超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

こいこい★生徒会 4巻/あらきかなお

2012-02-29 23:57:07 | 漫画(新作)





あらきかなお「こいこい★生徒会」4巻読了。





感想書くの久々な気がする。所謂センスで魅せるタイプの作家さんですけど
この間感想書いた晴瀬ひろきさんと同じくセンスだけではなく中身も伴ってる印象で
あの漫画が好きならこの漫画も好きだろうし、
この漫画が好きならあの漫画も好きだろうし。って事で非常に近しいものを感じた訳ですが
あっちが男性ならではの理想のラブコメディを追求した作品ならば
やっぱこっちは作者が女性だけあって繊細さがあるんですよね。
そもそも女主人公っていうのがそうだし
三角関係勃発だとか、主人公の相手役の候補が美男子二人とか美少女漫画なんだけど
基本的には女性ならこう描くよね、って頷かされる部分も大きくて中々に興味深い。
1巻の感想の時にはそこそこの評価でしたけど
4巻まで来ると流石に関係性が進んで面白いなあ。そもそも元気系のキャラが恋愛に目覚める、って時点で
自分的にはグッと来るっていうのがあるんですけどね(笑)。
サービスもてんこもりですけど
その分恋愛描写に関してもさり気に進展させてて
何気に読んでいて気持ちの良い巻でした。わらしべ長者部とかアイディアが何気に面白いですよね。
そして地面から現れるコートは確かに欲しいかもしれない・・・!
あの演出でテンションが上がるっていうね(笑)。

にしてもサービス具合が本当に最高ですね。
起きたらはだけてるとか
それを気にして責任を取るって流れとか
催眠術で胸と尻に手がくっ付くだとか
そうでなくともパンパンに膨らんだカルタの立派なものを眺めてるだけで
ある程度幸せになる自分がいます。なんていうか、あそこまで突き抜けてると逆に清々しいですよね。
むしろ微妙に清涼感も感じるくらいです。美巨乳っていうかなんというか。
本当はカルタの胸の動きだけで一記事書ける位なんですが
まあ色々とアレなので自重します(笑
それでもお話をきちんと進めて盛り上げつつも、サービスもきっちり入れてくるこのセンス
さり気にポテンシャルの高い作家さんですよねー。
一話のページ数が少ないので意外とポンポン読めるのも利点だと思います。

それでいて、シリアスなテーマが途中で提示されてるのもグッドです。
独占欲、自分だけを見ていて欲しいって言う想い。
こと恋人ならばそんな心配は無用ですけど
友達とかになると独占したい気持ちがあってもどうしようもないですからね。
そこで誰にでも良い顔するんだ、って思っちゃう気持ちが生まれるのも正直分かる部分はあるけど
だからといって拒絶してちゃ何も生まれないっていうのも確かな事ですよね。
基本ノリの良いラブコメ、ガールズコメディですけど
こういう真面目な話題
繊細なテーマ性とかも出来ますよ、っていう構成は非常にプラスなんじゃないかなあ、と思います。
作者が女性なだけにその辺はリアルって言えばリアルだよなあ(笑)。
でも何だかんだで良い着地点だったと思います。うん。




と言う訳で、最近は気軽に読めてストーリーも面白い
良質な美少女ラブコメに夢中な日々ですね。
前述の「アイドルプリテンダー」、勇人「シスプラス」等も一緒に読めば更に浸れる(と、思う)。



あの夏で待ってる 第8話「先輩がPINCH.」 感想

2012-02-29 03:17:50 | アニメ





君はもういない。





柑菜ちゃんは頑張れば頑張るほど空回りますよね。
今回も、彼女の好きだった海人は今や完全に先輩に夢中な訳で
あの頃の彼と夏祭りの日の彼じゃそもそもが違う
彼にとっての最優先事項は先輩って事なんですよ。まあピンチなのが分かってたからアレですけど
まさか宇宙人云々とは、微妙に感づいてる?的な描写があったにせよ予測不可能ですから
それ込みで考えると、本気で心配するのは先輩の方ってことですよね。
あの時柑菜が勇気を出して告げようとした想いも、
すっかり水の泡になってしまって。
こりゃ本気で挽回は不可能なのかな。彼女一人だけ取り残されるのかな。それは分かんない部分ではありますが
現実だって頑張れば頑張るほど空回る事なんて日常茶飯事ですから
彼女のやるせない気持ちは分かってしまうんですよね。
願っても願っても届かない、そんな想い。
そういう表現を見て何処か救われるのは私だけかなあ。

