超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

普通のバンド

2009-05-31 21:05:00 | 音楽
帰ってきました。今日は2回更新します。1発目。


先日メジャーデビューしたバンド、LOVE LOVE LOVEの「ソライロノオト」を聴きました。


いや、びっくりした。
恐ろしいほど「普通のバンド」です。
普通にギター弾いて、ベース弾いて、ドラム叩いて、歌を歌っている。
メロディーもサウンドもアレンジも突出した部分がない。
メンバーのルックスもそこらへんにいそうな、コンビニの店員とかやってそうな人たち。
ザ・普通のバンドって改名した方がいいんじゃないか?と思うほど普通。


しかし・・・この普通っぽさが逆にいい!
なんでしょうね、一周戻ってまた帰ってきた、みたいなこの感覚。
 最近の若手バンドってみんな個性的じゃないですか。
9mmとかOGREとかチャットモンチーとか8ottoとかmonobrightとかサカナクションとか時雨とかtacicaとか。
そんな中にLOVE LOVE LOVEが入ると逆に目立つわ。
いい意味で無個性で。
個性がないのが個性になってる。
或いは普遍を極めているというか。

でも本当に普通のセンスとテクならここまで良いとは感じないはずなんですよ。
じゃあなんで良いのかというと、まず基本的な演奏レベルが安定している。
まるでトーストのように、いつもサクッとしてるというか程よい焼き加減みたいな、
凄い上手いわけでもなければ下手でもない、中間レベルのバンドアンサンブル。
つまりはいつどこでも聴ける感じで。

あとは歌詞と歌に於ける、日常を演出する技術。
どこをどう切っても、これは紛れもない日常の音楽で。
等身大そのものです。それも若干冴えない感じの。小市民的な。
 しかも本当にそのままなんだもの。作られてない等身大。


で、歌詞の内容は主にこんなことが歌われています。
・夕焼けを見てると切なくなる
・あなたに「おやすみ」と言われると嬉しい
・洗濯物をコインランドリーに洗いに行く
・財布を落とした
・TVのニュースを見てるとむかつく
・引越しの準備中の心境


どうだ!この普通っぽさ。ストレート過ぎて逆に新鮮だ。

些細な日常の機微を普遍的なメロディーに乗せて堂々と歌うLOVE LOVE LOVE。
個性派ぞろいの現在のロック・シーンに於いて
隙間を埋めるという意味でも貴重なバンドかもしれません。


でも一番好きなのはドラマチックでアレンジが他の曲よりも凝ってる「夜の果て」だったり。
やっぱりシリアスな曲好きだからなあ。
この曲のサビのメロディーがとても柔らかくて力強さもあってお気に入りなんだけど
歌詞もまたいい。


「伝えたいけど伝わらないな 君が思う僕じゃないからな」

この部分、とても良いですね。


多分だけど、スキップカウズやフラワーカンパニーズ好きな人は気に入る確立高いと思う。
90年代っぽくもあるんですよね。


あまりにも普通すぎて受け入れられない人もいると思います。
でもこの胃にもたれずに、気軽に聴けて「ああ、いいな」って思える感覚は個人的にはちょっと新鮮だったり。


しかしフルアルバム出すなら「夜の果て」の様な変化球をもう少し増やした方がいいとは思いますね。
何気に期待しています。
トースト・ロックですよこれは。

サイクリングスパーキング

2009-05-31 03:06:56 | 日記
またもや深夜更新になってしまい申し訳ない、西京BOYです。
しかも日常ネタです。


今日は仕事が午前中で終わったんで、
あるものを探しに自転車で走り回ってました。
電気屋やリサイクルショップ等を転々として、
知ってる店を4,5件ハシゴしてみたり。

どこにもなかったのが悔しくて、思い切ってまだ自分が踏み込んだことのない場所へと
自転車を漕ぎ進めていったのですが
意外と色々な店があったのに驚いて。
かつて見かけたことのある店がこんなとこにあったんだ、とか
有名な店舗が立て続けにあったりして、
「ここら辺には何もない」と思い込んでたことが嘘のようでした。

でも結局探してたものは見つからなかった。
やっぱり悔しいなあ。

しかし馴染みの道に戻ってきたとき、やたら「帰ってきた」感がしたのが面白かった。というかほっとした。
別にジャングルに行ってた訳でもあるまいし・・・。
なんだかんだいって不安だったんだな。


日曜だけど今日も仕事だ。明日も仕事だ。途切れることのないワークロードに乾杯!

