映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

私の中のあなた  MY SISTER'S KEEPER

2009-10-16 | 映画 わ行
遡ることウン十年前。小学校1・2年同じクラスだったケンちゃんは、理科好きで探究心が強く
運動場で走り回る他の男の子達とちょっと違う雰囲気の子でした。
ある日体育の時間、青白い顔をして「しんどい」と言って見学、学校を休むようになり、
白血病という病気で入院したと知らされました。初めて聞く病名でした。
その後、気になりつつも月日は流れ、5年生の時一度だけ学校に帰って来ました。
スリムで、目の大きかったケンちゃんは薬の作用で別人のようなまん丸なお顔になっていました。
言葉を交わしたかどうか・・・記憶に無いのですが、あの体育の時間と再開した時の情景を
何故か今でもはっきりと覚えています。
それから間もなく、ケンちゃんは亡くなりました。

漫画やテレビドラマで不治の病で亡くなる話は嫌いです。
最初から見るものを泣かせようという意図のある話は嫌いです。
人前で泣くのは嫌いです。
でも残念ながら涙腺が・・・ゆるいんです。


                                      

        私の中のあなた  MY SISTER'S KEEPER

                                           

 < ストーリー >
  
11歳のアナ(アビゲイル・ブレスリン)は、白血病を患う姉・ケイトを救うドナー目的で
遺伝子操作によって生まれてきた。臍帯血に始まり、5歳のころから血液や骨髄を提供してきた。
ケイトの病状は一進一退、病状の悪化により両親は腎臓移植を決意する。
アナは腎臓提供を拒否する為、勝訴率91%の有名弁護士(アレック・ボールドウィン)に助けを求め
両親を訴える。
ケイトを最優先し、弁護士のキャリアを捨てアナに提供を迫る母親サラ(キャメロン・ディアス)。
優しく家族を見守る消防士の父親、放っておかれる寂しさから夜遊びに走る兄。
アナが訴訟を起こした理由と訴訟の行方は果たして・・・?

       
                アナ     ケイト    ジェシー  

泣くのがわかっていたにもかかわらず、何んでこの映画を見たのでしょうか?
「アナの決断の裏には驚くべき真実が隠されていた」という解説に、
一体どんな驚くべき真実が隠されているのか知りたくなったのでした。
ハンカチとティッシュをスタンバイ、準備万端で臨みました。そして・・・勿論泣いたのでした

でもこれって、感動というのではなく、健気に病気と闘う10代の少女が死ぬことへの
やり切れなさと悲しさでした。
そして、「科学の進歩は罪作りやなぁ~」と思わずにはいられませんでした。

「大きな声では言えないけれど、助ける方法が無いわけではない。
遺伝子操作でドナーになれる子どもが作れます。臍帯血は有効です」という医者の言葉。
こんなこと聞いたら、藁にもすがる思いの両親はそれに賭けるしかないやんか~。
誰しも助けたい一心でもう一人子どもをつくるよ。
その結果、新たな問題が起き、家族崩壊の危機を迎えることになるなんて・・・。
なす術がなかったら諦めざるをえなかったものを・・・。

科学の進歩に倫理や法律が付いていっていないちゅうのは困ったもんや。

アナの本心はどうなんやろう?大好きな姉を助ける為に臓器提供者として生まれたこと、
次から次ぎへと提供し続けることを強いられることに抵抗は無かったの?
下に子どもが産まれたら、上の子が嫉妬して赤ちゃん返りをするなんてのはよくある事だし、
兄弟間って自分より他の兄弟の方が大事にされているって嫉妬や葛藤はよくあることなのに・・・。

母サラの何とかしてケイトを助けたいという気持はわかるけど、そのためにもう一人の健康体の娘の
身体にメスを入れることに躊躇は無いのんか?
助けるのも助けられるのも、二人とも自分の娘やよ。
「あなたが拒否したらお姉ちゃんは死んじゃうんだよ。それでもいいの?」って・・・
11歳の子どもに言って、ひっぱたけるかぁ? 酷やで。これは脅迫やで~。
私がアナなら間違いなくいじけます。グレてやる。
世の中には、いくら頑張っても何ともならない不条理なことってあるんだよね。

訴訟大国のアメリカとはいえ、訴えた後双方一緒に同じ家で生活できるんかなぁ?
めっちゃくちゃ気まずいよ。

そんな疑問や、親戚の叔父さん叔母さんの「直ると思えば直る」なんていうデリカシーの無い
励まし?の言葉に、涙を流しはしたけれど、いま一つのりきれないものを感じたのは私だけですか?