一方で海人と先輩に関して言えばどこぞのSFアニメよろしく生を懸けた必死のサバイバルをこなして
その挙句に正体バレ、まあタイミング的な話をすればそろそろだよなあって思ってたんですが
にしても、こんな衝撃的な形になるとはねえ。
半ば相思相愛だっただけに、これが今後二人にどういう効果をもたらすのか。
全てを知って尚、海人は先輩に「好き」って言えるのかどうか。
そして、最終的な結末はどんな風に?
様々なパターンが考えられますけど、個人的には誰が自分を好きであろうが一切揺らがない時点で
海人の愛って本物だと思うんですよね。揺れ動くでもなく、考えるでもなく、真っ直ぐって感覚がある。
だから私的にはやっぱりこの二人がお似合いなんじゃないかなって想いもあるし
先輩の贖罪って意味でも一緒になって欲しいなあ、って。
先輩が初めて謝った事で
物語っていうか関係性にも深みが出てきそうでこの先の展開も中々楽しみです。
やっぱり多少の障害があった方が話は盛り上がると思いますからね。
その中で今後柑菜がどんな行動を取るか、にも期待です。


さて・・・いよいよ私が最も感情移入してるてつみおの話に移りましょうか(笑)。
髪を切ったのは正直驚きましたけど、あれは一種の諦めなんですかね。
髪を切るって行為はリセットって意味合いも兼ねてますからね。
特に女性の場合は。
そこを察したのか哲朗も何か言いたげでしたけど、自分を卑下する彼女に言いたげでしたけど
それを告げる前に初めてのキスが待っていたっていう。いやまあ事故ですけど・・・
これは正直グッと来ましたね(笑)。
都合が良いとも思いましたが
それ以上にここまでしたら本気で意識せざるを得ないよなあ、って意味合いで。これは先が楽しみだ。
そもそも告白の一件だけでも哲朗あからさまに意識しまくりだったし
意識したての初々しさに溢れた描写の数々は面白かった(笑)。
っていうか普段クールな分哲朗はデレると微妙に可愛い気もしますね。素に戻ってる感じ。
あの感じを見るに、今週のアクシデントキスも含めて順調に傾きそうで安心
先週以上のニヤニヤシーンも期待して待ってます!って事で。

そんな哲朗はやっぱり柑菜の事が心配なようで。
相変わらず海人にけしかけてますが
でも例えプッシュしたとしても何一つ変わらない現状があるっていう。
彼の言動は一見単なるお邪魔虫的行動に見えますけど
実際間違ってるとも思うけど
それも結局は柑菜を想ってる気持ちの表れでもある訳で一概に余計云々は言いたくないんですけど
ここでまた個人的に思うのは、今のような友達みたいな距離感が一番似合うんじゃないかなと。
じゃれあってるシーンは確かに良い雰囲気でしたけど
あの状態が一番ベストっていうか、最も自然な関係って気もしましたね。
だから実際は諦めるか諦めないかの瀬戸際だと思うんですが
海人にピリオドを打ってもらいたいんじゃないかって。
それが現状不可能な分
また別の答えを出さなくちゃいけない訳で、それが正直になることなのか、それとも美桜を選ぶのか。
・・・個人的にはメインの二人よりもこっちの行方のが気になってたり(笑)。
まあ何にせよ楽しんで観れてるのは良い事ですよね。
定番ですが夏祭りの描写も実に楽しげで切なくも面白い回でした。




まあそれにしてもてつみおの変遷を眺めるのは楽しくて仕方ないっすわ(笑)。
番外編で二人メインのお話とか作ってくれないかなー、とか妄想しつつ。



ちはやふる 第21話「わがころもでにゆきはふりつつ」 感想

2012-02-29 01:55:49 | アニメ





元気が出るアニメ。




このアニメ観てると単純に元気になるんですよね。
登場人物のストイックな姿勢に心が打たれるって言うかなんか分からないけど
不思議と「頑張れ!」って励まされてるような気分になるんです。
今週は特にそれが強くて
観終わった後「自分も頑張るかー」って気分になったりして実に素晴らしいな、って。
毎週安定してますけど、今週は久々に傑作回来たなあって感じでいつも以上に気分が良くなりました。
具体的に書くと千早がクイーンに敗れて涙した回以来の素晴らしさ。
ここまで内容が濃いと感じる事もいっぱいでして。

