超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

肉体コミュニケーション/mogg 全作品レビュー

2014-06-22 01:26:34 | 漫画(成年)
mogg「肉体コミュニケーション」読了。
とらのあなで購入するとお風呂ポスターと8ページの小冊子が付いてきます(限定版のみ)。
個人的に心待ちにしていた単行本だったのでどうしても限定版が欲しかった。











いや~思ってた以上に素晴らしい内容でした
最近のmoggさんの武器である「思春期」を中心にそれ以前のリビドー全開モードの作品、
そして背徳感を煽る作品やオーソドックスな作品まで実にバラエティにバランスに富んだ内容で
新人の一冊目としては申し分のない出来栄えに仕上がってるんじゃないですかね
思わずこそばゆくなるような作品から一気にロマンを刺激されるような作品まで魅力全開の作品集ですね
ストーリーものもちゃんと楽しめる上に官能中心の漫画も押さえてある抜け目のなさが実に良いです。

この方の描く女の子は掲載誌である快楽天でも取り分け無添加な方だと思います
誇張が少ないというかあからさまにグラマラスな女の子は「ほぼ」登場しないんですが
その分写実的な良さがあるというか、良い意味で身近な感じがするのが魅力の一つだなあ、と
それでいて肉感的な描写や艶っぽさも忘れてないので益々魅力十分というか
素朴でナチュラルなのに官能的・・・というのが読んでて素晴らしいと感じますね
基本的に無添加であいらしいのにきちっとお世話になれる感覚があるのがお気に入りです
(ちなみに誇張を否定している訳ではないです。むしろそれもそれで必要)。

読んでて気付いたんですが「ほじくる」という言い回しが多いな、と
それはそれで結構ドキドキしますね(笑 というか「いじくる」以上にキますね
モノローグを使って展開される構成等中々独自性があるのも評価ポイントです
そんな珠玉の一冊目を全作品レビューしたいと思います。
既にドハマリ中!











◆サヨナラの少し前

色気のないシャツが逆に艶っぽく感じるのはいいですねえ
こういう写実的なエロスを表現出来るのは素晴らしいと思います
内容も主人公の葛藤がありつつも、でもシンディの健気な気持ちが胸を打つ感じで
きちんとちょい感動要素ありのストーリーものに仕上がってるのがイイですね
あの水着姿は誘惑の一環だったんでしょうねえ(めっちゃ可愛い)。
そしてオチがまた素敵。



◆小麦パンが焼けるまで

小麦って見た目はそこまで美少女然とはしていない
むしろ地味目なんですけど、そういう子を官能的に仕上げるのが上手いねこの方は
いじりながらFするシーンとかナチュラルな艶っぽさ満載で良かったです
外と中の2バージョン用意という構成もまた光ってました
小麦は確かに不思議ちゃんだけど憎めないいじらしい可愛さがあって実に素敵ですね
ちょっと短めのエプロンがまたほんのり官能的でイイですねえ・・・。

でもイジけてる小麦ちゃんも可愛いです(笑



◆いじめてあげる

これはこの作品集の中で一番好きですね
物凄く極まった思春期感に溢れていて読んでてグッと来ます
冒頭の怒濤の小悪魔的エロス展開も実に最高なら(柊理奈ちゃん官能的過ぎる!)
後半のそんな彼女の内に秘めた想いが溢れだす青春パートも同じくらい大好きです
わざといじわるしてたんじゃなくて
自分の事を思い出して欲しかった
忘れないで欲しかった・・・と考えると小悪魔から一気に純情な乙女っぽくなるのが実にイイです
本当は彼の事が好きで好きでたまらないんですよね 冒頭が大はしゃぎだった分涙がとても効果的でした
それにしても肉感的な作画に関しても随分極まった感じがしてこれからがかなり楽しみですよ
最後の理奈ちゃんの表情とポーズがまた凄く爽やかであいらしくて読み終えた後恋がしたくなりますね
個人的に何もかもが好みのヒロインですわ。あっかんべーとか、似合う上に可愛いっていう。

