J・K・シモンズが本年度アカデミー助演男優賞受賞した本作。
やっと見ることができました。
期待に違わぬド迫力!
最後の最後まで息をつかせぬ展開に、のめり込みました。
本作が3部門(助演男優賞、録音賞、編集賞)しか受賞していないとは!?
それどころか、主演男優賞(マイルズ・テラー)、脚本賞、監督賞(デミアン・チャゼル)にノミネートすら
されていないことに驚きです。
因みに、主演男優賞は「博士と彼女のセオリー」のエディ・レッドメイン、
作品賞、脚本賞、監督賞は「バードマン」、脚色賞は「イミテーション・ゲーム」が受賞しました。
私としては、上記4作品を見たうえで本作が一番見応えがありました
あっ、助演男優賞受賞のJ・K・シモンズは「スパイダーマン」シリーズではいけ好かない新聞社の編集長
「ジュノ」では娘を愛する心優しいお父ちゃんを演じておられた役者さんです。
J・K・シモンズ マイルズ・テラー
マイルズ・テラーはニコール・キッドマン主演の「ラビット・ホール」での控え目な演技とはうって変わって、
ドラマーとして成長してゆく主人公を熱演。
***********************
セ ッ シ ョ ン WHIPLASH
***********************
< ストーリー >
名門音楽大学に入学したアンドリュー・ニーマンはジャズドラマーとして一流を目指す若者だ。
ある日大学のフレッチャー教授のバンドにスカウトされ指導を受けることになる。彼に認められれば
一流のドラマーとして前途洋々と練習に励むが、常に完璧を求めるフレッチャーは容赦ない罵声を浴びせ
次第に常軌を逸してゆく。フレッチャーの狂気に呼応するように、アンドリューは恋人を切り捨て、
憑りつかれたようにのめり込んでゆくのだが…。
原題の「WHIPLASH」は曲のタイトルであり、「鞭で打つ」という意味。
フレッチャー教授の指導は、まさに「鞭で打つ」スタイルです。
このタイトルでボードレールの短編集「パリの憂鬱」のなかの「貧乏人を殴り倒そう」という
題名の一遍を思い出しました。
大学の英語の先生が「僕のやり方は『貧乏人を殴り倒そう』スタイルです。どういうことが知りたかったら
ボードレールを読んで見よ」と仰って、短編集を買って読み、先生の意図を理解しました。
この先生の授業がそんなに厳しかったのか?記憶はないのですが、学期初めに「たるんでたらあかんぞ!」っと喝をお入れになったのでしょう。授業よりもボードレールのこの題名が記憶に残っています。
哀れにお金をせびる物乞いの男を殴り続けると、最後には物乞いが殴り返してきて倒される。
物乞いに「君と僕は対等だ」と身を挺して激励するというような話だったと思います。
「褒めて育てる」と対極にあるこの教育法。鞭で打たれてなにくそー!負けるもんか!っと立ち上がるか、
打たれて力尽き倒れるか?教わる側の性格にもよるよねぇ。
相撲の世界の「かわいがり」やないですが、こういうやり方はエスカレートしていくと本末転倒、
一線を越え、思いがけない悲劇を生むことにもなりかねません。
後半、フレッチャー演じるド迫力のJ・K・シモンズの顔が般若に見えました。
ここまでやるか…。
そして従順に従い追い詰められたアンドリューは憑りつかれたようにドラムに向かい、性格まで
フレッチャーのように過激にシンクロしていく。
ドラムの叩き方が徐々に早くなるように緊張が高まったところでプッツリ。
緊張の糸が切れ、ドラムを諦めるアンドリュー。
別の道を歩むふたり…これで終わりかと思いきや!?
再会。なんだか穏やかな会話が交わされ、ホッとしたのもつかの間、
笑顔の裏でとんでもない罠を仕掛けるフレッチャー。
激しいドラムの演奏のなか、舞台の上で繰り広げられるバトルに目が離せません
フレッチャーは優れた教育者なのか? はたまた狡猾なサイコ野郎なのか?
最後までこんなに目を見張ってのめり込んだのは久しぶりです。
現実問題として、この後こんな壮絶バトルを戦った二人はどんな会話をし、どういう関係になるのか?
に興味ありです。
若干28歳でこの映画の脚本・監督をしたデミアン・チャゼル。恐るべし!
スピルバーグが「激突」を撮ったのは26歳。
チャゼル監督の次回作、楽しみです。
***** 見た 映画 *****
6月 9日 「セッション」@TOHOシネマズシャンテ
「アドバンスト・スタイル そのファッションが人生」@TOHOシネマズシャンテ
6月10日 「トゥモローランド」@イオンシネマ海老名
やっと見ることができました。
期待に違わぬド迫力!
最後の最後まで息をつかせぬ展開に、のめり込みました。
本作が3部門(助演男優賞、録音賞、編集賞)しか受賞していないとは!?
