映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

めがね

2008-06-14 | 映画 ま行
何故か今まで見逃していた荻上直子監督の「めがね」。
今週はジュリー・クリスティー主演の「アウェイ・フロム・ハー」で書くはずが、
レンタルDVDで「めがね」を見て、こちらを先行することに決定!


あなたは海派?山派
なんて質問が昔よくあったように思います。
青い空、青い海に白い砂浜、波の音・・・私は絶対、海派です。

あなたは都会派?田舎派?
これもよくある質問です。
う~ん、10分毎に電車が来る所にしか住んだことがないから何とも言えないけれど・・・

老後はひなびた海の側で暮らした~い!



?????????*********

           め   が       

*******!!!!!!!!!!!


もたいまさこと小林聡美といえば、やはり深夜テレビ番組「やっぱり猫が好き」。
三谷幸喜らの脚本で、室井滋を加えての三姉妹ドタバタシチュエーションコメディーが思い出される。
何ということはない日常のストーリーだったと記憶しているが、
記憶に残る、不思議な雰囲気を持つ番組だった。

<ストーリー> 
早春のある日。
タエコ(小林聡美)がある海辺の町の空港に降り立つ。
頼りない地図を手に、トランクを引きずって、歩いてたどり着いたのは民宿ハマダ。
       

登場するのは、
春に現れ海辺でカキ氷作り、梅雨に入ると何処へともなく去っていくサクラ(もたいまさこ)。
民宿の主人ユージ(光石研)と、わんこのコージ(ケン)。
ハマダによく現れる高校生物教師のハルナ(市川実日子)。
タエコを追って来た青年・ヨモギ(加瀬亮)。
ドラマチックなことがあるわけでもなく、ゆう~ったりと時間が流れる。
全員がめがね着用。ちなみに私もです。

   
マイめがねです。度付きサングラスとTPOで使い分けている度数の違う近眼めがねです。
右へ行くほど使用頻度が高いです。


観光場所を問うタエコさんに、
「ここにはそんな場所はありませんよ。たそがれないのに、一体何をしにここに来たのですか?」
と不思議そうな顔の面々。

退屈を持て余し気味のタエコさん。
早朝、目覚めたタエコさんの足元で正座し、にこやかに朝の挨拶をするサクラさんにビックリ!
「…無理」と一言、ハマダを出て行くタエコさん。
もう一軒の民宿「マリンパレス」に行くも、
汗を流して畑を耕し収穫を食すというコミューンのような民宿に、即刻退去。
トランクを引きずり、体力尽きて座り込むタエコさんの前に、三輪自転車で登場するサクラさん。
無言で手荷物だけで荷台に座り、サクラさんのこぐ三輪車でハマダへ。

「たそがれる」にも才能が、こつがあるというコージさん。
ハマダで出される食事が美味しそう
前作「かもめ食堂」でも、おにぎりや鮭の塩焼き、シナモンロールのなんと美味しそうなこと
こういう昔ながらの料理はホッとします。

次第にハマダに馴染み、「たそがれる」タエコさん。
携帯も通じない、何もないけど何かがある。
数日後、タエコさんを先生と呼ぶヨモギが後を追ってくる。
ゆ~たり、なんともキレイなコバルト色の海。

編み物をしたり、釣りをしたり、オセロをしたり、マンドリンを弾いたり・・・。

どこから来たのか、何故来たのか、仕事は何かなど、誰も何も気にしない。
仲良しだけれどべたべたせず、かといってよそよそしいわけでもなく、
近すぎず遠すぎず、皆さんの距離感が心地よい。
毎朝サクラさん指揮のもと、海岸で行われるメルシー体操。
    
サンキューでもダンケでもグラツェでもなく「メルシー」。なんとなく脱力系~。

さらりとした台詞の中に、心にじわじわと染み込む言葉がぽろりぽろり。
「迷ってみるのも旅の醍醐味」
「大切なのは焦らないこと・・・焦らなければ、そのうちきっと」
「梅はその日の難のがれ」(朝ごはんには梅干食べよう。)

ヨモギが暗誦するドイツ語の詩、字幕がなかったら意味わからないじゃな~い?
・・・ということで、字幕ちょっとご紹介。
  何が自由か知っている  /  道はまっすぐ歩きなさい、
  深い海には近づかないで /  そんなあなたの言葉を置いてきた
  月はどんな道にも光をそそぐ /  暗闇に泳ぐ魚たちは宝石のよう
  偶然ニンゲンと呼ばれてここにいる私
  何を恐れていたのか /  何と戦ってきたのか
  そろそろ持ちきれなくなった荷物をおろす頃
  もっとチカラを /  やさしくなるためのチカラを
  何が自由か知っている
こんなこと言っていたんですね。
これも、心にじわじわですねぇ。


