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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

閃光少女 3巻(最終巻)&オトナのいろは 1巻/あさのゆきこ

2013-12-13 17:45:41 | 漫画(新作)



















同時発売・・・だったんだっけ、忘れたけど近間隔で発売された2作の感想。





















◆閃光少女 3巻(終)

途中でちょっと泣きそうになりましたね
泣きはしなかったんだけど、泣きそうになった。
この方の絵柄は本当にほんわかしてて可愛くて優しくて大好きなんですが
それにペーソスや「泣き」の演出が少しでも入るとつられて泣きそうになってしまいますね
濱野先生の事を大切に思うからこそいつも笑顔で居て欲しいという彼女の願いは気持ち的に号泣でした(笑
3巻で早々と終わりましたけど一応「再起」というテーマは完遂出来てると思うのでこれはこれで
馬鹿にされた見返しに関してもあの人らに初心を思い出させる、というオチも付いたし
中々丁寧にまとめ切った良作だと思います
個人的には推し、です。

文化祭の出し物に関しては正直めっちゃ面白いアイディアだと思いましたね
それぞれの価値観による「華」っていう回答は平凡から抜け出てる面白さがありましたし
実際ああいうのがあったら楽しかっただろうな、って思う
人の笑顔も、女の子も、ゴシップも、植物も食べ物も加工写真もそれぞれの価値観でそれぞれが素晴らしい
「その人なりの趣向」を一切否定しなかったエンディングはとても価値のあるものだったと思います
価値観を比べる必要や各々の趣向を否定しあう必要など本当は一切なくて
その人が本当にそれを楽しんでいるなら
それに触れている時笑顔ならば
優劣も否定のし合いも全く持って意味のない事、
己の尺度で独自の価値観を見い出すことこそ個性的かつ尊いことなので。
みんなの個性を尊重しあったラストは写真云々突き抜けて思想的な意味合いでも良かったと思う
ここまで見事な文化祭の出し物も中々ないんじゃないか、ってくらい。


人の評価を気にして楽しめなくなってしまう、っていう気持ちは誰にだって存在するもの
でも思い返してみれば他人に評価をされるために「それ」を始めたわけじゃない
初めは誰だって純粋にその行為が好きだったから始めたわけで
「人に評価されること」が目的になっちゃいけない
それはただ単に他人の顔色を伺ってるだけ
そうじゃなくて、もっと夢中にもっと初心の「楽しさ」を心に持ってぶつかっていく心意気―
一度は心労とプレッシャーの為リタイアしてしまった濱野先生だったけど
ヒカリと出会った事でその気持ちが蘇って来た
その気持ちを維持出来るようになった
だからこそヒカリという「光」を求めた、何度挫けても写真を嫌いになれない自分を思い知れた。
・・・というかなり上手い着地点だったと同時に
考えさせられる内容でもあって。

「評価される」というのは確かに嬉しいし、光栄なことなんですが
「評価されない」というのはとっても悔しくて心の傷の一部として延々と残ってしまう
だけど、そういったものを「気にする」為に自分はやってるのか?って言えばそれは違う
だって最初は評価云々関係なくただただ好きで「それ」を始めたはず
そういう「評価」に対して異様に拘っていると
「本来自分がやりたかった事」がないがしろになってしまう危険性が発生する
そうなる前に、もしくはそうなった後に、「何の為」に自分が「それ」をやってるのか再確認した方が良い
そういうメッセージも個人的に感じ取ることが出来たのが嬉しい最終巻でした
濱野先生はこれからもグジグジ状態になるだろうけど、
でもそういう「初心」すら忘れなければ何度だって「そこ」に帰ってこれる
挫けたって涙したって、それでも「好き」だって思える事を再確認する為の物語だったのかも。
これからはヒカリが側で照らし照らされていくんだろうし、二人の前途が心地良いものであるといいですね。
なんだか最終巻のヒカリはおてんば娘だった1巻からグッと大人の女性に成長してたみたいだった
濱野先生を強く想う気持ちにも素直に感動させられたなあ、と言った具合ですね
個人的に年の差、部の指南役ってだけだけど教師と生徒ってシチュが大好きなので最高でした(笑)。
最終話ですっかり仲睦まじく(?)なってる二人を見てニヤニヤしてしまいました。

