きょうは、12月8日です。
ちょうど、淵田美津雄の自叙伝『真珠湾攻撃総隊長の回想』(講談社、2007年12月8日、1900円+税)を読み終わりました。
1941年12月8日未明、淵田は、二波にわかれた海軍機動部隊の360機を率いて、ハワイ上空に奇襲攻撃をかけた。「東京時刻で12月8日午前3時19分であった。そしてこの時を境として、今にして顧みれば、あの呪われたる太平洋戦争の開幕となった」
南雲長官が、第二次攻撃を中止しそのまま帰還したことは、戦史上も批判が多い。淵田も「『なにを阿保な』と憤ってみたが、長官のやることだ」と書いている。航空母艦に打撃をあたえないまま帰還した。
燃料切れ寸前にかろうじて帰還した淵田の総隊長機も被弾し、360機の搭乗員の55名がもどらなかった。真珠湾に潜入した全長24メートルの特殊潜航艇9隻も未還だ。淵田は、特殊潜航艇9名の軍神の虚構も事実をもってあばいている。
戦死者は、米国側2,338名。船舶が、米国側沈没12、損傷9。ただ、”米国側の船舶損失21のうち、そのほとんどはその後修理され戦列に復帰しており、実際に真珠湾攻撃で失ったのは戦艦アリゾナを含む3隻だけなのである。”といわれる。
真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナは、命を失った1,177名の兵士ともに、今も引き上げられないまま残され記念館となっている。わたしがまだほとんど学生だったころ、ただ一人米国人にまじって見学したときは、かなり緊張していました。
淵田は、このあと、日本海軍の「度しがたき大艦巨砲主義」を批判し続ける。航空兵力で真珠湾を攻撃したはずの海軍は、勝因の航空兵力の威力に気がつかず、大きな打撃をうけた米国は、以後航空兵力の強化に全力をそそぐ皮肉な結果となった。
淵田はいう。「戦艦はもはや航空威力の前には、ただ沈むだけの存在」だと。そして、「ハワイとマレー沖の戦訓は、いちはやくアメリカ海軍を目覚めさせ、空母主力の大機動艦隊創建へと、アメリカ海軍の立て直しにとりかからせた」と指摘している。
いっぽう、日本海軍は、空母6隻をもち当時世界最強であった南雲機動部隊を二つにわけて解体してしまう。以後、日本海軍の戦争は、戦略を欠如したまま誤算につぐ誤算で壊滅していく。
日露戦争の成功体験にしばられた東郷平八郎の「大艦巨砲主義」と、「凡將」山本五十六に率いられた悲劇を、著者はするどく批判しています。
戦場でなにがあったのか、戦争を繰り返さないためにも、多くの兵士の体験を読んでいます。
ちょうど、淵田美津雄の自叙伝『真珠湾攻撃総隊長の回想』(講談社、2007年12月8日、1900円+税)を読み終わりました。
1941年12月8日未明、淵田は、二波にわかれた海軍機動部隊の360機を率いて、ハワイ上空に奇襲攻撃をかけた。「東京時刻で12月8日午前3時19分であった。そしてこの時を境として、今にして顧みれば、あの呪われたる太平洋戦争の開幕となった」
南雲長官が、第二次攻撃を中止しそのまま帰還したことは、戦史上も批判が多い。淵田も「『なにを阿保な』と憤ってみたが、長官のやることだ」と書いている。航空母艦に打撃をあたえないまま帰還した。
燃料切れ寸前にかろうじて帰還した淵田の総隊長機も被弾し、360機の搭乗員の55名がもどらなかった。真珠湾に潜入した全長24メートルの特殊潜航艇9隻も未還だ。淵田は、特殊潜航艇9名の軍神の虚構も事実をもってあばいている。
戦死者は、米国側2,338名。船舶が、米国側沈没12、損傷9。ただ、”米国側の船舶損失21のうち、そのほとんどはその後修理され戦列に復帰しており、実際に真珠湾攻撃で失ったのは戦艦アリゾナを含む3隻だけなのである。”といわれる。
真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナは、命を失った1,177名の兵士ともに、今も引き上げられないまま残され記念館となっている。わたしがまだほとんど学生だったころ、ただ一人米国人にまじって見学したときは、かなり緊張していました。
淵田は、このあと、日本海軍の「度しがたき大艦巨砲主義」を批判し続ける。航空兵力で真珠湾を攻撃したはずの海軍は、勝因の航空兵力の威力に気がつかず、大きな打撃をうけた米国は、以後航空兵力の強化に全力をそそぐ皮肉な結果となった。
淵田はいう。「戦艦はもはや航空威力の前には、ただ沈むだけの存在」だと。そして、「ハワイとマレー沖の戦訓は、いちはやくアメリカ海軍を目覚めさせ、空母主力の大機動艦隊創建へと、アメリカ海軍の立て直しにとりかからせた」と指摘している。
いっぽう、日本海軍は、空母6隻をもち当時世界最強であった南雲機動部隊を二つにわけて解体してしまう。以後、日本海軍の戦争は、戦略を欠如したまま誤算につぐ誤算で壊滅していく。
日露戦争の成功体験にしばられた東郷平八郎の「大艦巨砲主義」と、「凡將」山本五十六に率いられた悲劇を、著者はするどく批判しています。
戦場でなにがあったのか、戦争を繰り返さないためにも、多くの兵士の体験を読んでいます。