あの時、千早が負けて、その後金井さんにも負けて、そこから何かを学んだように
千早も今回りりかちゃんに本当の強さを教える事が出来たんですよね。
その学んだ強さを他の人間に分け与える事が出来た。
冷静に判断する事も、
感覚で一気に攻める事も両方必要って考え方はきっとりりかちゃんにもそれとなく伝わったはずで
その受け継がれていく感覚も、きっちり成長の度合いが分かる作りも両方面白かった。
要するにどうしてああなったのか、ここまで来る事が出来たのか
その理由がいちいちはっきりしてるので
気持ち良く成長を感じる事が出来るって言うか、納得した上でグッと出来るっていうか・・・。良い作品ですね。

そんなりりかちゃんは、下世話な言い方だけど良いロリキャラでしたね(笑)。
別にロリじゃないのに普通に可愛いとか思ってしまった。
何よりその一生懸命な感じが素晴らしいね。
まだまだ若いから、はっきりいってまだまだこれからですよ。外野に失望される謂れはない。
いつの日か彼女が成長した姿も是非見てみたいですね。彼女もまた強さを教える側に立つんだろうな。


何かに夢中になる=自分を好きになる、か。間違いないですね。
自分が必死になって頑張れるものを見つけて
それに全力で取り組んで
結果を出して
自分で自分を救う、ってテーマは良く分かるし、真理だとも思います。何にも頑張れなきゃ
その分自分が嫌いになってくだけですからね。母親の視点も相応にグッと来たなあ。

加えて、西田くんの一緒に戦いたいって描写も
太一の応援するだけじゃなくて、そこに俺も立っていたいって想いも
新の誰かが叶えられなかった夢を自分が引き継ぐっていうようなテーマ性も面白くよりどりみどり!
何だか今週は非の打ち所がないくらいキャラを魅力的に回せてた気がするなあ。
脳内メーカーみたいな小ネタも面白かったし、
久々に大満足出来た一話でした。何気にかるただけじゃなくて普遍的なメッセージもあるのがいい。




坊主になるのは確実に須藤さんの方だろうからその辺も微妙に期待です(笑)。



Syrup16g全曲レビューその47「生きたいよ」

2012-02-28 22:26:32 | Syrup16g全曲レビュー






Syrup16g全曲レビューその47「生きたいよ」です。





生きたいよ       アルバム「coup d'Etat」収録





この曲を初めて聴いたのは忘れもしない高校生の時で、まあお馴染みのNHK-FMからだったんですけど
「生活」を初めて聴いた時とは別の意味での衝撃があったというか
必死に坂道を登ろうとして、でもその途中で転げ落ちてるようなロール感のある楽曲で
ものすごい不恰好にあがいてる感じっていうか
でもそれが何より心に響いて、シンパシーを感じれて・・・。

Syrup16gの音楽は傷や痛みをオブラートに包まずにダイレクトに出すような剥き出しの音楽ですけど
じゃあなんで剥き出しかって言うと本気でその先に進む事を願ってるといいますか
一歩でも良いから前に進む為に負の感情を吐き出してる節があって
その余裕のない感覚が
今も昔も自分に大きくフィットして救われた気分になってしまう。それがより色濃く出てる楽曲で
嘆くのは、心の一部分を曝すのは結局はちゃんと生きたいからに他ならないんじゃないかって。
本気で救われる音楽ってこういうものじゃないかなあ、って
自分は聴いててそう思える楽曲の一つです。よく通勤途中で聴いてたのも深い思い出の一つだなあ。名曲だと思う。





【味がしないこの世界も 上手に食べてしまいたいなあ】

たまに何もかもが空虚に感じられて
気持ちが滅入った時に
個人的に頭の中でよく浮かぶフレーズの一つ。
全部が全部素晴らしくなくて
歩けばぶつかり
留まれば吠えられ
気持ちの行き場所が一切なくなったとしても、世界が素晴らしいものじゃなかったとしても
何とかして自分なりに消化して、胸の中に存在する空虚を埋めたいっていう。
現実を見据えた上での希望って感じが何より好きですね。
味がしないのを分かった上であがく、っていうか。



