超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

「イエローマン~星の王子様~」「01MESSENGER~電子狂の詩~」サザンオールスターズ

2014-03-14 17:55:00 | 音楽(旧譜レビュー)
















最近は「退化の季節」といいますか
レトロゲーを黙々とプレイしてたり昔買った8cmシングルを聴き直したりしています
その中でサザンのこの2曲が一年ぐらい前から物凄くツボなのでちょっと記して置きたいと思う。


















◆イエローマン~星の王子様~

当時「意味わかんない曲だな」と思ってたんですけど
大人になった今でも「意味わかんない曲だな」って思います(笑
正直売れ線の匂いが全くしない上に、かといって音楽マニアに向けるにはあまりにも歌詞に意味が無さすぎる
エロティカ・セブンやマンピーはまだ狙いが分かるから良いんですけどこれは狙いそのものが不明瞭
でも個人的にはそのどこを狙ってるのかよく分からないその「分からなさ」が大好きだったりします
売れ線でもない、ニッチ狙いでもないどこにも属さないタイプの楽曲というか
凄くオルタナティブな匂いが感じられるのがツボだなあ、と

もっと違う言い方をすれば、単純に格好良さとか歌詞に意味を与えず語呂の良さだけを追求した曲だとも思える
そしてその「姿勢」はそれはそれで凄く正しい事だなあ、とこの曲を聴いてるとつくづく感じます
また本当に無意味なだけの歌詞でもなく
所々ちょっと考えさせられる隙間があるのが深みもあって良いんですよね
その辺のバランス感覚が優れてるというか、個人的に相当絶妙だなあと思えます
サザンにしては重厚感のあるビシビシ来るタイプのイントロからファンキーに突き抜けるサビの爽快感
頭からっぽにして楽しめる上に時々少しハッとさせられる言葉がある~っていうのがホントに自分好みだな、と
意味不明過ぎて逆にキャッチーになってる感覚も繰り返し聴いてると感じ取れると思います
多分知名度的には他の曲と比べて低いでしょうが個人的にはサザンでもトップクラスに好きな曲ですね。


「下衆なPleasureを頂だい」って歌詞が最高に好きである種自分の思想にも近いです
あと「愛を底上げブーツで踏みつぶすようなParadox」って歌詞も好きですね
よく分かるようでよく分からなくもある塩梅が絶妙。







◆01MESSENGER~電子狂の詩~

「こんな時代は誰もが管理されてるものさ」


驚くのはこの歌詞をネットが一般的に普及する前に既に発していた・・・という先取り感ですね
この曲が出た当時クラスでネットをやってる人も知り合いも殆ど居なかった事を思うと
むしろ今出した方が売れるんじゃないか、とすら思える
っていうか今聴いて欲しい楽曲ですね。


「君はいったい誰なの?いつも闇の帝都でヤンチャしてるけど」

モラル欠如者を思いきり皮肉るようなフレーズの連発が聴いてると単純に物凄くスカッとします
自由を履き違えている人が多い(と個人的には思う)今現在だからこそ鳴り響いて欲しい楽曲ですね
あとはそうやって批評的な目線を持ちつつもどんどん堕ちていく詞世界もサザンにしては珍しいなあ、と
ちょっとダークで刺激的で、そして重厚なロックサウンドを鳴らすサザンが一曲でたっぷり楽しめるという
そういう楽曲です
そして私個人的に何度か助けられている曲でもあります
正直こういう曲があって良かったなあ、なんてつくづく思いますね。

後は歌詞の中で相当韻を踏んでるのも特徴ですね
語呂的な気持ち良さが半端ない
ヒップホップが流行る数年前からこんなに韻に凝った曲を発表してたんだなあ・・・と
今だからこその視点でそんな風に感じます 本当に色々と先取りしまくってる渾身の力作ですね
猿が狂ったようにコントローラーを握っているジャケットも好きです。

