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Syrup16g全曲レビューその63「神のカルマ」

2013-12-14 15:11:01 | Syrup16g全曲レビュー




















今年最後のSyrup16g全曲レビュー(たぶん)。2009年から細々と続けています。























神のカルマ               アルバム「coup d'Etat」収録


















Syrup16gは憂鬱な気持ちを吐き出すロック~として一般的には認知されてると思うんですが
個人的な見解だと五十嵐隆が歌ってる内容はある種普遍的でもあると思うんですね
友情を歌うのも良い
愛情を高らかに歌うのも悪くない、けど


「ああそう HELLO
 あんた 嫌い」


まあ、こういう感情もやっぱりある訳です
それを出すか出さないかの違いだと思うんですけど
別にどっちが偉いとか正しいなんて事柄を言いたい気持ちはないし
そこに優劣を見い出すのは非常に馬鹿らしい
けれど、こういう心情描写を描く事によって救われる気持ちも世の中には存在する、という事だけです。
この曲では個人的な解釈ですと他人の価値観や思想に容易く介入し掻き乱していく「日常」に対して
幻滅したり憤っていたり、放心している状況を描いていると思ってるんですけど
それもまた受けるのは「仕方ない」ダメージの一つなわけで
そこが気になって脳内にこびりつく事も茶飯事で
逆に言えば自らが傷付いている様を晒す事によってそういう行為に対する警告を行ってる、とも
私個人的な考えで言えばそう思います 何に価値観を見い出す事すら憚られる嫌な時代
でも自分がこういう価値観を持っているのも
自分がこういう思想を持っているのも
自分が決めたようでその実自分では決めていない、ただ元々「そうだった」だけ
つまりは神のカルマ=業、である だからそれに対して卑屈に思う気持ちも反省する気持ちも本来必要ない
そこで迷う事があっても、それに対する懺悔や代償を支払う必要なんて本当はないんです
ただ「そういう」人間だっただけ
だからそのままで、自由なままでいても許される
そのくらいの「正しさ」はどうか尊重されて欲しい・・・と
そういう願いが込められている曲だと私は思っています
本来であれば鳴る必要のないサイレンがあちこちで鳴っているよ、って。

不用意な邪測や自分のストレスを晴らす為だけの嘲笑、価値観を染め上げようとする行為は
きっと簡単に他人の精神を蝕んで取り返しの付かないダメージを与える
もしかしたらそのダメージがあまりに大きすぎて
立ち止まって混乱する事を余儀なくされるかもしれない
だけど、それが自分の生まれ持ってるものだと本気で思えるのなら罪悪感を払う必要もなく
自分の価値観の赴くままに歩いてると感じれてるならそれはそれで悪い事じゃない
この曲はボロボロに侵された精神状態を描いてる曲ですけど
散々否定されたとしても、結局は神のカルマ、自分自身は自分自身でしかない
それに俯きながら、つまずきながら、それでも「自分」で居ようとする心境を描いている曲でもあるのかも
最後のレンタルビデオ~のフレーズが聴き手に意志の確認を促しているようにも聴こえる
そんな自己否定に対するペーソスと、
自己否定に対するアンサーが同時に鳴っているような曲だと思います
最終的に「俺は俺だ 君は君」って強く思うためにあるようなナンバー。

嫌いな人は嫌いなままで、好きなものは好きなままで。そんな風に歩いていけばいい。
普遍的な「落ち込み」「嫌悪」を歌いながらもその実真っ直ぐでもあるのかもしれません。
初期を代表する名曲の一つ。



この曲はベースの躍動感が素晴らしくアンサンブルの迫力も相当に聴き手に伝わって来る曲ですね
煌きながら儚さも放っているギターサウンド、どっしりしたリズムを刻むドラムと合わさって
バンド演奏に聴き入るだけでも相応のカタルシスを感じ取れる楽曲になっています
その上サビの憂いのあるメロディー、
ラストの放心状態をきれいにカットして歌っているフレーズの痛切な叫びも胸に響く
歌詞の奥深さやある種の普遍性にプラスして楽曲自体も際立って印象的なテイストになっています
例え否定されたとしても、
それが取り繕ってない本当の自分ならば
否定されていたとしても「正しさ」は宿っているはずだから。
「それはそれでいいんだ」ってペーソスだけでもない意思も感じられる曲ですね。
さり気に「自分を貫く」という行為に関しても問いかけてるのが尚素敵です。
















この曲を初めて聴いたのは勿論学生の時でしたが
あまりにリアリティのある状況描写に驚き独特のカタルシスを得た記憶があります
心の置き場がなくなったときに、独りでそっと聴くような一曲です。



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