超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

bloodthirsty butchersの音楽と吉村秀樹の存在が心から大好きだった。~訃報に寄せて

2013-05-30 19:31:26 | 音楽











まだまだやることがたくさんあったはず、
まだまだやりたいことがたくさんあったはず
まだまだやるべきことがたくさんあったはず
今日に絶望している人間が生き残り
明日を希望している人間がこの世を去っていく
その様子から何を学べるだろうか、
今、自分は。









最後に生で観たのは1ヶ月前の横浜のライブで
その時最後に演奏されたのが「ocean」という曲だった。


「生きている 生きて行こう 残された気持ち握り」


これが自分が最後に吉村さんの口から生で聴いた言葉だった。
あの時グッと心を掴まれるくらいに生への渇望を表現していた吉村さんが
まさかその1ヵ月後にいなくなるとは全く予想もしていなかったし
正直信じる事すら出来ないのが今の本心である。

「落ち込む」だとか
「残念だ」だとか
「彼がいなくなっても音楽は残り続ける」だとか
「天国でも轟音でライブをし続けて下さい」だとか
そういう事は今は全く思えないし
思おうとも思わない
選択出来ない

今正直に思うのは「納得したくない」「嘘だって思いたい」、
いや・・・それも違うのかもしれない
現実から目を背けたいのもあるし
ブッチャーズの音楽を失っていくこれからの人生を思うと憂鬱になる気持ちもあるし
その辺は言葉には絶対に出来ない感情としか言いようがないんだけれど
ただ・・・
「あんたがいなくなったらどうするのさ!」って
そんな言葉が真っ先に浮かんできたのが自分の中での最もリアルな感情だったんです。


ブッチャーズは中学生の頃からずっと聴いてきた音楽で
しかも一度たりとも離れたことがないくらいに自分の中ではマストな音楽だった
吉村さんの表現というのは端的に言えば自分という器に合ってる気がしたし
ある意味人生に於ける指標の一つにもなっていた
ずっと憧れていたし
ずっと憧れていたかったし
eastern youthの吉野寿と並んで自分の中では一つの立派なモデルとして成り立っていた
生き辛さを表現しながらも自分を保って進もうとする泣きそうになるくらいの意地に身を焦がされ
最早好きな音楽だとか好きなバンドって言葉を飛び越えて自分を形成する一部になっていた感覚すらある

吉村さんがいなくなる、という事は
自分の一部がなくなってしまうというのも同義である
だから正直「これからどうしよう・・・」という途方に暮れてる感情が
今の自分の心情的には一番正しいのでしょうか
もう分からない、
何も分かりたくもないけれど・・・。


ブッチャーズのライブを観ていると時折感傷がそのまま具現化されている感覚があって
「プールサイド」を生で聴いた時は本当に思春期の風景が目の前に浮かぶようで
その芸術性はいつ観ても凄かったし
後輩からのリスペクトも凄かった

実際今私が好きな若手~中堅でブッチャーズの影響を受けている人々は多い
LOST IN TIME(バンド名が既にブッチャーズから拝借)、LOSTAGE、THE NOVEMBERS
cinema staff、きのこ帝国、Qomolangma Tomato、Syrup16gやART-SCHOOLにも慕われていたり
the band apart、ヒダカトオル、MONOBRIGHT、そしてNUMBER GIRL・・・。他にも沢山
そう考えれば考えるだけ与えた影響の大きさを改めて実感して偉大さを痛感します
そしてその穴の大きさも・・・。

THE NOVEMBERSの小林さんが渋谷AXでライブをした時のMCで影響を受けたバンドを並べてましたが
その中にeastern youthもbloodthirsty butchersもあって
ある種この二バンドは今現在のオルタナシーンに於いて生きる伝説と化しているバンド(だと、思ってる)で
だからこそ今ここで本当の意味での伝説になってしまった事が個人的にはとても悲しくて
ドキュメンタリー映画の言葉の通りにまだまだ伝説になって欲しくなかった
現役でい続けて欲しかったし
最近のライブを観るに現役でい続けられるとも思っていた
その矢先に伝説になってしまったんだからもうどうしていいのやら。