ちなみにmoggに完全にハマったのがこの作品からでした。
それまでも「いいな」とは思ってたけど、この作品でもう一段階化けた感覚があります。



◆Lonely Cat

おじさんの家に居候している姉妹が競って求めあう、という内容
姉の栞がされてる時に妹の香奈が「ムカツク・・・」と思いっきり嫉妬するのが好きですね
ただ単にからかってやろうと思ってたんでしょうけど上手くハマってしまった、という。
お互いいがみあいつつもライバルのような関係でもあるのが素敵(?)です
そして珍しく姉の栞は極端なグラマーキャラ。



◆目隠し★ロック

目隠しは興奮のため・・・かと思いきや
紅潮した顔を見られたくなかっただけなんですね
でも「可愛い」と言われた事でちょっと平気になった、と
これまた愛を感じる作品でしたねえ
普段はロッカーなのにベッドの上では甘え上手、っていうかキャラが変わるのも良かったです

しかし帽子似合うなあ。



◆ネムリヒメ

ラブレター貰った後の姫草さんの反応が可愛すぎますね(笑
オチも超ストレートな純愛模様でこれも凄く最近のmoggさんらしい秀作です
正直かなりニヤニヤしました。
態度だけ見ればすごくぶっきらぼうだけど、中身は本当に素直な良い娘で大好きです。



◆肉体コミュニケーション部

「部」を除いて本のタイトルにされてるのは
「肉体コミュニケーション」という言葉がピッタリだったからなんでしょうね
実際ピッタリだと思います。肉体を通した愛情の確認。

で、今作は本当に単純な行為にのみ焦点を絞ったリビドーしかないような作品です
最近の作品のような深みがない分目的が一つに定まっててこれはこれでバランス的にアリ
しかしまあこの先輩もちょっと小悪魔的でグッと来ますねえ。



◆危ないおんぶ

これはこの作品集の中で2番目に好きです
少女とおじさんという組み合わせですけど、少女の木之下さんが無邪気におじさんを好いてて
その不用意な発言がおじさんのタガを外して勘違いさせ情事に踏み込ませてしまう・・・という
実に独創的な内容になってますが段々おじさんの行為に疑問を感じて喧嘩しながら情事を行いつつも
でも最終的には感じてる風~という背徳感が素晴らしいと思います

また体操の衣装がやたらエロい上におしりとか肉感的な部分の作画が冴えてて凄く覚醒した感があります
木之下さんの可愛さも尋常ではなく子供っぽいのに身体つきはいやらしいというギャップにドキドキしますね

セリフ選びのセンスの良さも通常以上に決まってて
「ほじっちゃ・・・やだぁ!! 」とか 
「全身準備できてる・・・やらしい子だ!」とか
「体はそうは言ってないだろっ!!」とか
「うれションして!」とか、とにかく冴えまくってます
うれションって言葉はこの漫画で初めて聴きましたね(笑)。
木之下さんは顔と言動は幼いのにおしりも胸も局部も何もかもが官能的過ぎます!
おもらしのシーンもあるしではっきり言って「傑作」としか言いようのない完璧な出来栄えですね
行為のシーンもおじさんのテクニシャンっぷりが要所要所で発揮されててスムーズにお世話になれます
でもなんかこの二人の関係にニヤニヤ出来る節もあったりしてその辺は流石mogg流って感じです
日本に生まれて良かったです(笑顔)。
最高の作品。



◆トイレ☆パーティ

この作品集の中で最淫力を放つ作品ですね
早い話本当にリビドーだけの内容でトイレで乱交してるだけです
しかもそれが凄い官能的な見せ方で男根で遊んだり精子で的当てゲームをしたりと
とんでもなく破廉恥な内容になっているのがけしからん、ではなくもっとやれ、と(笑
際限なくヌキヌキしたりクリオナしたりもう快楽主義ド真ん中でこれはこれで振り切れた作品ですね
単体で観ても素晴らしい上に良い具合にバランスメーカーとしても機能してるのが尚良い。
揃って色々やってるのが益々興奮を煽ってくれてます。これも超好き。



◆はみコス

昔の作品なので局部の描き方、胸の描き方が今と比べると凄くシンプルです
これはこれでポップでパロディもあって中々悪くないですね
進化の度合いをはかる意味でも必要な作品。