【本当はあなたが怖かっただけ】

理由や後付で自分の中で軋轢を納得させるのもありですし
自分で自分に言い聞かせるのも道理ですけど
たまにはこうやって自分と本音で対話するのも重要っていうか
弱さを認めるのも大事な事柄の一つで。
弱さを隠さずに
そこを意識して生きるのも一つの生き方なんじゃないかな・・・って思う今日この頃です。
同時に、係わり合いに対する恐怖心が一向に拭えない人間にとっては良い現状確認にもなるんじゃないかと。
それを意識するのとしないのとでは全然違うとも思うから。



【生ゴミ持ち歩いてんじゃねえ】

そんな曇った感情をいつまでも大事に抱えてる自分に対しての苛立ち、っていいますか
どうでもいい事を気にして、肝心な自分自身を失くして、誰かに作用されながら生きているっていう
そんな現状に対してのアンチ精神を感じさせるフレーズで。
何もかもが無意味に
不相応に感じられる現実と、そんな自分に対する嘆きに加えて
そういう嘆きに対しての嘆きっていうか
抱えてもどうしようもないものをいつまで後生大事にとっとくつもりなんだよ、って
叱責されてる気分にもなるし、でもそれで気持ちが楽になる感覚もあるし。
「生ゴミ」って形容がとても秀逸ですね。
その上自分自身に歌いかけてる節もあるから押し付けがましさも一切ないっていうのが更に素敵で。




「後ろ向きLife style
 死ぬまでLow
 Nobody likeそんなBeautiful
 生きたいよ」

学生時代に聴いてものすごくシンパシー感じてものすごく救われたフレーズ。
救われたって何度も使ってると安っぽいかもですけど
事実本当にカタルシスを受けたので仕方がない。
このフレーズに当て嵌まるような人間が聴けば劇薬レベルで共鳴すると同時に、またあがいてみたくもなる。
この曲は私にとってはそういう曲ですね。



初愛~はつあい~/田中ユタカ 全作品レビュー

2012-02-28 05:31:48 | 田中ユタカ





田中ユタカの新刊「初愛~はつあい~」を読んだ。




正直、泣きました。委員長の話で。素晴らしい本だったと思います。
全部が全部、素晴らしかった。苦しい表情も不恰好な姿を含めて最高だったと思う。
私は田中ユタカが最も好きな漫画家とか言っても過言ではないくらいなので
こと信憑性に関しては薄いかもしれません。
それでも、正直これはたまんねえっすわ。単なる成年作品ではなく、愛情も繋がりもいたわりも、
何もかもがそこに存在していて過不足がない。最終的に感じられるのはやっぱり「人と人」って部分で。
久々の短編集って事もあって読み応えも新鮮さもバッチリ、
至福のひと時を過させて頂きました。
単純に新刊としても一年以上ぶりなので余計に嬉しくて嬉しくて・・・。

田中ユタカの作品ほどストイックな作品ってそうそうない。
個人的には読み終えた後、自分は真剣に生きれているだろうか?って思ってしまいます。
それはきっと自分に愛も繋がりも足りないからなんだろうけれど、
こと成年漫画でそんな事を思うのはおかしいのかもしれない。
でも、別におかしくても全然いいやって思います。自分の感動を棄てる気なんてさらさらないので。
凄まじいまでの密度と、愛情と、ぬくもりと、そこに付随する感情の諸々と。
読めた事に感謝がしたくなるような、そんな本でした。
去年の初夜2以来に全話レビューやりたいと思います。成年漫画苦手な方は注意して下さい。では以下。






■第1章「初愛~はつあい~」

いや~一作目から本気出しすぎですね(笑)。
シンプルイズベスト、とでも言いたくなるような完璧な初体験。
非日常が日常になっていく様が実に丁寧に、
でも実は日常ってそんな非日常的なドラマの連続なんじゃないかだとか・・・。
そんな風にも思わせてくれる最高のスタートですね。
「愛してる」をハモってしまった、ってオチがもうたまらんです。