       
       映画館のポスター         家族写真のコラージュ
  
「私の中のあなた」ってホラーみたいなこのタイトル、原作翻訳本のタイトルが
「わたしのなかのあなた」なのをそのまま漢字にしたものです。
原作とは結末が違うということで興味が湧き、ちょっと調べてみました。

原作ではアナは13歳、映画と同じ理由で訴訟を起こし裁判で勝訴するも、交通事故にあい死亡。
アナの腎臓はケイトに、他の臓器は他の臓器待ちの患者に移植され、助かったケイトはダンス教師になる。
ケイトはアナが自分の身代わりになったと感じ、腎臓移植の傷跡を見るたびアナと共にいると感じる。
だから、このタイトル「わたしのなかの、あなた」になるわけやね。
因みに兄のジェシーはお酒に麻薬、窃盗、放火と非行に走るが、父との関わりで立ち直り
警察官になるようです。

映画には驚くほどの真実はなく、原作の結末に驚きました。

アナ役のアビゲイル・ブレスリンやキャメロン・ディアスが注目されるけれど、
ケイト役のソフィア・ヴァジリーヴァの眉そり・丸坊主での体当たり演技の方に目を奪われました。

敏腕弁護士の飼い犬ジャッジは「seizure(発作)dog」と呼ばれる介助犬で、
飼い主の態度や臭いでてんかん発作が起こるのを察知し知らせるように訓練されたわんこです。
以前、糖尿病患者の鼻の下をなめて血糖値異常を察知し飼い主の命を救ったビーグル犬を
テレビで見ましたが、てんかん発作を前もって知らせる犬もいるんですね。
動物の能力はスゴイ!
因みに、うちのわんこは一時期てんかん持ち(過去形)でしたが、私に察知能力は無く発作のたびに慌てましたが、全ての薬や注射を止めたところ発作はなくなり元気です。


カサヴェテス監督の作品では、2002年デンゼル・ワシントン主演でアメリカの保険制度に
一石を投ずる映画「ジョンQ」が良かったです。
こちらは息子を助ける為、父親が自らの命を賭け社会に訴えるドラマでした。



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 ***** 見た 映画 *****

 10月13日 「私の中のあなた」@109シネマズMM横浜

 10月14日 「マジェスティック」DVD ジム・キャリー主演の社会派ドラマ


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6 コメント

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Unknown (シナモンロール)
2009-10-16 23:07:34
これまた私見ていません。
映画はアメリカと同時に封切りされるのに、まったく観に行っていないって、もったいないんやけど、映画館で見たい映画にはなかなかないもんです。
でもコレは見ていればよかったかなと思いました。是非DVD借りてみます。

同じこどもでありながら、姉のために生まれてきた妹は、初めから存在の意味が違うんかなあ。
何が何でも愛する、守ってみせるという絶対的な親の愛はある子には注がれ、ある子には注がれないという理不尽は、医者の悪魔のささやきから始まったことなんやね。 人間って弱いんやなと考えさせるね。


ジムキャリーのマジェスティックは見た事あります!(こんな所で挙手してどうする)

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こんにちは (りどる)
2009-10-18 12:44:29
泣きに泣いたこの映画、原作とこんなにも違った結末だったんですね~。
映画のタイトルでは、家族それぞれにあるケイトへの思いだと思ったんですが、原作は正にケイトのなかにアナが・・・。
ジェシーも自分で消化したのかな偉いなとか、想像したのですが、やはり色々あったのですね。
色々知ることができました。ありがとございます。
わんこのエピソードも興味深かったです。ryokoさんのわんちゃん元気になって良かった!
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こちらにも、ありがとうございます。 (シナモンさんへ(ryoko))
2009-10-18 22:46:50
ご覧になったら感想をお聞かせ下さい。
科学の進歩は新たな悩みを生みますねぇ。

「マジェスティック」いい映画ですよね。次回はこの映画でアップします。
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Unknown (りどるさんへ(ryoko))
2009-10-18 23:05:59
やっぱり泣かされますよね、この映画。
病気の家族、特にそれが子どもで難病となればとても大変で、きれいごとでは済みませんよね。キャリアを捨てたり、寂しい思いをしたり、父と母の子どもへの思いや係わり方の違いからくるズレや互いへの不満。回復して元気になって欲しいという思いは同じでも、上手くいかなくなるってあると思います。
原作読んでみたくなりました。

あっ、うちのわんこへのコメント、ありがとうございます
6歳から3年間てんかん発作がありましたが、今は発作もなく老後の犬生を日向ぼっこなどしてまったりと謳歌しております
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こんばんは (hash)
2009-10-18 23:55:54
>科学の進歩は罪作り
本当ですね。
泣ける映画でしたが、考えさせられる映画でもありました。

>原作とは結末が違う
そうだったんですか。
原作の方は話が出来すぎのような気がしなくもないですが、いずれにせよ、タイトルが誰を表すか、原作と映画では異なってきますね。
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コメントありがとうございます。 (hashさんへ(ryoko))
2009-10-21 01:11:35
原作では結局アナはケイトを助ける為だけに生まれてきたことになっちゃいます。まさに「My sister's keeper」原題通りです。そうすることで、「兄弟を救う目的でもう一人子どもを産む」という行為対し強い疑問を投げかけることになるのかもしれません。
原作の意図を知るためには、やっぱり読まないとダメかなぁ?
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