◆溜まり妻

moggさんに人妻もののイメージはないですねえ・・・
かなりの実験作で過渡期の作品という印象
でもこの奥さん普通に可愛くもある(笑



◆Sの小部屋

快楽天初期の作品ではこれが一番好き
露出狂対自慰魔人って感じで順当に興奮出来ます
こういう「いけないこと」をやる楽しさってアプローチも収録されてるのがまたこの本の良い部分です
最終的には二人とも露出狂になっちゃう顛末含めて今作らしさを貫けてて良かった

しかしこの頃から「ほじる」って表現使ってたんですね。すげえ。
そして下着見られて興奮するシーンはマジモンっぽくて好きだ(笑)。



◆僕のリカちゃん先生

作中で「チ○ポ」って言葉が何回出てるか数えたら31回ありました
ここまでその言葉を連呼しまくる漫画も早々あるまい
更にここでもまた「ほじる」って言葉を使ってます
moggさんのオリジネーションをつくづく感じざるを得ない作品でした
しかしちびっこメガネ先生って結構良いですね 年齢的には全然上だけど。

名セリフ「あ・・・あたまの中・・・チ○ポになってる・・・」 
でも別に男根狂いではなく一応純愛です。



☆その他描き下ろし

カバーの折り返しに2点カラーイラスト
巻頭にカラーイラスト2枚、
表紙と裏表紙も勿論描き下ろしでカバー裏には全キャラの描き下ろしイラストが載ってます
どのヒロインも大好きなのでこれは嬉しかったなあ カバー裏でも木之下さんはもらしてます(笑

とらのあなの特典漫画は「サヨナラの少し後」、
「サヨナラの少し前」の続編で、まあ基本的にはやっぱりラブラブ模様中心です
ちゃんと有言実行してくれたんだなあ、と思うと感慨深いですね。
ファンならお風呂ポスターと一緒に出来れば是非。

















総じて、思春期と背徳とリビドーが上手い具合に混ぜ合わさった渾身の単行本に仕上がってます
ストーリーものもリビドーものも両方味わいたいような人におススメかも
ちなみにLOに載った作品は未収録なので注意。
個人的には「いじめてあげる」「危ないおんぶ」推しですね。
長く付き合える一冊です。




成年漫画に於ける重要ポイント(個人的考えに基づき)

2014-05-02 22:23:02 | 漫画(成年)













成年漫画と一口に言っても琴線に触れるものとそうじゃないものがあります
その違いを自分なりに考えて一応の答えを導きだしてみました。















◆キャラクター

成年漫画の肝はシチュとかパーツとかそういう属性的なものではなく
読者に感情移入をさせる事が出来るキャラクターメイキングなのでは、と
個人的には考えています
それは初々しい気持ちの表現だったり
いじらしさの表現だったり、
それはどういうシチュであろうがまず「キャラが良い」っていうのは大前提のような気がします
だから細かい仕草だったり口調から伝わって来る心情なんかが重要なんじゃないかと

特に「純粋な想い」を伝える事にも着手して興奮と共に感動も同時に生めてる作品は最高ですね。



◆バックボーン

所謂そこに至るまでの背景といいますか、
基礎の部分がはっきりしていると感情移入に上手く作用してくれると思います
成年漫画はページ数が基本的にあんまり多くないからこそ短い中でどれだけ情報を詰め込めるか
「こういう子が今こうなってる~」という上乗せ要素が作れるので背景に関しても重要だと思ってます。



◆個性

これは根本的な問題になるんですが
他人と似たような絵だとあんまり感情移入出来ないというか
パッと見て「ああこの人か」って思えるようなオリジナリティが重要になってくるのかな、と
「ここでしか読めない」が重要というか、取り敢えず触れてすぐ判別が付く程度の個性は必要だと思います
特に成年漫画は基本的にやる事が共通してるので絵柄によって印象に残る/残らないも差が付くかなと。

流行りの絵柄にあまり頼らず自分だけの絵柄を見つけてる人は結構長く生き残れてると感じます。
















成年雑誌を読むのははっきり言って面白いですね
各々の作家さんが自分の個性や得意分野でしのぎを削ってますから
コメディにも純愛にもアナーキーにも振り切れる最高のジャンルだと思います。
特に仕事終わりに読むのが好きですね(笑 癒されます。




