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夜睡眠中の家庭血圧が心血管リスクを強力予測

2016年03月29日 23時52分14秒 | 医療情報
夜睡眠中の家庭血圧が心血管リスクを強力予測【JCS 2016】
早朝血圧が良好でも夜間115mmHg以上でリスク2.4倍
日本循環器学会2016年3月29日 (火)配信 一般内科疾患循環器疾患脳神経外科疾患

 午前2-3時の収縮期血圧値は、外来血圧とは独立した心血管イベントの強い予測因子になることが、J-HOP Nocturnal BP Studyから示された。自治医科大学内科学講座循環器内科学部門主任教授の苅尾七臣氏らが第80回日本循環器学会学術集会(3月18-20日、仙台市)で報告した結果。家庭血圧値が心血管イベントの予測に重要であることは知られているが、患者の自己測定は通常、起床後と就寝前に行われており、睡眠中の真夜中の値が心血管リスクにどのように影響するかは分かっていなかった。

 夜間血圧の測定に用いたのは、苅尾氏らが開発した家庭用血圧計(Medinote HBPM)。自宅で上腕にカフを巻いて就寝すると、機械が午前2時、3時、4時に自動的に血圧を測定し、値を記録する。

 研究では、心血管イベントリスク因子を1つ以上持つ外来患者2545例 (平均63歳、降圧薬服用率83%)に自宅で14日間夜間血圧値を測定してもらったのち、約4年追跡して、心血管イベントの発生と夜間血圧値の関連を前向きに調べた。心血管イベントは脳卒中と、心筋梗塞および狭心症による冠イベントの発生とした。

 追跡期間中に93件の心血管イベント(脳卒中46件、冠イベント47件)が発生した。イベント発生群は非発生群に比べ、有意に高齢で、BMI高値であり、糖尿病の合併率や心血管疾患既往率が高く、外来血圧、早朝血圧、夜間血圧が高かった。

 夜間の血圧測定値とイベント発生の関連をみると、午前2時および3時の平均値がイベント発生を鋭敏に予測することが分かった。午前2時と3時の平均値が115mmHg以上になると、血圧上昇ごとに有意に心血管イベント発生率が上昇していた。

 さらに早朝家庭血圧や外来血圧などの交絡因子を調整すると、夜間血圧の10mmHgの上昇が心血管イベントリスクを30%以上上昇させることが分かった(ハザード比[HR]1.313、P<0.001)。この関連は脳卒中でより顕著だったが(HR1.557、P<0.001)、冠イベントについては有意でなかった(HR1.095、P=0.413)。

 早朝血圧と夜間血圧のコントロール状況で4分位し、交絡因子を調整してイベント発生との関連を分析すると、良好コントロール群(早朝血圧135mmHg未満かつ夜間血圧115mmHg未満)に比べ、早朝血圧は135mmHg未満でも夜間血圧が115mmHg以上の群はリスクが2.4倍(HR2.394、p=0.021)に上昇していることが分かった。早朝血圧と夜間血圧がともにコントロール不良の群のHRは2.434(p=0.012)だった。

 苅尾氏は、「コントロール不良な高血圧患者では、家庭で測定する夜間血圧は心血管イベント、特に脳卒中発生を予測する独立した強力な因子になる」と結論。今後の血圧管理ではまず早朝血圧135mmHgを達成し、その上で夜間血圧の管理を目指すことになるだろうとの見解を示した。

 苅尾氏らの報告にコメントした九州大学先端循環制御学の廣岡良孝氏は「非常に興味深い結果だ。今後は、家庭測定の夜間血圧値と24時間血圧計(ABPM)による測定値の違いをどう定義するか、どの頻度で夜間血圧を測定すべきかが論点になってくる。夜間血圧値の低下を目標とするならば、降圧薬の種類や服用のタイミングにも影響が出てくるだろう」と述べている。

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