吉村さんはもうこの世にはいない。
そんな事実を認めたくないし認められるほど大人にはなれないけれど
でもだからこそ今思うのは彼の存在に憧れ続けて追い駆けてきた人間として
彼の音楽を絶やしたくはない
吉村さんの才能の凄さをずっと主張し続けたい。
音楽を鳴り止ませたくは決して無いしもっと認められて欲しいし
吉村さんの旅立ちをもっと悲しんで欲しいし
吉村さんがいなくなったシーンを「大丈夫」だなんて言いたくはない。今は、今だけは。

「あんたみたいな人が早死にしちゃダメだろ!戻ってきてよ!」

・・・物凄く往生際が悪いですが、
これが自分の気持ちの総てです。













吉村さんがいなくなってもこの世界はこの国のロックシーンは回り続ける
でもどうか今日だけは止まっててくれないか。
そんな事を思った。

思春期の一番多感な時期に出会って虜になったbloodthirsty butchers、吉村さんの音楽
その「続き」が聴けなくなってしまうことが、その「最新」を観れなくなってしまうことが
彼の背中を追い駆ける事が出来なくなってしまうことがこんなにも悲しいなんて
経験して初めて知りました。
経験するとも思ってなかったから。まだまだ。


「これからどうしよう?」





THE BOOM CONCERT TOUR 2013「24」@八千代市市民会館 13.5.19

2013-05-30 01:47:44 | ライブレポ














先々週の日曜日、THE BOOMのライブを観に八千代へ行ってました。












八千代は・・・行くのがちょっと面倒、
千葉市と一応隣接してるのに運賃は東京並みに掛かるやや不便な(笑)場所なんですけど
逆に言えば行く機会があるのは普段行かないだけにちょっと嬉しかったかも
同じ千葉県の街だしね。まだまだ色々な場所でライブを観たい。

ライブ自体はすっごく良かったです
宮沢さんの振る舞いが終始クールで優しくて理想の男性・・・という感じでした
前半は懐かしい楽曲を、後半は沖縄民謡の楽曲中心という事でメリハリも取れてたライブだったんじゃないかと
MCも逐一面白くて初めから最後までしっかりと楽しめたライブでした。

THE BOOMは山梨出身ですけど、ドラムの栃木さんだけ千葉出身という事で
何気に千葉にゆかりがあって今回は本土の最終公演にあたるいわば本土ファイナルに選ばれていて
そういう土地を大切にする姿勢・・・にも感銘を受けた素晴らしいライブでした
昔の思い出話を披露されたり、
全体的にじんわりと沁みるようなライブだったと思います
やっぱり宮沢さんの歌に懸ける姿勢は改めて格好良いな、とも。











出だしは個人的にも大好きな「24時間の旅」、
シュッと決まってる抜けの良いロックナンバーでこちらの姿勢も引き締まる感覚になりつつ
前々からライブで聴きたかった楽曲なので個人的に凄く嬉しかったです

「この街のどこかに」で更に気分が上がった後に
歌詞の一部を「八千代市民」に変えて歌われた初期の際どい歌「なし」、
更にロックモード突入の「きっと愛してる」と良質のバンドサウンドをしっかりと堪能
そして初期の代表曲「星のラブレター」はあの頃のままの青さを携えながらじっくり演奏、
そのエバーグリーンな感蝕がやっぱり今回もとても素敵でした。
ハーモニカの音色もいい。


「からたち野道」は、ピアノの伴奏のみのバージョンで披露されたんですが
「泣いたらダメよ~」の部分で不覚にも泣きそうになってしまいました(笑)。
「泣いたらダメよ」って歌われてるのにね。
やっぱりこの曲はある種代表曲以上のエネルギーを持った名曲だと再認識しました
とにかく澄み渡るような純度の高さに大いに感激出来ましたね。
宮沢さんの歌声の凄まじさは健在も健在でした。