あとは、何気にカップリングをいっぱい成立させてるのが無性にときめきました
はっきり公言はされてないけど速水くんと誉ちゃんはそういう仲なんでしょうかね
そういう仲だって思いながら読むとなんだかニヤけてきちゃいます
その他にも部員同士の組み合わせも沢山
そういう部分も含めていつか外伝で描いて欲しいなー、なんて望みつつ
ちゃんと全部の部員に対してスポットを当ててくれた真っ当さもまた好きな漫画でした
終わってみれば全部の部員を好きになれているところはやっぱ流石だなって思う
ヒットはしてないし、話題になってたわけでもないけど
こういう地に足の付いた良作が私は好きです。 素敵な物語をありがとうございました。
そしてヒカリはやっぱり天使レベルでした。たまらなかったです。行動も容姿も。

個人的には太った誉ちゃんのが好き(笑)。
速水くんにスポットを当てたお話も凄く頷ける上に自分を路傍の石だと思っているような
そんな人に是非読んでもらいたいエピソードに仕上がってました。
光ってない人だって実は光ってるものなんだ。




◆オトナのいろは 1巻(新)

最終巻があれば新刊もある・・・って事で今度は4コマですね
でもこれは普通の4コマと違って結構ストーリー漫画としても読めますし
その上できっちりオチもついてたりして中々にスムーズに楽しめる秀作になってました
この漫画でも挫折した大人が出てきますがこれは逆に上手すぎて周りの嫉妬を買ってしまったパターン
そのせいで書道が嫌になってしまった女性が懸命に習字を頑張る主人公に感化されていくお話です

この漫画の肝はやっぱり綾乃って女性のペーソスですね
かつて愛した男性、そして決別、最終的には喪失を味わって
中々前に進めない様子、その物悲しさが心に沁み入る内容になってます
だからこそ頑張る主人公の健気さも際立って相乗的にもグッと来る流れになってるんですが
時折挟み込まれる綾乃さんの昔の思い出がどれも哀愁に満ちていて気持ち的に泣けるんですよね
その上、褒められないまま適当に「大人」やってる主人公が
少年のように書道にのめり込んでいく様は懐かしい気持ちを思い起こさせますし
そういう意味合いでも大人向けの漫画という気がします 哀愁だけじゃなく、あの頃の熱い気持ち。

主人公は綾乃さんと出会ったことから何かに向かって頑張る気持ち・上達する楽しさを思い出し
綾乃さんは主人公の羨望や懸命さに感化されて徐々に書道へと向かう気持ちを取り戻していく
そんな二人の恋愛模様も望めそうですし
正しくwin-winの物語として楽しめそうな素養がいいですね
あさのゆきこの漫画は基本的に「ペーソス」と「恋愛要素」を忘れてないのがいいです
こんな可愛くてぬくぬくした絵柄なんだからギャップ狙ったり甘々要素も欲しいですよね、って(笑
4コマとしては綾乃さんのおっぱいネタの繰り返しが一番笑えたかな
でもこれは半分はストーリーものなんでお話を楽しみながらクスクス笑う事が出来る
何気に個性的かつテンポよく読み切れる良い具合に隙間を突けてる4コマ作品だと思います
個人的にはこういう半分はストーリー漫画な4コマ作品増えて欲しいです
4コマがそこまで・・・って人にも通じる素養があるので。


過去編含めて1巻の時点で大分お話が進んでいる印象なので割と早めに完結するのでは
でもこの「密度の濃さ」はやはりあさのさんの漫画らしいですね
1巻だけでも「挫折からの一歩」というオチに辿り着くまできれいに描かれてるのが尚素敵です
色々と苦悩や挫折を味わってたり一歩踏み出す勇気を失くした大人向けの漫画。続巻も楽しみ。



















