フジファブリックのニュー・シングルを聴いた。
3人体制になってからは初のシングルなんですけど、実にフジファブリックらしい楽曲ですね。
印象に残るキーボードのリフや和を感じさせるメロディや雰囲気、開かれたサビの開放感
所謂志村時代に於ける「虹」や「銀河」みたいな求心力のある楽曲で
イントロだけでもうフジファブリックだって思える
そんな記名性の高い音作りに感心したと同時に、山内ボーカルでもこういうタイプのひねくれポップを
耳に残るフックのあるナンバーを作れるんだなあ・・・と今のフジファブのポテンシャルを再確認出来るような
そんなナンバーに仕上がってると感じました。「徒然モノクローム」。
「流線形」の疾走感のある、けど細やかさも目立つサウンドも聴いてて気持ちが良いし
小沢健二のカバー曲も入ってたりして実に磐石の仕上がり、
別バンドって印象持たれても仕方ないけれど
でも、聴いてちゃんとこれはフジファブリックの新曲なんだ!って思えるような、そんなシングルですよね。
思えないとしたら、きっと志村の印象をまだ引き摺ってる人だと思うんだけど
取り敢えず物凄く地続きな感覚はあったので・・・
ヘビロテは必死って感じのシングルには仕上げられてるかなって感じます。
何よりも、詞が凄い志村の影を追ってるんですよね(笑)。
彼が書きそうな言葉を選んで使ってる印象で、魂を引き摺ってる感覚も面白いし
新バンドとか、俺が背負ってくってモードではなくて
むしろ今でも曲の影やふとした所に志村の匂いや欠片が転がっていて
それが1stからのファンとしては何気に嬉しかったりするのですよ。なかった事にしてないね、っていう。
「チョコドーナツ~」云々の下りなんて正にそうだし
「行き詰った所がほら それが始まりです」なんて今の彼らの状況みたいだし
この曲を堂々と出すって事自体、それ自体がバンドの力強い意思表示にも足り得てるような・・・
そんな立派な意思と魂の継承の要素を感じられる名シングルだと思います。
流石に以前の怪しさやエロさは消えてますけど
この曲は志村没後以降聴いてないよって人にも平気で届くような新曲に仕上がってるのでは。
取り敢えず私は普通に踊れたし、普通に好きになれたしで感触としては最高でした。
ここまで元来のフジファブリックを意識した楽曲になるとは思わなかったけれど
昔の音源と比べても負けてる感じがしないのは流石ですね。
思えば志村時代に行ったワンマンライブでも
山内くんは観てて凄く自由だったな、っていうかどこかひょうひょうとした部分が目立つ印象だったので
そんな力を入れすぎない奔放な魅力っていうのは案外ボーカリストとして合ってたのかも。
バンドのボーカルが変われば当然別バンドって印象になるのが普通ですけど
このシングルは恐ろしいほどに普段の体温で聴けたし
構えなくても十分心にスッと入ってくる
そんなかつてのバンド感を正しく取り戻したシングルだったかな、と思います。
その覚悟と、崖っぷち精神にも拍手をしたい渾身のニュー・シングル、これからの流れもこれならば期待出来そう!
ぶっちゃけ以前は志村が殆どのイニシアチブを握ってるバンドってイメージがあっただけに
そんなバンドの中心人物が抜けても全然バラバラになってない、全然聴き劣りしてないって感覚は
変な話、見直したって気分にもなれたような一作で。何様だよって感じですが(笑)。
志村がいなくなってからライブには行ってなかったんですけど
また行きたい気分にもなってきた音源でした。支持。