スケール感たっぷりのアレンジで「この広い世界で」、
割と初期の楽曲と最近の曲が多目のセットリストだったのでこの選曲は個人的に意外でした
それもあって思ってた以上にジーンと琴線を揺さぶられたステージだったかなと
一番ブームが静かだった時期の楽曲ですからね

良質なポップソング「神様の宝石でできた島」を楽しみつつ
ディープな方向性の「幸せであるように」でそのぬくもりが更に拡大する
この曲は他の曲よりも詞がさらっと入ってくる感覚で物凄くナチュラルに楽しめました
濃かった前半はここで終了、


中盤は一息つく感じで宮沢さんを抜いた3人でインストで「虹が出たなら」を披露、
これが途中いきなり重たいムードに変わる緩急が非常にユニークなアレンジに仕上がってました
たまにはこういうのも悪くないですね。面白かった。
ちなみに沖縄に宮沢さんが出したお店のBGMの内の一つでもあるそうです。

その後、栃木さんが八千代の高校に好きな女の子がいた青春時代のエピソードを語りつつ
宮沢さんと二人で「釣りに行こう」、これもほっこりする感じですっげえ良かったですね
シックな雰囲気と歌声が完全にマッチしていました

「からたち野道」もそうだったんですが、シンプル過ぎるアレンジが逆に歌を際立ててる印象
それをやれる宮沢さんの歌心はやっぱり独特の力強さがあるな、と
まじまじと感じられたコーナーでした。
もっともっと観ていたいと思えたくらい至福の時間でしたね。


後半は新アルバムから「やいま」「愛より」、
前者はカバー曲で、でも別段違和感のない仕上がりになってたのに驚きました
そして後者はブームにしてはキュート?な楽曲でそのギャップが心地良いナンバーになってたかなと

「忘んなよ 島ぬくとぅ」から陽気なお祭りソング「情ションガイネ」、
そのあまりのはっちゃっけっぷりに圧倒されつつ(笑
でも素直に良い曲だなあ、とも思いつつ
初期の民謡楽曲も次々と披露「ひゃくまんつぶの涙」、「ひのもとのうた」、
そしてその極みとも言える「シンカヌチャー」までこの辺のブロックはまるで別バンドのような高揚感で
一つのライブで観れる表情の数がありえないくらい多いな・・・と
THE BOOMの本質的凄さを味わいつつ
本気で八千代を南国に変えられるそのセンスには脱帽でした

最後は「島唄」で締め、
磐石のラストでこの日のライブは終了
バンドメンバー紹介で栃木さんを紹介する時、
「この人がいなかったらここまで来れなかった、この人がいたからブームは続けて行けたんです」
みたいな前置きをするので普通に「へえ~」と思って聞いていたら
「ボーカル、宮沢和史!」と
自画自賛の(笑)オチを付けていたのが流石だなあ、って
まあその後「千葉が誇るスーパースター」と改めて紹介されてましたけど
そういうメンバー間のやりとり含めて非常に充実していた時間を過ごせました
またいつか、千葉でブームを観れたら・・・と思います
ありがとうございました。


アンコールは新曲「世界で一番美しい島」と
素朴なアレンジの「風になりたい」、
そしてお馴染みのラストソング「不思議なパワー」はやっぱり不思議な高揚感があって
最高の締めを迎えられていたかなと思いました。湧き上がるポジティブな気持ちが素晴らしかった。
全21曲の中で様々な表情を見せてくれたミクスチャーの王道を往く濃ゆいライブ、
ここまでの完成度のライブを地元千葉で観れるのは幸福な事でしたね。
やっぱり今でも特別なバンドの一つです。









