超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

ぼっち日和。。 2巻/今村朝希

2012-05-26 21:25:18 | 漫画(新作)






今村朝希「ぼっち日和。。」2巻読了。






「私がモテないのは~」もそうですけど、これリアルな作者の実体験が反映されてると思うんですよね。
なんかもう読んでると高校時代の自分そのまんまで、結構に痛い部分もあるんですけど・・・
一番はやっぱり他人の世界だったり言葉を拒絶しちゃう、ことかな。
詩春もそうですが、相手に合わせて自分の形を変える事が出来ないんですよね。自分とちょっとでも違うと
例えば自分より人気があってみんなから好かれてるってだけで自分とは違うだとか
そんな他人の好きなものに全然興味がなかったりして
そこでまた殻に籠もってしまう。
作中でも描かれてますが、ちょっと仲良くなれるかな?って思った女の子の趣味に合わせる事が出来なかった
他人の世界を受け入れる事すら出来なければ、受け入れる努力すらも出来ないっていう
そういう点は物凄くリアルだと感じるんですけど。
半分はファンタジーだったり、ギャグ色強めなんですけどね。
でも、結局は作ろうとして作るものではなく、むしろ元から側にあるものなんですよね。
重要なのは、そんな側にある世界を受け入れられるかどうか、それだけ。
途中まで詩春は自分の世界を守るのに夢中で
側にあったいくつもの世界や言葉から必死に自分を遠ざける日々が続いていた、
けど、自分と似たような境遇の女の子や、自分とは違うけれど憎めない女の子の
そんな彼女らの世界を徐々に徐々に受け入れる事が出来た。
それは言ってしまえば
必要なのは「努力」ではなく「許容」って言われてるようなもので、それはまったくその通りだと痛感する訳で。
今まで許容出来なかった世界がいくつあっただろう・・・って考えると
詩春と比べて全然変わる事も抜ける事も出来てない自分に空しさも憶えるんですけどね(苦笑)。

ただ・・・結構ほのぼのとしたオチで終わるのかな?って予想してただけに
ここまではっきりとした答えを出して終わるのは個人的には予想外でした。
頑張れ、頑張れの作中観ではなくて
むしろ灯台下暗しを示唆させるような押し付けがましくないオチが私的にはお気に入りで
読み終わったあと確かな感慨深さとカタルシスを受ける事が出来ました。
同時にちょっとだけ幸せに近づきつつある詩春の笑顔が好印象で
でも、本当に大変なのはここからなんだぞ~、って思う自分もいたりしてね(笑)。
なんで終わったの?って最初は思いましたが、ぼっちがぼっちじゃなくなったから終了、っていうのは
随分潔いし、適度にまとまったラストだなあと思えてむしろここでの完結は正解ですね。
よもぎの真の設定に拠ってこの作品のタイトル詐欺も防げたし
手際良くまとまった小品として、いやむしろある種の傑作として輝く作品なんじゃないかと思う。
最後までテンポの良かったギャグや可愛さの演出もまた素晴らしくて
この作者の高いポテンシャルを窺いし得るには十分の一作だったんじゃないかと。今後の作品も期待ですし
コミックスが出たらまたこうやって感想も書いて応援していくつもりです。
決して完璧な作品ではなかったことは事実ですが
それでも個人的には完璧な作品以上に心に残る良い漫画だったと思います。感謝します。
そして、何気に弟さんとのエピソードが最高にニヤニヤ出来てキュートなお話だったとも記述しておきます(笑)。






本音の本音を言えば、例えタイトル詐欺になっても彼女らの様子覗きたかった・・・!っていうのは
ないといったら嘘になるっていうのが正直なところ、それくらい読んでいて癒され共鳴する一作だったので。
けど、この表現何度も使ってるけど「惜しめる」って事自体が作品に夢中になってた証拠だから。
その点では最後まで面白いままいてくれてありがとう、ってまずは思わなきゃね。
今村朝希さんの漫画をこれからも読める事を願いつつ。
全2巻のコミックスでこれほど満足したのも久しぶりかも。心から大好きと言える漫画の一つでした。