・・・でも更新は欠かさずにやってやる!帰ってきたら久々にシングルレビューでもしようと思います。
おやすみなさい。

今日は・・・

2009-05-30 00:05:58 | 日記
朝起きて仕事に行こうと思ったら散々な目に遭いました。

・まず雨が降っている
・自転車のチェーン外れる
・バスで行こうと思うも、バスが8分も遅れる
・駅についたはいいが電車も遅れてる
・止む無くタクシーでいって無駄金を使う
・集合時間間違える
・仕事の最中に機材が壊れる
・上の不手際で午後の仕事が中止になる


泣きっ面にハチどころじゃないよこれは・・・クマとかそういうレベルだ。
帰ってきてからどっと疲れて何もやる気がしない。
ここまでイラついた日も久々。
厄日中の厄日でした。


そんな中、marbleの「空に舞う」を聴いて落ち着く。
本当にゆったり出来る曲だなあ。miccoの声と歌は絶品だなといつも思う。
というかこのユニット、カップリングの質が高い!
「Clover」とか「ハミングバード」とかシングルでも行けそうな気がする。
「凛」もライブでは定番だし、「rain drop」もしっとりしてて好き!

marbleはアルバムも最高だけど、シングルもいつも面白いなーと思ってて。素敵なユニットです、本当。
疲れが取れる。刺激にもなるし。

1万人突破

2009-05-29 02:40:50 | 日記
このブログの訪問者数が1万人を突破しました。
いつも見に来てくださっている皆様、
一度でも見に来てくれた皆様、
ありがとうございます。

次は10万人突破目指して頑張るぞ。まあ特に何もアピールは考えてないんですけど。
地道にシコシコ書いていこうと思います。

あと「けいおん!」のメンバーの名前ってP-MODELってバンドの苗字から取られているらしい。

平沢唯:ギター担当(平沢進)
 秋山澪:ベース担当(秋山勝彦)
 田井中律:ドラム担当(田井中貞利)
 琴吹紬:キーボード担当(ことぶき光)    (wikipedia調べ)


山中さわ子→山中さわお(the pillows)なのは気づいたけど
これは全く知らなんだ・・・。というかテクノバンドじゃん!驚き。



とどめをハデにくれ

2009-05-28 20:34:23 | 音楽(名盤レビュー)

こんばんは、西京BOYです。
今夜は名盤レビューでもやろうかと。

個人的な名盤レビューとしては今回が初になります。
出来るだけ初めて聴いたときから時間が経って、より思い入れが深くなってるものを語ろうかと。


今回はThe ピーズの「とどめをハデにくれ」です。


このアルバムは今から16年前の93年にリリースされたアルバムで
The ピーズのアルバムとしては4作目となります。
 そして個人的に2002年に再始動してからのピーズを第2期とするならば
活動休止前の第1期のピーズ作品としては最高傑作だと思っています。

The ピーズの音楽というのは基本的にささくれだっていて、半分やけくそになっているかのようなものが殆どなんですが
そのやけくそっぷりを確かな作曲センスとシンプルでカチッと決まっているバンドアレンジで
上質のロックンロールとして聴かせてしまう、
そういうある種のむちゃくちゃっぷりが際立っている音楽性だと感じています。
 やけくそなものをただ滅茶苦茶にやるんではなく、
基本的な軸の部分をしっかりと保っているからこそ、そのやけくそ感がきっちり伝わるというか。

自暴自棄な詞の内容も目立つ音楽なので、聴く人は選ぶと思いますが
今が最低だからこそ生き延びてやろうとする、逆に前向きなんじゃないか?という意思をThe ピーズからは感じます。
 そしてそれが最も色濃く出てるのがこの盤じゃないかと。
立場的にも精神的にも駄目であれば駄目である人ほどこの音楽は響くと思う。


全9曲なんですが、収録時間は50分越えという面白い内容のこのアルバム。
長い曲はダラダラと、短い曲は出来るだけスパッと終わるタイプのアルバムなので
全曲が全曲間延びしているという訳でもなく、むしろバランス的には良い感じです。
ミドルテンポの曲が続く中に「みじかい夏は終わっただよ」のようなどんちゃん騒ぎをしてるような曲が流れると
やけにハイテンションになれます。

「映画(ゴム焼き)」や「日が暮れても彼女と歩いてた」「井戸掘り」など基本的に間延びしている曲が多くて
普通なら聴いててダルいよ、とかなっちゃうと思うんですが
何故かこのアルバムは聴いてて気持ち良いんです。
 元々のメロディーがいいとか、バンドの演奏がオルタナ感たっぷりで気持ち良いとか色々と要因はあると思いますが
個人的にはこの「間延びしている感覚」が気持ち良いのかな、と。
敢えてこうしてるというか、確信犯的というか。
本気で間延び感覚を再現してるというか。
こんなアルバムは私の人生の中でも多分これ一枚です。

で、その楽曲の良さを更に際立てているのが大木温之(通称はるさん)の独特の詞世界。
個人的に好きな部分を挙げてみると、



「苦しめばいいさ ひとりっきりでずっと
 ひきずって くるまって 夢をみるさ」(映画(ゴム焼き))



「どこの誰が 本当にしあわせなんだろーか
 冷たいヤな奴も 体だけはあったかいだろーや」(日が暮れても彼女と歩いてた)



「サジ投げたって 何もないさ
 投げれんのかわからないってのが本音さ
 誰もいなくなったんだな」(井戸掘り)