セトリ
1.24時間の旅
2.この街のどこかに
3.なし
4.きっと愛してる
5.星のラブレター
6.からたち野道
7.この広い世界で
8.神様の宝石でできた島
9.幸せであるように
10.虹が出たなら(インストバージョン)
11.釣りに行こう
12.やいま
13.愛より
14.忘んなよ島ぬくとぅ
15.情ションガイネ
16.ひゃくまんつぶの涙
17.ひのもとのうた
18.シンカヌチャー
19.島唄
encore
20.世界で一番美しい島
21.風になりたい
22.不思議なパワー











八千代市市民会館はすっごくキレイなハコで音も良く椅子の座り心地も中々で
もっとここに来たいな~、って感じました
かなりの良ホールだと思います。
そして場所も意外と駅から近くてラッキーでした。東葉高速鉄道はやっぱ運賃高いけど(笑

ハイライトは「からたち野道」~「この広い世界で」ですかね
前回行ったライブとかなりセトリが違ってたのでまた今度機会があったら行きたい。
初期の名曲が多く披露されたのも個人的には嬉しかったし
中期の楽曲も忘れてないのも良さ気なセトリでした。
すごく、沁みました。




クロス・マネジ 第34話「作戦2」 感想

2013-05-27 16:58:02 | クロス・マネジ(WJ系)















理屈が通っている。














今週感心したのは蝶蘭の攻めを看破出来た理由がこれ以上なくはっきりしていた点ですね
ミラクルパワーとか根性論だとか、才能なんかじゃなくて
きっちりと複線がまずあって(龍兄ちゃんから蝶蘭のDVDを貰った事、三森の「凡人先輩」発言など)
それにのっとって隙間を突いてみんなの努力によって鍛え抜かれたフィジカルでチャンスをものにする・・
そういうどのスポーツ漫画よりも真っ当な堅実さが完璧に光っていた相当の傑作回でした
ここまで理屈がきれいに通っていると非常に気持ちが良いですね(笑
しかもそれに加えて迫力やカタルシスもありますし、
これによって蝶蘭側にもドラマが生まれそうな予感もあったりして
益々漫画としてオールマイティになってきたなあ~という印象の34話でした
多分今週までが4巻分に相当すると思うのでここで引きだったら単行本派はかなり興奮してくれそう(笑
青春グラフティとしてもスポ根としても恋愛ものとしても面白い、という
利点を完全に証明し切っているここ数週です
だからこそ人気が上がって欲しいなあ、とも思ってたのですが
現実はやっぱり厳しいなあ。

まあ、改変が終われば元の位置に戻っちゃうんだろうな~、と予想はしてたんだけど
特設コーナーとか出来てたから「もしかして上がる可能性も」って気持ちが少しはあったのが本音
でも結局は単なる救済企画だったんだなあ・・・と
再び最下位に戻ってるのを眺めてるととっても悲しい気分になります
しかも今が一番面白い時期なのにこのポジションは相当にもったいないような。
最下位なのに正直今週一番面白く感じましたしね。
まあそれでも応援して祈るくらいしか出来る事はない訳ですけど・・・。

今伝えたいのは、
「クロス・マネジ」の良い部分って順番や段階を飛ばさない誠実さにあると思っていて
どの試合にもきっちり「勝てた理由」とそこまでの「過程」が感じられますし
すっげー圧倒的な才能で無双する、って単純明快な展開はないけれど
その分積み重ねて来たからこその気持ち良さがあって。
そこが大好きなんだけれど、
やっぱ段数を飛ばした方が若者的には受けやすいんじゃないかな、とか
それでも、例え受け狙いを外したとしても「真っ当さ」を貫いてるからこそ自分はこの漫画が好きな訳で
ここから才能や根性論モードになっちゃったら絶対に嫌な訳なんですけど(笑)。