本当はリアルタイムで2冊同時感想やりたかったんだけど色々あってこの時期に
でも落ち込んでた時に「オトナのいろは」読んでなんだか気分が上向きになりましたし
複雑な心境の時に「閃光少女」の3巻を読めたので結果的にはgoodでした
また、心温まるような新作にも期待しつつ、いろはの2巻目にも期待しつつ。
この方の描く人物はやっぱ魅力的! ちょっと女性をふくよかに描く癖が個人的に超ツボです(笑)。





3LDKの花子さん 第29話 感想ほか(週刊少年チャンピオン 2014年2+3号)

2013-12-12 07:22:35 | 漫画(雑誌感想)




















信がイケメン過ぎる!(笑)。






















なんでしょうね、今までが今までだった分余計に笑えました
あまりにも美しい聖人過ぎて展開的にはなんかもう違和感ないっつーか
ある意味元に戻さなくていいんじゃね?とか思ったくらいです(笑
ある意味っていうのはこっちのが物事がスムーズに運ぶから~って意味合いも含めてるんですが
まあそれも元々のダメ描写が際立ってたからでやっぱり構成に関しては上手さを感じますね
こういう風にキャラを掘り下げたり遊ぶ事の出来る実力は中々のものだと思います
信も色々と変遷を遂げてきたけど、
たかがイケメン化しただけでここまで笑えるくらい元がアレだったのか、って思うと
やはりキャラ立ちに関して言えば初期と比べてずっと立ってるのかもしれないですね
一応風呂掃除を適当に済ませてた時点でその素養はあったと思いますし
改めて信というキャラの「個性」が浮き彫りになったような良回でした
性格変化はよくあるネタですけど元をダメにしとくとここまで面白くなるのか、っていう(笑

同時に、信イジりだけではなくやみ子さんの心がちょっと救われた回でもありました
花子の元から友人たちを引き離す事によって同じ境遇に戻そう、という考え
そしたらまた自分を見てくれるんじゃないかっていう
だけど、そんな寂しい考え方ではなく
やみ子さん自身を友人たちに認めてもらう事によってやみ子さんの孤独を少し晴らすという顛末
あのきれいな信は結果的にやみ子さんの仕業だと思いますが、それによって気持ち助けられたという
そんな素敵なオチが実に見事な回でもありました
そしてこのままきれいな信で問題ないよね!と言いたげなオチもまた面白かった
これからは信がやみ子さんの直属の友達になるんでしょうか(笑

展開的には問題ないですけど、でも物語の目的がなくなっちゃいますし
ゲスな信も信でちゃんといいところもあるんで、再来週からはもちろん、ね?
それにいつもだと飽きちゃいますしね(笑
またきれいな信も再登場してくれれば個人的には嬉しいです。


今回はヒロインズの可愛さも際立ってましたね
なんだかんだいいつつお兄ちゃん好き?な瑞がまず可愛かったし
基本的に信自体が好きだと言うことに気付いた恋する大久保さん
そしてイケメンの信に説得されたこっくりさんは珍しく彼女がドキッとしたような仕草で
なんだかラブコメ的にときめいてしまいました(笑 ああ、こっくりさん可愛いなあ・・・。
ああいう普段はそういう素振りのないキャラがドキッとする仕草に弱いですね
信とこっくりさんの組み合わせもアリだと思ってるのでその意味でも嬉しかった

一方、鏡の世界では寂しさに震える花子さんが信に抱きつくシーンが・・・!
この場面でも信がドキッとしてるあたり一応女子として意識してる部分もあるのでしょうか
2話以来に怖くて震えて信に頼る花子さんがやたら可愛く感じられました
あと、きれいな信を間近で見た時の反応がややシュールで笑えましたね
まあ、瑞たちは鏡の世界の信を見てないから信じ切ってるんだろうけど、もう少し疑おうよ(笑
というよりもあまりにもきれいな信が事態をスムーズに解決していくので心変わりと捉えたんだろうけど。
でもあんだけ拒否反応を示すってことはやっぱり花子さんの目から見ても信って・・・。
花子さんの狼狽する仕草がこれまたオチの面白さを引き立ててくれていたような回でもありました。