H.O.M.E Habitant of melting ecstasy/山崎かずま

2013-12-18 21:41:00 | 漫画(成年)





















■鈴木さん

猫に見られながらするのが恥ずかしい、というシーンがあるんですが
彼(彼女)らは結構にそういう方面に関して興味津々だったりしますからね
内容は割と奥手なメガネ女子が猫をダシにアプローチ、という可愛げのあるもの。



■いもうとプレイ

何にでもすぐ影響される妹が兄貴のお宝本を読んで・・・とかそういう話
この妹の造詣は確かにめっちゃ可愛い、上に性格も幼さが良く出てて中々に楽しく読めました
影響されてる事はされてるんだけど、時折素の感情が垣間見れる部分が非常にツボでした
ラストでさらっと家族の前で兄貴と行為に及んだ事を告白する妹は精神レベル高すぎですね(笑
でもなんか憎めない可愛さが滲み出てて最高でした。



■少女サニー

むさい男(失礼)が後輩にアプローチかけられるも、
自分のルックス等に自信がないため疑心暗鬼になったりする話。
恐らく人柄に惚れた、って事なんだろうけど(面倒見良さそうだし)
それにしてもあそこまで疑ってかかる気持ちも個人的には分からなくもない
きっとこの先もコンプレックス抱えて生きてくんだろうけど、頑張って欲しいですね
まあコンプレックスの代わりにいい人が側に居るし(笑
色々な意味で初々しいお話。



■cheer!

試合に負けて落ち込んでる野球部員をチア部の彼女が励ます話
この話はなんか・・・無条件で好きですね
とにかく終始明るく男の子の為に尽くしてくれるチア部の彼女が生き生きしていて良い
内容は勿論行為描写中心ですが何故かその笑顔とハイテンションに「爽やかさ」を感じてしまいます
多分今回の中で一番「いたらいいな」って思ってしまった子 
キャラデザも性格も一番お気に入り。あとスタイルもめっちゃ好み!



■少女メロディ

援助交際で生活費を稼ぐ主人公、誘いをかけたおじさまにビンタされ叱られて逆に惚れる・・・という
序盤のダーティさと比べて中盤甘々になって最後はハッピーエンドという二転三転する状況が面白い
ルックスは不良くさいけど心はピュアなのが良かったですね
「本当は叱られたかった」って気持ちもなんとなく理解出来る。



■少女メロウ

目次間違ってますね、こっちのがメロディより後に載ってます
これは多分一番地味子?目も小さめで結構リアル路線のお話かも
これに限った話ではないですが、基本的に成年漫画にありがちなむっちゃデカいバストとかはないです
どれも現実的というか・・・いや、むしろ現実のグラマーよりちょい控えめくらいかもしれない
その上で結構写実性とか現実感に拘ってるのでその意味じゃこれはこれで質感にリアリティがあって良い
まあシチュは結構ぶっ飛んでるものも多いですが(笑
この子も良い子やねえ。



■トーコ!

あなたの通天閣が、私の道頓堀に・・・!
溢れ出しちゃうっ!!

って妄想は凄く笑えました(笑)。トーコもキャラが凄く純真でスレてなくて好感触ですね
大阪弁の女の子を主人公に据えた所謂「方言女子」ものですかね。
なんかもう一緒にいるだけで元気になれそうな感じ そしてそういう女の子がこの本には非常に多い。
落ち込んだ時に読むのにも向いてるかもなあ。前半のクスクス笑えるラブコメ描写も◎。



■少女フェイク

多分作者は女性なんだろう、って感じてたらこの作品の解説で男性だったのが判明
女性の心情描写が結構繊細なので女性作家と言われても違和感ない感じだなあ・・・
このお話は一夜限りの恋人プレイ、ですが
女性の気まぐれに振り回される男の描写が結構ありがちにも思えてその点でも女性作家っぽいお話
お話の仕上がり自体は適度にアンニュイさが漂っていてこれもまたイイです。



■is this love?

