映画の話でコーヒーブレイク

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物語る私たち  Stories we tell

2015-04-13 | 映画 ま行
現在30代半ばのサラ・ポーリー。
2003年の「死ぬまでにしたい10のこと」で23歳で余命2カ月と宣告され、事実を隠して
残される夫と娘たちのために10のことをこなしていく若妻を主演。
その後2006年27歳で「アウェイ・フロム・ハー」を監督。
認知症を患い介護施設に入所した妻の変貌に狼狽え苦悩する夫を描く重厚なドラマを、
20代の女優さんが監督するとは!っと驚かされました。
そして本作は、彼女の出生の秘密を探るドキュメンタリー作品です。
全く、才能あふれるサラ・ポーリーには毎回驚かされます。

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         物 語 る 私 た ちStories we tell
 
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「出生の秘密」って、日本ではタブーな話題。一昔前百恵ちゃんの「赤いシリーズ」を思い出します。
ところが、以前アメリカ人の友人に「私は養女なの。どうも実の両親は10代で養子に出したらしいのよ。
でも今の家庭に迎えられ私はとても幸せよ。育ての両親に感謝してるわ」っと笑顔でさらっと言われ、
聞いたわけでもないのに私の方がドギマギしたことを覚えています。
本作を見ても、アメリカやカナダでは、日本ほど「血縁」にこだわっておらず、それほど憚られる話題
というわけではないのかなぁ?

  
    サラ・ポーリー              母ダイアン
サラの母ダイアンは誰からも愛される明るくチャーミングな女優さん。
最初の結婚で2人の子供をもうけるも離婚。
舞台俳優と再婚し3人の子供に恵まれ、サラは末っ子。
サラが11歳の時、母は若くして亡くなり、上ふたりの子供が家を出て、サラは父に育てられた。
そんなポーリー家のお決まりのジョークは「サラだけパパに似ていないね」というもの。
(これ、ジョークにならんでしょう?)
そしてサラは自分の出生を、母ダイアンの人生を探り出す。
母を知る人たちにインタビューするうちにダイアンの秘密の恋が明らかに。 
  
      
           兄2人、姉2人、真ん中のプラチナブロンドがサラ              

知らない方が幸せなこともある。
自分自身傷つくかもしれないし、育ててくれた大好きな父を傷つけることになるかもしれない母の過去。
母の人生を紐解くうちに、本当の父が別にいたことを知る。
見ているこちらまでドキドキしました。
そして本当の父もかつてゴールデングローブ賞を受賞した演劇人であることがわかる。

ともするとシリアスでヘビーになりそうなテーマを、湿っぽくならず軽やかに描く手腕は流石です。
どうもサラ本人は当初描きたくなかったようだけれど、育ての父は手記を書き、
演劇人の実の父はこれこそ描くべきテーマだとやはり経緯を文章で綴る。
だったら私が自分でというふうに見受けられました。
文学でも私小説というジャンルがあるけれど、演劇をする人たちってやはり自分の稀有な経験は
作品にという発想になるのかなぁ~っと思いました。

育ての父も、実の父も、兄弟たち、母の友人たち、みんなが語る母の人生。
奔放なところのあった母だけれど、みんなが母を愛していたこと、
そしてみんながサラを、家族を愛していることが伝わってくる素敵なドキュメンタリーなのでした。

     
           サラと育ての父…このお父さんが良い方です。

でもまぁ…サラ自身30歳を超え、お母さんが亡くなって久しいからできたことだよね。
お母さんが生きていたら…、サラが20歳前後だったら…こんな風にはならなかったよね。


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