この漫画はキャラの造詣とか個性付けがきっちり出来てるのでポテンシャルは非常に高い
そんでもってこういう風に思いっきりキャラを変えて遊ぶようなお話も出来る訳で
そういう部分がもっと評価されて欲しいなー、とか思いつつ
今週もまたアンケ投函に勤しみます
今週もまた実質ラストっていうのは心証的によろしくないので・・・
この間お手紙も出しましたしアンケと、そしてグッズと少しでも貢献できたらな、と思う
それくらい今現在の美少女コメディとしては気に入っている作品です。毎週しっかり面白いです。

にしても、一歩踏み込めばハーレムラブコメにもなり得るよね、これ(笑)。




◆ペーパーブレイバー

お兄ちゃんとの結婚・・・アリだな!(何)
そして子供の描写がやたら可愛くて和みました。
まあ金の為とはいえ結果的に助けたんだから偉いよ、うん。
でも個人的には勇人のが誠実だと思うぜ!なんだかんだ修行に付き合ってるし。
ちゃんと白窓さん助けてたしね。



◆ブリキのアーチスト

ヒロイン出てきたー!
しかも結構可愛い(笑
そっちの点でもなんだか楽しみになってきました。
タイトルの由来も明かされたけど、やっぱり清作の精神的成長が目的の漫画だったんですね
多分個人的な心境の変化だけではなく清作自身も誰かに良い影響を与える側に回ると思うんで
そういう点でもこれからの展開には期待ですね
なんか第1話の様子から思うと清作の心身の成長が眩しく思える回でした。



◆ムーメン

みらんの存在が何気に良いですね
初体験を聞かれて「初も何も・・・」ってネタがちょっと面白かった(笑)。














来週は合併号のためお休み。
花子さんの掲載順がもっと安定すれば嬉しいんだけど(笑
まあこれからもシコシコ応援は続けますよ。




Xと○と罪と/RADWIMPS

2013-12-11 15:08:46 | 音楽






















RADWIMPSのニューアルバム「Xと○と罪と」を聴いた。





















今年の頭に野田洋次郎の全編英語詞のソロアルバムが別名義で出たと思うんですけど
それは個人的に何故かそこまで・・・と言った感じだったんですよね クオリティは高かったけど
それは何故だろう?ってずっと不思議に思ってたんですがこの新作を聴いてはっきりと分かりました
やっぱり野田洋次郎は日本語で理屈っぽく言葉を吐き出した方が「らしい」な、と
ソロアルバムでは「らしさ」があんまり感じられなかったからそこまでだったんだろうって

そう考えるとこれまた不思議というか、
基本的にロックサウンドには英詞の方が似合うとされてるはずなのに
こと野田洋次郎に関して言えば断然日本語詞のが格好良く味が出てるように聴こえるんですね
それはやっぱり日本語の使い方が面白い、言葉をしっかりと吟味して再構築しているからなんじゃないかな
って考えると改めてRADWIMPSって特別でオリジナルな存在だったんだなあ、と
なんだかRADWIMPSに対する価値が高まったような新作でした
「いえない」の核心を突いたフレーズも
「実況中継」のこんな歌詞彼にしか書けない(笑)って印象の言葉数の多さと過激さ
「リユニオン」も「ドリーマーズ・ハイ」も本当にハッとする日本語の使い方が多くて
そういう「ありがち」をトコトンまで避ける創意工夫の精神はやはり日本語のみ発揮されるものなんだなと
ちょっと誇張抜きで日本語ってここまで美しく格好良いものなんだなあ・・・と感じてしまいました
「五月の蝿」とか「会心の一撃」とかかなり捻りの聴いた歌詞の組み立てにもなっていて
英語詞で一度可能性を試したからこそ、
改めてRADWIMPSの操る日本語詞は凄いものだったんだなって再確認出来た感じ
今回は特に言葉の一つ一つにしっかりと意味や感情が込められてる印象で聴いていて退屈しなかったです
全体的にこのバンドの記名性をまじまじと感じさせられるような、そういう正しく「らしい」アルバムでした。
やっぱり、英語詞は緩急を付ける為のスパイス程度に使った方が個人的にはいいんじゃないかと。