所帯持ちの男がアリバイを作って不倫、しかも相手が実妹・・・という
二重の意味でアンモラルなお話
あの不適な態度、大人びたルックスで「お兄ちゃんあいしてるよ。」はちょっとキたかも
この話もどことなく背徳感とアンニュイさ漂う内容ですが、、、その「暗さ」もまた悪くないですね
むしろそれが興奮を引き立てる、という。基本的にダメなんだけど切なさも加味されてるお話です。

まあ、基本的に若くてグラマーな女教師ならば目線は黒板でなく別のところですよね。ワカル。



■荒巻さんとヨーコちゃん

う~ん、そもそも露出多すぎでは・・・(笑)。
まあキルラキルみたいなのもあるしアリっちゃアリなのか。
でも彼女がああいうコスチュームで外に出てる、っていうのは逆に燃えるものなのかも。

こだわりはわからなくもない、でも、結果的に可愛けりゃ大抵は許されます
そんで何だかんだで燃焼しちゃうんでしょうね。はっ。

















表紙とかカラー絵が気合入ってるのって実は中身は・・・ってのも多くて
まあでもあまりに表紙のカラーリングと構図、キャライラストがツボだったので思い切って買ったら
想像以上に面白くて一気に読んでしまいました これは表紙の美麗さに内容が伴ってるパターンですね

個人的に、純真な笑顔の女の子がゴムを持っている、というシチュ(?)が好みなので
その点でも素晴らしい表紙イラスト、裏表紙もまた扇情的で最高なんですが(笑
素朴でアッパーなものからアンニュイなものまで適度に楽しめる一冊です
特にキャラが記号的ではなく活き活きとしてる印象なので、
明るくてポップで、かつ扇情的な成年漫画を好みの方には薦められる一冊ではないでしょうか
正直どのキャラも男に一生懸命尽くしてくれる感じが成年漫画として秀逸でしたね
こういう「汗の匂い」まで伝わってきそうな写実性のある成年漫画が個人的には好みです
凄く気に入りました。




ついてきます!/川崎直孝 全作品レビュー

2012-06-02 10:00:23 | 漫画(成年)






川崎直孝「ついてきます!」読了。






このタイトル、最初はどういう意味なんだろう?って考えてたんですけど
ふと冷静になって思い浮かんだのが「付いてきます」と「突いてキます」のダブルミーニングなんじゃないかと。
確かに女の子がついていきます!って宣言するかのような内容だし
後者に関しては正にそのまんまなんですけど(笑)。
まあ実際にタイトル作品もあるんですけど、個人的には前述の解釈の方が面白いんじゃないかと思い。
なんていうか、この作家さんは本当にブレない個性を持ってますよね。
前作よりは掲載誌がコンビニ誌って言う事もあって流石に倫理って何?って言うような展開は少なめ
でも「少な目」っていうのもまた凄いと思うんですけど(笑)。与えられた環境の中で必死に個性を活かしてあげようと
頑張って作って川崎直孝ならではのとことんまで突き進む絶頂感と熱量は保ったままで
倫理観が崩れていく描写もきちんとあるからファンとしても満足だし
今回も今回で一つの「芸術」だとは思いましたね。絶対にこの人にしか描けない作品に仕上がっていて
デビュー作の「アとエのあいだ」に負けず劣らずの傑作だと感じました。読み終えた後の爽快感が素敵すぎ!
今回はスレンダー路線ではなく
全作グラマーっていう真逆の方向性になっている
そんな極端なふり幅も面白かった今作、前作と同じく全作品レビューを敢行します。

☆成年漫画のレビューなので苦手な方要注意です。では以下。






■ メランポジウム

性の不一致に悩むカップルの話。蓋を開けてみれば絶頂に辿り着くまでの速度が違っていた
彼女の方が遅めだったので何度も何度も頑張って突き上げると言う内容
ただ単にずっと行為に及んでいるだけの内容ではあるけど
途中から全力で走っているマラソン選手のようなエネルギーと情熱が感じられる素敵な作品
冗談じゃなく身体の不一致で別れるとか不穏になるって話はよく聞きますからね。同窓会の時とかに(笑)。
そんな全力でやり切った後の爽やかなエンディングも心に残る感動的で素直なお話でした。
こういう涙腺に来る様な成年漫画って大好き。偏見で語られるのは大嫌いです。



