仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

参拝者の中身が問題

2024年08月11日 | 都市開教
『週刊新潮』(2024.8.15.22日号)に、「開発途上国型の観光から先進国型に転換」という記事が掲載されていました。
本願寺も「おまえりしたくなる本願寺へ」という目標を掲げているので、清水寺のように人が多く集まれば良いのではなく、そこに質をどう入れこんでいくか、参考になるので、一部転載して、記憶に留めます。


「2030年に(年間)訪日客6000万人を目指す」

 今年4月、政府は改めてこうした方針を打ち出しました。訪日外国人観光客の数が増え、日本の素晴らしさが多くの人に伝わり、そして日本経済が潤うことは、観光に関する研究を続けてきた私としても大いに歓迎するところです。
 しかし一方で、こうも感じました。
 「政府はどれだけ。本気”なのだろうか」
 こう話すのは、九州大学アジア・オセアニア研究教育機構准教授の田中俊徳氏だ。
 環境政策・ガバナンス論を専門とする田中氏は、ユネスコ本部世界遺産センターなどで研究し、観光のあり方についての論考を重ねてきた。
 6月に著書『オーバーツーリズム解決論』を上梓した田中氏が続ける。
なぜ、「6000万人目標」の本気度が気になったのか。それは、もし今のような状況のまま訪日客が増え続けたら、日本が“パンク”してしまうのは目に見えているからです。
 オーバーツーリズム。
 この問題が解決しない限り、6000万人どころか、3477万人(今年の訪日客の予測値)ですら多すぎると、眉をひそめる人もいるのではないでしょうか。実際、外国人を含む大量の観光客による大混雑に巻き込まれ、不快な思いをした経験がある人は少なくないはずです。
 にも拘らず、入域者数の上限設定や入域料の徴収等を行ってきた諸外国に比べ、日本のオーバーツーリズム対策は後手に回っていると言わざるを得ません。
(中略)

しかし、観光客の平均消費額はハワイの3分の1、滞在日数は2分の1に留まっています。その上、マナーの悪い観光客によってサンゴ礁が踏み荒らされたり、便乗的に観光業に乗り出してきた悪質な事業者がガイドを行ったりと、環境破壊やトラブルが後を絶たず、観光の「質」の面ではハワイに及びません。
 つまり日本の観光は、数を求める「開発途上国型」であり、環境を保全しつつ高付加価値を生み出していく「先進国型」にモデルチェンジすることができていないのです。
 ハワイでは、2018年に「日焼け止め法」を制定し、21年から、環境を破壊する特定の成分が入った日焼け止めの販売・流通を禁止しています。また、コロナ禍によって観光客がいなくなったことで、海の水質改善や野生動物の増加といった自然にとっての好環境が生まれました。
 規制を設け、観光客に“不便さ”を強いる。一見、観光客を排除する措置に映るかもしれません。しかし、ハワイの海の美しさを守ることによって、結果的に高い付加価値が生み出されます。同時に、環境保全に対する意識などのリテラシーが低い観光客は自ずと足が遠のき、魅力的で過ごしやすい観光地としてさらに付加価値が高まる。自然と観光客の滞在日数は増え、お金もたくさん落としてくれるーこの好循環を生み出していくことが、まさに先進国型の観光です。
反対に、観光客をとにかく受け入れるだけ受け入れ、そのために地域住民が迷惑し、自然は破壊され、観光地としての価値が損なわれて観光客が寄り付かなくなる。この「負のスパイラル」を招いてしまうのが開発途上国型の観光です。
 今は円安の影響もあって日本への観光は世界でも人気の的になっていますが、先進国型に転換しなければ、いつ「ニッポンに行っても満足度は低い」と飽きられ、見捨てられてしまうか分かりません。したがって、観光立国を目指すのであれば、「数」から「質」への転換を図るオーバーツーリズム対策が必要不可欠だと私は考えます。(以上)
コメント
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