曖昧批評

調べないで書く適当な感想など

江戸川乱歩「パノラマ島綺譚」の感想

2022-10-07 12:39:00 | 



Kindle Paperwhiteで青空文庫版の江戸川乱歩「パノラマ島綺談」を読んだので、その感想。

タイトルは、奇譚だったり奇談だったり、統一されてないらしい。青空文庫版は綺譚だった。

有名な作品なのでタイトルは知っていたが、読むのは初めて。ちょっと頭のおかしい人が、無人島か何かを改造して、エログロ怪奇趣味な、秘宝館みたいなのを作る、みたいな話でしょ。

と思っていたら、ちょっと違った。変な建築物に興味がある男が、自分そっくりな金持ちと入れ替わる話だった。金持ちになってから、予想通り島をヘンテコに改造するのだが、僕が面白いと思ったのは入れ替わりの部分だ。

人見廣介は、自分そっくりの菰田が急死したと知り、菰田が蘇生したことにして入れ替わる(自分は自殺したと見せかける)。その処理が、この作品で1番ハラハラして面白いところ。夜中に墓地に忍びこみ、腐った死体を隣の墓に移動し(上手いやり方)、自分が蘇生した菰田という体で村人に見つかる。

1週間ほど死んでたので精神状態が不調だとか、記憶がまだということで無言を通し、まず菰田家の中の様子を把握するのが賢い。実際に自分そっくりの金持ちと入れ替わる機会があったら(ない)真似したくなるような、リアルなやり方が色々紹介されていて参考になる。

廣介が唯一警戒していたのが妻の千代子。若くて美人なんだから、口説き直せばいいじゃんと思うし、そういう展開にもなりかけるのだが、結局殺してしまう。ああ勿体無い。

最後、唐突に北見小五郎という男が現れ、妻殺しを見破られる。明智小五郎の変名?と思ったら違った。普通に北見小五郎だった。紛らわしい。

妻殺しを見破られた廣介は、打ち上げ花火に入って?空中で爆死。なかなか派手な終わり方だった。

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