eラーニングの現状と展望

ネットラーニングHD、ネットラーニング、WIWIW、Phoenix Consulting、各代表取締役 岸田徹

蘇我氏のビジネスモデル

2010-01-11 19:33:20 | 読書/新聞/映画など
古代史のなぞの氏族といわれる蘇我氏。突然権力の中枢に登場し、その素性もよくわからない。大王家と婚姻でむすびつき、聖徳太子や推古天皇と一体となって権勢をほこり、4代で滅ぼされた。

その蘇我氏は、いかなる存在だったのだろうか。

ビジネスモデルでみると、蘇我氏の急速に力をつけた背景と、滅びる必然性もみえてくるのかもしれない。

蘇我氏は、氏族社会の破壊者だった。そして、大化の改新の部民の廃止へと展開する歴史的な過渡期のリーダーであった。その過渡的な存在に、力の源泉と滅ぼされる必然性があった。

継体天皇以降2代で衰退した王権をたてなおしたのは蘇我氏である。天皇家の屯倉を全国に拡大し、その財務責任者として、渡来人の協力をえて戸籍をつくり新時代の経営をしたのが蘇我氏だ。

物部をはじめとする氏族連合の上に立って、氏族連合をとおして統治をしていた王権は、氏族による人の組織を基盤にしていた。しかし、蘇我氏が財務責任者となった屯倉は土地をベースにしている。その屯倉の拡大が、王権の基盤を強化し、蘇我氏も強力な基盤をつくることができた。

蘇我氏は、それまでの有力な氏族とまったくちがう構造で新しい基盤を獲得したので、あっというまに朝廷の有力豪族として登場してくる。ビジネスモデルがちがうのだ。これまでの氏族と同じ構造であれば、有力者においつき伍していくには長い時間が必要であっただろう。

蘇我氏のすすめる方向は、氏族を解体して、すべての有力氏族を朝廷の官僚にすることによって完成する。氏族単位でなく、個人として能力におうじて官位を与える。冠位12階は、そのような目的をもっていた。氏族連合という人をとおした統治ではなく、土地をすべて公のものとして、土地をとおして支配する。王権の構造と基盤がまったくかわるのだ。

氏族社会をくつがえす革命である。

しかし、革命家としての蘇我氏は、冠位を与えられる側になったのでは、革命を遂行することはできない。馬子が冠位を超越し、推古天皇と一体になって権力を行使し、厩戸皇子がそれを実行する仕組みは、過渡的な仕組みとしては理想的といえた。王権とほぼ一体になって権力を保持したのだ。馬子は、姪であり3歳年下の推古天皇とほぼ一体になり、ほぼ天皇と同じようにふるまうことができた。したがって、馬子か推古天皇が亡くなるまでこの仕組みは維持され、聖徳太子の即位の機会はおとずれようがなかった。

しかし、これは過渡的な仕組みだ。そのあと、馬子の革命を遂行するには、蘇我氏が王権を奪取するか、大王家が蘇我氏を滅ぼすかどちらかしかない。中大兄皇子はそれに気が付いていた。入鹿は、自己の過渡的存在に本質的には気が付いていなかった。

松本清張は、大化の改新は、蘇我氏の成果の簒奪だといっている。しかし、蘇我氏のビジネスモデルは、そもそも、本質的に危険なモデルであった。過渡期をになって消えゆくモデルでもあっただろう。簒奪されたのではない。

入鹿が革命家であれば、大王家は、氏族社会の王であり、部民廃止・公地公民の新しい社会編成では、蘇我政権ができていたかもしれない。封建社会に武士の政権ができたように。

しかし、強力な部の民をもたない蘇我氏は、氏族としては弱体であり、そが部の独自の軍事力はほとんどもっていなかった。あっけなく滅ぼされたのだ。




アマゾンと読書

2010-01-11 13:04:46 | 読書/新聞/映画など
google によって、本の読み方が変わったことを、前に書きました。とくに、地図を参照しながら読むことが多くなった。関連情報も、どんどん検索しながら読みます。

amazon によっても、本の読み方が変わっています。

そのひとつは、関連する本を簡単に手に入れられるようになったことがあります。その結果、ある本を読みながら、古書をふくめて関連する本を10冊ほど買って、並行して読む。つまり、あるテーマの本を一気に読んでしまうのです。これは、わたしにとっては、けっこう有効な新しい読書法です。3冊目、4冊目になるにつれて、基礎知識も豊富になり、理解もはやく読む速度もあがります。

最近で言えば、宇宙物理学関係の本や硫黄島の本、良寛さんの本、アンコールワットの本などがこの読み方でした。

いままでも、いつも並行して10冊や20冊は読んでいましたが、たいてい、違う分野の本です。同じテーマを集中的に読むのは面白い。

amazon で変わったもう一つの読み方は、本の選択の広がりです。書店をまわって見つける本には限界があります。また、読みたい本でも、なかなか手に入らないことも多い。もちろん、amazon でも手に入らない本もあります。しかし、この検索や入手の手軽さは、まったくありがたい。