映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

最強のふたり  INTOUCHABLES

2012-09-21 | 映画 さ行
話題のフランス映画です。
2011年にフランスで最大のヒットとなり、
東京国際映画祭のコンペティション部門で東京サクラグランプリと最優秀男優賞を受賞
セザール賞で8部門がノミネートされ、主演男優賞を受賞 というだけあって人気が高く、
平日なのにネットでチケットを取らずふらっと出かけたら、前列2列しか空いてませんでした
已む無く2列目で鑑賞。
次々流されるアクション系の予告編を見ただけで首と目が疲れました 

ここまで書いて原題の「INTOUCHABLE」って英語の「UNTOUCHABLE」と同じ意味かなぁなんて
思いながら筆が進まず、2週間も経ってしまいました
そんな中、今朝NHKで一瞬写ったニュース映像に「INTOUCHABLES 2」の文字を見つけました。
えっ、「最強のふたり」の原題に「2」が付いている?!どういうこと?
NHKのニュースというのは、
ネットに流された米国の映像の中に預言者モハンマドを侮辱する描写があるとしてイスラム教の国々で
抗議の嵐が吹き荒れる中、フランスの雑誌「シャルリー・エブド」がムハンマドの風刺画を水曜日に載せる
ということで、政府やフランスのイスラム団体が冷静に対応するよう呼びかけているというものでした。
こんなことしたら火に油を注ぐようなもんやないかー、収まるもんも収まらへんな~とため息をつきつつ、
ググってみたら問題の風刺画が出ていました。

車いすに座ったムハンマドを、帽子を被りもみあげクルクルのおじさんが押している絵で、本作の続編を
もじった絵であることは明らかです。右のおじさんはユダヤ教徒?なのかキリスト教徒なのか?
フランスで大ヒットということで誰もが知るこの映画。相容れない二つの宗教界が映画のように
歩み寄り友情を築ければ…という意味を込めているのでしょうか?
だとすれば悪くないんじゃない~という気になりますが、偶像崇拝禁止のイスラム教徒にとって
ムハンマドを漫画にしてしまうだけで許されない冒涜行為ということですね。
吹き出しの文字の意味は私にはわかりません。報道によると「笑い飛ばそう」という見出しが付いているとあるので、そういうことなのかな。

moquerが「笑い飛ばす」という意味のようですが・・・。

そこで原題の意味をもう一度考えてみました。
そもそもケヴィン・コスナー主演の「アンタッチャブル THE UNTOUCHABLES」。
「禁酒法時代のシカゴを舞台に、正義のためにギャングのボス アル・カポネを逮捕しようとする
アメリカ財務省捜査官たちのチーム「アンタッチャブル」の戦いの日々を描く」とあるように、
捜査官チームを指しているとずっと思っていたのですが、UNTOUCHABLESとあるように
複数形ということはギャングのアル・カポネの方をも指しているということなのじゃないでしょうか?
辞書を見ると、untouchableって「いかなる手段によっても負かしたり、処罰したりできない強い立場にある」という意味なので、賄賂や恐喝にもゆるぎない捜査チームと社会ののけ者たるギャング両方を指しているのかなぁ?と思った次第です。
インドのカースト制度の最下層を指す言葉でもあるようです。

本作の原題も「INTOUCHABLES」と複数形。
車椅子の大富豪と介護者のふたりの状況を考えると「普通なら出会うことのないふたり」
「住む世界の違うふたり」という意味だと解釈すると「最強の」というより腑に落ちる気がしますが…
どうでしょう?  (フランス語のお得意な方、ご教授お願いします。)


   
   *************************

         最 強 の ふ た り    INTOUCHABLES
   
   *************************



 < ストーリー >
パラグライダーの事故で首から下が麻痺し、車椅子生活を送る大富豪のフィリップ。
介護者募集の面接にやってきたスラム出身の黒人青年ドリスだが、働く気はなく「不採用」証明書3枚で
支給される失業手当が目当てだった。しかし、並み居る有資格の候補者を退け、周囲の反対をよそに
フィリップはドリスを選ぶ。
フィリップを障害者扱いせず、陽気でマイペースなドリスに、周囲の人々も心を開き・・・。


実話に基づくストーリーというのに少なからず驚きました。
この映画、非常に好きなストーリーで、友人にも薦めてまわっているのですが、
ちょっと書くのが躊躇われました。

「障がい者と盗みの前科のある黒人青年が心を通わせるストーリー」といってしまうと、
拙い文章では自分の感動をうまく伝えることができないのではないか? 誤解を招くことにならないか?
最近は「障がい者」で「害」の字は使っちゃいけないんだろうか?とかいろいろ慮ってしまって、
途中で止めてしまったのです。事故で障がいをおったというフィリップを、どうしても
「お気の毒に」と思ってしまう。

この感情って、映画の中で介護者募集の面接にきた応募者たちがフィリップに対して抱いていた感情と
同じじゃないか?と思いました。
そんな中、「不採用通知」が欲しくてやってきたドリスにはフィリップを慮る気持ちなど
これっぽっちもなく、障がいがあっても全く遠慮しないドリスに好感を持ったということなのでしょう。
今まで会ったことのないタイプということで興味を持ったということもあったかもしれません。