思うにRADWIMPSには「饒舌さ」の方が似合うというか、
色々とこねくり回して考えに浸ってる方がRADWIMPSらしいと思うんですよね
シンプルに研ぎ澄まされたものよりも苦悩したり言葉を探してる方が彼ららしい
とどのつまりジャンル自体がRADWIMPSというか、そういうものになって来たんじゃないか?みたいな
スタイルを貫き続けてきたからこそ生まれた貫禄とか境地だとか
そういう堂々としたものも大いに感じられたのもまた嬉しかったですね
また一段とブラッシュアップされたRADWIMPSの音楽が楽しめるアルバムになっていると思います。


このアルバムを聴いて感じたのはそういう原点的な良さばかりではなく
どの曲も素直に良いと思えること、今までと比べてメッセージ性が地に足付いてると感じられること
今までは個人的な想い中心だったのが他者に向けての含みや思想を感じさせるようになったこと
要するに・・・「自分自身」ではなく「この世界」の事を中心に歌っている感覚があって
個人的な想いの放出以上に
この世界で生きる者たちに向けた励ましや応援がこのアルバムの基礎になっている
今のこのご時世のムードや人々の想いを大きく反映させたような楽曲観のナンバーが多く
その意味じゃ少し目線が大人になった感覚なんかもあったりして
成長を感じさせるような内容にもなっています
次の世代に向けたような楽曲も多く「個人」だけの世界観でもなくなってきた
そういう「視野の広さ」が隅々から伝わって来るのが優れているアルバムかな、と
聴いてて実直に元気になる感覚、やる気が出てくる感覚、励みになるような感覚っていうのは
時に壮大な世界観を思いっきり叩きつけていたRADWIMPSのアルバムとしてはかなり新鮮な感覚でありました
それでいてメロディもアンサンブルも歌詞も優れているので何の距離もなく受け止められる感じ
方向性云々言うほど変わってるとは言い切れないけど、
でも確実に一歩目線が広がった感覚は延長線上ではなく今のRADWIMPSならではの力強さだと思います
RADWIMPSの前向きでポジティブな部分がペーソスと言う説得力を用いて響いてる作品
それまでの傍若無人な良い意味での「若さ」も保ちつつ、また一皮剥けたような清々しいアルバムですね

とはいえ、「五月の蝿」のような分かりやすくアナーキーな楽曲も健在だったり
従来のファン向けの楽曲「実況中継」のような前衛的な楽曲もきちんと残してるのがまたイイです
その上限りなく個人的なラブソングもポツポツと点在しているので
その意味じゃ上手いバランスで新境地へと駒を進める事が出来た作品ではないでしょうか
基本的に、他者に向けた批評だったり応援が中心だと感じるのでエネルギーをもらえるアルバムでもある
前作が「陰」のアルバムなら今作は「陽」のアルバム、でもどちらもクオリティの高さは似てる、
っていう理想的な新作に仕上がってるんじゃないかなあ・・・と個人的には思いました
勿論ダークな部分に関して言えば以前よりも抑え目ではありますが
前述のように「五月の蝿」みたいな曲もありますし
全体的にスルー出来ない類の格好良く素直に良いな、って感じれる楽曲が詰まっているので。
今このご時世を生きている、または生き抜くつもりの人々に捧げる祈りのようなアルバムでもある
個人的には初めて「他人中心」のアルバムって気もしてこれはこれで金字塔かと思います。傑作だと。