何も語られないけれど、タエコさんはどうも傷心を抱えてここにやって来たようです。
ここに来る前、「地球なんかなくなればいい」と思っていたと、サクラさんに話すタエコさん。

トランクを捨て、
ハマダの食事を食べ、
きれいに網目のそろった糸をほどき、
メルシー体操をし、
サクラさんのかき氷を食べ、
「たそがれる」ことに慣れていく中で、抱えていた荷物を降ろし、チカラを蓄え、本来の自分を取り戻したのでしょうか。
ずっとモノトーンだったタエコさんの服は、マリンパレスから戻った時はグリーンに。
服やめがねは、最後には赤いものに変わっている。

ここを去る途中、タエコさんがめがねを飛ばし、そのめがねを吊り上げたのはユージさん。
1年が経ち、赤いマフラーをなびかせて登場するサクラさんを
ユージさん、ハルナさんと共に迎えるタエコさんは、
かつてのユージさんのようにここに住み着いたってことでしょうか?

大貫妙子のエンディングの歌、そしてバックに写る4人のショットアルバムみたいでいいねぇ。

大地も人も愛しく、すべてがここにある、
そして自由に生きている、わたしがここにいる

エンディングの大貫妙子の音楽が流れると、訳もなく涙が流れて止まりませんでした。
感動というのとは違う、何か別の感情が作用した感じ、初めての経験でした。

どうも周りから悩みなどないノー天気なやつと思われている節があるのですが、
私にもいろいろ悩むことはあるんだぜい。
そんな私の心のさざ波が、平らに凪ぐような感じを覚えました。
昨今「癒し」という言葉はあまりにも使われすぎて、使うのがためらわれます。
いわゆる「カタルシス(魂の浄化)」ってやつでしょうか?

やっぱり、老後はひなびた海だなぁ~。
サクラさん、こないかなぁ~?


犬のコージがいい味出してます・・・
子犬におっぱいやってるってことは女の子?なのにこの名前?本名はケン?
うちの近所には女の子で「ダイゴロウ」、略して「ダイゴ」がいますから
女の子でも「コージ」や「ケン」くらいありかもね?



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***** 今週 見た 映画 *****

 6月 9日 「メトロに乗って」TV 浅田次郎原作、堤真一、大沢たかお主演

 6月10日 「アウェイ・フロム・ハー AWAY FROM HER」 @銀座テアトルシネマ  

 6月11日 「めがね」 DVD
       
 6月13日 「サイドカーに犬」DVD 竹内結子主演

        「恋とスフレと娘とわたし BCAUSE I SAID SO」DVD ダイアン・キートン主演




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4 コメント

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たそがれたい~ (cyaz)
2008-07-03 22:08:41
ryokoさん、こんにちは^^
荻上監督の持つ映画の空気感が好きです!
この与論島での“たそがれ”も楽しめました~
その昔、与論島は若いカップルのメッカだったのに、いつの間にか下火になって。 またこの映画を機会に観光客が増えるかな(笑)?
僕も沖縄の海を見ながらたそがれたいなぁ~♪
取りあえず近場の逗子の海でたそがれてはいますが(笑)
返信する
コメントありがとうございます (cyazさんへ(ryoko))
2008-07-06 00:50:21
与論島の海はホントに美しい~!
こんな所で「たそがれたい」ですね。
でもボ~としていると罪悪感を感じてしまう貧乏性ですから「たそがれ」の才能がないかも・・・

逗子の海、いいですね~。羨ましい~です。
返信する
 (kimion20002000)
2008-07-06 23:26:28
TBありがとう。
そうか、ドイツ語の詩って、ほとんど聞き流していたけど、こういう詩だったんだね。ありがと。
返信する
コメントありがとうございます (kimion20002000さんへ(ryoko))
2008-07-07 00:25:21
やっぱり映画館では字幕付いてなかったんですね?!
DVDでは字幕選択ができて日本語と英語表示が可能です。
ドイツ語で字幕がなかったらちんぷんかんぷんですね。詩の最後の行「何が自由か知っている」はこの映画のコピーになっているようです。

男優評価、私も同意見です。女優版楽しみです。
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