40年前(1970年代)に聞いた(読んだ)話を今私がする様になっている。当時私は20才前後。その頃はJBLの43シリーズが雑誌を賑わせて、#4343のオーナーになる事が一つのステイタスになっていた時期が有る。その頃、先輩達(たぶん今の私の年齢の方達)が盛んに云っておられた事が、立場を変えて思い出される。
JBL43シリーズの音は「痩せて細い」、「表情の豊かさが無い」、「エネルギー感が無い」等非常に厳しい先輩達の評価だった。それに対して若かった私は「反感」さえ思ったモノだ。今考えると「音の世界の広さ」と「音の深さ」を知らなかったのだと思う。
最近10年間に仕事として「音質アップ」に取り組んで、「良い音とはどんな音なのか?」がボンヤリ見えて来た。あれほど欲しかった#4343も27年も使いこんでも欲しい音にはなれない事が判って来た。当時先輩達が云って居られた事が正しくて、若かった自分には理解できない世界で有ったと思う。
結局、SPに関しては色々使ってきた結果、1970年以前のユニットに拘る様になって来ている。それも1950~1960年代の50~60年も前のユニットに辿り着いている。
多分この記事を読まれた若いオーディオマニアの方は、私の最近の記事に反感を持たれるかもしれない。でもその方達も、まっすぐにオーディオと向き合って40年も経てば今の私の心境が理解できる様になると思う。
WEのユニットが伝説化している様に、JBLの古いユニット達も伝説化されるかも知れない。その本質は「ユニットから出る質感」に他ならない。最近のコーン型やドーム型のユニットでは出ない質感が有ると云う事を・・・。