超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

閃光少女 3巻(最終巻)&オトナのいろは 1巻/あさのゆきこ

2013-12-13 17:45:41 | 漫画(新作)



















同時発売・・・だったんだっけ、忘れたけど近間隔で発売された2作の感想。





















◆閃光少女 3巻(終)

途中でちょっと泣きそうになりましたね
泣きはしなかったんだけど、泣きそうになった。
この方の絵柄は本当にほんわかしてて可愛くて優しくて大好きなんですが
それにペーソスや「泣き」の演出が少しでも入るとつられて泣きそうになってしまいますね
濱野先生の事を大切に思うからこそいつも笑顔で居て欲しいという彼女の願いは気持ち的に号泣でした(笑
3巻で早々と終わりましたけど一応「再起」というテーマは完遂出来てると思うのでこれはこれで
馬鹿にされた見返しに関してもあの人らに初心を思い出させる、というオチも付いたし
中々丁寧にまとめ切った良作だと思います
個人的には推し、です。

文化祭の出し物に関しては正直めっちゃ面白いアイディアだと思いましたね
それぞれの価値観による「華」っていう回答は平凡から抜け出てる面白さがありましたし
実際ああいうのがあったら楽しかっただろうな、って思う
人の笑顔も、女の子も、ゴシップも、植物も食べ物も加工写真もそれぞれの価値観でそれぞれが素晴らしい
「その人なりの趣向」を一切否定しなかったエンディングはとても価値のあるものだったと思います
価値観を比べる必要や各々の趣向を否定しあう必要など本当は一切なくて
その人が本当にそれを楽しんでいるなら
それに触れている時笑顔ならば
優劣も否定のし合いも全く持って意味のない事、
己の尺度で独自の価値観を見い出すことこそ個性的かつ尊いことなので。
みんなの個性を尊重しあったラストは写真云々突き抜けて思想的な意味合いでも良かったと思う
ここまで見事な文化祭の出し物も中々ないんじゃないか、ってくらい。


人の評価を気にして楽しめなくなってしまう、っていう気持ちは誰にだって存在するもの
でも思い返してみれば他人に評価をされるために「それ」を始めたわけじゃない
初めは誰だって純粋にその行為が好きだったから始めたわけで
「人に評価されること」が目的になっちゃいけない
それはただ単に他人の顔色を伺ってるだけ
そうじゃなくて、もっと夢中にもっと初心の「楽しさ」を心に持ってぶつかっていく心意気―
一度は心労とプレッシャーの為リタイアしてしまった濱野先生だったけど
ヒカリと出会った事でその気持ちが蘇って来た
その気持ちを維持出来るようになった
だからこそヒカリという「光」を求めた、何度挫けても写真を嫌いになれない自分を思い知れた。
・・・というかなり上手い着地点だったと同時に
考えさせられる内容でもあって。

「評価される」というのは確かに嬉しいし、光栄なことなんですが
「評価されない」というのはとっても悔しくて心の傷の一部として延々と残ってしまう
だけど、そういったものを「気にする」為に自分はやってるのか?って言えばそれは違う
だって最初は評価云々関係なくただただ好きで「それ」を始めたはず
そういう「評価」に対して異様に拘っていると
「本来自分がやりたかった事」がないがしろになってしまう危険性が発生する
そうなる前に、もしくはそうなった後に、「何の為」に自分が「それ」をやってるのか再確認した方が良い
そういうメッセージも個人的に感じ取ることが出来たのが嬉しい最終巻でした
濱野先生はこれからもグジグジ状態になるだろうけど、
でもそういう「初心」すら忘れなければ何度だって「そこ」に帰ってこれる
挫けたって涙したって、それでも「好き」だって思える事を再確認する為の物語だったのかも。
これからはヒカリが側で照らし照らされていくんだろうし、二人の前途が心地良いものであるといいですね。
なんだか最終巻のヒカリはおてんば娘だった1巻からグッと大人の女性に成長してたみたいだった
濱野先生を強く想う気持ちにも素直に感動させられたなあ、と言った具合ですね
個人的に年の差、部の指南役ってだけだけど教師と生徒ってシチュが大好きなので最高でした(笑)。
最終話ですっかり仲睦まじく(?)なってる二人を見てニヤニヤしてしまいました。