曲数は15曲で余裕で1時間を越えるんですが意外と苦にならないというか
前述のように結構最後まで楽しんで聴けるんですね
それはやっぱり歌詞の世界観が広がったから、「個人」だけでなく「他人」に対する想いも歌うようになった
それによって詞のテーマ性に於いて「メリハリ」がしっかりと生まれてるんですよね
前作のコンセプチュアルに徹し切った方向性も凄いと思ったけど、
今作の明確に「それ以前」とは違う、しっかりと進化してると言える方向性もまた秀逸かと
それもまた時を経て年を重ねたからこそこういう方向性に違和感がなくなってきたのだと思います
このキャリアなら、こういう事歌っても嘘くさくない。というタイミングを合わせて来た感じ
その上で一曲一曲の演奏のクオリティ、アレンジの幅広さは継続してるので余計に飽きずに聴けるんですね

また、長時間のアルバムだからこそ聴き終った時には一本の映画を観終えたような充実感があって
なぜ映画のように感じるのか?って言えば前述のようにこの作品が他者に対する祈りのような作品だから
「誰か」に対する最大限の優しさを批評と応援の二刀流で聴かせる、という
コンセプチュアルな部分は多少残ってるからこそ
そんな風にも思えるので前作とは違うけど前作の経験も反映された作品とも言えるかもしれない
あとは「五月の蝿」みたいな曲を前半に配置しておいて最後が限りなく優しい「針と棘」、って構成もまた
アルバムとしてのカタルシスを感じますしやっぱり成長や進化は間違いなくしていると思います
それまでの「らしさ」を最低限提示しつつも、
新しい格好良いRADWIMPSもきちんと提示出来てるのがやはり手さばきの上手さを感じる
個人的な尺度からすると所謂「捨て曲」はないようにも感じられるのでその意味でも触れて欲しいですね

私的には多幸感溢れるアンセム「アイアンバイブル」、
不協和音がキャッチーに響き渡る最新のダンスナンバー「実況中継」、
あとはラフな歌い方と素朴な歌詞がツボにはまる「パーフェクトベイビー」、
疾風怒濤の勢いに圧倒される「会心の一撃」、やや歌が椎名林檎っぽい「DARMA GRAND PRIX」、
英詞の組み込み方が絶妙で気持ちが良い「Tommy」、沁みるバラッド「ラストバージン」
悪意をペーソスと共に撒き散らす狂気じみてもいる「五月の蝿」、
そして希望をしっかりと歌う今作を象徴するような「ドリーマーズ・ハイ」辺りがお気に入りですね
通して聴くのには時間が掛かるけど、掛かっただけ得るものは確かにあると思います。
個人的には大好きなアルバム、ツアーも出来れば参加したいです!















悲しみに優しさを足すと平和に
平和に痛みを足すと怒りに
怒りに温もりを足すと涙に
涙に涙を足すとカラカラに

その声に心を足すと言葉に
言葉に愛を足すとたちまちに
あぁ すべてを足して僕たちで
割れば世界に (ドリーマーズ・ハイ)







LOST IN TIME「LIFE IS WONDER」全曲レビューその2「遠すぎた橋」

2013-12-10 20:38:26 | LOST IN TIME 全曲レビュー




















2.遠すぎた橋




















しんしんと降り積もる雪のようなアルペジオと、清廉なるサウンドの美しい調和
そこに海北大輔独特の透明感のある青年感溢れる歌声が乗っかって唯一無二の聴き心地を与える一曲
一音一音から伝わってくる繊細且つシリアスな感情に思わず襟を正してしまうようなそんな曲
基本的には心の中のナイーブな部分をナイーブに歌う曲なんですが
途中で一気に心情を激しめに吐露するパートもあったり、
かと思えば最後は透明感、というよりは少し複雑な匂いを漂わせて良い意味で後味悪く曲は終わったり
(良い意味で後味悪い~って言い方は随分アレですけど 笑 
 要するに少し考えさせられる余韻を残して終わる感じ)
一曲の中で様々な感情が蠢いているような楽曲ですね
本当は口に出せない、出しちゃいけないと思ってるのに心の中で反芻する言葉達、
本当は向き合わなきゃいけない、無関心じゃいけないのに臆病にひれ伏してしまう自分
そして、時々耐えられなくなるくらいに「正しい」この世界に対する憎しみや憤りにも似た感情。