一方のドリスは複雑な家庭環境の中、問題を起こし母を悲しませている弱みがあり、
まっとうな職にありつけ今までかかわったことのないリッチな生活に興味深々。

スポーツカーに乗り、ハンググライダーをやっていたという活動的なフィリップにとって
身体が動かずあらゆることに人の手を借りて屋敷の中で過ごすというのは想像を超えた苦痛でしょう。

ある日、誰も乗らないカバーを掛けたスポーツカーに気付いたドリスは、フィリップを乗せて疾走します。
そこでかかる音楽がアース・ウインド&ファイヤー。懐かしい~。
アース・ウインド&ファイヤーの曲って元気が出ますよね
昔のTVドラマ「アリー・マイ・ラブ」の中で落ち込んだアリーが精神科医のセラピーを受け
ここ一番勝負の時には頭の中で鐘を鳴らして、気持ちが高揚する曲をテーマ曲として鳴らせとの
アドバイスを受けます。そこで選んだ曲がバリー・ホワイトの「You're The First, The Last, My Everything 」。
アース・ウインド&ファイヤーの「セプテンバー」も気分をあげるテーマ曲にピッタリです。
フィリップは久々に、車で疾走し風を感じる快感を思い出す。

ここからふたりは経験したことのないそれぞれの世界の扉を開け、色んなことに挑戦していきます。
クラシック音楽を愛し美術に造詣が深いフィリップから多くを学ぶドリス。
フィリップもドリスから学び、活動的だったかつての自分を取り戻していく。
変わっていくのはふたりだけでなく、お屋敷で働く人たちも影響を受けどんどん陽気になっていく

後半、恋にも目覚めるフィリップ。そこで一肌、いや二肌脱ぐドリス。ええ奴ちゃなぁ~
そう、基本的にドリスは心根の良い奴なんです。
ドリスに出会うことが無ければ出会うことが無かったであろう女性との出会いを得て
立ち直るフィリップ。

そしてその後、突然訪れるフィリップとドリスの別れ。
でも、悲しい別れではなくドリスの自立ということになっていくようです。

歳も趣味も性格も、澄む世界も何もかもまったく違う2人だからこそのケミストリー。
しっとりとした人情ものというより、さらっと、軽快にコメディタッチで描かれ、
最後にグッとくる素敵な映画、お勧めです。

ドリスを演じるオマール・シーがいいね
この方、コメディアンでもあるのですね、やっぱり。
この映画の成功は彼の存在によるところが大きいですね。


最後に、元気を出すテーマ曲「SEPTEMBER」を張っておきます。
この映像を見て、インド映画「ロボット」のメタリックな感じを思い出しました。










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 ***** 見た映画 *****

 9月16日 「ムーラン・ルージュ」DVD ニコール・キッドマン、イアン・マクレガー主演

       「昼下がり、ローマの恋」DVD ロバート・デ二ーロ、モニカ・ベルッチ主演 オムニバス3話

 9月17日 「サルトルトヴォーヴォワール 哲学と愛」DVD 

 9月18日 「キリング・フィールズ 失踪地帯」DVD 
          サム・ワーシントン、クロエ・モレッツ、ジェフリー・ディーン・モーガン主演


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アース・ウインド&ファイヤー (iina)
2012-09-21 09:42:34
アース・ウインド&ファイヤーの「セプテンバー」を、朝から聴いて元気が出ました。
平日なのに前列2列しか席が空いてないとは、「最強のふたり」は人気ですね。喜劇仕立ての映画におおいに笑わされました。

ryokoさんは大阪生まれの神奈川暮らしでしたか。
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Unknown (iinaさんへ(ryoko))
2012-09-22 22:08:55
この曲は元気出ますよねぇ。
大いに笑って、驚いて、ジーンときました。

はい、私は浪速生まれのハマ暮らしです。
返信する
Unknown (massigla)
2013-05-27 21:40:35
こんにちは。

今、『最強のふたり』を見たところで、この邦題はひどいよなあと思いながら検索して辿りついたところです。

タイトルも作品の一部なんですから、アクション映画かと思うような安易なタイトルはひどいですよね。

漫画の台詞は「笑いものにするなよ!」と両方がいっている図でありますね。
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Unknown (massiglaさんへ(ryoko))
2013-05-29 00:01:30
 いらっしゃいませ。
コメント残してくださって、ありがとうございます。
いい映画でしたよね。

>アクション映画かと思うようなタイトル
確かに・・・ファイターを思わせるタイトルですね
ムハンマドを巡っては以前からデンマークの新聞の漫画も問題になりましたが、漫画化すること自体もってのほか。
互いの文化を理解し尊重していきましょうよと言いたいですね。
http://blog.goo.ne.jp/nryoko1220/e/643f60d988e163ac29c17074b6ce0159 に「INTOUCHABLE と UNTOUCHABLE」について、後でわかったことを書いておきました。
返信する
Unknown (楽天売れ筋お買い物ランキングさんへ(ryoko))
2015-09-01 21:13:49
こんばんは。
TBありがとうございました。
楽天ブログにコメントを残すには登録が必要なようで、コメント・TBともに残せなかったので、私のブログにコメントを残させていただきます。

『アントゥーシャブル』なふたりがひよんなことから関わることになり、遠慮なく対等にぶつかり友情を育んでいく様に心揺さぶられました。
オマー・シーのキャラがとてもいいですよね。最近「ジュラシック・ワールド」などハリウッドメジャー作品にも出演していますが、彼の個性を活かせる作品にめぐりあえていないのが残念です。



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