感涙してしまったライブでした。
去年10周年を迎えて今年で11周年目のロストインタイム、その活動一発目となるライブという事で
特に集大成的なものは期待せず、手始めの一撃を食らうつもりで参加したライブだったのですが
途中の楽曲から思わずブワッと涙が出てしまってその後しばらく止まりませんでした。
それはきっと最近感じてる無力感や喪失感のツボに入ったからだと思うんですが
だとしても、ここまではっきりと泣けたライブは生まれて初めてだったかもしれません。
そりゃもうみっともなく目を腫らしながら観てたもんなんですが
やっぱり・・・
音楽は音を楽しむものとは言っても、結局心の側に居てくれる言葉や揺さぶってくれる歌詞を求めてる
自分はそういう類の人間なんだなあ、っていうのをはっきりと確認出来た気がします。
詳しくは以下記述しますけど、あの時は本当に今の自分の心境を見透かされ
その上で背中を押してもらった気がして涙が止まらなかった。
勿論勝手に思ってる感じてるだけですけど
どう受け取ってどう噛み砕くかは聴き手の自由ですから。本当にこのバンドを好きでいて良かったと思えた夜でした。
それは海北さん自身が傍から見ていてもトントン拍子の人生ではなく
人間らしく紆余曲折を繰り返してここまで来てるから
人生が沁み込んでいるから感動出来たのだと思う
聴き手である私だって私生活の挫折や間違いなんてザラですから(笑
その剥き出しのリアリティや心情がダイレクトに届いてくるドキュメント感は年々増していて
これから先もまた更に深みだったり哀愁を携えて唯一無二の存在になってくれそうだなと
そういう期待も持てた渾身のワンマン・ライブでした。
とにかく全曲良かったし、
全盛期以上の勢いなんかも感じたりして正に成熟の最中である事をまじまじと感じさせてくれました。
ここからもっと表現の純度も研ぎ澄まされそうですし、再び日本青年館でやる日もそう遠くはないのかも。
この日もスシ詰め状態に陥るほど人がパンパンでしたし、以前よりも状況が上向きになっていて
それに比例するようにバンドの状態や誠実さも上がっている・・・そんな印象です。
この日演奏した新曲群の手応えもバッチリで春からの動きも楽しみですね。
いつかフラカンみたいに這い上がってブレイクして欲しい。
個人的にはそんな事も感じましたね。今のロストインタイム、本当に良いバンドだと思います。それを伝えたいです。
「あけましておめでとう。」の声と共に気合一閃!という印象の「手紙」から始まり。
最初からかなりの硬質モードで個人的には良い意味での緊張感が流れているように感じられました。
その後も「約束」「通り雨」と矢継ぎ早に初期の名曲を連発
何も言わずに黙って演奏を続ける姿がひたすらに格好良く、非常に男らしいなと
多分笑顔すらなかったと思いますが、ピリッと引き締まった始まり方はこれはこれで興奮するものですね。
多少性急さを込めて演奏された「通り雨」はグイグイ引っ張られる出来栄えで
「僕の前から消えないで」と必死に叫び歌う海北さんのロールしている姿と歌は未だに頭の中で鳴っています。
心に傷跡を確かに残してくれるような序盤でした。
割とダンサブルな印象もあった「はじまり」は間奏の三井さんのギターの音色が艶やかで素晴らしく
音源以上に、前のライブ以上に一体感を生み出せていて感動しました。
ここで一旦軽いMCを挟んだ後に
これまた感情の機微を細やかに歌い上げた「合い言葉」の優しさにジーンと浸り
正にバンド名通り時が経って失ったものを深く描いた「一つだけ」の喪失感に胸を打たれる
この曲は去年のアコースティックワンマンで聴いた時のイメージも付随して
それまで以上に渋い楽曲として印象に残せた気がする(笑