最後にピアノの音がボーンと響いて不穏に終わるアウトロなんかも尖ってて素敵です。
こういう批評性の高い楽曲をヒットチャートに送り込んでいたって事実もまた面白いですね。
メロディもまた洗練されています。




















尖った曲をヒットチャートに~って観点では
槇原敬之の「SPY」なんかも今聴くとギョッとする歌詞だったりで面白いです
ポップな中に毒があるというか。8cmシングル全盛期の世代としてはあの頃の楽曲もやっぱ好きです。



おやすみモンスター/GOING UNDER GROUND

2012-09-27 21:39:23 | 音楽(旧譜レビュー)








いつか似てない僕らでも
同じように笑ったりしたいな (胸いっぱい)








今から5年前に出たアルバムなんですけど・・・
収録曲の「TWISTER」を聴くついでにアルバム全体も通して聴いてみたら
正直当時レビューを書かなかったのが不思議なくらい良い作品でした
まあ書かなかった理由は一応察しがつくんですけどね。

恐らく、結構ゴーイングのアルバムの中では実験作というか異色作というか
端的に書いて「らしくない」曲が多いアルバムで
それが当時の自分にとってはしっくり来なかったんだと思うけど、
今聴くと逆にその攻めてる感触、パブリックイメージに反した曲が多く入ってるのが
えらい新鮮で、でも所々に王道のナンバーも入ってるその塩梅もまた素敵で
何より一曲一曲に込められた熱量が半端ないんですよね。
多分初聴きの時は、
その熱量の高さにもお腹一杯になっちゃったんだろうけど
それも時間が経てば全然気にならなくなる、という。改めて、すっごい良いアルバムだと思います。
個人的には後半のミドルバラッドの連発が異様にグッと来てしまいました。


ゴーイングはインディー時代にNHK-FMで掛かってるのをよく聴いていて
どっちかって言えばポップス寄りのロックを鳴らすバンド、
ロックまんまってイメージはないんですが
このアルバムはのっけからアグレッシブなロックナンバーで幕を開けますからね。
当時「さかさまワールド」を聴いた時はロックまんまなのが違和感バリバリに感じてたんですが
やっぱりもう5年も経ってる訳だから、そこまで違和感もなく素直に聴けた、
上に普通に名曲じゃん、とも感じられ(笑
時間も案外必要なのかもしれない。
「TRAIN」「海にまつわるエピソード」なんかは割と王道のゴーイングなんですが
その後の「PLANET」と「暗夜行路」は明らかにはみ出してますね(笑)。
前者は詞が厳しすぎだし、
後者はもうメロディとアレンジが異様にダークで。
でも前述の通り今ならそのギャップを楽しめるようにもなってきたので
正直聴き心地は王道ナンバーのそれと全然劣っていません。
中澤ボーカルの曲もいつも以上に攻めてるし、「Title」なんかはもうゴーイングらしさがゼロで(笑
そこら辺の下北系ロックって感じの尖った曲調はポップさの欠片もないんですけど
ある意味スクラップ&ビルドの精神で作られている感覚もあって
今までのゴーイング像を壊して
とにかく新鮮な作品を作って行こう・・・と、そんな意思も垣間見れる曲調の数々
声質とハートフルって方向性によって結構縛られてた部分もあったのかも
それを思いっきり解放してるような弾けっぷりが気持ち良いです。
そういう「意図」を感じ取れるか、感じ取れないかでは作品に対する印象ってこうまで変わるのか、と。
実際、このアルバム以降ヒダカトオルと組んでまた新たな方向性を模索してますもんね。

