映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

いのちの子ども

2011-11-01 | ドキュメンタリー
今年9月、パレスチナが国連加盟を申請したことで益々混迷する和平交渉。
そんな中「ユネスコ」がパレスチナの加盟を承認したというニュース。早速イスラエルが不快感を表明。
う~ん、和平に向けて進んでいるんだか決裂に拍車をかけているんだか?

本作は2010年アメリカ・イスラエル制作のドキュメンタリー映画です。
舞台は紛争が絶えないイスラエルとパレスチナ。
ガザ地区に住む白血病で重体のアラブ人の赤ん坊がイスラエルの病院に運び込まれた・・・。
これだけで、かなり深刻な展開であることが予想されます。


     *****************

       い の ち の 子 ど も
           PRECIOUS LIFE

     *****************

 < ストーリー >
イスラエルの記者エルダールは、テル・アビブ郊外の病院に勤務するイスラエル人医師ソメフから
協力要請を受け、骨髄移植が必要なパレスチナ人の赤ん坊ムハンマドを救うためテレビで寄付を
呼びかける。程なく戦争で息子を亡くしたイスラエルの男性が、匿名で資金援助を申し出る。
続いて骨髄提供者を選ぶために、ムハンマドの家族、親族が検査を受け、従姉が適合者と判明する。
折しもガザで大規模な爆破事件が発生し、提供者はイスラエルに入国できなくなる。
3日後、ようやく入国し手術はひとまず成功する。
ムハンマドの入院中、エルダールはムハンマドの母親ラーイダにインタビューをし、
お互いの考え方の相違に愕然とするが・・・。


             ムハンマドと兄
     
パレスチナには満足な病院がなく、重篤な患者のみ入国が許されイスラエルの病院で治療が受けられる。

パレスチナ人の子供を救うため治療にあたるイスラエル人医師。
テレビでこの子を救うために寄付をと呼びかけるイスラエル人記者。
治療の費用援助を匿名でするイスラエル人。
アメリカとイスラエル共同制作の映画だし、慈悲深いイスラエル人の美談ストーリーに聞こえるけれど、
パレスチナ人が住む地域を爆撃し、生活を、命を脅かしているのもイスラエル人。

一方、子供を助けてもらったことで彼らに感謝する家族。

合間に会話をしたエルダールとラーイダは、互いに「エルサレムは自分たちのものだ」と譲らない。
エルダールの質問に「パレスチナ人の命なんてなんの価値もない。私たちは死を恐れない。
誰もがエルサレムのためなら命を捧げられる。ムハンマドが殉教者になってもいい」と答えるラーイダ。
その言葉にショックを受け、失望するエルダール。

善意で助けた子供がテロリストになって帰ってきたら・・・? 複雑な思いです。

でも、イスラエル人に助けられたことで、パレスチナ人たちから裏切り者のそしりを受け、
心乱れていたラーイダの葛藤を知ることになるエルダール。

一家がガザに帰る日、医師ソメフは「いつかムハンマドと私の息子が一緒に遊ぶようになってほしい」と語る。
3ヶ月後、再びガザが爆撃され、一家の身を案じるエルダールと医師ソメフ。
「半年間一緒に過ごした私たちをイスラエル人が傷つけるはずはないと思っていた」と語るラーイダ。


命の危機にある子供を前に、個人レベルでは手を差し伸べ、助け、心から感謝し、互いに心を通わせる
ことができるのに・・・国や人種、宗教などの集団になると簡単に命の奪いあいが起こる。
どちらの側の人たちも、家族思いのこころ優しい人たちなのに・・・。

何とか共存する道はないもんかねぇ?

出産のため再度病院を訪れたラーイダとムハンマドを、エルサレムに案内するエルダール。
なのに…出産直後の女性は入れないだとー ここに来れただけで満足だというラーイダ
ムハンマドはヘブライ語で「ありがとう」という言葉を口にし、「この子の命は尊い」と答えたラーイダ。


平和な日本に住む私には何も言えませんが、
最後のラーイダの言葉にホッとするとともに、双方が穏やかな生活を営めるようにと
祈ってやみません。

映画に出たことでムハンマド一家のパレスチナでの立場は危うくなってないだろうか?
匿名で資金を援助したイスラエル人も大丈夫なのかしら?

何とか・・・ならん?


こころ揺さぶられるこのドキュメンタリー、是非見てください。
過酷な状況、複雑な思い、エルサレムへの思いなど、私の言葉では伝えきれません。




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 ***** 見た 映画 *****

 10月30日 「ソリタリー・マン」DVD マイケル・ダグラス主演、スーザン・サランドン、ダニー・デビート共演
         成功とどん底、両方を見た男の孤独な飛んでも転落人生。
         心臓病を宣告されたからって・・・家族はやってられんよねぇ。
         終わり方も中途半端で見てるこちらもやってられん! 映画館で見たら切れるレベル。
         


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