■ 平和なエネルギー

乳房とモノを一遍に味わう女の話・・・って一体何なんだろう(笑)。
こんな描写は何気に始めて見たかも。
前のお話とはうってかわってコミカルなバカバカしさと一気にエスカレートして
途中からぶっ壊れる倫理観の調和が面白くまた興奮するレベルの一作
まったくその気もないのに巻き込まれてしまったまいかちゃんに同情してしまいますね。
ま、それがすっごくアナーキーで良かったりもするんだけど。

「凄すぎるぞ男子っ こんな気持ちを抱えて生きているのか・・・っ」は名言。ちょっとウルっときた(なぜ)。



■ A cup of coffee

媚薬入りって言っといて実はウソでしたっていう割とオーソドックスな話かな?
それに単純にのせられてしまうっていうのは滑稽なんですけど
でも思い込みも思い込みで威力は高いんだろうな、って
それと元々好きだったのもあるんだろうから、結果的には一日で二人も恋人を作った、って事で
店長のやり手っぷりにおそれおののくような、そんな一作。



■ すいちちスイッチ

陥没乳首を頑張って必死に吸いまくって、その結果無事に中身が出たよ!っていう
コンプレックスを解消してあげる話・・・って
これまたとんでもねえ設定の話だな(笑)。単なるグラマーもんじゃ済まさないぞって気概を感じます。
その後の出現を祝うような激しい祝杯パレードの様子もまた見所だと思います。
にしてもこんな姉ちゃんが実際に居たら天国だろうなあ。



■ 石と紙とはさみ

前・中・後編に分かれてる結構な大作ですね。
あらすじとしては、奥手なカップルに熟練カップルが手取り足取り
お互いの身体を使ってセックスのレクチャーをしてあげるって内容なんだけれども
奥手カップルの女の方がそれきっかけで淫乱になってしまい
冷めた男が別の女に乗り換えるっていう、幸せの形が摩り替わるっていうそういうお話ですね。
一方は本当に望んでた奥ゆかしい愛情を見つけて、一方は元々快感に溺れる性格だったのか
一度楽園の味を知ったらもうその辺の知らないおっさんとも行為に及んじゃって
その様子ははっきり言って異常なんですけど
でも、当人は当人で幸せそうに生きているのをみると、なんとも言えなくなってしまうという。
こういうタガが外れた理性を描かせたらこの人の右に出る人って意外といなさそうです。
何となくこのお話の続きを読んでみたくなるような、そうでないような。微妙に恐ろしいですね(笑)。



■ ついてきます!

マンションの見学に訪れたらそこの女が身体を使って何度もアピールしてきて
最終的には行為に及んだ後に契約を快諾させられてしまう、っていう。
でも最終条件が「私がついてきます」ってこれ単純に色仕掛けっていうには本末転倒な気がしなくもない(笑)。
しかし考えようによっちゃ一ついいとこに収まった気もするし、ユニークではあるけれど
さり気に純粋なカップル成立のお話でもあるのかも。羨ましいなあ。
必死に喘いで防音のレベルを保障するセールスウーマンとか・・・狂ってて最高ですね(笑)。



■ 3角曜日っ

テクノブレイクって知ってます?



■なんとかラポ~ル

人の居ない喫茶店で、店員の目を盗みエロプレイに走る二人
その内にエスカレートして堂々と何も隠さずに行為に及んでしまって
注文が運ばれるまでに必死に行為を済まそうと頑張る
一回終わった後も、
また注文を頼んで何度も繰り返す二人
その様子に飽くなき興奮や刺激への渇望が垣間見れてある種のロマンを感じさせるような、そんな一作。
この店員も本当は知ってて裏でソロプレーをやってるのでは?って勘ぐりたくもなりますね。







川崎直孝の個性としては倫理観の崩壊と羞恥心の無効化と、
そしてスピード感溢れる押し引き描写の3つが主に存在してると思うんですけど
その一つでも際立っているだけで、きちんと彼自身の、川崎直孝らしい漫画になるんだなあ・・・と。
そんな事実とポテンシャルを確認出来て嬉しかったしファンとしても大満足
これからも彼の漫画を私は逐一推して行く気分にはなれる程度の破壊力を秘めた傑作集でした。
とはいっても成年作品なので年齢制限はちゃんと守って読んで下さいね。
後は「漫画だからこそ」の表現だとも思うので、その辺は決して履き違えないようにしましょう、っていう〆で。
今作も心から素敵だと思える単行本でした。また新作同人誌の方もチェックしなくちゃ!