■第2章「ファースト・デート」

これもヤバいなあ・・・。
セリフの一つ一つがいちいちグッと来て沁みこんでしまう。
ネットで知り合ってそのまま、って流れはいささか早計にも思えるけど
逆にそれで本当の愛を知った、っていう。
素敵な話だと思う。
それが例え夢物語であろうが、肉迫するリアルがあれば話は別で。


■第3章「最後の夜 最初の朝」

友達って関係が終わって
恋人と言う関係が出来上がるお話。
何をやっても上手くいかなかった二人のチャンス
ヒロインのセリフがいちいち突き刺さりますねえ。
田中ユタカの漫画にしては結構ガツガツした性格の彼女ですけど
新鮮さって意味でも緩急って意味でもここでこのヒロインを描いたのは正解だと思う。
多少じゃじゃ馬なくらいが可愛いっていうね。
生まれ変わるって概念が素敵です。


■第4章「さよなら、委員長」

これは傑作ですねえ・・・。
禁断の恋って呼ばれる教師と生徒、
でもその禁断を我慢して辿り着いた二人の恋。
考えただけで泣けてくる。
実際に少し泣いた(笑)。以前描いた「緑の旅」を更に深く掘り下げたような内容で
元々の愛読者的にも如実に表現の深化を感じれて嬉しかった。
心から祝福したい恋人たちだよねえ。
タイトルは鳥肌もの。


■第5章「夏の旅(ハネムーン)」

夏の恋ってなんでこんなに魅力的なんだろうなあ。
その情景だったり伝わってくる質感に
登場人物の感情や愛が溶け込んで唯一無二の感動を与える・・・。
慰みに対する肯定示唆なんかもあったりして
その点でも面白い作品です。楽園ではなく、理想郷でもなく、日常の中でっていうのは
田中ユタカ流のこだわりの一つなのかなとも思います。
勿論その逆もありますけどね。


■第6章「マキねえちゃんのオトコ」

本作の中でも異色ですねえ。
幸せの中から、ではなく不幸からの愛情の芽生え。
でも幸せになるのに遅いなんてないって過去作品でも描いてましたし。
その通りですよね。
幸せはいつだって望めばそこに。
いや、それは流石に青臭いですか。でも遠回りだからこそ思える気持ちも確かにあるんだよ、ってね。


■第7章「ヴァージン・プリンセス」

本作の中では最もオーソドックスなお話。
故に語る事もほぼないんですが
取り敢えず彼女がハイテンションだったのは怖さを和らげる為だったんじゃないか?とか
なんとなしに予想してみます。「温かい」、って表現が最高に温かいなあ。


■第8章「ふたりぶんのヌクヌク」

これを読んでると、いかに体験が神聖なものであるのか
或いはそう思わなきゃいけない事なのかってのを否応なく思い知らされる。
普段着の恋愛って感じで好感度はめちゃくちゃ高いですね。
逆に着飾ってないのが最高に興奮するって言う。

傍から見れば大した話じゃない、ありふれてるような二人の話。
でもそんな普通こそが最もドラマチックで、スペシャルな事柄で。
一人では孤独を和らげる事が出来ないけど
二人ならその孤独を少しでも、ほんの少しでも埋める事が出来るって言う。
それはある種当たり前の価値観かもしれませんが
そんな当たり前の事がもっとも尊いんです、っていうとっても真摯な話。クライマックスに至るまでの
繊細なお話の流れにも非常にグッと来ます。ストレートな意味でね。傑作だと思う。


■第9章「はじめちゃんの強がり」

これもまた緩急の一つ、ですかね。
今ではちょっと珍しくなった?学生同士のお話で
これが最後って言うのも中々オツなものですよねえ。
性格は若干強がりなんだけど
それがすっごく可愛く感じられるレベルっていうのがまた良い。
女性視点なのもまた新鮮ではあったお話、
感じてくれた事に対する感謝って何気に凄いと思う。





最後に、恒例のあとがき。
私にとっては田中ユタカは雲の上の人なので
気軽にメッセージを送る事がどうしても出来ないんですが
あの時twitterで自分の名前が挙がったことは本当に嬉しかった。
自分にとっては特別な事だったんだよなあ・・・と、あとがきのtwitter話を読んでて思いました。

同じようなものを磨き上げる、か。う~んこれまた一つ大事なことを教わった気がします。
今回の本も私にとっては最高の一冊でした。本当に、ありがとうございました。