あとは、何気にカップリングをいっぱい成立させてるのが無性にときめきました
はっきり公言はされてないけど速水くんと誉ちゃんはそういう仲なんでしょうかね
そういう仲だって思いながら読むとなんだかニヤけてきちゃいます
その他にも部員同士の組み合わせも沢山
そういう部分も含めていつか外伝で描いて欲しいなー、なんて望みつつ
ちゃんと全部の部員に対してスポットを当ててくれた真っ当さもまた好きな漫画でした
終わってみれば全部の部員を好きになれているところはやっぱ流石だなって思う
ヒットはしてないし、話題になってたわけでもないけど
こういう地に足の付いた良作が私は好きです。 素敵な物語をありがとうございました。
そしてヒカリはやっぱり天使レベルでした。たまらなかったです。行動も容姿も。

個人的には太った誉ちゃんのが好き(笑)。
速水くんにスポットを当てたお話も凄く頷ける上に自分を路傍の石だと思っているような
そんな人に是非読んでもらいたいエピソードに仕上がってました。
光ってない人だって実は光ってるものなんだ。




◆オトナのいろは 1巻(新)

最終巻があれば新刊もある・・・って事で今度は4コマですね
でもこれは普通の4コマと違って結構ストーリー漫画としても読めますし
その上できっちりオチもついてたりして中々にスムーズに楽しめる秀作になってました
この漫画でも挫折した大人が出てきますがこれは逆に上手すぎて周りの嫉妬を買ってしまったパターン
そのせいで書道が嫌になってしまった女性が懸命に習字を頑張る主人公に感化されていくお話です

この漫画の肝はやっぱり綾乃って女性のペーソスですね
かつて愛した男性、そして決別、最終的には喪失を味わって
中々前に進めない様子、その物悲しさが心に沁み入る内容になってます
だからこそ頑張る主人公の健気さも際立って相乗的にもグッと来る流れになってるんですが
時折挟み込まれる綾乃さんの昔の思い出がどれも哀愁に満ちていて気持ち的に泣けるんですよね
その上、褒められないまま適当に「大人」やってる主人公が
少年のように書道にのめり込んでいく様は懐かしい気持ちを思い起こさせますし
そういう意味合いでも大人向けの漫画という気がします 哀愁だけじゃなく、あの頃の熱い気持ち。

主人公は綾乃さんと出会ったことから何かに向かって頑張る気持ち・上達する楽しさを思い出し
綾乃さんは主人公の羨望や懸命さに感化されて徐々に書道へと向かう気持ちを取り戻していく
そんな二人の恋愛模様も望めそうですし
正しくwin-winの物語として楽しめそうな素養がいいですね
あさのゆきこの漫画は基本的に「ペーソス」と「恋愛要素」を忘れてないのがいいです
こんな可愛くてぬくぬくした絵柄なんだからギャップ狙ったり甘々要素も欲しいですよね、って(笑
4コマとしては綾乃さんのおっぱいネタの繰り返しが一番笑えたかな
でもこれは半分はストーリーものなんでお話を楽しみながらクスクス笑う事が出来る
何気に個性的かつテンポよく読み切れる良い具合に隙間を突けてる4コマ作品だと思います
個人的にはこういう半分はストーリー漫画な4コマ作品増えて欲しいです
4コマがそこまで・・・って人にも通じる素養があるので。


過去編含めて1巻の時点で大分お話が進んでいる印象なので割と早めに完結するのでは
でもこの「密度の濃さ」はやはりあさのさんの漫画らしいですね
1巻だけでも「挫折からの一歩」というオチに辿り着くまできれいに描かれてるのが尚素敵です
色々と苦悩や挫折を味わってたり一歩踏み出す勇気を失くした大人向けの漫画。続巻も楽しみ。



















本当はリアルタイムで2冊同時感想やりたかったんだけど色々あってこの時期に
でも落ち込んでた時に「オトナのいろは」読んでなんだか気分が上向きになりましたし
複雑な心境の時に「閃光少女」の3巻を読めたので結果的にはgoodでした
また、心温まるような新作にも期待しつつ、いろはの2巻目にも期待しつつ。
この方の描く人物はやっぱ魅力的! ちょっと女性をふくよかに描く癖が個人的に超ツボです(笑)。






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