アとエのあいだ/川崎直孝 全作品レビュー

2012-02-19 13:53:16 | 漫画(成年)





偶然同人誌を手に取った作家が気付けばプロになっていた、っていうのは
たま~にある事ですけど
私にとってこの作家さんもその一人ですね。川崎直孝「アとエのあいだ」を全作品レビューします。

この人の漫画はですね、色々な意味で常識外れっていうかネジが外れてるっていうか
狂気じみてる作品が多いんですけどそこに一匙のユーモアがある節もあって
客観的に考えれば外道なんですけど
でもその外道っぷりも中々憎めなくてね、ついつい惹かれてしまうといいますか。
性に関して極端に無秩序になってる世界観は川崎直孝ならではの要素の一つだよな、と
しみじみ思う訳です。
他にもバカエロ系の作家はいますけど、この方の作風はそこに色々とクレバーさを感じるものが多くて
計算された狂気、正常な狂気、みたいな・・・まあ中学生の妄想じみてるって意見もありそうですけど(笑)。
ただ、代えの効かなさは確実に感じるのでその意味でも商業デビューは嬉しいものでした。
同人誌だとこれ以上にアレなネタもやってるので
もし気に入られたならば同人誌の購入もまたオススメしときます。
ってオススメ出来るような作風じゃないんですけど(笑)。色々とガチですし。

*成年漫画のレビューなので苦手な方注意です。





■モンスタースチューデンツ
モンスターペアレンツならよく聞くけど、
モンスタースチューデンツとはこれ如何に?と思ったら
単に保健体育の授業で恥ずかしがる先生に身を持って教えてあげる、っていう
そういう話。を、女生徒3人と男性教諭一人で行うって言うアナーキーさが売りのお話。
最後の方にはすっかり毒されてそっち側に染まるのもお約束(笑


■絵に描いた杭
これまた反応に困る作品ですね(笑
お互いがクイズを出し合って勝負って話なのに
片方の問題が性的過ぎる、っていうか単純にデメリットだらけで制裁に過ぎないのが笑える。
しかも最後のオチも秀逸で
激しくて官能的なのに笑えるって言う
色々な意味での問題作ですな。
シチュエーション的に考えると珍しいとかそんなレベルを超えてアイディア賞もんですね。
実際にこんなクイズ番組観てみたいわ。無理でしょうが(笑


■額の額
この作品だけ毛色が違うといいますか、珍しく合意の上なんですよね。
・・・合意の上って作品が一つしか入ってないっていうのもちょっと凄いな(笑)。
お互いがお互いを誘って満足させて、っていう
駆け引きの要素が面白い作品
他の作品と比べて多少オシャレっていうか微妙に日本っぽくないキャラや画面作りが目立つ一作
今作の中でも特にお気に入りの一本ですね。
大体無理矢理がデフォルトなだけに、こういう元から好き同士っていう関係性は爽やかな読後感でいい。
まあたまにだからこうやって相対的に評価も高くなるんでしょうがね。
続編とかも観てみたい作品です。


■どうでもいいけどバントの発想ってすごくない?
「真ん中ばっちこーい!!」
「流石正捕手っ」

この場合、正捕手云々は関係ないですよね(笑)?ただ単に広げてるだけだし。
あまりに下品すぎて舌を巻くシーンも多いですけど
逆に考えれば、どんな事柄も下ネタに変換出来るんだ!っていう作者の自信のほどが伺えて
その意味では鉄板といえば鉄板の作品なのかもしれない。
基本的に年齢差のある作品が多いですけど
この漫画に関しては同世代同士、しかもグラマーって事でことキャラに関しては最もスタンダードとは言えます。
無論、成年漫画的にね。強引の中に垣間見れる紳士っぷりも見所の一作です。割とマジに。