このアルバムの肝は最後のバラッド群にあると思ってて、
自分の心に巣食う醜さと向き合う「モンスター」、
そして久しぶりに聴いたらメロディがあまりにも綺麗過ぎてビビった「愛のうた」、
その2曲で歌われたテーマを引き継いで爆発させるかのような「胸いっぱい」、
そして安らかに眠れるような心地良い「おやすみ」
この辺の流れは鉄板過ぎて
聴く度にハッとするような完成度の高さを感じるんですが、同時に一つ殻を破った感覚もあって
青春だったり、ハートフルな音像だけでなく
そういうシリアスな方向性でも作品を締めれるようになった
今聴くとその手さばきが本当に見事に感じられて・・・今更ながら当時の成長が伝わって
かつ、久々に聴いたので新譜のような感動もあったりして。凄い作品だと思います。
チャレンジングな作品ではあるんですけど、
だからといって最後は手堅くいつも通り・・・なのでなく
最後まで「らしさ」以外の部分で勝負してる、それがまた個人的にはグッと来る
聴き直してからは正直最高傑作って言ってもいいんじゃないか、ってくらいに好きなアルバムになりました。
それまでは大体「かよわきエナジー」か「h.o.p.s」ばっか取り出してたんですけどね。
あまりに良かったので、ついつい記事にしちゃったんですけど
当時レビューをやってたのにも関わらず
魅力に気付けなかった自分への戒めも兼ねて(笑)。
同様に、リアルタイムではイマイチに感じても今聴くと・・・って作品は全然あるでしょうね。
そう考えると、音楽って無限の楽しみがあるなあ。 そう気付かせてくれた最新の作品です。








NHKのラジオで松本素生が語ってたんですが、
この場合の「モンスター」は誰かに対する「消えればいいのに」だとか
そういういつの間にか心に芽生えた醜い感情を差すのだそう。
うろ覚えではありますけど、ニュアンス的にはそれで良かった(はず)。

そういう生まれた邪心や雑念を振り払いつつ
不恰好な自分を認識しつつ、
それでも「本当の自分」で居られるように、それを守れるように、必死に素直に生きていこう、と。
個人的に咀嚼して自分なりに出した今作のテーマはそういうものでした。
ここまで気合一閃!って作品はゴーイング史上珍しく
それでいて貴重だと思います。曲数が多い上に捨て曲がないので、一度魅力に気付けばいつまでも聴ける。



Dwellers of a Sandcastle/La’cryma Christi

2012-05-06 22:29:33 | 音楽(旧譜レビュー)





最近、ずっとラクリマクリスティーを聴いてるんですが、これがすっごく良いんですよね。
きっかけがなんだったのかは正直よく憶えてないんですが・・・
なんか突然聴きたくなったのかな。
それで昔売ってしまった音源だったり、まだ持ってない音源をここ数週間で買い集めてまた聴いてたら
これまた更に良かったんですよね。残ってたアイテムは断片的なものでしかなかったので
改めてきちんと揃えてしっかり聴いてみると、こりゃ昔の自分が感じてた以上に面白いバンドだな、と。
よくマニアックなバンドって書かれる事の多いラクリマクリスティーなんですが
アルバム等を聴き直してみたら正直それがよく分かりました。
同時に、思春期の自分がなぜ離れていったのかも(笑)。
思い出しましたよ。

でも、単に懐かしいだけなら全然記事にしようなんて思わないんですが
懐かしいどころか、むしろ最近の雑多的な風潮に合ってると感じられたので
今更ですがアルバムのレビューをしたいと思って。
こんな形容間違ってるかもだけど、
実は相当にオルタナティヴなバンドだとも思うんですよね。音源聴いてると分かりますけど
ぶっちゃけ自ら売れない方向に走ったりしてますからね。それの良し悪しはともかく、
本当に自分たちのやりたい事だけを追求して勝ち上がったバンドなんだなーと
昔の音源たちを聴いててそう思えたので
今の世代にもちょっと聴いて欲しいなって思いもありつつ。実際相当にクオリティの高い楽曲ばかりです。






