仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

浄土真宗という物語

2010年12月29日 | 浄土真宗とは?
昨日、坊守が○さんの奥さんがなくらなれたので、お通夜に行ってきますという。

後で聴くと、○さんは、結果的には卵巣がんでしたが、病院での検診を拒みつづけ、夏ごろから異常に痩せていたという。家族、親せきがやっとの思いで病院へ行かせたが、その検診の最中に心停止し、そのまま10日後にご逝去されたのだそうです。

人はそれぞれの物語をつむぎながら生きています。突然の死や病気は、今までつむいできた物語が断ち切られる時でもあります。おそらく今まで培った物語が断ち切られるのを恐れ、病院を拒み続けてきたのでしょう。

20年前、がん患者のIさんは、私の布教所を訪ねてこられたことがあります。肺がんを患い、余命の終わりを告げられたIさんは、ご自身の今の心境を沢山お話になれました。

私が「今の心境は」とお尋ねすると、「毎日がジャンボ宝くじに当たったような気持ち」と、かけがえのない一日を迎えるお気持ちを表現されました。そのIさんも、初めて医師から病名を告げられたとき、「これは私に与えられた試練だ」と思ったと言います。

1つの出来事を試練として受け入れる。試練と受け入れるときに今まで紡いできた物語が断ち切られることなく未来に続いていくのだと思います。

がんになって違った物語を紡ぐ人もいます。また信仰によって、自分の物語や病気の事実を受け入れる人もいることでしょう。

“私が浄土に往生する”とは、これも私に与えられる物語だともいえます。また“迷いの人生がこの度の一生で終わり仏になる”と、物語にピリウド打ち、迷いの物語を完結させるという表現も可能です。

現代に永遠に続く物語を語る。これも浄土真宗のお寺の為すべきことでしょう。

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