景色を描く事でメッセージをあぶりだすそのさり気ない手法が好みですね。
その後の「教会通り」のセンチメンタルなビートにもしっかりと楽しませてもらいつつ
ここからいよいよ個人的なハイライトに突入します。
「探して行こうと決めたから~」的な歌詞が最後のフレーズだった新曲を聴いて
思わず鳥肌が立ちそうなくらい心の琴線に触れたんですが・・・凄く苦悩してる歌だと思ったんです。
この日一番の滾り切ったパワフルな演奏で普遍的な心情をドカドカ歌った後に
それでも「探して行こうと~」とボソッと、でも確かに声に出したワンフレーズを聴いて
この時点で多分涙腺は刺激されていたと思います。
素晴らしい新曲だと思った。
その次のこれまた大好きな「青よりも蒼く」は、この曲を聴きながら泣いた夜もあったな~と
しみじみと自分のダメダメな一夜を振り返りつつ(笑
後半の海北さんの咆哮で更に感受性に訴えかけるカタルシスを獲得
「誰かが泣けば 誰かが笑う」という歌詞もまた今の自分の心境にはピッタリでした。
そんなカタルシスたっぷりの演奏の後に繰り出された「バードコール」という曲が涙腺決壊の引き金でした。
「はばたく事に疲れてしまったのかい」
このワンフレーズが耳に飛び込んできた瞬間、堰を切ったように涙がポロポロ溢れてきました。
自分でもビックリしましたが、勿論鼻をすするほどの大号泣ではありませんよ(笑
そうではなく、自然と涙が次々に出てきてそれが止まらなくて
時折下を俯いたり、
或いは泣きながら彼らの姿を目に焼き付けたり
この楽曲の本当の意図や素晴らしさがこの日初めて分かった気がする。
本当は誰だって自分の痛みや葛藤や恐怖心を認めて欲しいし、頑張れ頑張れでは物足りなくなるものなんだって。
その上で聴き手を内包するような精一杯の優しい言葉の数々に胸をグッと掴まれたままで・・・。
表現の真髄を最大限に味わえた自分にとって奇跡のような時間でした。
痛みを認めてもらえた事が次のアクションへの勇気にも繋がる
もう一度はばたくことを決断出来るポイントになる。
諭してもらったような、
いや、一緒に悩んでもらったような・・・そんな気がした特別なワンアクトでしたね。
今思い返してもちょっと泣きそうになります(笑 それくらい心のど真ん中を貫かれた一曲でした。
ちなみに次の「声」でも引き続き泣いてましたけどね!
涙が持続するライブなんて初めてだなあ・・・。
前の曲と併せて物凄いトリップ感とスケール感で鳴らされていてまた一つバンドの可能性も感じられたり。
意外と音響系の壮大なアレンジやアプローチも似合うのかもしれませんねえ。
この曲はずっと聴いてみたかったので遂に聴けて喜びもひとしお。
とどめと言わんばかりに「旅立ち前夜」!感動のラインがまったくとまらねえ(笑
「バードコール」からの流れがあったからこそ「歯を食いしばって僕らは生きてる」という歌詞が余計に響く
この曲も滅多に聴けないのでなんか新年早々プレゼントを複数貰った気分でした。
「鼓動」もまた当時リリースツアー未参加なので初聴きでしたけど。
それもまた嬉しかったし、
音源よりも源ちゃんの歌が堂々としていて年月を経たからこその佇まいも感じつつ
彼のドラムソロもまた迫力満点でユーモアもあって、金髪も似合ってて(笑)すこぶる良かったと思います。
ここから更に盛り上がりの一途を辿る事に。
オーディエンスとの一体感が美しく格好良かった「希望」の立派なアンセム化に加えて
それを受けて更にヒートアップしていくバンド演奏の力強さが印象に残った「ココロノウタ」と
終盤に入ってここぞとばかりに代表曲を連発、
「希望」では珍しく突き上がる拳の波に感化されて自分も何度も拳を突き上げました
それくらい「希望」という曲がファンの中で育っているのに密かに感動。
