<年金支給額>0.4%引き下げを決定…6月から
毎日新聞 1月28日(金)10時59分配信
厚生労働省は28日、11年度の公的年金支給額を今年度より0.4%引き下げると発表した。年金支給額の引き下げは06年度以来5年ぶり。国民年金は保険料を40年間払い続けた満額で月額6万5742円(266円減)、平均的な収入のサラリーマンだった夫と専業主婦の世帯で同23万1650円(942円減)となる。4月分が支給される6月から引き下げられる。
年金の支給額は物価の変動に応じて算定される。今回の支給額引き下げは、総務省が同日公表した10年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品含む)が、基準年の05年と比較して0.4%下がったことに伴う。厚労省は当初、引き下げ幅を0.3%と見込んでいたが、昨年12月の物価が想定より低くなったため、引き下げ幅が大きくなった。
一人親世帯に支給される児童扶養手当(所得制限あり)も減額される。子ども1人で全額支給の場合、月額4万1550円(170円減)となる。【鈴木直】
質問なるほドリ:来年度の年金支給額、なぜ下がるの?=回答・鈴木直
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◆来年度の年金支給額、なぜ下がるの?
◇消費者物価と連動 05年基準で0.3%以上減
なるほドリ 来年4月から年金の額が減るって、お年寄りが話していたよ。なんで?
記者 年金制度には「物価スライド」という仕組みが取り入れられていて、物価の変動に合わせて支給額を決めることになっているからです。今年は生鮮食料品を含む全国消費者物価指数の下落が確実だとみられています。これに伴って政府は年金の支給額を減らすことを決めました。
Q 去年の物価と比べるの?
A いいえ。今回の基準年は05年です。というのは、年金の支給額を減らす場合、「前回減らした年度の前の年の物価を基準にする」と決まっているからです。前回減らしたのは06年度なので、05年の物価と比較します。今年12月の物価が11月と同じだと、年平均の物価指数は05年を100とした場合、99・7になります。つまり、05年より0・3%下がるので、年金額も0・3%減らす計算になっています。12月の物価がさらに下がれば、引き下げ幅が0・4%になる可能性もあります。
Q 日本はデフレで物価がずっと下がっていたんじゃないの。何で今年になって急に減らすの?
A 意外かもしれませんが、05年を基準にすると06年と08年は前の年よりも物価指数が上がっています。09年から今年にかけて物価が下がり、とうとう05年の水準を割り込んだのです。
Q 物価が上がった時は、もらえる年金も増えるの?
A 実はそうではありません。これにはわけがあります。00年代初めに物価が下落基調となった時、当時の政府はお年寄りの反発を恐れて支給額を減らさずに3年間据え置きました。だから、厚生労働省によると、今年度の年金の支給水準は、物価の変動をそのまま反映させた場合に比べて1250円ほど高いんだそうです。この差を埋めるため、04年の年金改革で、物価が上がっても年金の支給額は上げず、基準年より物価が下がったら年金の額を減らす今の仕組みを導入したんです。
Q それで、年金は一体いくら減るの?
A 下げ幅が0・3%なら、国民年金で40年間保険料を払い続けた人の場合、200円下がって6万5808円に。厚生年金の場合は、40年間働き続けて平均収入が年間430万円程度のサラリーマンと専業主婦の夫婦2人分で、709円下がり23万1883円となります。(政治部)
与謝野経財相:「年金支給年齢引き上げも検討」と発言
与謝野馨経済財政担当相は21日、政府の新成長戦略実現会議で、「人生90年を前提にすると定年延長を考えないといけない。年金支給年齢の引き上げも考えなければいけない」と発言した。与謝野氏は6月までに政府案の策定を目指す「税と社会保障の一体改革」を担当しており、波紋を呼びそうだ。
与謝野氏の発言は、経済成長を後押しするために高齢者の労働力を活用すべきだとの考えだが、一方で支給開始年齢を引き上げることで年金財政を改善させ、社会保障の財源に必要な消費税率の引き上げ幅を抑制する狙いがあるとみられる。
現在、国民年金の支給開始年齢は65歳。厚生年金は段階的に支給開始年齢が引き上げられており、基礎年金部分で男性は13年度、女性は18年度から65歳からの支給となる。与謝野氏は会議後、「支給開始年齢の延長検討は、中長期の日本のビジョンとして述べたもので、一体改革で検討する旨を述べたものでは全くない」とのコメントを発表した。【谷川貴史、高橋昌紀】
どんどん、老後が厳しくもなり
若者の非雇用状況は改善遠く
どうあがけばいいのかね~