でも、こうやって例え圧倒的な才能がなくても
無双する力がなかったとしても
ギリギリのところで足掻いて
きっちりとチャンスをものにして余裕を持たないままに今を掴もうとする
そういうスマートでない格好良さも受け入れられて欲しいなあ・・・と切実に思います
だからこうやって感想も書いてるんですけどね(笑)。
スマートに振舞おうとしても
現実は厳しいですから
そういった意味でこの漫画からはやはり強烈なリアリティを感じざるを得ないですね
才能もなく根性で乗り越えられる力がある訳でもない、それでもなんとか必死に勝ちを得ようと
ガムシャラに猫を噛もうとする窮鼠たちの物語。そのスタンスに個人的には圧倒的に共感してます
それもまた一つの少年漫画の美しい形だと私的には確かに思っています。


龍兄ちゃんって何だかんだ言いつつも結局「良い人」なんじゃないですかね
あのDVDを櫻井にくれたのは彼ですし、ちゃんと分析してくれた事を評価してくれてますし
本当はハッパかける意味でああいう態度を取ってたのかもしれないですね
ここまで辿り着けたのは龍兄ちゃんのお陰でもあると思うので
その意味じゃやっぱり過去の展開が上手く今に繋がっていて見ていて相当に気持ちが良いのが本音ですね
若本の視点も以前の3人で一緒に練習を見たりクロスを作ってた描写があったからこそ
説得力を含んでますし、
ここまで選手だけじゃなくその周辺の人々も一体となって強さを得ている、
そう実感出来る漫画もあんまりないんじゃないかと思う
今週は特にそれが強く感じられて最高でした

そして藤丘の面々の頑張りも印象的でした
必死に食らいつこうとして相当疲れ気味のざわちゃん、
でもそういう状態でもまだまだ頑張ろうとする気概に個人的に励まされます
うなさなの双子プレイも最早一つの立派な武器になってる感覚もあり
じゅん先輩も変わらず頼りになって良かった
そして、ここからはいよいよ「来ない」と言ってた深空ちゃんたちの出番ですね!
DFたちがあれだけ必死に頑張ってくれていたからこそ彼女の本気の活躍にも期待したいところです

そういえば、「ラクロスならでは」の部分もいよいよ本格的に提示され始めましたね
まあ「フリー・スペース・トゥ・ゴールの侵害」もアタッカーが有利なのも一度描かれてましたが
こうやって何度も描かれる事でより実感出来る辺り抜け目が無くて流石ですね
サッカーバスケと違って休める時間もちょいちょいあるっていうのも面白いです
そういう部分も含めて注目されては、と。


最後にもう一つ、試合の前に蝶蘭高校の軽い掘り下げがありましたが
あそこで三森さんを未熟・・・というか多少幼稚に描いたからこそ
より今の展開に説得力があると感じました
試合中でも「ムキになりやすい」「言動が幼い」等未熟さを感じさせる言動がありましたし
そういう性格的な部分を突いてくるのは非常に上手いな、と
でも彼女の成長も見られれば見てみたいですね。













あと冒頭の和峯さんと深空のシーンは
もう憧れるだけじゃなくて、今度は勝ちに行くんだ。という気概を感じさせてくれて良かった
そういう細かい部分もきっちり楽しめるのが奥深くて良いと思います。





望郷/cinema staff

2013-05-25 16:20:46 | 音楽


















cinema staff2年ぶりのニューアルバム「望郷」を聴く。















前作の「SALVAGE YOU」でも思ったんですけど
どんどん垢抜けて面白いバンドになっていってるなあ・・・と思いました
正直今まででも一番良かったと感じるくらいに良くて洗練されてるアルバムですね
とにかく一曲一曲のフォルムが今まで以上に明確で聴き方を迷わない
しっかりと楽曲ごとに目的意識があって
それが聴き手にちゃんと伝わって来るのが今作での一番の進化なのかな、って個人的には
どの曲も各々の方向性で突き抜けてて良い意味で引っかかる部分がないというか
真っ当に音楽の奥深さを楽しめるアルバムに仕上がっている感じがして
個人的には名盤と称して差し支えない気はしています
ここまでスカッと突き抜けてて深みも内包されてる作品に仕上がってるとは予想外でした
タイトルとコンセプトからしてもう少し重たいアルバムになってるのかな?とか思ってたので(笑