相変わらずサビ前の「聞こえているかい」がじんわりと沁みる「ひとりごと」と完全に温まったところで
最後の楽曲、新曲「最後のページ」を披露。この楽曲は仲間を意識した楽曲だそうで
最後の最後くらいは笑って終わりたい、
そうなるように動いて生きていきたいという
祈りと能動が入り混じった渾身のミディアム・ソングに仕上がっていました。
本編最後を新曲で終えられるというのはバンドが前を向いてる証拠で気持ちも良かったです。
終わりに抗う事ではなく、終わりに向かって堅実に歩いていくことを示唆させるようなそんな曲でした。
幾つものカタルシスを生み出して本編は無事に終了
泣いた、泣いた、とか恥ずかしいレポートになってしまいましたが(笑
でもこの日の出来事は克明に記述して置きたかった。
それくらい結果的に自分の中で物凄く大事な夜になった、心を揺さぶられた渾身のライブでしたね。
新年早々ここまで張り詰めつつ、包み込む優しさを見事に表現してくれたロストインタイムに心から拍手です。
素晴らしかった。
アンコールではお気に入りの一曲「あしたのおと」の心地良い音色と
「線路の上」のがむしゃらな演奏を叩き付けた後、ダブルアンコでムードたっぷりに「呼吸」を披露
これがまた感傷的な余韻を残してくれてベストだと言わざるを得ない好選曲でした。
最後の哀愁があったからこそ、より深化したロストを肌で感じられたという印象が完成したのは間違いない。
本人も「三十路の哀愁が出てきた」ってさり気に言ってましたしね(笑)。
次のツアーの告知や音源発表でお客さんも沸いて、
「一年を掛けて「仲間」というテーマを提示していく」という盛り上げ宣言もワクワク感を煽ってました。
ライブが更によくなってるだけでも嬉しいのに音源/ツアー/企画と今年もまたロストが凄そう。
気が付けば2年以上新譜を出してないので今年は確実に踏み出す一年になりそうですね。
チケットもソールドアウト、人パンパンで
内容も最高とこれからの一年の充実を予感させるファンにとってはとても大切な一夜になりました。
改めて、ありがとうございました。いい涙を流せて思い出にも焼き付けられました。
セトリ
1.手紙
2.約束
3.通り雨
4.はじまり
5.合い言葉
6.一つだけ
7.教会通り
8.オーバー(新曲)
9.青よりも蒼く
10.バードコール
11.声
12.旅立ち前夜
13.鼓動
14.希望
15.ココロノウタ
16.ひとりごと
17.最後のページ
encore
18.あしたのおと
19.線路の上
encore2
20.呼吸
よく力むと外す、という発言を聞きますが
この日のロストインタイムはその力みが完全に良い方向に作用していて
シリアスな日本語ロックバンドとして相当の位置を獲得したかのような手応えを感じました。
その上ストイックでもあったし、誠実さも感じられたし、人生観もますます滲み出すようになっていて
それらの好条件が重なって感涙出来るほどのライブに自分にとってはなったのかなあ・・・と
そう思うと本当にライブって生モノ、その日ならではの感動があるなと
今まじまじと実感してますね。
元々ライブには定評のあるバンドだと思いますがこの日は個人的に大当たりでした。
春からのツアーも本当に楽しみですね。今年はライブ一杯やるそうでワクワクしています。
この日聴いた「バードコール」は多分一生忘れないと思う。
音楽が持つエネルギーを真っ向から浴びれた気がして嬉しかったなあ。
はばたくこと、生きること、頑張ることに疲れた時は
きっと何度も何回でもこの曲を思い出すんだろうな。自分だけのお守りにさせてもらいます。
重ね重ね本当にありがとうロストインタイム。
心から勇気をもらえたよ。