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(なるほどマネー)介護保険を使う:10 利用者増え保険料上昇続く

2016年03月28日 23時53分55秒 | 
(なるほどマネー)介護保険を使う:10 利用者増え保険料上昇続く
2016年3月28日 (月)配信朝日新聞

 ■Reライフ 人生充実

 介護保険は制度が複雑すぎて、ついていけない気持ちになります。なぜこんなに複雑なのでしょう。また、今後はどうなっていくのでしょう。

 公的な制度としての介護保険が始まって16年になります。制度ができた時の65歳以上の保険料は、全国平均で月額2911円でしたが、3年ごとの見直しのたびに上がり、いまは5514円です。団塊世代が75歳以上になる2025年には、8165円まで上がる見込みです。

 サービス内容も変わってきました。06年度の見直しで区分が改められ、「要支援1」「要支援2」ができました。さらに、15年度から、要支援の人が受ける訪問介護やデイサービスが自治体ごとの事業に順次移っています。それとは別に、06年度には自治体の住民しか使うことができない「地域密着型サービス」という考え方も入っており、利用者にとっては分かりにくくなるばかりです。

 15年8月からは利用者の負担も増えています。一定以上の所得がある人の自己負担が1割から2割に引き上げられました。また、特別養護老人ホーム(特養)の入居者は、これまでは補助を受けることができた非課税世帯でも、一人暮らしで預貯金などが1千万円超だと補助がなくなるなど、貯蓄の状況も反映させる仕組みが始まりました。今後、マイナンバー制度の運用次第では、さらに厳格になっていくかもしれません。

 こうした保険料と自己負担の引き上げ、サービス内容の見直しは、介護保険の利用者の増加に対応するものです。制度ができた00年に、介護保険の総費用は3・6兆円でしたが、いまでは10兆円を超えています。要介護・要支援の認定者数は当初の3倍近い608万人に増えました。今後、要介護になりやすい75歳以上の人口が急激に増えるため、認定者数はますます増えるでしょう。

 厚労省は、こうした事態に対し、12年度から在宅介護を前提とした「地域包括ケア」を進めることを打ち出しています。ただし、「在宅」とは、病院と、特養などの公的介護施設に入らないことで、有料老人ホームなどの民間施設は「在宅」の扱いに入っています。要するに、公的に面倒を見なければならない高齢者を減らすことが狙いの仕組みです。

 有料老人ホームでの生活費のうち、住居費や食費などは原則として全額が自己負担で、介護保険が使われるのは介護サービスの部分なので、厚労省から見たら自宅での介護と変わりありません。特養に入ることができれば、所得に応じて比較的低い負担ですみますが、有料老人ホームに入るためには、都市部では月に20万円前後は必要になります。在宅での介護生活を希望する人が多いことは確かですが、最近は独居や夫婦だけの世帯が増えているので簡単なことではありません。

 ところが、厚労省は次の介護保険制度の見直しに向けて、要介護度が低い人向けのサービスを抑制する議論を始めています。そうなると、自治体ごとの取り組みがさらに大切になるでしょう。自分が住む自治体の動向に関心を持つことは対策の第一歩です。

 (「介護情報館」館長 中村寿美子)

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