超進化アンチテーゼ

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Xと○と罪と/RADWIMPS

2013-12-11 15:08:46 | 音楽






















RADWIMPSのニューアルバム「Xと○と罪と」を聴いた。





















今年の頭に野田洋次郎の全編英語詞のソロアルバムが別名義で出たと思うんですけど
それは個人的に何故かそこまで・・・と言った感じだったんですよね クオリティは高かったけど
それは何故だろう?ってずっと不思議に思ってたんですがこの新作を聴いてはっきりと分かりました
やっぱり野田洋次郎は日本語で理屈っぽく言葉を吐き出した方が「らしい」な、と
ソロアルバムでは「らしさ」があんまり感じられなかったからそこまでだったんだろうって

そう考えるとこれまた不思議というか、
基本的にロックサウンドには英詞の方が似合うとされてるはずなのに
こと野田洋次郎に関して言えば断然日本語詞のが格好良く味が出てるように聴こえるんですね
それはやっぱり日本語の使い方が面白い、言葉をしっかりと吟味して再構築しているからなんじゃないかな
って考えると改めてRADWIMPSって特別でオリジナルな存在だったんだなあ、と
なんだかRADWIMPSに対する価値が高まったような新作でした
「いえない」の核心を突いたフレーズも
「実況中継」のこんな歌詞彼にしか書けない(笑)って印象の言葉数の多さと過激さ
「リユニオン」も「ドリーマーズ・ハイ」も本当にハッとする日本語の使い方が多くて
そういう「ありがち」をトコトンまで避ける創意工夫の精神はやはり日本語のみ発揮されるものなんだなと
ちょっと誇張抜きで日本語ってここまで美しく格好良いものなんだなあ・・・と感じてしまいました
「五月の蝿」とか「会心の一撃」とかかなり捻りの聴いた歌詞の組み立てにもなっていて
英語詞で一度可能性を試したからこそ、
改めてRADWIMPSの操る日本語詞は凄いものだったんだなって再確認出来た感じ
今回は特に言葉の一つ一つにしっかりと意味や感情が込められてる印象で聴いていて退屈しなかったです
全体的にこのバンドの記名性をまじまじと感じさせられるような、そういう正しく「らしい」アルバムでした。
やっぱり、英語詞は緩急を付ける為のスパイス程度に使った方が個人的にはいいんじゃないかと。

思うにRADWIMPSには「饒舌さ」の方が似合うというか、
色々とこねくり回して考えに浸ってる方がRADWIMPSらしいと思うんですよね
シンプルに研ぎ澄まされたものよりも苦悩したり言葉を探してる方が彼ららしい
とどのつまりジャンル自体がRADWIMPSというか、そういうものになって来たんじゃないか?みたいな
スタイルを貫き続けてきたからこそ生まれた貫禄とか境地だとか
そういう堂々としたものも大いに感じられたのもまた嬉しかったですね
また一段とブラッシュアップされたRADWIMPSの音楽が楽しめるアルバムになっていると思います。


このアルバムを聴いて感じたのはそういう原点的な良さばかりではなく
どの曲も素直に良いと思えること、今までと比べてメッセージ性が地に足付いてると感じられること
今までは個人的な想い中心だったのが他者に向けての含みや思想を感じさせるようになったこと
要するに・・・「自分自身」ではなく「この世界」の事を中心に歌っている感覚があって
個人的な想いの放出以上に
この世界で生きる者たちに向けた励ましや応援がこのアルバムの基礎になっている
今のこのご時世のムードや人々の想いを大きく反映させたような楽曲観のナンバーが多く
その意味じゃ少し目線が大人になった感覚なんかもあったりして
成長を感じさせるような内容にもなっています
次の世代に向けたような楽曲も多く「個人」だけの世界観でもなくなってきた
そういう「視野の広さ」が隅々から伝わって来るのが優れているアルバムかな、と
聴いてて実直に元気になる感覚、やる気が出てくる感覚、励みになるような感覚っていうのは
時に壮大な世界観を思いっきり叩きつけていたRADWIMPSのアルバムとしてはかなり新鮮な感覚でありました
それでいてメロディもアンサンブルも歌詞も優れているので何の距離もなく受け止められる感じ
方向性云々言うほど変わってるとは言い切れないけど、
でも確実に一歩目線が広がった感覚は延長線上ではなく今のRADWIMPSならではの力強さだと思います
RADWIMPSの前向きでポジティブな部分がペーソスと言う説得力を用いて響いてる作品
それまでの傍若無人な良い意味での「若さ」も保ちつつ、また一皮剥けたような清々しいアルバムですね