シネマスタッフは出てきた当初から何かと先輩バンドと比較される事が多くて
それはそれで安心感があったしある意味アピールにもなってたと思うんですが
今作ではそれを完全に吹っ切れた気がするんですよね
もうシネマはシネマというか
他の誰にも似てないオリジナリティを手にしたというか。
それは多分飯田瑞規のボーカリストとしての成長も加味されてるとは思います
初期の衝動を頼りに突っ切る歌い方とはまるで違う明確な「歌心」を得ている事で
よく比較されてきた先輩バンドとの差別化がまず済んだ
単純に歌が上手くなっている印象ですね。
それに伴って楽曲の雰囲気にどこか気高さというか、慈しみというか、美しさみたいなものが出てきて
その丁寧に暴走したり感情の上下を訴える感覚は恐らくシネマスタッフの専売特許だと思うので。
より音楽的になってきた感覚もあったりして
そういう意味でも如実に進化を感じれて楽しいアルバムですね
最早一曲一曲に差異が存在しなくどの楽曲も均等に楽しめるアルバムを生み出している
そういうトータリティのセンスも含めて個人的には何一つの不満も無く最後までツルッと聴けたアルバムです
どの楽曲も突き抜けて素晴らしい正に今が実りの時期である事を高らかに告げるような作品ですね
その分初期のような衝動剥き出し感は減ってますけど、
多分このクオリティだったら初期ファンも納得してもらえるくらいのタフさはあると思います
疾走感のある曲はとことんスカッとするし、バラッドはとことん沁みるしで
そういうメリハリや緩急も含めて今推しておきたいアルバムですね。


シネマスタッフは多分初期のコンセプトは焦燥感的なものを表現してるように思えたんですけど
このアルバムからはそれとは真逆の希望だったり前に進む為のエネルギーを感じるんですよね
その変化と、それでも付いてくる説得力が本当にツボで
聴いてる最中も気分は抜群に良いです
それはきっと今まで散々焦燥を歌ってきたからそう感じるんでしょうけど
中にはそういう初期のテイストを引き摺ったままの楽曲もあったりで完全に変わってないのもまた良いですね
その希望がやたら沁みるのはきっと雰囲気や歌声がシリアスで気高さを内包してるからなのでは・・・と思うと
益々バンドには元々こういう方向性のが逆に自然体で合っている気もしちゃったりして
その意味でも坂道を下っていくような一気に変わっていく快感があった作品ですね
そうやってガムシャラに転がりながら光に向かう音像もまた
少年性に溢れてるのも間違いないのでそれもあって素直に「良いなあ」って思えたんだと分析

そして楽曲の幅自体も明確に広がっていてその手数の多さにも進化を感じられた一作でした
シネマとは思えぬくらい突き抜けて明るさを表現している「待合室」は驚いたけど面白い一曲
「いたちごっこ」みたいにダンサブルな快感を突き詰めた楽曲もあれば
再びオルタナに挑戦している「時計台」の気持ち良さ、
スッと沁み込む壮大なロック「望郷」は間違いなく名曲だし
「あのスポットライトを私達だけのものにして」はコロコロと曲の表情が変わる構成が非常に粋に感じる
そういう緩急の面白味は「夏の終わりとカクテル光線」にも活かされてるし
ここに来ての衝動ド真ん中ソング「蜘蛛の糸」の存在も楽しい
慈しみのロック「小さな食卓」もやっぱり新しいアンセムだと思うし情感も伝わるし
最後の「溶けない氷」は今までにないくらい荘厳なロッカバラードに仕上がってて圧倒的だし・・・という事で
どんどん縛りがなくなって純粋に良い音楽だったり良い歌を追求されている気がします
それがやっぱり一曲一曲のフォルムが明確になった手応えを与えてくれてるんだと個人的に思う
そんなシネマスタッフのメンバーが音楽愛を絞り切って出来上がったと想像しているこの一枚、
金字塔的作品として是非届いて欲しいなと願っています。
ロック好きは勿論、
音楽好きなら反応してもらえるくらいの入り口の広さと個性、センスに溢れた傑作だと思ってる
事実初聴きの時点でニヤニヤが止まらなかったくらい良い具合に感じましたからね(笑
一曲一曲を丁寧に仕上げるという地力が功を奏しまくっている傑作アルバム
唯一無二の聴き心地で大満足でした。