とどのつまり、言葉では上手く表しきれない感情であり
解決の糸口もなく、解決しようとも思わない、だけどどうしても気にしてしまう心のモヤモヤ・・・
そういう気持ちの宛てのない心情をじっくりと歌ってくれている曲だと私は解釈しています
それぞれ心の奥に隠して嫌われたくないから言わない多数の事柄、
みっともないから口に出せない醜い弱音、
悔しくなるくらいに渡せない遠すぎた橋の数々・・・
しかも、それをどうにかしよう、とか前向きになろう、とかそういう方向性で終わる訳でもなく
最後の最後まで気持ちの底に沈んだままで終わるのがまた安易にポジティブでもなくいいですね
それでも「書き留める託すべき愛を」と、「それでも」の感情が歌われてるのがこの歌唯一の救いかな
本当は出したいけど出せない醜い気持ちに心を焦がされながらも、だからといって動く事はやめない
それでも「すべき」事は確かに目の前にあって、そうしたい気持ちもあって。
それだけが今の自分が握れる手綱であり希望。

そう考えると、最悪の状況を示唆しつつもそこから一歩進ませる為のナンバーなのかもしれません。
いかにも重苦しい曲のように書いてますが前述のように歌声は透明感あって青年っぽくてアレンジさわやか
要するにスルっと入ってきて深く根を張るタイプの楽曲だと思いますね
今まで棄ててきたもの
棄ててきた感情
その総てに申し訳なく思う気持ち
それでもそれを糧に今も歩まんとする気持ち・・・
人生は、あなたが考えているよりもずっとシリアスなものなんだよ、って
自覚させるための曲でもあるのかも そして自覚したからこそ今すべき事にも力が灯る。
私個人的にはそんな風に勝手に感じているナンバーです。ライブでの想像以上の迫力も凄かった。


「努力」「頑張る」という行為に勤しめどそれが必ず実を結ぶとは限らない
「努力」「頑張る」では到達出来ないポイントを知った時の絶望は計り知れません
そこで力尽きるのも一つの選択肢ではありますが
一度悲しみに浸り切って、
「負けた」「ひれ伏した」ことを自覚して
散々自分の中のモヤモヤと一緒に過ごしてあげた先に、また一歩進める「余白」が生まれる
無理矢理明るく誤魔化すんじゃなく、「届かなかった」「渡せなかった」という事実を自覚すること
そこからまた「やってやる!」という強い気持ちが生まれていくのもまた事実
こういう曲を聴いてると一種のセラピーのようなものであると同時に
自分の弱さを自覚する事って大切なんだなあ・・・としみじみと思います。その上で、何をすべきか。
そんなメッセージもまた含まれているような気もする渾身のミディアム・ソング。

無駄にしてきたいくつもの何かや、感情を忘れない為に。













「忘れ行く事すべてに懺悔を」






食戟のソーマ 第51話「魔女の食卓」 感想 ほか(週刊少年ジャンプ 2014年 2号)

2013-12-09 12:57:43 | クロス・マネジ(WJ系)



















毎週読むのがドキドキしますねー。予想がどれだけ当たるのか、
或いはどれだけ予想を裏切ってくれるのか。実力者のまさかの不調なんかも見てみたいです。
物語にメリハリが生まれるので。


























◆食戟のソーマ

貞塚ナオは84点か・・・
まあダークホースとしての役割は目論見通り果たしているけど、
後攻がえりなの秘書~という構成はむしろ越えられるフラグのような気がする
あんまり出番とかなかったしえりなと比べて小物臭かったんだけどそこは流石従者のプライド
圧倒的な力を見せ付けるんでしょうか
少なくとも「84点」っていうのはどう考えても(この後の生徒を含めて)最高点なわけがないし
この後90点台を出して比較して凄さを際立たせる為のむしろある種の基盤を作ったようにも思えます
そう考えると貞塚さんの進出は結構安全とも言い難いような気もするけど
まあそこら辺は来週以降のお楽しみという事で
審査員も勢揃いし噛ませを使ってその厳しさを見せ付けた事によって審査自体も盛り上がって来た感覚です
既に良いキャラは揃ってるので来週以降は料理と併せてオートマチックに楽しめそうでイイ感じですね。