それどころか、主演男優賞(マイルズ・テラー)、脚本賞、監督賞(デミアン・チャゼル)にノミネートすら
されていないことに驚きです。
因みに、主演男優賞は「博士と彼女のセオリー」のエディ・レッドメイン、
作品賞、脚本賞、監督賞は「バードマン」、脚色賞は「イミテーション・ゲーム」が受賞しました。
私としては、上記4作品を見たうえで本作が一番見応えがありました
あっ、助演男優賞受賞のJ・K・シモンズは「スパイダーマン」シリーズではいけ好かない新聞社の編集長
「ジュノ」では娘を愛する心優しいお父ちゃんを演じておられた役者さんです。
J・K・シモンズ マイルズ・テラー
マイルズ・テラーはニコール・キッドマン主演の「ラビット・ホール」での控え目な演技とはうって変わって、
ドラマーとして成長してゆく主人公を熱演。
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セ ッ シ ョ ン WHIPLASH
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< ストーリー >
名門音楽大学に入学したアンドリュー・ニーマンはジャズドラマーとして一流を目指す若者だ。
ある日大学のフレッチャー教授のバンドにスカウトされ指導を受けることになる。彼に認められれば
一流のドラマーとして前途洋々と練習に励むが、常に完璧を求めるフレッチャーは容赦ない罵声を浴びせ
次第に常軌を逸してゆく。フレッチャーの狂気に呼応するように、アンドリューは恋人を切り捨て、
憑りつかれたようにのめり込んでゆくのだが…。
原題の「WHIPLASH」は曲のタイトルであり、「鞭で打つ」という意味。
フレッチャー教授の指導は、まさに「鞭で打つ」スタイルです。
このタイトルでボードレールの短編集「パリの憂鬱」のなかの「貧乏人を殴り倒そう」という
題名の一遍を思い出しました。
大学の英語の先生が「僕のやり方は『貧乏人を殴り倒そう』スタイルです。どういうことが知りたかったら
ボードレールを読んで見よ」と仰って、短編集を買って読み、先生の意図を理解しました。
この先生の授業がそんなに厳しかったのか?記憶はないのですが、学期初めに「たるんでたらあかんぞ!」っと喝をお入れになったのでしょう。授業よりもボードレールのこの題名が記憶に残っています。
哀れにお金をせびる物乞いの男を殴り続けると、最後には物乞いが殴り返してきて倒される。
物乞いに「君と僕は対等だ」と身を挺して激励するというような話だったと思います。
「褒めて育てる」と対極にあるこの教育法。鞭で打たれてなにくそー!負けるもんか!っと立ち上がるか、
打たれて力尽き倒れるか?教わる側の性格にもよるよねぇ。
相撲の世界の「かわいがり」やないですが、こういうやり方はエスカレートしていくと本末転倒、
一線を越え、思いがけない悲劇を生むことにもなりかねません。
後半、フレッチャー演じるド迫力のJ・K・シモンズの顔が般若に見えました。
ここまでやるか…。
そして従順に従い追い詰められたアンドリューは憑りつかれたようにドラムに向かい、性格まで
フレッチャーのように過激にシンクロしていく。
ドラムの叩き方が徐々に早くなるように緊張が高まったところでプッツリ。
緊張の糸が切れ、ドラムを諦めるアンドリュー。
別の道を歩むふたり…これで終わりかと思いきや!?
再会。なんだか穏やかな会話が交わされ、ホッとしたのもつかの間、
笑顔の裏でとんでもない罠を仕掛けるフレッチャー。
激しいドラムの演奏のなか、舞台の上で繰り広げられるバトルに目が離せません
フレッチャーは優れた教育者なのか? はたまた狡猾なサイコ野郎なのか?
最後までこんなに目を見張ってのめり込んだのは久しぶりです。
現実問題として、この後こんな壮絶バトルを戦った二人はどんな会話をし、どういう関係になるのか?
に興味ありです。
若干28歳でこの映画の脚本・監督をしたデミアン・チャゼル。恐るべし!
スピルバーグが「激突」を撮ったのは26歳。
チャゼル監督の次回作、楽しみです。
***** 見た 映画 *****
6月 9日 「セッション」@TOHOシネマズシャンテ
「アドバンスト・スタイル そのファッションが人生」@TOHOシネマズシャンテ
6月10日 「トゥモローランド」@イオンシネマ海老名
忍んで耐えた対岸に、乗り越えた技を会得できるのでしょう。その人の才能を目覚めさせるの大変です。
忍んで耐えた対岸・・・向こう岸は遠いなぁ~。対岸にたどり着けず、力尽き川で溺れた屍累々ですね。
あっこまでやらんとあかんのですかねぇ?
ふたりのあいだに主従の力関係がある関係は危険ですね。
褒めて育てるも行き過ぎると問題あり。
教わる側の性格や資質も十人十色。
いずれも程よい塩梅を保つのは難しいです。
「WHIPLASH」だと分かりにくいのは理解出来るのですが、曲名とフレッチャーの指導の仕方も表している訳ですしね。
コメントありがとうございます。
そうですね。本作は壮絶です。とても「セッション」なんてレベルではないですね。
演奏する曲名と指導の仕方と懸けた「WHIPLASH」はとても上手いネーミングだと思いました。
でも日本語カタカナ読みだと確かに分かり難いですね。