「カン違いのクソ夜を
 わざわざくりかえし
 とりのこされたカスだ
 もういーや こんままだ ずっと」(手おくれか)



「Yeah 完全マヒなのさ
 カラッポはラクだぜ」

「迷子のフリしてコビ売ろう」

「いい夢をみてんのさ ほっといていーよ
 ほっといていーよ ほっといていーよ
 ぬけがらでいーよ 何も欲しくねえよ
 ほっといていーよ ほっといていーよ」(日本酒を飲んでいる)


これらの歌詞をはるさんは本当にけだるそうに、全てを諦めたように歌う。
空っぽになった人間の姿をあますことなく音楽にしている。
それはとても汚くて、やりきれないと同時にある種の美しさも感じます。
空っぽの美学というか。

ただもちろんそこで終わっているわけでもなく、
「今度はオレらの番さ」という曲は割と前向きな歌詞になっていたり、
「今夜もこのまま そっと生きのびよう」というフレーズがあったりと
少しばかりの希望も描かれているのがリアリティあるなあ、と。
 無気力になってしまった人間の実像を浮き彫りにしてるというか。
人間、完全に希望を捨てることは出来ないというメッセージ性もあるような。


歌詞、サウンド、佇まい、コンセプト性と実に見事なアルバムなんですが、
それに加えてプラスアルファ、忘れることの出来ない一曲がこのアルバムの中にはあるのです。
初めて聴いたのは学生の時で、かなりの衝撃を受けたのを覚えています。
  それはこのアルバムのラストを飾る 「シニタイヤツハシネ~born to die」という曲。
何かの拍子にこの曲を思い出して、ボロボロに泣いたのは今でも忘れられません。


死にたい奴は死ね。死ぬために生まれた。


そんな直球過ぎるタイトルですが
詩の内容もサウンドもこれまた直球。
タイトルのフレーズを何回も繰り返す、ロール感たっぷりの一曲になっています。
悲壮感も往々にして受ける。



「満足するくらいの夢でもみてれば
 いちいちにつまる程のヒマはないのさ
 何べんも思いどおりにいかないばかりで
 とうとういい夢もみれなくなったのさ」


「調子んのって弱音吐いて弱気になれてる
 ヒマなオイラは後悔する タラレバと」


「正面からマトモに自分をみれねーよ ボロだもん」


「やりたい事が多すぎて 何にもやりたくなくなっちまった」


「考えることが多すぎて どうでもよくなっちまった」


「誰も止めたりしないよ しねえ
 すぐに忘れるよ しねえ
 五体満足のままで しねえ
 何でも出来るくせに しねえ」


凄いエネルギーで絶望を真正面から歌っている曲。
ここまで絶望感が漂う曲は滅多にない。
Syrup16gの「明日を落としても」がこれに匹敵する曲かなあ、とは思いますが。

そしてこの曲で画期的だと思うのは、自分がこういう状況になっているのを
他人や社会のせいにはせず、
全て自己責任だと歌っているところです。
自分もそう考える人間なんで、これには共鳴せざるを得ませんでした。


この曲を聴いてからずっと私はこの曲と生きることについて考えました。
考えましたといっても答えなんて出ないんですが
唯一ついえるのはこの曲は決して死を肯定している曲ではない、ということ。

そこまで考えるようになってしまった、煮詰まってしまった人間の心情を
ここまで掘り下げて描く、そう、描くだけの曲というか
ありのままを吐き出して、これに対する答えを聴き手に求めている曲なんじゃないかと。
聴き手の感じ方に全てを委ねている曲なんじゃないかと。
今ではそう思うようになりました。
 「何でも出来るくせに しねえ」、この歌詞は自分で自分のキャパシティを狭めるな、という
反面教師的なメッセージも垣間見れますし。

そんな私は高校を卒業して一時期、何もしてない時期がありました。
その頃この曲を一日中延々と聴いていた日もあったんですが
それでも別に思いつめることはなく
むしろ色々やってみようと思うようになりました。
精神的に最低の状態になったからこそ分かることもある。
そんなことを、この曲とこのアルバムから感じるようになりました。




ちなみに2003年の「The ピーズ」というアルバムに
「サイナラ」という、この曲と同じくらい大好きな名曲が入ってるんですが
この曲の歌詞で、「好きな方へ行け 死ぬまで」というフレーズがあって、
なんとなく「シニタイヤツハシネ」に向けてのアンサーソングなのかな、と個人的に解釈しています。
「夢を飼っていけ 死ぬまで」というフレーズもそう感じるし。



決して万人受けではないし、わかるひとだけわかるといった間口の狭いアルバムだとは思いますが、
それでも私にとっては大切な、一生モノのアルバムだな、と今でも思います。
93年発売ということで音質に関してはやはり当時のCDだなって印象もありきなんですが
それでも一音一音がはっきりと聴こえるミックスになってて、余裕で格好いいなと思う。


という訳で実質的に1回目の名盤レビューでした。
久々に3000字越えてしまった・・・ふう。