐野寧(やすし)院長(51)は、患者が不安になりがちな内視鏡検査の待機スペースに水槽を置き、南米原産の大型魚ブラックアロワナを飼育する。ゆったりとした動きが、検査前の心をほぐす。「殺風景になりがちな病院で、大きく迫力のある魚は目を引く。飼育の手間は掛かるが、喜んでもらえるなら」と笑った。
■認知症に有効海外で報告 研究は初期段階
高砂、三田、朝来市をはじめ全国に約100の加盟店がある「アクア環境システムTOJO」(東京都)は、魚と水槽をセットでレンタルしている。松久保大樹社長(39)によると、顧客は10年ほど前から増え、4分の1が医療・福祉関係という。
同社は清掃などの維持管理についても代行。費用の目安は、淡水魚と幅60センチの水槽のセットで設置が3万2400円、メンテナンスが1カ月1万9440円だ。
医療機関が水槽設備を置く効果についての研究も始まっている。
神戸大学医学部付属病院(神戸市中央区楠町7)リハビリテーション部の酒井良忠部長(46)によると「海外では認知症患者の食事摂取量が改善したという報告がある。手術前の不安を軽減するとも言われる」。
松久保社長は「効果の研究が進めば、需要はさらに伸びる」と話した。
2018年3月29日 (木)配信神戸新聞
大型の水槽を設け、熱帯魚や南米原産の古代魚、珍しいカメを飼育するなど、待合室がまるで水族館のような医療機関が増えている。患者の不安を和らげるといった効果が期待され、利用者からは「癒やされる」との声も。何をされるのかと泣きそうな子どもたちからも思わず笑みがこぼれる。
涼しげなせせらぎが響く加古川ともながクリニック(兵庫県加古川市加古川町寺家町)の待合室などには、14の水槽が並ぶ。その一つには甲長30センチを超える水生ガメ「スッポンモドキ」や首の長い「ジーベンロックナガクビガメ」など海外産のカメ9匹が泳ぐ。別の水槽では色鮮やかな小魚約300匹が水草とたわむれる。
「待ち時間を苦にせず、リラックスしながら受診してほしかった」と友永達也院長(34)。緊張による血圧上昇を抑えるだけでなく、水槽から蒸発する水分で院内の調湿にも役立つという。水槽の生き物に患者らは興味津々。受診のたびにお気に入りの水槽の前に座る人もいるそうだ。
生き物の飼育が好きな友永院長。趣味を患者のために生かそうと、2013年の開院時から水槽を設置している。飽きさせないよう、水槽の生き物を時々入れ替えている。「生き物は、病院にありがちな重苦しい雰囲気を楽しく変えてくれる」と話す。
「ひらせアレルギー・こどもクリニック」(神戸市長田区神楽町5)には幅120センチという大型水槽がある。映画「ファインディング・ニモ」で人気となったカクレクマノミや真っ青なスズメダイなどが泳ぎ、子どもたちが食い入るように見つめる。「魚のおかげで子どもが泣かない」と母親たちも喜ぶ。平瀬明彦院長(59)は「子どもたちに病院は怖くないと感じてもらいたい」と話す。
佐野病院(同市垂水区清水が丘2)の佐野寧(やすし)院長(51)は、患者が不安になりがちな内視鏡検査の待機スペースに水槽を置き、南米原産の大型魚ブラックアロワナを飼育する。ゆったりとした動きが、検査前の心をほぐす。「殺風景になりがちな病院で、大きく迫力のある魚は目を引く。飼育の手間は掛かるが、喜んでもらえるなら」と笑った。
■認知症に有効海外で報告 研究は初期段階
高砂、三田、朝来市をはじめ全国に約100の加盟店がある「アクア環境システムTOJO」(東京都)は、魚と水槽をセットでレンタルしている。松久保大樹社長(39)によると、顧客は10年ほど前から増え、4分の1が医療・福祉関係という。
同社は清掃などの維持管理についても代行。費用の目安は、淡水魚と幅60センチの水槽のセットで設置が3万2400円、メンテナンスが1カ月1万9440円だ。
医療機関が水槽設備を置く効果についての研究も始まっている。
神戸大学医学部付属病院(神戸市中央区楠町7)リハビリテーション部の酒井良忠部長(46)によると「海外では認知症患者の食事摂取量が改善したという報告がある。手術前の不安を軽減するとも言われる」。
松久保社長は「効果の研究が進めば、需要はさらに伸びる」と話した。