で、この「Dwellers of a Sandcastle」なんですけど、インディーで出したミニアルバム
今と違って当時のインディーズって本当のインディーズだった訳で
その時は知名度もくそも何もないと思うんですけど(あくまで一般的に、は)
それにしてもこの作品の出来の良さは半端ないんですよね。
一曲目から堂々のアンセムを振りかざし、
キャッチーな曲、沁みるバラード、渋い曲や棘のあるナンバーまでほぼ一通りのバリエーションを揃えてて
全5曲で30分収録という聴き応えや一曲一曲の濃厚なエッセンスのさじ加減も素晴らしいし
単純にミニアルバムとは言え、
実際はフルアルバムと同等の聴き応えがあったりします。それを、5曲で演出出来てるのが尚ベターだなあ、と。
そんな風に感じざるを得ない今聴いても全然新作として聴けるみずみずしさのある作品
それぞれの楽曲の練り込みや凝った感触もまた強く感じられる作りになってて
転調の使い方だったり、ドラマチックな盛り上げ方だったり
単純に○○っぽい~では収まらない
ラクリマ流の楽曲に対するオリジナリティが色濃く感じられるアルバム
後々にもっとポップな方面に突き抜けていくのに対してこの作品は結構にダークな雰囲気もありますが
それもまたバンドの初期衝動を感じさせていいですね。そういう周りに対するアンチ精神は
この作品以後もちゃんと受け継がれていく方向性になっていて
それを考えると本当の意味での原点であり、
かつ今でも色褪せないクオリティの楽曲が楽しめるファンならずとも聴いて欲しくはある一枚。
人によってはある意味この作品をベストとする人もいるんじゃないか、ってくらいちゃんとした作品ですね。


楽曲は全部推し!ってくらいどの曲も最高なんですけど、
個人的に聴いて欲しい一曲として「Forest」があります。
メジャーでのヒット後に「IN FOREST」としてリメイクされる名曲なんですけど
今回の再燃を期にオリジナルバージョンを初めて聴いてみて、ぶっちゃけこっちのが好きかな、と(笑)。
ラクリマクリスティーの良い部分の一つに神秘性っていうものがあると感じるんですけど
この「Forest」の方がその神秘性が色濃く出てるような気がするんですよね。
流麗なメロディーラインに想像力を煽る歌詞、
ぱっと見で判断出来るような分かりやすい詞にも勿論良さってありますけれど
でもそればっかりじゃ想像や解釈が出来ないからつまらないよねって想いも個人的にはあるので
その意味でもこの曲のような想像や解釈をするのが面白い歌詞は好きで。
「IN FOREST」ではその抽象性が薄れてるんですが
この原曲ではきっちりと濃ゆい楽曲観を堪能出来る感じで非常に好み
憂いや儚さ、耽美的な感覚が好きなら絶対気に入れる一曲なんじゃないか、と思います。
とはいえ、演奏力やシュッとした格好良さなら「IN FOREST」のが全然上ではありますが。各々の良さ、かな。

今作の中でも特にダークで歌謡曲のエッセンスも含んだ「Poison Rain」の激しさ
救われない報われない心境を歌ってる渋さ際立つ「A.S.I.A」、
聴き手を優しく包み込むような堂々たるバンドアンセム「Warm Snow」等名曲の宝庫たる作品ですが
個人的に最も素晴らしいと思えるのは4曲目の「カリブで生まれた月」です。
この曲が本当に美しく沁みる楽曲で
メジャーでヒットしたシングルにも劣らないポピュラリティと確かなメロディセンス
そして前述の神秘性も最も色濃く出ているし、輪廻転生を感じさせるフレーズの妙もやたらグッと来るし
あらゆる角度から見ても隙のない、自信を持って名曲です!と推せるナンバーであると同時に
こういうシンプルながらスケールの大きな楽曲を堂々と歌いこなす
ボーカルTAKAの確かな歌唱力の凄まじさを如実に感じさせてくれる楽曲でもあります。