■小水、白陶器を穿つか
これは割かしファン以外にも浸透してる作品だと思いますけど、
今作の中でも最も下品な作品なんじゃないですかね。
間違えて男性トイレに入った女の子が
勘違いでそのまま男性用の便器で無理矢理小を済まそうと思ったら
こけて転がって個室のドアに激突、
そこには自分の写真で抜いている教師が居て、口封じも兼ねて手篭めにされてしまう・・・っていう
あらすじを書くだけでもぶっとんでる酷いお話なんですけど(笑)。
ただまあ、オチに関しちゃそのままその女生徒がそっち側に染まってしまうって事で作者らしいオチですよね。
しかし川崎作品の大人には禄な奴がいないなあ(笑 まったく。


■2時のおやつ
突発的精子ブーム勃発、
クラスの女子たちがこぞって男子に襲い掛かるっていう
ある種夢のような、そうでもないような・・・。
ただ、この作品の最も凄い所は、そんな状況の中で純愛が発覚して
基本的には両思い作品として最後まで貫くっていうその良い意味での違和感。
やってる事は非常識なのに、何故かプラトニックな感じすらも漂わせるその手腕に脱帽。
その背景では他の生徒が暴れまくってますけどね(笑
教師はどうした教師は。


■したがって少年少女
映画を観よう、と思って一緒に観てたら実は性のハウツービデオで
普通なら気まずくなって終わりなんですけど
川崎作品ではそうは問屋が卸さない、
じゃあ実践してみようよ!って流れになってそのままズルズル何発も、っていう
これまたどうしようもなくおバカな作品ですね(笑)。
ここまでキャラに常識ないと
むしろこれが普通なのでは?と読み手の神経も麻痺してくるから危険です。
それにしてもオチが微妙に切ないのが良いアクセントになってて素敵だなあ、と。
おバカの裏に見え隠れするセンチメンタリズム。グッドです。


■おしえの庭
久々に昔通ってた小学校に帰ってみたら
当時厳格だった先生が生徒を騙して擬似風俗を・・・ってまた外道教師かよ!しかも値段が50円とか・・・
書いてると相当に胸糞悪い話に聞こえるかもしれませんが、コミカルタッチなので案外気にならない。
その上働いてる子はみんな美人ばっかって事で
ロリにとってはある種天国のような場所なんじゃないですかね。
彼女たちは将来どういう大人になるんだろうか。

それにしてもネコ口可愛い!


■アとエのあいだ
英語の発音を良くする為に、ネイティブな発音を恥ずかしがらない為に
行為をすることによって恥ずかしさをなくそう!っていうこれまたとんでもない話。
最初っから英語教師がぶら下げたままで教室に入ってくるなど
無秩序の極みのような作品
これが最も同人時代に近い作風ともあって個人的には大満足の一作
ほとんど中学生の妄想みたいな内容ですけど、そのバカさ加減が気楽に読めて良いんですよね。
にしてもここまで「恥じらい」要素が皆無の作品もなかなかあるまい(笑
男子も女子もオープン過ぎるんだよ!


■おしえの庭 番外編
書き下ろしの4コマ番外編。
本編より更に教師の言動がアレになってる気がしなくもないですが、
最後は「大人になったら悪い人を捕まえますっ」って夢語りが最高に皮肉で面白かった。
っていうかこの単行本には捕まえなきゃいけない方々が多すぎますからね(笑)。




そもそも成年漫画ってだけで人を選ぶのに
その中でも更に細分化させるようなマニアックな作品群ですけど
案外笑えるバカ漫画好きな方にも気に入ってもらえる作品群かもしれません。
過剰に外道とか無秩序過ぎるって批判もありそうですけど
そこを含めてこの作者さんらしいんだと感じてますね。総じて、満足出来た内容でした。
ただ、普通に濃い成年漫画を買いたいって人は間違いなくチョイスするのは考えて欲しい所です。
なんせ色々特殊な一冊なもんで(笑
クオリティの高さは保障しておきますけど、色々と一筋縄では行かない部分も多いので。
今年中にもう一冊単行本出そうな予感なのでそちらもまた楽しみです!