映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

少女は自転車にのって

2015-05-20 | 映画 さ行
サウジアラビアの映画です。
中東の中には、エジプトやトルコ、モロッコ、首長国連邦のドバイやアブダビなど
日本人も含め多くの外国人が観光で訪れる国もあれば、政情不安で渡航禁止とされる国々、
そして政情に関係なく観光の対象にならない国があります。
サウジアラビアに観光ってあまり聞いたことがないですよね?
最近イエメンとの国境あたりで空爆とサウジでも政情不安が広がっていますが、
観光地認定されないのは中東の中でも戒律が厳しいから?



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               少 女 は 自 転 車 に の っ て

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 < ストーリー >
ワジダは10歳のお転婆娘。近所の男の子アブダラのように自転車にのりたくて仕方がない。
しかしながら、厳格なイスラムの戒律と習慣を重んじるサウジでは女の子が自転車に乗ること
に大人たちは眉をひそめる。ある日、新品の自転車が入荷するのを目に、したワジダは一目で
気に入り、内緒でミサンガを作って学校で売って自転車代800リアルを工面しようとする。
そんな時、学校でコーラン(クルワ―ン)の暗唱コンテストが行われ優勝賞金が1000リアル
であることを知ったワジダは苦手なコーランの猛勉強を開始する。
果たしてワジダは自転車を手に入れ、乗ることができるのか?

       
        ワジダとアブダラは幼馴染み?で仲良しだ。
        どちらかと言えば、アブダラはワジダに押され気味。

女性の人権がイスラム国の中でも低いと言われるサウジアラビア。
先日亡くなった国王の英断で2012年から女性の下着や化粧品を売る店では女性の雇用が
認められるようになったというニュースを聞きました。
まだまだそんなレベルなんだ…っで、以前耳にした面白い話を思い出しました。
サウジに駐留する米軍の女性パイロットは戦闘機を操縦するのにもかかわらず、
基地の外では自分で自動車の運転が認められず、男性にエスコートしてもらわなければならない
っというのです。えぇーーーっ!外国人でも、戦闘機のパイロットでも、女性は自動車の運転が
できないんだぁ~と驚かされたのでした。

本作でも、ワジダのお母さんは職場(女性のみ)までの送迎に、男性運転手を雇っていましたし、
学校内でも、外から男性の目に触れる所からは速やかに立ち去るよう先生が生徒に指導、
髪はスカーフの中に入れ「アバヤ」という黒く長いローブのような服を着るようになど
日本人の感覚では到底受け入れられないような細かな規制が当然のこととして
描かれています。
      
そんな中、現代っ子のワジダは、校則を破ったり、ジーンズにスニーカーで西洋音楽を聴き、
アブダラと自分の自転車に乗って競走したくてたまらない。勝てると確信しています。
女の子がサウジの常識を覆し自転車を手に入れる手段として、厳しい行動規範の大本であるコーランを
必死に勉強するっというのが何とも滑稽です。
      コーランの勉強中
            
ワジダの母世代は、規範を守り、男の子を産めないからと第二夫人を娶る夫に抗議もできずじっと耐える
ばかり。でも母は最後にワジダに希望を託す行動に出ます。
(日本でも随分昔は男の子を産めないと離縁されるなんてことがありましたっけ)
        母を慰めるワジダ 

ワジダが暗唱大会で優勝し賞金を手にしたか?
自転車を手に入れることができたのか?
それは、本作をご覧になってくださいね。(DVDが出ています)

本作の監督はサウジの女性です。(まぁ、サウジの男性監督はこんな映画撮らないでしょうね。)
外国人クルーを招いての撮影ですが、出演者は全員サウジ人で撮影もサウジで行ったそうです。
公開後、出演者たちが批判の嵐に曝されて…なんてことになっていないか?と心配したのですが、
果たして本国で公開されたかどうかはわかりません。
撮影では女性であるがゆえに現場に立ち会えず離れた所から無線で指示など、苦労があったようです。
女性監督の登場やワジダ世代の成長によって、サウジアラビアも少しずつ変わっていくことを
期待したいです。

本作を見て、1997年のイラン映画映画「運動靴と赤い金魚」を思い出しました。
           
サウジアラビア(スンニ派)とイラン(シーア派)は宗派の違いから中東で覇権争いを
繰りひろげていますが、雰囲気がよく似ています。
親に「運動靴を買って」と言えず一足の靴を妹と分け合い、2位だか3位だかの賞品の運動靴を妹に
あげるためにマラソン大会に出場し優勝してしまう心優しいイランの兄の物語。
18年ほど前の映画なので比較はできませんが、どちらの映画も、子供たちが親思いで健気です。
昔の日本の子供たちもこんな風だったよなぁ~。
人種・言語・宗教が違えども、共感できるお奨めの映画です。

      ワジダの笑顔がいいね




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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (風子)
2015-05-22 11:52:44
宗教の教えが大きな社会規範となっていると、
改革ってなかなか難しいのでしょうね。
何でもかんでも欧米化がいいとは思いませんが、
女性がのびのび暮らせるようになるといいですね。

最近なぜかgooブログにTBが送れなくて、
お返しのTBができなくてすみません。
m(_ _)m
返信する
Unknown (セレンディピティ)
2015-05-23 19:15:49
こんにちは。
最近、gooブログにTBできなくなってしまったので
コメントにて失礼します。

初めて見るサウジアラビアの映画...
かの国の女性たちが抱えている現実に驚くことばかりでしたが
少女の目を通してさわやかに、軽やかに描いているところがすてきでしたね。
お母さんからワジダへと手渡された希望のバトンに、胸が熱くなりました。

http://serendipitydiary.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-f5ef.html
返信する
Unknown (風子さんへ(ryoko))
2015-05-24 01:10:14
いつもTBいただき、ありがとうございます。
gooにTBできなくなったのですか!?
どうしたのでしょうね
でも、コメントが頂きけてうれしいです。

現代社会で、宗教がこれほど女性の行動を規制するというのに驚かされます。でも女性監督が現地でこの映画を作り、アカデミー賞で注目され、サウジで公開の是非が議論になったというのは大きな一歩だと思います。
>女性がのびのび暮らせるようになるといいですね。
同感です。

今後とも、よろしくお願いします。
返信する
Unknown (セレンさんへ(ryoko))
2015-05-24 01:17:33
こんばんは。
セレンさんも…cocologですよね。どうしちゃったんでしょうね。 コメント、ありがとうございます。

今の時代に、日々これほど宗教的にいろんな制限を受けているということには驚かされますね。
この映画が女性監督の手で作られたこと、サウジ内で公開の是非が議論になったこと、少しずつですが変化の兆しと言えるでしょうね。
ワジダ世代が大人になるころには…っと期待したいですね。
返信する

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