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名古屋場所の見どころ

2018-07-07 10:00:00 | まらずもう新聞編集部のまらずもう分析

 1年で最も過酷な名古屋場所が今年もやってくる。湿度と高温に悩まされ、常人であればとても勃っていられないこの季節、鍛え抜かれた力士たちにとってもこの場所を乗り切るのは至難の業。過去何人もの力士がこの季節に躓き、星を落としていった。
 過去に開催された5月場所の総成績は606勝263敗、勝率.697。15日制に換算すると力士たちは平均10.5勝を挙げている。それがたった2か月後の7月場所では551勝325敗勝率.943、平均9.4勝に落ち込んでしまう。2か月たっただけで1勝分落ちる、それほどまでにこの7月は恐ろしい場所なのだ。
 そんな難関に、ダブル昇進を懸ける力士の戦いが今場所の見どころ。

 まずは何と言っても大関獲りの金精山。関脇に定着して13勝、12勝と文句なしの成績を挙げており、大関昇進の期待は高まっている。この厳しい環境の中、2ケタ10勝を挙げれば昇進は確実。場所後には大関の使者を迎え、久々の伝達式が見られるのではないか。伝達式実現となればちょうど5年前の名古屋場所後、家満横綱昇進以来の慶事。場所前の仕上がりもよく、「昇進にこだわらず納得のイク相撲を」と気合も十分。あとは怖いのは故障だけ。アクシデントさえなければ昇進の可能性は極めて高く、大関昇進のみならず優勝候補に推す声も大きい。

 そんな中、「もう一人の昇進候補は?」という疑問の声も聞かれようが、これは実は玉椿の綱獲り。先場所は優勝を逃したものの14勝、最近の大相撲の昇進傾向を見ても、鶴竜、稀勢の里と連続優勝でなく昇進しており、大相撲の番付編成を参考にしているまらずもうにとって、これは追い風。既に優勝7回を数え、最高位大関の優勝回数では大相撲を合わせても歴代1位の実績を誇る。同時にカド番も10回と安定感に欠けることが横綱昇進を阻んできたが、今年に入ってからは第一人者・毛呂乃に常に1勝差の成績を収めており、安定感も出てきた。前場所優勝していないだけに、今場所の優勝は絶対条件だが、この苦手な名古屋で8度目の優勝となれば昇進の声もかかるはず。思い出される例としては、大相撲の理事長・八角親方の北勝海の横綱昇進。大関・北勝海は12勝で優勝したのち、翌場所13勝(その場所の優勝者は15勝)で横綱昇進を決めている。このときの大関は北勝海のほか大乃国、北天佑、若嶋津、朝潮と5名で満席状態、さらに関脇では小錦が12勝を挙げて大関昇進決定、もう一人の関脇、旭富士も10勝で近いうちの大関昇進が見込まれ、「6大関、7大関は番付のバランスが悪すぎる」という判断で横綱に押し上げられた側面も大きかった。まらずもうにとって、今回はそれと似た状況と言える。金精山の大関昇進がかかり、実際大関に上がった場合、幕内の番付が理事長、大関、大関になる。バランスを考えると、多少の不成績には目をつぶって理事長、横綱、大関を揃えたい、という境界の思惑も見え隠れするため、今回、世間の感覚とはずれたところでにわかに「綱獲り」と言われ出したのだろう。だがいずれにせよ、玉椿にとってはチャンス到来。本人は相変わらず無気力を装ってはいるが、注目されないところで優勝をさらうのは慣れたもの。盛り上がらない綱獲りで、金精山の陰に隠れて星を稼ぐ、という展開になれば、横綱玉椿が誕生しかねない。いずれにしても金精山の大関誕生の瞬間が見られる公算は高く、100歩間違ったら玉椿も昇進する今場所。しかし最大の敵は7月という過酷な環境。最後に力士たちの7月のデータを紹介しよう。

 

【毛呂乃】
ここまで勝率.918の怪物。7月に限ると勝率は.933、平均14勝と成績が上がる夏男。7月は生まれ月で過去2年は全勝、先場所も全勝で完全復活を印象付けた優勝候補筆頭。

【玉椿】
ここまで勝率.689、7月に限ると勝率は.378、平均5.7勝に激減。7月はいまだ破られぬ14連敗を記録した場所で、大関昇進後も初の負け越しを喫した場所、さらにここ5年間連続負け越し中。それでもこの5年間の勝ち星推移は3勝、3勝、7勝、6勝、6勝と以前より負けなくなっており、今場所乗り切れれば横綱昇進が見える。

【金精山】
ここまで勝率.631、7月に限ると勝率は.531、平均8.0勝に低下。昇進基準の2ケタには例年より2勝の上乗せが必要となるが、昨年は新入幕で前頭12枚目、一昨年はまだ幕下の5枚目であり、ここのところ急速に伸びているため、今までの平均値で収まらないことは十分期待できる。優勝争いの対抗馬。

【蒼狼】
ここまで勝率.498、ただし7月に限ると勝率.581、平均8.7勝と成績が伸びる変わり種。これだけ夏に成績があがるのは毛呂乃以外ではこの男ぐらい。さすがに気がふれていると暑い方がいいのか。ただし休場も多く、あくまで「出れば強い」。15日間、「いっぱい出る」なら好成績も望めるが…。

【萬海】
ここまで勝率.603、7月に限ると勝率は.631、7戦での平均4.4勝。スリランカ暮らしも長いせいか、夏の暑さの影響を受けない数少ない力士だが、過去7場所9勝4敗42休とここのところ休場がちでここ2場所連続休場中。皆勤して負け越すことは極めて少ないが、出場自体が微妙な情勢。

【播潟】
ここまで勝率.489、7月に限ると勝率.381、7戦での平均2.7勝と玉椿並みに夏に弱い。5勝で幕下に復帰できる位置に番付を戻してきたところだが過去名古屋で勝ち越したのは最初の年だけで毎年負け越しており、今場所は正念場。

【明烏】
ここまで勝率.421、7月に限っても.430、7戦での平均3.0勝と暑さ寒さに関わらず成績は安定している。かつては敢闘賞受賞の幕内力士も関取の座を明け渡してはや6年。じわじわと番付を落とし、序二段も下に4枚だけ、今場所の成績しだいでは序ノ口に落ちかねない。幕内力士が休場を重ねて序ノ口に落ちた例はあるが、休場なしで土俵に上がり、序ノ口陥落の例は過去にない。夏場が不利にならない特性を生かし、何とか踏みとどまれるか。

 

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