個人的に聴いてて思うんですが、歌声に物凄くオリジナリティがあると思うんですよね。
歌謡曲でもないし、洋楽でも、実はカテゴライズされてると思われるV系の歌声とも違うと思うし
本当にプロフェッショナルで彼ならではの歌い方だなー、と
どの曲を聴いても既にこの頃から感じられるので
そういう意味ではメジャーにも劣らぬ完成度はこの作品からもう健在だったんだなー、と
何度も聴いててその度に確かに思いますね。そんなツボにハマるポイントだらけのこのアルバム
ラクリマクリスティーの本質を再確認する意味でも重要なアイテムでした。
本当に、ここから買っておいて良かったです(笑)。






ちなみに、本当のデビューミニアルバム「Warm Snow」も購入したんですけど、
ぶっちゃけこの録り直した「Dwellers of a Sandcastle」があれば特に必要ないレベルですね。
だって明らかにこっちのが洗練されてるし、アレンジのさじ加減もいいですし。
この作品はファンアイテム以上の価値がありますから。「カリブで生まれた月」、名曲中の名曲だと思う。





ORANGE&BLUE/COIL

2012-01-26 22:58:54 | 音楽(旧譜レビュー)






久々の旧譜レビュー。今回はCOILの「ORANGE&BLUE」です。





12年前に出たアルバムですが、今聴いても余裕で新しい。
というかこの時期のバンドはどのバンドも色々先取りし過ぎていた感がありますね。
だから当時はそんなに評価もされてないイメージでしたけど
でも今なら堂々とこれも最先端だな、って言えるんじゃないかと。今は色々壁がなくなってるイメージですからね。
洋邦の壁って意味で。良い意味で影響を消化していて随分と気持ち良い音楽だと思います。

基本的にはオールディーズの流れを汲んだロック・ユニットですけど
そのまんまではなくきちんと日本のポップスやフォークの要素と合体させて
聴きやすく提示されてるのが非常に良いですね。
聴きやすい感じやすい。
その中で確信を突いた詞だったり、懐かしさを感じさせる雰囲気だったりと詞もちゃんと面白くて。
メランコリックとセンスとユニークとシリアスが良いバランスで混在している感じ。
全12曲中ほぼ名曲レベルの楽曲なので、最初から最後まで滑らかに聴ける。そんなアルバムになっています。


そういう古き良き音楽からの影響も良いんですけど
やっぱそのまんまだと辛い。
どっかでそのユニットにしか出せない味が欲しい。って観点ではCOILはもうバッチリで
オルタナ好きには堪らないような「追放と楽園」もまた彼ら独自の味って言える位調理されていて。
日本語の使い方、メロディへの調和のさせ方、力の抜きどころも色々分かってる感じで。
ズバリな名曲「海とゼリー」からノリノリのロックンロール「カウンセリング&メンテナンス」、
アコギ主体かつ挑発的な「覚醒<めざめ>」、素直な思い出ソング「河川敷ドリーム」、素朴な「ユメオチ」、
子供時代のペーソスをゆったりとしたメロディで歌う「幼少時代」は最高のロッカバラード。
最後の「White Room」なんかも脱力と真面目が良い具合で混ざってて素敵です。
一枚目の流れを引き継ぐおふざけ「COILの暴動」なんかも入っててそのひねくれもまたオツで(笑)。
オマージュと尊敬の念を含みつつ、自己流ポップに昇華出来ているそのセンスは
懐古って訳ではありませんが
やたらそのまんま、がまかり通ってる今では本当強いオリジナリティを感じるのです。
今だからこそ聴いて面白がって欲しい、そんなアルバムですね。傑作です。

特にフォークの名曲と言っても構わないくらい堂々とした名曲っぷりの「BIRDS」は必聴レベル
あの頃もあの頃で感動しましたが、今聴くと歌詞の深みが強く感じられて
尚更心に染み渡ってきますね。
英語に聴こえる日本語詞、って観点でもこの時期から先取りしてるのは凄いと思う。「有終の美~」の部分。