とはいえ、「五月の蝿」のような分かりやすくアナーキーな楽曲も健在だったり
従来のファン向けの楽曲「実況中継」のような前衛的な楽曲もきちんと残してるのがまたイイです
その上限りなく個人的なラブソングもポツポツと点在しているので
その意味じゃ上手いバランスで新境地へと駒を進める事が出来た作品ではないでしょうか
基本的に、他者に向けた批評だったり応援が中心だと感じるのでエネルギーをもらえるアルバムでもある
前作が「陰」のアルバムなら今作は「陽」のアルバム、でもどちらもクオリティの高さは似てる、
っていう理想的な新作に仕上がってるんじゃないかなあ・・・と個人的には思いました
勿論ダークな部分に関して言えば以前よりも抑え目ではありますが
前述のように「五月の蝿」みたいな曲もありますし
全体的にスルー出来ない類の格好良く素直に良いな、って感じれる楽曲が詰まっているので。
今このご時世を生きている、または生き抜くつもりの人々に捧げる祈りのようなアルバムでもある
個人的には初めて「他人中心」のアルバムって気もしてこれはこれで金字塔かと思います。傑作だと。


曲数は15曲で余裕で1時間を越えるんですが意外と苦にならないというか
前述のように結構最後まで楽しんで聴けるんですね
それはやっぱり歌詞の世界観が広がったから、「個人」だけでなく「他人」に対する想いも歌うようになった
それによって詞のテーマ性に於いて「メリハリ」がしっかりと生まれてるんですよね
前作のコンセプチュアルに徹し切った方向性も凄いと思ったけど、
今作の明確に「それ以前」とは違う、しっかりと進化してると言える方向性もまた秀逸かと
それもまた時を経て年を重ねたからこそこういう方向性に違和感がなくなってきたのだと思います
このキャリアなら、こういう事歌っても嘘くさくない。というタイミングを合わせて来た感じ
その上で一曲一曲の演奏のクオリティ、アレンジの幅広さは継続してるので余計に飽きずに聴けるんですね

また、長時間のアルバムだからこそ聴き終った時には一本の映画を観終えたような充実感があって
なぜ映画のように感じるのか?って言えば前述のようにこの作品が他者に対する祈りのような作品だから
「誰か」に対する最大限の優しさを批評と応援の二刀流で聴かせる、という
コンセプチュアルな部分は多少残ってるからこそ
そんな風にも思えるので前作とは違うけど前作の経験も反映された作品とも言えるかもしれない
あとは「五月の蝿」みたいな曲を前半に配置しておいて最後が限りなく優しい「針と棘」、って構成もまた
アルバムとしてのカタルシスを感じますしやっぱり成長や進化は間違いなくしていると思います
それまでの「らしさ」を最低限提示しつつも、
新しい格好良いRADWIMPSもきちんと提示出来てるのがやはり手さばきの上手さを感じる
個人的な尺度からすると所謂「捨て曲」はないようにも感じられるのでその意味でも触れて欲しいですね

私的には多幸感溢れるアンセム「アイアンバイブル」、
不協和音がキャッチーに響き渡る最新のダンスナンバー「実況中継」、
あとはラフな歌い方と素朴な歌詞がツボにはまる「パーフェクトベイビー」、
疾風怒濤の勢いに圧倒される「会心の一撃」、やや歌が椎名林檎っぽい「DARMA GRAND PRIX」、
英詞の組み込み方が絶妙で気持ちが良い「Tommy」、沁みるバラッド「ラストバージン」
悪意をペーソスと共に撒き散らす狂気じみてもいる「五月の蝿」、
そして希望をしっかりと歌う今作を象徴するような「ドリーマーズ・ハイ」辺りがお気に入りですね
通して聴くのには時間が掛かるけど、掛かっただけ得るものは確かにあると思います。
個人的には大好きなアルバム、ツアーも出来れば参加したいです!















悲しみに優しさを足すと平和に
平和に痛みを足すと怒りに
怒りに温もりを足すと涙に
涙に涙を足すとカラカラに

その声に心を足すと言葉に
言葉に愛を足すとたちまちに
あぁ すべてを足して僕たちで
割れば世界に (ドリーマーズ・ハイ)






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