貞塚ナオみたいな変化球キャラも実に面白いですね
見た目はグロくていまいちでも食べたら美味しい、というのはギャップもあって好印象に変わりやすいですから
その意味でも良い武器を持っていて秀逸なキャラクター
逆に言えばその「とっつき難さ」がインパクトは出せるけどネックにもなる危険性もあるけど。
でも物凄く臭いのに物凄く美味しい、というのはある意味M気質を煽るようなものなんでしょうか(笑
久々にハッタリリアクションも飛び出してスピード感も演出出来てて面白い回でした
あれですね、成年誌で培った経験がフルに活かされてますね(作画の方)。
そういう観点から見ても面白いかもしれないです。ええ。野郎どものは単なるギャグとして。ね。

ただ、最初のマイナスポイントありきとっつき難さありきであそこまで言わせてしまう貞塚さんは
噛ませ用のギャグキャラなどではなくやはり「実力者」である事はしっかり判明致しました
個人的にわたモテのもこっちに凄く似てるなー、というか
嫉妬深い性格含めて影響受けたんだろうか?なんてすごく考えてしまうんだけど
(貞子+もこっち、みたいな) 私はわたモテファンでもあるので何となく彼女にも頑張って欲しい
とはいえもこっちは内面かなりのビビリなんで貞塚さんのがタフだろう、とは思うけど(笑
何にせよ彼女の「凄味」は十分出せていたかな、と
正直なんかカッコよかったし(笑)。 決勝進出は未知数だけど伏兵としての役割は果たしてくれたと思う。
そして次週以降はきっちりメリハリも付けてくれる事に期待ですね
「84点」という事は80~83点台として健闘枠が設けられる事も予想出来ますし
その点でも今週のネームは見事だったかなと


基盤となる点数を提示し、審査員の威厳と「そこに到達出来ただけでも凄い」という価値観の捻出
そしてこれから更なる高得点が生まれるんじゃないか?という期待感を煽ったこと
貞塚ナオのキャラクター性の確立、
久々のエロリアクション・・・と1話の中で随分濃密でスムーズな流れを作ってたな、と

選抜編は各々の今の実力差がはっきりと読者に提示されるので今まで以上に先を読むのが楽しいです
個人的にはアリス、田所ちゃん、そして創真の点数が特に気になりますね
後は痩せて「勝ちオーラ」が出つつあるイサミも。勿論タクミも噛ませにはならないで欲しいが。どうなる。

先週出た5巻の感想も是非。
「横」(繋がり)の面白さがあるので単行本で読むと更に面白いです。
食戟のソーマ 5巻/附田祐斗・佐伯俊










◆HACHI-東京23宮-

ここに来てハチの精神的成長を描くか
ぶっちゃけ他人よりも自分の好きな人を優先したくなる心情も非常に人間臭くて悪くないけど
それよりも今の広くなった視野の方が少年漫画としては秀逸な気がする
テッキンテッキン、と彼女一筋だったハチが他人の想いも考慮出来るようになったのは
有り体に「成長」を感じさせてくれてとても良かったです
ところで姉さんとのカップリングも正直アリだな、と思いました(何が)。



◆恋のキューピッド 焼野原塵

最近警察官の不祥事しょっちゅうニュースで見るからなあ・・・
重い話になるかと思いきやギャグ調で締めて来たのには笑った(いや、重い事は重いけども)。
前半はテンプレート過ぎて読んでて辟易してたけど、
「滅ぶべきなのかもしれません」「一部・・・ごく一部だから」で自分の中で少し持ち直した感じ。















「ニセコイ」で思ったけど、
誰か少年誌で女子の水泳漫画定着させて欲しい。
それか「泳げ!ひなのちゃん」の復活でも・・・。