久々に「追放と楽園」聴いてたら、今のオルタナ勢にも負けないくらい強烈なオルタナっぷり発揮してて
これは是非今のロックファンの反応も気になるな~って所からこの記事書こうと思いました。
基本ロックですけどポップスのファンが聴いても満足出来るような秀作だと思います。
二人とも作詞作曲歌もこなすっていうのも基本に忠実で良い感じです。



alfred and cavity/the band apart

2011-12-06 00:19:18 | 音楽(旧譜レビュー)






旧譜レビュー、今回はthe band apartの「alfred and cavity」です。





このアルバムは、the band apartの3枚目のフルアルバムにあたるんですが
現時点では
最も洗練された出来になっているのがこの「alfred and cavity」だと思います。
所謂パンク・メロコア系のシーンから出てきたのにも関わらず、オシャレで汗臭くないサウンド
その上でバンドアンサンブルの激しさや衝突の醍醐味も表現する、っていう
キッズもサブカル好きも両方虜に出来る様な懐の広いサウンド、
それが証拠に
ライブでもその層が2分されているように思えるんですね。
ハイスタやブラフマン系統の層と、サニーデイスーパーカーをたしなむような層と
その怒涛のいいとこ取りっぷり
それがもたらす新たなるオルタナ感覚の素晴らしさ。
オルタナっていうのが何を指すのかは個人個人の感覚に拠りますが
個人的にはゆらゆら帝国やイースタンユースに負けないくらいオルタナティヴで
わが道を貫き続けているバンドだと思います。
彼らの尽力があって
オシャレで踊れるパンクミュージックが流行ったのは言うまでもないと思ってて。

その中で、
どれもこれもお気に入りの作品ではあるんですが
この時期によく聴きたくなるのはこの「alfred and cavity」でして、
個人的な感覚でしかないんですが
メロディが一番良いと思うんです。全体的に。凝ってるのは勿論、妙な温かさがあるっていうか
激しさとじんわりくる感じが上手い具合に合さって一つになってる気がして、
バンアパの基本的なコンセプト、
バンドの特徴からしてもこれが一つの金字塔のようにも思えて。
しっかりと練り込まれたメロディに
幅広いフレーズの楽しさ、
どこを切ってもポップで楽しく、オリジナリティ溢れる音楽のバランス。
最も衝撃を受けたのは1stで、
最もアガるのは2nd、
タフなバンドサウンドを見せ付けたのが4thっていう印象ならば
このアルバムは最も安定していて、いつでも楽しんで聴けるアルバム、って感じですかね。
それ故に他のアルバムと比べて突出した楽曲は見受けられませんが
その分このアルバムは楽曲ごとの差異がなくて、一つ一つの曲を均等に楽しめる作品だとも思うんですね。
どの曲もどの曲で必要っていうか、その一つでも欠けたら物足りなくなるような、バランスに長けた作品で。
これはこれで一つの到達点だよなあ、って
先日聴いてて改めて思いました。
当時はややインパクト不足にも思えたけど、その分ずっとコンスタントに聴き続けられる安定感があるんですよね。
このバランスの取り方は、中々しょっちゅう聴けるものではないでしょう。傑作だと思う。




先日別館で「led」について書きましたが、あの曲は単体でもってバンアパ独自の表現、
バランス感を上手く表現した名曲の一つだと思ってます。
その他にも、軽快なリズムとメロに何度もハマる「beautiful vanity」、
昔の友人に捧げるちょっと胸が温かくなる雰囲気が素敵な「Stanley」、
不穏なアレンジが刺激的「headlight is destroyed」や爽やかに突き抜けるメロディ「still awake」
逆に挑発的なメロディが光る「KATANA」と楽曲のバリエーションは豊富も豊富
どの曲が云々ではなく、全体で聴いて自動的に楽しめるくらいは流れは徹底されている作品です。
キッズも当然、雰囲気が素敵な音楽を好きな方にも太鼓判って感じのアルバムですね。

以前のレビュー
Scent of August