これからの二人は、雨の中をただひたすら歩く。(日記)

「止まない雨はない」んじゃなくて
「雨の中を歩こう」って
そういう堅実なメッセージ性に満ちてるからこそ、この希望を受け取りたくなるんだと思う。
音楽的な洗練度・クオリティの高さでは間違いなく最高傑作にあたる作品です。長く聴ける作品かと。





エゴコロトイロ 第2話「義妹との時間」 感想

2013-05-24 17:59:27 | 漫画(雑誌感想)















予想不可能な彼女。













初回の時点では個人的にもみじの方が可愛いかな~、って思ってたんですけど
2話目を読むと一気にダブルヒロインの魅力が均等になった気がするから不思議ですね
何を考えてるのか分からない麦、
しかしその本質はあの頃と変わらない天真爛漫な姿がそこにあって・・・
そういうやりとりを見ているだけでも面白い本作品、
早くも修羅場が生まれそうでもあり(笑
次号を読むのも楽しみです

麦ちゃんはあれですね、若干天然の気があるというか
ちょっと我々の思考とはかけ離れた考えの持ち主のようで
でもそのちょっと不敵で堂々とした態度に可愛さを感じるのもまた事実
「だって兄妹じゃん」のシーンは個人的にちょっとゾクゾクもしたんですけど(笑
彼女にとってはあくまで義兄の役に立ちたいだけなのか
それとも彼との関係に懸けている部分もあるのか
その辺はこれから描かれるんでしょうけど、それも含めて今後の変遷には期待しています

にしても良い所でチャイム鳴りやがったな~
折角グラマラスボディを拝めるチャンスだったのにな。
でもそういう過度に無防備なあたりが彼女の魅力でもあり
この漫画の面白さでもあります
女性の不思議でちょっと小悪魔な目配せを楽しむ漫画というか・・・
個人的にはすっごく面白く読めてますね。
麦ちゃん、ただ翻弄してるだけのようで
根底には健気な気持ちも垣間見られたので今回でもみじと同じくらい好きになれました
まあ元々初回の時点でももみじに劣れどある程度お気に入りではあったんですけどね
薄い下着で果実が見えているっていうシチュが良いですよね。
良いですよね、というか
ちょっとアレな記述なんですけど(笑
結果的には主人公もまた一歩進めたようでお話的にも手応えがありました
ここからどんどん過去を捨てて新しい境地を拓いていってくれればいいですね
勿論もみじとの絡みも期待しつつ(笑)。


そんなもみじが家に来たのはやっぱりどこかで主人公を気にしてるからなんだろうな・・・と思いつつ
さり気に女性らしいルックスを気にする仕草が健気でこれまた可愛かったです
こういうラブコメの場合、
誰かが飛び抜けてツボだったりすると
中々作品自体には感情移入し難いものでもあるんですが
この漫画の場合は既に両ヒロインの魅力を余さずにアピール出来てるので
安心して感情移入出来る良さがあるなあ、と思います
だから読者も一緒に迷える訳でね(笑

しかしまあ、いっても年頃の男女なわけですからね
彼女がどういう反応を取るのか、にも注目しつつ・・・
次回はセンターカラーらしいので期待して3話を待ちたいと思います
今回もまた鉄板に近い面白さで個人的には満足でした。
アンケートも出しますね。










しっかしまあ超ムチムチと超スレンダーってバランスはやっぱ見てて面白いなあ、と
両方の良さを感じられるのが個人的にツボですなあ(笑)。